2009年度公務労協情報 38 2009年 3月23日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人事院総裁、総務大臣から春の段階の回答引き出す−3/23
−公務員連絡会は回答確認し人勧期闘争への決意固める「声明」発出−

 公務員連絡会福田議長他委員長クラス交渉委員は、23日11時から谷人事院総裁と、13時30分からは鳩山総務大臣と2009春季段階の最終交渉を行った。この交渉で人事院総裁、総務大臣は、それぞれ資料1、2の通り、この間の交渉の到達段階にもとづいて、本年の給与改善に対する基本姿勢を確認する回答を示した。人事院総裁が「労働基本権制約の代償措置としての給与勧告制度の意義及び役割を踏まえ、適正な公務員給与水準を確保する」と、総務大臣が「人事院勧告制度を維持尊重する」との基本姿勢を確認したことは、厳しい情勢の下で、極めて重い意味があるが、総裁が政府の俸給表水準見直し再要請に対して毅然とした姿勢を示さなかったことなど、要求に照らして不満な回答にとどまった。また、回答に先立って、人事院総裁は民間の一時金を巡る厳しい情勢に言及しており、そのことが仮に一部与党で行われているような議論に追随するようなものになるとすれば、勧告制度の根幹を損なうことは明らかであり、公務員連絡会として警戒感を持って人事院等の動向を注視していく必要がある。
 公務員連絡会はその後開かれた企画・幹事合同会議で、「回答は不満だが、公務をめぐる情勢がさらに厳しさを増している情勢の中での交渉の到達点として受け止め、諸課題の解決に向けて人勧期・確定期の闘いを全力で進めていく」との声明(資料3)を確認。24日の第3次全国統一行動では、人勧期の取組みの決意を固める時間外職場集会等の行動を実施し、春季生活闘争中・後半期の闘いを進めていくことを決定した。
 この日行われた総務大臣、人事院総裁との交渉経過と回答内容は次の通り。

<人事院総裁交渉の経過>
 人事院谷総裁との交渉は、同日11時から人事院内で行われた。
 冒頭、福田議長が「2月19日に要求書を提出し、事務当局と交渉・協議を積み上げてきた。この経緯をふまえ、本日は、総裁から誠意ある春の段階の回答を頂きたい」として、2009春季段階の最終回答を求めたのに対して、総裁は「本年の民間春闘は、18日の一斉回答日以降、順次回答がなされているが、景気の急速な悪化のなかで、特に一時金については、昨年と比べ大きく落ち込むなど例年になく厳しく、人事院としてもその動向について注視していかなければならないと考えている。このような厳しい民間の状況のなかで、民調を開始することになるが、現段階における人事院の考え方について、公務員連絡会の要求項目に従い、順次回答する」と前置きした上で、資料1の通り回答した。
 福田議長は、この回答に対して次の通り見解を述べた。

(1) かつてない経済危機の中で闘われている春闘については、大手の集中回答は厳しいものであったが、なお「雇用と賃金の確保」を求めて懸命に取り組んでいる最中にある。われわれの春闘は、政府が進める総人件費削減政策に対して、雇用確保と賃金・労働条件の改善などを最重要課題として位置づけ、取組みを進めてきた。
(2) ただいまの総裁回答で、人事院勧告の意義や役割、給与改定に当たっての基本姿勢が表明された。これは、要求に照らして到底満足いくものではないが、今日の厳しい情勢の下でその点に言及された意味は重いものがあると考える。公務員の勤務条件に対する政治のバッシングや介入に毅然として対処し、文字通り労働基本権制約の代償機能という人事院の最も重要な役割を十全に果たしていただくことが必要だと考えている。
(3) 回答に先立って、一時金を巡る厳しい情勢について触れられたが、仮にそれが一部与党で行われているような議論に追随したものであるとすれば、人事院勧告制度に対する信頼は大きく損なわれることになる、という点だけ申し上げさせて頂きたい。
(4) 政府の俸給表水準の見直し要請に対して毅然として対応する姿勢が示されなかったことは、地域別官民給与の実態を公表する方向であることを含め、不満といわざるを得ない。
 また、自宅に関わる住居手当の廃止の検討や特地勤務手当見直しの検討に当たっては、人勧期に十分交渉・協議し、合意に基づいて対応していただくことを強く要請する。
(5) いま公務員労働者は、国民のための公共サービスを確保するという一点において、厳しい労働環境の中で一生懸命職務を遂行している。人事院総裁におかれては、給与・勤務条件を取り巻く情勢には極めて厳しいものがあるが、こうした日常公務員の努力に応えることが労働基本権制約の代償機関の役割であることを重ねて認識され、山積する課題の解決に全力で取り組んでもらいたい。

