2009年度公務労協情報 37 2009年 3月18日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

地公全体での臨時・非常勤職員の待遇改善・雇用安定を
−地公部会が「臨時・非常勤職員の雇用安定・処遇改善を求める3.14全国集会」を開催−

 公務員連絡会地方公務員部会は、2009年3月14日午後、東京・全電通労働会館ホールで、「臨時・非常勤職員の雇用安定・処遇改善を求める公務員連絡会地方公務員部会3.14全国集会」を開催した。集会には、全国から臨時・非常勤職員を中心として約400名が参加し、地方公務員の臨時・非常勤職員の安定雇用の実現と均等待遇などの勤務・労働条件の改善に向けた今後の取組みについての意思一致を図った。

 集会は、午後1時30分から始められ、まず、佐藤地公部会議長が「今回の集会を起爆剤にして、公務・公共サービス労働者のディーセントワークを実現するために努力したい」と主催者挨拶をおこなった。
 連帯挨拶には、鴨桃代全国ユニオン会長と横光克彦衆議院議員が駆けつけた。鴨会長は、「厳しい春闘。一人ひとりの労働者が生きて働く、私たちの希望は連帯であるということを意識してたたかいをしたい」と訴えた。横光衆議院議員は「自治体で働く60万人の臨時・非常勤職員の人たちの雇用安定、待遇改善に向けて、国会議員の中でも学習を始めている。雇用安定、待遇改善に向けてみなさんの力こそ最大の力になる」と述べた。
 続いて、相原久美子参議院議員が、国会審議の動向について「立法の場できちっと法整備をし、均等待遇の原則を確立したい。そのため国会議員の中で状況認識をしていただく取組みに力を入れている」と報告した。
 次に、毎日新聞社論説委員の人羅格(ひとら・ただし)さんによる「自治体の非正規雇用はどう動くか」と題する講演が行われた。
 人羅さんは、総務省「地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会」の委員を務めたことから、研究会での議論の経過を紹介した。その中で、任期付短時間勤務職員制度への誘導が弱く、昇給を認めないというのが制度の普及にネックになっているのではないか、と指摘した。また、臨時・非常勤職員について、任期を厳格に切る方向性が出されたことから、この雇用情勢の厳しい中「雇い止め」に拍車をかけるおそれがあると懸念を述べた。その上で、報告書の「おわりに」の中で、経済危機に伴う雇用不安について言及することとなった、と説明するともに、組合として「雇い止め」を生まないよう十分な取組みが必要だ、と訴えた。
 そのあと、藤川伸治地公部会事務局長が、今後の取組みについて「継続雇用の取組みと任期付短時間公務員制度の導入、均等待遇の実現、育児休業・介護休暇制度が実質的に取得できる運用改善、法制度の整備、組織化・組織拡大などに全力をあげよう」と提起した。
 さらに、臨時・非常勤職員の立場からの意見表明では、まず、自治労臨時・非常勤等職員全国協議会の金森多恵議長が、雇い止めの広がりに対する不安を訴えるとともに、08年に人事院が通知した非常勤職員の給与に関する指針を県から市町村人事課に通知させた取組みなどを報告した。また、神奈川高教組の鈴木敏江さんは、質の高い教育実現のためには雇用の安定、ともに働いている教職員であるという認識を社会全体に広げていく必要があること、また、子どもたちにとって明るい未来をめざし、労働者自身が生活しやすい社会とそれを実現する政治が必要だ、と述べた。
 最後に、別紙の通り集会決議が提案され、これを満場の拍手で採択、そして佐藤議長の音頭で「団結がんばろう」を三唱し、集会を締めくくった。


(別紙)
集会決議


 地方の公務職場で働くすべての労働者は、今こそ立ち上がり、正規、非正規、産別の枠を越え、全ての臨時・非常勤職員の雇用安定と処遇改善を目指し、運動を進めなければなりません。

 地方の公務職場に従事する臨時・非常勤職員は、自治体関係だけでも60万人近くに達します。これに、教育、水道、交通、消防などで働く仲間も加えれば、臨時・非常勤職員の数は膨大なものとなります。しかもその多くは、恒常的業務に従事する人たちです。臨時・非常勤職員がいなければ、すでに国民は、今の公共サービスを享受できない状況になっています。しかし、その対価といえば年収200万円を大きく割り込んでおり、その処遇は、突然の雇い止めに不安を抱く毎日です。

 いったいなぜ、このような待遇の臨時・非常勤職員が増えたのでしょうか。
 その原因は、行政サービスが拡大する一方で、厳しい財政運営により常勤職員の定数削減をせざるを得ないことから、各自治体が安価な労働力として臨時・非常勤職員を増やしてきたことにあります。しかも、それは責任ある業務を要求するという、使用者側の思惑のままに活用されてきました。
 そのことを看過してきた常勤職員もその責任を免れません。抜本的な対策を講じないまま、このような状態を放置してきた国の姿勢も許すことはできません。もし国が、組合の声や国会論議を前向きに捉えていれば、すでに法と現実の乖離を見直し、雇用安定や処遇改善が可能な法改正が考えられてきたでしょう。しかし、国は緊縮財政を自治体に強いて、地方の公務職場における臨時・非常勤職員の増加に拍車をかけてきたのです。

 民間企業で働くパート労働者は、昨春、改正パート労働法が施行されたことにより、不十分ながらも正規社員との均等・均衡待遇に道が開かれました。国で働く非常勤職員の給与は法律で、常勤職員との権衡考慮が明記されています。しかし、地方の公務職場で働く臨時・非常勤職員は、労働関係諸法も公務員関係法も適用されない「法の谷間」に置かれているのです。

 私たちは、このような地方の公務職場で働く臨時・非常勤職員に対する差別的とも言える扱いを放置しておくわけにはいきません。
 公務員連絡会地方公務員部会に結集する臨時・非常勤の仲間が、今ここに初めて集いました。私たちは、新たなたたかう仲間とともに、本日、この場所を、臨時・非常勤職員の雇用安定と処遇改善のための法整備と、具体的待遇改善を実現する運動の新たなスタートと位置づけ、正規、非正規、産別の枠を越え、運動を進めることを決意します。

 以上決議します。

 2009年3月14日
 臨時・非常勤職員の雇用安定・処遇改善を求める
公務員連絡会地公部会全国集会

以上