2009年度公務労協情報 34 2009年 3月13日
公務公共サービス労働組合協議会

出先機関見直し工程表で地方分権改革推進室長交渉−3/12
−政府の責任で雇用を確保することと真の地方分権改革実現を求める−

 公務労協は、12日18時から、内閣府の小高地方分権改革推進室長交渉を実施した。この交渉は、昨年12月に地方分権改革推進委員会(委員長:丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)が「第2次勧告」を行い、本年度内に国の出先機関見直しの「工程表」を策定することになったことから、その検討状況を質すために実施したもので、公務労協から、吉澤事務局長、岩岬副事務局長、金田自治労書記長、森永国公連合書記長、花村国公総連書記長、岩ア林野労組書記長、加藤国交職組書記長、高倉全開発副委員長、白石沖縄国公労委員長らが参加した。
 冒頭、吉澤事務局長が「国の出先機関見直しの工程表については、昨年12月に鳩山大臣に申入れを行ったところであり、大臣からは「皆さんの意見を十分聞いて検討しなければならない」との見解をいただいた。また、雇用については政府が責任を持つべきものと理解し、申入れを踏まえた対応をされていると思うが、現在の検討状況を教えていただきたい」と質したのに対し、推進室側は次の通り答えた。  
(1) 第2次勧告をどう実現するかという立場で、工程表の検討作業を行っている。また、政府側としての最終的な雇用責任は当推進室では負えない部分があるので、推進室としてはそこは下支えする立場である。
(2) 年度内に工程表を本部決定することにしており、工程表では何をいつまでにどうするかを明らかにしたい。特にスリム化については、「スリム化方針を検討」することを工程表に書いて、その後、事務権限や組織の検討を個別に行った上で地方分権改革推進計画に盛り込む。人の移管については、準備本部で仕組み作りを行い、推進計画で具体的内容を明らかにし、必要があれば法改正も行う。第2次勧告では3年間の準備期間を設けているので平成24年4月に新体制への移行をめざす。

 これに対し公務労協側は、@工程表決定の年度末まで2週間しかないが十分議論させていただきたいA工程表は地方分権改革推進本部決定の方向性であり、推進計画は閣議決定であるので、内容の変更は当然あり得るはずだ。工程表の決定後も十分に議論させていただきたいB労政審や全国市長会等から第2次勧告に対する懸念が出されているがどう認識しているのかC事務権限の見直しの勧告はあったが、われわれとの間の議論を含めてその内容を精査し、その上で組織や人をどうするのかについて具体化を図ると理解してよいかD地方分権の観点から検討したとのことだが、全体として「スリム化」、行革だけがめざされており、これが地方分権の話かどうか疑問だ、などと推進室を追及した。
 追及に対し推進室側は、@皆さんとは今後とも十分意見交換をさせていただくA勧告事項については詰まっていない部分があり、そこは今後詰めていくことになるB要員規模の精査は事務権限の精査を踏まえて決まっていくものと考えているCスリム化については、組織改革の結果、統廃合ということになれば、共通管理部門はこれまでもスリム化するものとして取り扱われてきている。第2次勧告ではいろんな視点が重なっており、勧告の思想性を踏まえつつ、さらに議論をして詰めていくことになる、との考えを示すに止まった。
 続いて、構成組織から次の通り要望を行った。
○花村国公総連書記長
 人を減らすことが前面に出ているのではないか。3月4日の分権委員会では、工程表について、人を減らすという行革の議論ばかり行われており、雇用がどうなるのか、不安である。府省間配転と同様、数がはじめに決まるのは問題だ。
○高倉全開発副委員長
 国交省としても対応を検討しているが、都道府県にきちんと受け止めてもらえるかどうかがはっきりしないと先が見えず、職員は不安に思っている。道庁では、予算をもらわないと受けられないといっている。まず、そこをはっきりさせるべきだ。
○白石沖縄国公労委員長
 沖縄総合事務局では、スリムな組織で沖縄振興策と各府省の事務を一体的に実施していることが考慮されていないのは問題だ。ハローワークは削減するものとされているが、現下の雇用情勢のもと、大きな疑問がある。現実に職員は過剰労働で健康被害も出ており、逆に拡充すべきではないか。
○加藤国交職組書記長
 分権委員会の議論では「ボリューム感」ということが何度もでてきており、規模の大きい地方整備局がどれだけ減らせるかが焦点化され、職員は不安に思っている。分権の観点から、議論を行うべきではないか。
 これらに対し、小高室長は「改革委員会の場で、数字は精査しなければならないということを申し上げた。精査の過程を通じて要員規模は明らかになると思う。いきなり、数字が入るということではない」と弁明するに止まった。
 最後に、吉澤事務局長が「当事者ときちんと向き合って、行政改革、人減らしということではなく、地方分権の推進という立場で今後とも議論をさせていただきたい」と強く要請し、交渉を締めくくった。

以上