 最後に福田議長は、「本日の回答は、総裁の春の段階の最終回答として受け止め、組織に持ち帰って協議したい」と述べ、人事院総裁交渉を締めくくった。

<総務大臣交渉の経過>
 鳩山総務大臣との交渉は、同日13時30分から国会内で行われた。
 冒頭、福田議長が公務員連絡会の2009春季要求に対する最終回答と地公部会の要求書に対する最終回答を求めたのに対し、総務大臣は資料2の通り回答を示した。

 この回答に対し、福田議長は次の通り見解を述べた。
(1) ただいまの回答で、給与改定に関しては、人勧制度の維持・尊重の基本姿勢のもとで適切な公務員給与の水準を確保する、という政府の基本姿勢を表明された。これは、要求に照らして到底満足いく回答ではないが、労働基本権制約の代償措置さえ無視するような公務員給与に対するさまざまな議論が行われている状況の中で、重い意味を持つものと考える。大臣におかれては、公務員の使用者の責任を十分に認識され、この基本姿勢の下、本年の公務員給与の改定にしっかり対処してもらいたい。
(2) また、本年、われわれが重視した非常勤職員の問題については、国会で様々議論されているにもかかわらず、消極的な回答といわざるを得ない。非正規問題がこれだけクローズアップされているとき、霞が関にワーキングプアが存在してはならない。問題解決に向けて、まず実態把握からはじめてはどうか。是非、前向きに検討してもらいたい。
(3) 配置転換の取組みは、いよいよ最終年度に入る。雇用確保に向けた山場の段階だ。われわれもしっかり取り組むが、総務省としても最大限の取組みをお願いしたい。
(4) いま公務員労働者は、国民のための公共サービスを確保するという一点において、厳しい労働環境の中で一生懸命職務を遂行している。総務大臣におかれては、この努力に応えることが使用者としての責務であることを認識され、地財確保の課題を含め山積する課題の解決に全力で取り組んでもらいたい。

 最後に福田議長は、「本日の回答は、総務大臣の春の段階の最終回答として受け止め、組織に持ち帰って協議したい」と述べ、春闘回答をめぐる交渉を締めくくった。


国の出先機関見直し工程表で地方分権担当大臣に要請

 公務労協の福田副議長らは、総務大臣交渉に引き続いて、鳩山地方分権担当大臣に対して、地方分権改革に伴う国の出先機関見直しの工程表に関わって、次の通り要請し、見解を求めた。

(1) 昨年の地方分権改革の第2次勧告に基づく工程表作りについて、昨年末に大臣に申入れをさせて頂き、その際大臣から「人を無視した政策はうまくいかない」「皆さんの意見を十分にお聞きして、検討してい」くとの回答を頂いた。今日は、いくつかの点について大臣から直接見解を伺いたい。
(2) 一つに、第2次勧告は、組織、人の両面で「スリム化ありき」の行政改革そのものであり、分権改革になっていない。工程表の作成に当たっては、是非とも分権の観点から、事務事業を精査した上での作業としていただきたい。
 二つには、工程表決定後、改めて政府としての地方分権推進計画を閣議決定することになるが、国会でも議論されているように具体的なことは書かないという話なのでなおさら、工程表の決定後も引き続きわれわれと議論することを約束して頂きたい。
 三つめに、人の移管が必要となった場合については、政府が責任を持って雇用を確保していただきたい。
(3) 現場で働いている職員が、自らの雇用や仕事に不安感を持つことなく、職務に精励できるよう、大臣として人を大事にする立場で最大限の努力をお願いする。

 要請に対し、大臣は以下の通り回答した
(1) 出先機関改革の「工程表」については、既定の方針どおり、年度内に取りまとめるべく、最終的な調整を行っているところ。
(2) この「工程表」は、出先機関改革のスケジュールを明らかにするもの。「工程表」の策定後は、これに沿って具体化を進め、年内を目途に「改革大綱」(出先機関改革に関する地方分権改革推進計画)を策定したい。
(3) また、出先機関の改革を進める際には、職員の雇用にも最大限配慮して、人材の移管等は丁寧に進めていく必要があると考える。
 このため、工程表策定後、速やかに「人材調整準備本部」を立ち上げ、人員の移管等の仕組みの検討を進めていきたい。
(4) いずれにしても、改革大綱の策定に向け、皆様方を含め関係各方面のご意見もよくお聞きしながら、検討を進めてまいりたい。

