2009年度公務労協情報 31 2009年 3月 4日
公務公共サービス労働組合協議会

"法律案骨子"について実務レベルで交渉・協議−3/3
−職員団体の意見申出権や級別定数移管問題などを議論−

 公務労協は、2月27日に「国家公務員法等の一部を改正する法律案骨子(イメージ)」が公式に提示されたこと(2009年度公務労協情報No.30参照)を踏まえ、3日に公務員事務局と第2回目の交渉・協議を実施した。
 交渉・協議は、17時から行われ、公務労協側から岩岬・藤川両副事務局長ほかの実務交渉メンバーと構成組織担当者が参加し、公務員事務局側は淵上・古賀両審議官らが対応した。
 冒頭、古賀審議官から、法律案骨子の内容について、次の通り、追加説明があった。
(1) 人事院から内閣に移管する機能について、人事院が是正の指示をできることにするが、この場合の「指示」は法令関係の辞典によれば「ある機関が関係の機関または者に対して、その所掌事務に対する方針、基準等を示し、これらを実施させること」をいい、「指揮または命令よりは弱く、勧告より強く重い」が「拘束力は指揮または命令に準ずるもの」と言われている。用例は医師法第24条の2、漁業法第67条などにあり、従わないことは考えられない。そういう前提で法制局の審査を通っている。
(2) 内閣総理大臣が人事院規則の改廃制定に関し人事院に意見の申出をできることにすることに関わって、職員団体にも認めるべきではないかという議論があり、いろいろ検討したが、総理大臣の意見の申出は中央人事行政機関の権限として措置するものであり、そこに職員団体を書くのは法制上整理ができないことから、勤務条件に関する行政措置要求について、職員団体を明記することにより、人事院規則のみならず広い範囲で同じ効果を期待できると考えている。

 これに対し公務労協側は、行政措置要求制度は労働基本権制約の代償措置として位置づけられる仕組みであることや、実態として判定まで時間がかかることを指摘し、「総理大臣という使用者側の中央人事行政機関が第三者機関に対し要請するのであれば、これに対抗する措置として職員団体も要請できないとおかしい。中央人事行政機関の権限のところに書けないのであれば、職員団体のところに書けばいい。そうでなければ、代償措置の空洞化であり、憲法問題にもなる」と具体的対応を求めた。
 この要求に対し、古賀審議官は「措置要求の実態に問題があれば、人事院に対してきちんとやって下さいということをお願いするということではないか。具体的対応については、人事院からの意見を含め引き続き検討することとしたい。また、憲法違反の法律は出せないので、法制局と相談し、よく検討し、次回の交渉で回答する」との考えを示した。
 続いて、公務労協側は、@幹部職員の任用の弾力化、すなわち幹部職員の範囲で降任できることについて、大臣による情実人事の恐れや身分保障を損ねること、さらに管理職員や一般の職員に拡大することは反対なので慎重に取り扱っていただきたいA級別定数は組織管理の問題ではなく、給与すなわち勤務条件そのものであり、労働基本権制約の下では第三者機関が所掌すべきである。仮に内閣人事・行政管理局に移管した場合、組合と交渉するのか、と公務員事務局の見解を質した。
 これらについて、公務員事務局側は次の通り答えた。
(1) 大臣が誰かを推薦したときは、客観的事実に照らして、@今いる人より優れた業績を上げることが見込まれA今いる人は、例えば局長クラスの中で客観的事実に照らして最も成績が劣りB転任させる適当な官職がない場合に、任用させることにしているので、情実にはならない。なお、降任させる場合には、具体的な事実に厚みがないといけないので、評価の仕組みは検討しないといけないかもしれない。基本法、工程表では幹部職員に限っていないが、今回は幹部職員のみとし、それ以外は引き続き検討したい。
(2) 級別定数は組織管理と連動するものであるが、これまでの経緯もあることから,人事院の意見を聞くことにしている。なお、移管後、職員団体との交渉を含めて具体的にどう扱っていくかについては、人事院と相談中であり、今までと全く違うことをするつもりはない。

 以上のように、公務員事務局側が公務労協の要求に耳を傾けず、一方的な説明に終始したことから、公務労協側は「われわれが納得できる説明をしていただきたい。人事行政の中立公正性確保や内閣人事・行政管理局の機能など残された課題も多いので、再度の交渉・協議を申し入れる。その際には明確な回答をお願いしたい」と申し入れ、第2回の交渉・協議を打ち切った。

以上