2009年度公務労協情報 19 2009年1月14日
公務公共サービス労働組合協議会

2010年度配置転換で雇用調整本部に要請−1/13
−地方分権改革への対応、引き続きのフォロ−アップなどを求める−

 公務労協は、13日14時30分から、国家公務員雇用調整本部交渉を実施し、「2010年度配置転換に関する要請」(別紙参照)を申し入れた。この交渉は、2009年度の配置転換に関わる作業が決着し、3年度目の計画も達成されることになり、年度内には最終年度となる2010年度の実施計画が策定されることになっていることから行ったもので、公務労協側は吉澤事務局長ほか構成組織書記長や関係組合代表が参加し、雇用調整本部側は内閣官房行政改革推進室の江澤次長、相馬参事官らが対応した。
 冒頭、吉澤事務局長が要請書を手交し、「最終年度の取組みに向けて、@雇用確保と処遇の維持A3年度目の取組みの検証と課題・問題点の改善B公務労協との十分な協議と地方協議会と当該労働組合の協議という基本的事項に加えて、地方分権改革の問題がある。昨年12月8日の第2次勧告は現場の職員に混乱を生じさせていることを踏まえ、十分な配慮をお願いする」と要請を行った。また、配転対象組合の花村全農林書記長は「地方分権改革により、これまで受け入れてもらってきた組織が見直し対象となり、また、農水省の改革も進められる。こうした状況の中、組合員はどう対応したらいいのか悩んでいる」と述べた上で、次の通り、実情を訴え、最大限の努力を求めた。
(1) 本人の理解と納得については、最終年度になって希望者の絶対数が減少する一方、募集ポストは中央が多く、希望者が多い地方ポストは少ないなどミスマッチが懸念される。したがって、受入ポストは、地域性や年齢構成などにも十分配慮していただきたい。また、スケジュールや説明会について、円滑に行えるよう対応していただきたい。
(2) 職場訪問研修は、実際の職場状況を理解する上で有効である。今まで希望していなかった職場を訪問したいと考える人も想定されるので、多くの省庁で実施されるよう対応してほしい。
(3) 各府省の人事担当者も相当交替してきていると思うので、配置転換のシステムを十分に理解の上、適切な対応がされるよう、関係府省に指導願いたい。
(4) 最終年度の配置転換は、平成22年4月の異動で終わるが、その人たちも十分フォローアップするよう配慮していただきたい。

 これに対し、江澤次長は「配置転換は総人件費改革のための重要な課題と認識しており、送出し側と受入れ側の努力により目標を上回る内定となったことについて、感謝している。これまでの取組みは順調に進んでいるが、今後の配置転換を取り巻く環境はより一層厳しいと認識している。平成20年4月に配置転換した職員は多くの職場で定着し新たな職務に取り組んでいるが、一部、職場になじんでいない人もいる。職員一人ひとりが生き生きとして働けてはじめて成功したと言えるので、雇用調整本部としては、これまで以上に努力していきたい。今後も、職員代表の皆さんと意見交換をさせていただきたい。厳しい状況となることについて、双方が認識し、お互いに取り組んでいけるようにして参りたい」として、次の通り要請事項に対する考えを明らかにした。
(1) 雇用確保と処遇の維持については、「全体計画」の閣議決定を踏まえ、雇用の確保の重要性を認識しつつ、引き続き配置転換者の適切な処遇の確保にも努めてまいりたい。
(2) 2009年度配置転換の検証と課題・問題点の改善については、今年度も本府省レベルに加え、地方機関レベルにおいても、送出し・受入れの双方から、今回の取組みにおける課題や今後の要望などを幅広く聴取したところである。これらの聴取結果については、平成22年度の配置転換等の取組みを検討する上で活用したいと考えており、今後、職員団体とも実務ベースを含め意見交換することとしたい。
(3) 今後の配置転換等の取組みを円滑に進めるためには、職員及び職員団体の理解と協力が必要と考えており、十分な意見交換を実施していくこととしたい。地方ブロックにおいても、引き続きご要望等は承ることとしたい。
(4) 地方分権改革の動向については、現時点でその詳細が必ずしも明らかではないが、その動向について今後注視してまいりたい。
(5) 個々の事項に関するご要望については、今後の取組みに当たり、実務ベースを含め十分意見交換を行っていくこととしたい。

 回答に対し公務労協側は、次の通り、さらに雇用調整本部の見解を質した。
(1) 最終年度のスケジュールはどうなっているのか。
(2) 「なじめない職員」もいたとのことであるが、最終年度の配転が終わればそれで終わりということにはならない。フォローアップについては、政府全体として取り組んでもらいたい。
(3) 昨年度に「3〜4年度目の情勢は厳しい」との認識を伺ったが、3年度目の取組状況はどうだったのか。
(4) 北海道開発局の1003名減の内、道州制特区法に関わる分として60名という数字が掲げられているが、法案成立後、これまで事業を実施していることから、人員の見直しが進められ、どうなるかわからない。3年度目については欠員が生じたことから配転を凍結したが、4年度目については改めてする必要が出てくるかもしれない。こうした事態になったときはしっかりと対応していただきたい。
(5) 定着できるよう受入れ側の労働組合も努力しているが、例えば刑務官の職場など職員団体がないところについては遠方から組合に相談が寄せられている実態がある。政府としても、それぞれの職場できちんと活躍できるようにきめ細かな対応を各府省に指導していただきたい。