 回答に対し、福田副議長は引き続き話し合いながら進めていくことを念押しし、交渉を締めくくった。


資料1−人事院総裁の2009春季要求に対する回答

人事院総裁回答

2009年3月23日

1 労働基本権制約の代償措置としての給与勧告制度の意義及び役割を踏まえ、官民較差に基づき、適正な公務員給与の水準を確保するという人事院の基本姿勢に変わりはない。
 俸給表水準の見直しに関しては、まずは給与構造改革の着実な実施が肝要であると認識しているが、適正な公務員給与の在り方については、昨今の経済情勢の激変という状況も注視しつつ、引き続き政府をはじめ広く各方面の意見を聞きながら、情勢適応の原則に基づき検討を続けて参りたい。
 地域別官民給与の実態については、本年夏の勧告時に公表する方向で検討を進める。
 なお、幹部職員の特別給の傾斜配分に関しては、人事院としてもかねてから検討を行ってきたところであり、できるだけ早期に結論を得るよう第三者機関、専門機関として検討を進める。
 また、給与改定に当たって、公務員連絡会が交渉、協議、納得を求めていることについては理解する。
2 公務員の給与改定については、民間給与の実態を精確に把握した上で、公務員連絡会の要求及び公務員の生活を考慮して、人事院の重要な使命として、適切に対処する。
3 給与勧告作業に当たっては、較差の配分、手当のあり方などについて公務員連絡会と十分な意見交換を行うとともに、要求を反映するよう努める。
 自宅に係る住居手当については、本年夏の勧告を目途に廃止の検討を進める。また、高額家賃を負担している職員の実情を踏まえた借家借間に係る住居手当の在り方について、引き続き検討する。
 特地勤務手当の見直しについては、新たな官署の指定基準を整備する方向で検討を進める。
4 一時金については、民間の支給水準等の精確な把握を行い、適切に対処する。
5 非常勤職員の休暇及び健康診断の在り方について検討を進める。
 非常勤職員の問題は、業務運営の方法、組織・定員管理、予算、人事管理方針などと密接不可分の関係にあることから、政府全体として、幅広くその在り方について検討することが必要であり、人事院としてもその検討に協力していくとともに、引き続き問題意識を持って考えていく。
6 公務員の勤務時間・休暇制度の充実に向けて、関係者及び公務員連絡会の意見を聞きながら引き続き検討を進める。
 超過勤務の縮減については、関係機関と連携しつつ各府省における在庁時間削減の取組の徹底を図るよう努めるとともに、上限目安時間に関する指針の遵守状況を注視していく。
7 新たな人事評価制度の任用・給与等への活用については、今後も公務員連絡会をはじめ関係者と十分に意見交換しながら、その実施状況を踏まえつつ適切に対処していく。
8 高齢期の雇用の在り方については、段階的に定年年齢を延長することを中心に、その場合の給与水準及び給与体系の在り方等も含め、今年夏に予定されている研究会の報告を踏まえ検討を進める。
9 平成17年末に改定された「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」に基づく施策が着実に実行されるよう努める。
 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の実施について、国家公務員の勤務条件を所管する立場から、適切に対応する。


