2009年度公務労協情報 5 2008年11月14日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

政府が2008人勧の取扱い方針を閣議決定−11/14
−公務員連絡会は声明を発表し、関連法案の早期国会提出と成立を求める−

 政府は、14日8時から、第3回給与関係閣僚会議を開いて本年の給与・勤務時間勧告について、勧告通り実施するとともに、返納事由の拡大等を行う退職手当法改正法案を速やかに閣議決定するという方針を確認し、その後8時30分から開いた定例閣議でその方針を正式に決定した(関連資料1、2、3)。
 公務員連絡会は、この閣議決定を受けて、政府が地域別官民給与の実態の公表や地域給与のあり方の検討を人事院に要請したことに強く抗議するとともに、@勤務時間法改正法案A給与法改正法案B退職手当法改正法案の早期国会提出と会期内の成立をめざし、引き続き全力で取組みを進める、との声明を発した(資料4)。

 本日の閣議決定を受けて、2008秋季闘争の焦点は、今後、国会段階での関連法案を巡る取組みと地方自治体や独立行政法人等の確定闘争に移っていくこととなる。公務員連絡会は、本日、全国統一行動として時間外職場集会を実施し、閣議決定の内容を報告し関連法案の早期成立や地方等の確定闘争の前進に向けた取組み方針を意思統一することにしている。


資料1−閣議決定内容

公務 員の給与改定に関する取扱いについて


平成20年11月14日 
閣 議 決 定 

1 一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与については、去る8月11日の人事院勧告どおり、平成20年度の給与改定を見送り、平成21年度から、若手・中堅医師の人材確保のため初任給調整手当の改定を行うとともに、本府省業務調整手当を新設するなど給与構造改革を引き続き推進するものとする。

2 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の適用を受ける国家公務員の勤務時間については、去る8月11日の人事院勧告どおり、平成21年度から、1日7時間45分、1週38時間45分に改定するものとする。

3 特別職の国家公務員の給与等については、おおむね1及び2の趣旨に沿って取り扱うものとする。

4 1、2及び3については、今年度における新たな追加財政負担は要しないものであるが、来年度の人件費の増につながる内容も含まれており、我が国の財政事情がますます深刻化している下で総人件費改革が求められていることを考慮すれば、能力・実績に基づく人事管理、厳正な服務規律の確保と公務員倫理の確立を図るとともに、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を削減する必要がある。そのため、次に掲げる各般の措置を講ずるものとする。
 また、勤務時間の改定を行うに当たっては、公務能率の一層の向上に努め、行政サービスを維持するとともに行政コストの増加を招かないことを基本とする。

(1) 予算の執行に当たっては、優先順位の厳しい選択を行い、経費の節減に努めるとともに、今後、なお引き続き、経費の見直し・節減合理化を図ること等により、歳出の削減に努力する。

(2) 地方支分部局等を始めとする行政事務・事業の整理、民間委託、情報通信技術の活用、人事管理の適正化等行政の合理化、能率化を積極的に推進する等の措置を講ずる。また、定員については、5年間で5.7%以上の純減目標を確実に達成する。その中で、メリハリのある定員配置を実現する。

(3) 地域における給与水準の見直しについては、給与構造改革の柱として、平成18年度に俸給表の水準を全体として4.8%引き下げるとともに、民間の賃金水準が高い地域には地域手当を支給する措置を5年間かけて段階的に実施しているところである。さらに、「経済財政改革の基本方針2007」(平成19年6月19日閣議決定。以下「基本方針2007」という。)において公務員給与について地域の民間給与をより一層反映させるとされていること等を踏まえ、人事院に対し、来年の勧告時に地域別官民給与の実態を公表し、その状況も踏まえつつ、俸給表水準について必要な見直しを検討するよう要請する。

(4) 独立行政法人(総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第13号に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)の役職員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与水準を十分考慮して国民の理解が得られる適正な給与水準とするよう要請するとともに、中期目標に従った人件費削減や国家公務員の給与構造改革を踏まえた給与の見直しの取組状況を的確に把握する。独立行政法人及び主務大臣は、総務大臣が定める様式により、役職員の給与等の水準を毎年度公表する。
 あわせて、「独立行政法人整理合理化計画」(平成19年12月24日閣議決定)に基づく給与水準の適正化等に着実に取り組む。
 また、特殊法人等の役職員の給与改定に当たっても、国家公務員の給与水準を十分考慮して国民の理解が得られる適正な給与水準となるよう対処するとともに、主務大臣の要請を踏まえた人件費削減や国家公務員の給与構造改革を踏まえた給与の見直しの取組につき、必要な指導を行うなど適切に対応する。特殊法人等の役職員の給与等についても、法令等に基づき公表する。