 これらに対し、雇用調整本部側は次の通り答えた。
(1) スケジュールは例年と同様と考えているが、今後、公務労協と個別に詰めていきたい。
(2) 終了後のフォローアップの体制をどうしていくかははっきりしていないが、雇用調整本部の設置期限は平成23年3月であり、そこまでは雇用調整本部として対応していく。いずれにしても、政府として責任を持って対応していく。
(3) これまでの配置転換数は、それぞれ748名、783名、705名であり、最初は意欲のある職員が応募してきたが、2〜3年度目はやや低い考えの方も出てきたと認識している。受入れ府省は採用者の多い役所に限られるということで、慎重に考える人が多くなってきた。選択肢を増やせという要望も踏まえたいと思っている。配置転換後1〜2年を経過した人についても、配置転換先職場に受け入れられるよう取り組んで参りたい。
(4) 北海道開発局の問題については、国土交通省と緊密に話し合っており、ご指摘の点を踏まえて対応して参りたい。
(5) 刑務官など職場の文化が違うところもあり、なじめない人も確かにいるので、できるだけサポートができるよう努めて参りたい。

 これらの見解に対し、吉澤事務局長が「3年度目の検証、4年度目の計画等については、今後、引き続き事務レベルで協議していただきたい。本日の要請事項に十分配慮して取り組んでいただきたい」と強く要望し、申入れを終えた。
 2010年度の実施計画については、本日の申入れを機に、今後、雇用調整本部と交渉、協議が進められていくこととなる。


<別紙>

2009年1月13日



国家公務員雇用調整本部
 本部長 河 村 建 夫 様

公務公共サービス労働組合協議会
議 長 中村 讓



2010年度配置転換に関する要請


 貴職におかれましては、配置転換の円滑な実施にむけて、ご尽力をいただいていることに敬意を表します。
 さて、2009年度の配置転換については内定者が確定し、早々に最終年度の実施計画が策定される予定と聞いています。
 最終年度となる2010年度の取組みにおいては、当初計画達成に向けた課題のほか、地方分権改革や農林水産省改革の動向が不透明であることから、これらの課題との関係性を整理して対応することが重要といえます。
 このため、下記事項を申し入れますので、その実現にむけて最大限努力されるよう要請します。



一、配置転換が政府全体の取組みであることを踏まえ、組合員の雇用を確保するとともに、配置転換者の処遇を維持すること。

二、2009年度配置転換の取組みについて検証を行い、その結果を公務労協に提示すること。
 また、検証によって明らかとなった課題・問題点について、改善に向け最大限努力すること。

三、2010年度配置転換の取組みについては、目標数の取扱いなど、公務労協と十分交渉・協議を行うとともに、地方推進協議会と当該労働組合の協議を行うこと。

四、地方分権改革などの動向によって、配置転換の実施に支障を来すことがないようにすること。

五、2010年度配置転換に当たっては、本人の理解と納得に向け最大限努力することとし、次の事項を実現すること。
1.スケジュールについて
 組合員が十分に検討できる期間を確保すること。また、具体的なスケジュールを早期に提示すること。
2.説明会について
(1) 希望する受入府省の業務内容、人事、処遇などが聴取できるよう、開催方法を工夫すること。
(2) 質問事項の事前把握を行うなど、必要な情報が十分提供されるよう工夫すること。
3.受入ポストについて
(1) 送出府省の職員の地域性、年齢構成、職務内容等を考慮し、組合員が選択可能な受入ポストを確保すること。
 また、国立大学法人、自治体などの受入先を確保すること。
(2) 受入可能職調については、具体的な業務内容、異動(転勤)の状況などを詳細に記載するとともに、可能な限り勤務地、勤務場所を明確にすること。
(3) ミスマッチの防止に向け、受入可能職の地域間調整を行うこと。
4.職場訪問研修について
 可能な限り多くの受入府省で実施すること。
5.受入府省の面談について
(1) 面談日程を可能な限り早期に示すこと。
(2) 面談担当者は配置転換のシステムを理解し、適切に対応すること。
6.再募集について
 再募集を行う場合は十分な期間を確保すること。
7.新たな職場への早期定着について
(1) 配転前・配転後の業務研修を充実すること。
(2) 受入府省の相談体制を整備するとともに、雇用調整本部の相談窓口を継続するなど、配転者の状況把握とフォローアップに努めること。

以上