資料2−総務大臣の2009春季要求に対する回答

総務大臣回答

2009年3月23日

1 総人件費改革に伴う配置転換等の取組に当たっては、総務省としても国家公務員の人事行政を所掌する立場から、内閣官房などと連携をとりつつ、職員の雇用の確保に最大限努力する。
 なお、国の出先機関改革については、地方分権改革推進本部を中心に出先機関の事務・権限の見直しや改革に伴う人員の移管等の仕組みの検討などを進めていくこととしているが、総務省としても、円滑な人員の移管等が実現できるような仕組みとなるよう、必要な協力を行ってまいりたい。また、独立行政法人の見直しに関わる雇用問題等については、内閣官房などで適切な対応が図られるものと考えているが、総務省としても今後の推移を見守りつつ、注視してまいりたい。
2 人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置であり、同制度を維持尊重することが政府としての基本姿勢である。
 平成21年度の給与改定に当たっても、この基本姿勢の下、国政全般との関連を考慮しつつ適切に対処してまいりたい。また、これまで同様に職員団体とも十分に話し合い、適切な給与水準が確保できるよう努力してまいりたい。
3 政府としては、従来よりILO条約尊重の基本姿勢をとってきたところである。また、ILO条約の批准について職員団体が強い関心を持っていることは十分認識している。
 なお、ILO結社の自由委員会第329、331、340、350次報告に対しては、関係機関と相談しつつ、誠実に対応する。
4 労働時間の短縮については、昨年9月に改正された「国家公務員の労働時間短縮対策」に基づき、超過勤務の縮減や年次休暇の計画的使用の促進に努めるとともに、関係機関とも連携しながら、政府一体となって更に実効性のある取組を進める。
5 公務員の高齢者雇用については、平成25年度から60歳定年退職者について無年金期間が発生することを踏まえ、雇用と年金の連携を図り、高齢国家公務員の雇用を推進する観点から、その在り方について、職員団体のご意見を伺いつつ検討してまいりたい。
6 男女共同参画社会の実現に向け、「男女共同参画基本計画(第2次)」「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」に基づき、関係機関とも連携をとりつつ、女性国家公務員の採用・登用の促進や職業生活と家庭生活の両立支援の充実等に着実に取り組む。
7 本年4月から実施される新たな人事評価制度については、同制度が円滑に運用されるよう、一層の制度の周知や評価者訓練に努めてまいりたい。
 また、公務員連絡会とは、納得性のある、信頼性の高い人事評価制度を目指して、今後とも、引き続き意見交換を行ってまいりたい。
8 非常勤職員の給与に関しては、各府省において、昨年8月に人事院から示された指針に沿った適切な対応がなされていくよう、総務省としても、「平成21年度における人事管理運営方針」にその趣旨を盛り込むなど、各府省の適切な対応を促してまいりたい。
 非常勤職員については、幅広い問題があるが、必要に応じて各府省の対応状況の把握などを行いつつ、関係機関とも連携して課題の整理を行い、鋭意検討してまいりたい。また、検討の過程においては、職員団体のご意見も伺いながら進めてまいりたい。
9 安定した労使関係を維持する観点から、職員団体とは誠意を持った話合いによる一層の意志疎通に努めたい。


地公関係総務大臣回答

2009年3月23日

(地方公務員の給与決定について)
1 地方公務員の給与については、労使間の交渉もあるが、地方公務員法の趣旨に則り、地域の実情を踏まえつつ、条例で定められるべきものである。
2 具体的には、当該団体の規模、給与の実態、その他の事情を総合的に勘案した上で、国民・住民の理解と納得が得られる適正な内容とするべきものと考えている。
 今後とも、このような考え方に立って、必要な助言等をおこなってまいる所存。
(地域間の財政格差是正のための地方税財源の充実確保について)
1 平成21年度においては、極めて厳しい地方財政の現状を踏まえ、既定の加算とは「別枠」で地方交付税を「1兆円」増額し、地方交付税総額は国税5税の大幅な減収の中で、前年度を4,100億円上回る15兆8,200億円を確保、実質的な地方交付税は前年度を2兆7,300億円上回る20兆9,700億円を確保したところ。
2 今後、地方分権を推進する上で、財政面において、地方の自主性・自立性を高めていくため、自主財源である地方税の充実が必要と考えている。
3 その際には、地方消費税の充実と地方法人課税のあり方の見直しにより、税源偏在が小さく、安定的な地方税体系を構築していくことが重要である。
4 その上で、地域の経済力の差によって生ずる税源の偏在を是正するとともに、どのような地域であっても一定水準の行政サービスを確保できるよう、地方交付税の財源保障機能、財源調整機能を適切に発揮させることが必要不可欠。
5 今後、地方分権改革推進委員会からの勧告等を踏まえ、地方税財源の充実強化に取り組んで参りたい。
(自治体における人事・給与制度に係わる新たな評価制度の導入について)
1 人事評価は、能力・実績に基づく人事管理の徹底を図るもので、給与、任用などの基礎として重要。
2 したがって、各地方公共団体においては、透明性・客観性・納得性を確保しながら、人事評価システムを適切に構築することが必要。
3 特に、職員の理解と納得が得られるよう努めることが必要であり、制度の趣旨や内容について、職員との意思疎通を図ることは重要。
4 人事評価システムの内容は、各地方公共団体が自ら決めるべきもの。総務省としても、円滑な導入・運用が図られるよう、必要な助言を引き続き行う所存。
(自治体の臨時・非常勤職員について)
1 一口に「臨時・非常勤職員」と言っても、地方公共団体には様々な職種の職員がおり、従事する職務内容も多様なものとなっている。
2 したがって、臨時・非常勤職員の給与その他の勤務条件等については、それぞれの地方公共団体が地方自治法や地方公務員法、これらに基づく条例の規定など、関係法令の定めるところに則り、職務の内容や責任に応じて、適切に決定すべきもの。
3 また、健康診断や社会保険、雇用保険の適用等については、各法律に基づく適用要件に則った適切な対応が図られるべきもの。
4 「地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告書」においても、このような考え方が整理されている。これに沿って通知等により、臨時・非常勤職員の任用や処遇の考え方について、新年度早々にも周知してまいりたい。