(5) 地方公共団体の定員の純減及び人件費の抑制に支障を来すような施策を厳に抑制する。

(6) 地方公共団体の定員については、新地方行革指針(平成17年3月29日)に基づく集中改革プランにおける定員管理の数値目標の着実な達成に取り組むことを含め、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(平成18年7月7日閣議決定)に沿い、5年間で国の定員純減(▲5.7%)と同程度の職員数の純減を行うよう、引き続き要請する。

(7) 地方公共団体における地方公務員の給与改定に当たっては、現下の極めて厳しい財政状況及び各地方公共団体の給与事情等を十分検討の上、国と同様、行政の合理化、能率化を図るとともに、既に国家公務員又は民間の給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、その適正化を強力に推進するため必要な措置を講ずるよう要請する。
 また、給与構造改革の取組に加え、人事委員会機能を発揮することなどによる地方における民間給与水準への準拠を徹底するほか、技能労務職員の給与については「基本方針2007」に沿った取組を着実に推進するよう要請する。

(8) 地方公務員の勤務時間の改定に当たっては、国家公務員と同様、公務能率の一層の向上に努め、行政サービスを維持するとともに行政コストの増加を招かないことを基本とするよう要請する。

(9) 地方公務員についても、能力・実績に基づく人事管理を推進するとともに、厳正な服務規律の確保と公務員倫理の確立を図るよう要請する。

5 不祥事を起こした国家公務員に対する退職手当の取扱いについて、総務省における検討を踏まえ、国家公務員退職手当法の改正法案を速やかに国会に提出する。


資料2−官房長官談話
内 閣 官 房 長 官 談 話

(平成20年11月14日)

1 政府は、本日の給与関係閣僚会議及びその後の閣議において、一般職国家公務員の給与及び勤務時間の改定について人事院勧告どおり実施することなどを内容とする本年度の公務員の給与改定等の方針を決定しました。

2 本年度の勧告は、官民の給与がほぼ均衡していることから、俸給及び期末手当等の改定を見送る一方で、来年度から、医師給与の特別改善として初任給調整手当の額を引き上げるとともに、本府省業務調整手当を新設するなど給与構造改革を引き続き推進し、職員の勤務時間を民間の実態に合わせて改定するものであります。
 政府は、憲法上の労働基本権制約の代償措置の根幹を成す人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、国の財政状況、経済社会情勢など国政全般との関連を考慮しつつ、国民の理解を得られる適正な結論を出すべく検討を行った結果、本日、勧告どおり実施することを決定したところであります。

3 これらについては、今年度における新たな追加財政負担は要しないものですが、来年度の人件費の増につながる内容も含まれており、政府としては、ますます深刻化している財政事情にかんがみ、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を削減する必要があると考えております。そのため、行政の合理化、能率化を一層強力に推進するとともに、定員については、5年間で5.7%以上の純減目標を確実に達成します。その中で、メリハリのある定員配置の実現に取り組んでまいります。さらに、「基本方針2007」において公務員給与について地域の民間給与をより一層反映させるとされていること等を踏まえ、人事院に対し、来年の勧告時に地域別官民給与の実態を公表し、その状況も踏まえつつ、俸給表水準について必要な見直しを検討するよう要請することとしております。
 また、勤務時間の改定に当たっては、公務能率の一層の向上に努め、行政サービスを維持するとともに行政コストの増加を招かないよう努めることが不可欠であります。

4 なお、地方公共団体においても、「基本方針2008」等に沿い、定員の一層の純減や地方における民間給与水準への準拠を徹底するなどの取組を引き続き着実に推進するよう要請することとしており、勤務時間の改定についても国家公務員と同様、行政サービスを維持するとともに行政コストの増加を招かないよう要請することとしております。

5 公務員諸君は、今回の決定が現下の厳しい諸情勢の下でなされたものであることを十分理解し、公務員一人一人が国民全体の奉仕者であることを強く自覚するとともに、改めて厳正な服務規律の確保と公務の適正かつ能率的な運営を図るよう強く期待するものであります。


資料3−総務大臣談話
総  務  大  臣  談  話

平成20年11月14日

1 政府は、本日の閣議において、一般職の国家公務員の給与について、人事院勧告どおり、今年度の月例給及び期末手当等の改定を見送り、来年度から、若手・中堅医師の人材確保のため初任給調整手当の改定を行うとともに、本府省業務調整手当を新設するなど給与構造改革を引き続き推進すること、また、職員の勤務時間について、人事院勧告どおり改定を行うことなどを決定しました。
 この決定を踏まえ、総務省としては、今後、関係府省との連携を密にしつつ、早急に給与法等の改正法案を国会に提出するよう努力いたします。