資料3−2009春季生活闘争に関わる公務員連絡会の声明

声  明


(1) 本日、公務員連絡会は、総務大臣、人事院総裁と交渉を持ち、2009年春季要求に対する回答を引き出した。
(2) 連合が「雇用も賃金も」を合い言葉に進めてきた2009春季生活闘争は、深刻な経済情勢の下、一部先行組合がベアを獲得したものの、一時金の引下げなど厳しい回答が続き、現在、中小やパート労働者が懸命に闘いを進めている最中にある。
 われわれの春季生活闘争は、政府の総人件費削減政策に対して、実質生活の維持・改善や非常勤職員等の雇用確保などを最重要課題として位置づけ、取組みを進めてきた。また、格差社会の解消と国民生活の安心・安全をめざし、公務労協に結集して「公共サービス基本法」の早期制定に向けたキャンペーンに取り組んできた。
(3) 本日の回答で総務大臣からは、@人事院勧告制度を維持尊重する基本姿勢のもと、適切な給与水準を確保するよう努力することA非常勤職員問題について、課題整理を行って検討していくことB地方分権の推進と地方税財源の確保に取り組むこと、などを確認した。
 公務員給与を巡っては、人事院勧告制度が労働基本権制約の代償措置であることを無視した「政治」の介入や、公務員制度改革の名を借りて人事院勧告制度そのものを空洞化しようとする動きなどが強まっている。こうした情勢の下、給与改定について政府が人勧制度維持尊重の基本姿勢を確認したことは、要求に照らして不満ではあるが極めて重い意味を持つものである。
(4) 人事院総裁からは、労働基本権制約の代償措置としての給与勧告制度の意義及び役割を踏まえ、適正な公務員給与水準を確保するという基本姿勢に変わりはないことを確認した。この基本姿勢の確認についても、今日の情勢の下では、総務大臣の回答と同様に重い意味を持つものである。
 俸給表水準の見直しについては、現在の給与構造改革の着実な実施を優先する考え方を示したものの、地域別官民給与の実態を公表することを明らかにし、政府に対して毅然とした姿勢を示さなかったことは、遺憾といわざるをえない。
 なお、本年の回答に先立って、総裁は民間の一時金の厳しい支給情勢に言及したが、仮にそれが一部与党の議論に追随したものであるとすれば、給与勧告制度の根幹を損なうものであると指摘せざるをえない。
(5) 以上のとおり、2009春季要求をめぐる政府、人事院の回答は不満なものに止まっているが、われわれは、公務をめぐる情勢がさらに厳しさを増している情勢の中での交渉の到達点として受け止め、諸課題の解決に向けて人勧期・確定期の闘いを全力で進めていくこととする。
 さらに、「公共サービス基本法」の早期制定、工程表に基づく内閣人事局設置法案反対の取組み、労働基本権確立を含む公務員制度の抜本改革などに向けて、連合と連携し、組織をあげて取組みを進めることとする。
(6) われわれは、24日の第3次全国統一行動日には、各構成組織ごとに人勧期の取組みへの決意を固める職場集会を実施することとする。また、中小及び地域の仲間、国営関係部会の仲間と連帯し、すべての労働者の雇用確保と生活の改善を実現するため、春季生活闘争中・後半期の闘いを推し進めることとする。

2009年3月23日
公務員労働組合連絡会

以上