2 本年度の給与改定等に当たっては、国民の理解を得るためにも、能力・実績に基づく人事管理、厳正な服務規律の確保と公務員倫理の確立を図るとともに、行政改革に積極的に取り組むことを基本とし、従来にも増して、行政事務・事業の整理、人事管理の適正化等、行政の合理化、能率化を積極的に推進してまいります。また、定員について、5年間で5.7%以上の純減目標を確実に達成し、その中で、メリハリのある定員配置の実現に取り組んでまいります。勤務時間の改定に当たっては、公務能率の一層の向上に努め、行政サービスを維持するとともに行政コストの増加を招かないよう努めてまいります。

3 さらに、不祥事を起こした国家公務員に対する退職手当の取扱いについて、国家公務員退職手当の支給の在り方等に関する検討会の報告を踏まえ、給与法等の改正法案と併せて退職手当法改正法案を国会に提出したいと考えております。

4 本年度の地方公務員の給与改定については、国家公務員の給与改定を基本として決定すべきものと考えます。また、引き続き、地方における民間給与水準への準拠を徹底するとともに、技能労務職員の給与についても、特に民間の同一又は類似の職種に従事する者との均衡に一層留意し、住民の理解と納得が得られる適正なものとなるよう、地方公共団体に対し要請してまいります。

5 各地方公共団体においては、地方財政が引き続き極めて厳しい状況にあり、その健全化が重要な課題となっていること及び地方公務員の給与の在り方について国民の強い関心が寄せられていることを十分認識し、不適正な給与制度・運用等については、速やかに是正措置を講ずる必要があります。

6 また、地方公務員の人件費の抑制については、徹底した行革の推進により進めていく必要があります。各地方公共団体においては、定員の一層の純減に取り組むとともに、給与情報の徹底した開示を進めながら、給与制度・運用等の適正化を強力に推進するなど、自主的・計画的な行政改革の推進と簡素かつ公正を旨とした行政運営に一層努力を払われるようお願いいたします。
 地方公務員の勤務時間の改定については、国家公務員の勤務時間の改定を基本とすべきと考えます。なお、その改定に当たっては、国家公務員と同様、公務能率の一層の向上に努め、行政サービスを維持するとともに行政コストの増加を招かないよう地方公共団体に要請してまいります。

7 さらに、能力・実績に基づく人事管理を推進するとともに、厳正な服務規律の確保と公務員倫理の確立を図っていただくよう、地方公共団体に対し要請してまいります。


資料4−公務員連絡会の声明

声     明


(1) 政府は、本日の第3回給与関係閣僚会議で本年の給与・勤務時間勧告を勧告通り実施するとともに、返納事由の拡大等を行う退職手当法改正法案を速やかに閣議決定する方針を確認し、その後開かれた閣議で正式に決定した。
 本年の人事院勧告取扱いについては、福田前総理の突然の辞意表明に始まる政局流動化の中で政府の方針決定が遅れていたが、本日ようやく決定されたものである。この間、公務員連絡会は、政府に対し早期完全実施を求める要求書を提出し、解散・総選挙含みの情勢の中で、総務省との交渉や要請ハガキ行動などを積み重ねてきた。
(2) 閣議決定では、勧告通り、所定勤務時間の短縮や新たな評価制度の導入に伴う給与関係規定の整備等を行うことにする一方、人事院に対し、地域別の官民給与の実態を公表し、俸給表水準の見直しを検討することを昨年に続いて要請している。これは、本来、現在の給与構造改革終了後、その結果を踏まえて人事院において検討すべきものである。にもかかわらず、政府が検討を要請することは、「政治」の圧力で俸給表水準の引下げを図ろうとするものであり、到底認められない。人事院に対して、第三者機関として毅然と対応することを強く求める。
(3) 政府は、本日の閣議決定を踏まえ、@勤務時間法改正法案A給与法改正法案B退職手当法改正法案、の策定作業を進めることになる。秋季闘争は引き続き厳しい情勢の下にあるが、公務員連絡会は、3法案の早期国会提出と会期内の成立をめざして国会段階のたたかいを強めることとする。そして、人件費削減の具体的なターゲットとして給与引下げが狙われている地方公務員給与について、給与水準の確保はもとより、決定基準の確立と労使交渉による決着を求めてたたかい抜くこととする。また、独立行政法人等の確定闘争を含め、最後まで統一闘争態勢のもとで取組みを進めることとする。
(4) 総人件費削減政策の下で、労働基本権制約の代償機能としての人事院勧告制度の制度的限界は明らかであり、公務員連絡会は、公務労協に結集して連合と連携しつつ、労働基本権の確立と団体交渉による賃金・労働条件決定システムの実現を含む、公務労使関係の抜本改革に向け、不退転の決意でたたかい抜くものである。
 さらに、世界的な金融危機が日本経済に深刻な影響を与えている状況の中で、国民生活の安定と安心を求めて、構造改革路線と総人件費削減政策の転換、良質な公共サービスの確立を求め、広く国民的な運動を進めるものである。

2008年11月14日
公務員労働組合連絡会

以上