2009年度公務労協情報 56 2009年 5月27日
公務公共サービス労働組合協議会

公共サービス基本法成立を受けて官房長官に要請−5/27
−公共サービスの再構築と拡充、雇用・貧困対策の改善を求める−

 公務労協は、27日昼に、河村官房長官と会い、別紙「公共サービスの再構築と拡充及び雇用・貧困対策に関する要請について」の実現を求めた。
 この要請は、「公共サービス基本法」が成立したことを受けて行ったもので、公務労協から中村議長、岡部副議長、吉澤事務局長が参加し、藤村修民主党衆議院議員が同席した。
 冒頭、中村議長が「本日は、公共サービス基本法が全会一致で成立したことを受けて、公共サービスの第一線で仕事をしているものの立場で、別紙の通り、具体的な要請をさせていただきたい。政府としても、安心社会実現会議で議論したり、補正予算案を国会に提出しているが、要請内容を踏まえた取組みをお願いしたい。公共サービス基本法第11条にあるように、公共サービスに従事する者の労働条件を含めて整備していただきたい。また、第6条では「公共サービスに従事する者は、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って誠実に職務を遂行する責務を有する」とされているので、労働組合としても十分な指導を含めて公共サービスに努めていく。政府としても基本法の趣旨に沿った努力をお願いしたい。関係府省とこれから協議を行っていきたいので、官房長官からその旨の連絡をお願いしたい」と述べ、政府の努力を要請した。
 これに対し、河村長官は「公共サービス基本法の成立は当然承知している。格差社会の問題について、具体的にどう力を注ぐかが課題であると思っている。要請内容は持ち帰って検討する。また、関係府省にも要請内容を伝える」と答えた。


(別紙)

2009年5月27日

内閣総理大臣
 麻 生 太 郎 様

公務公共サービス労働組合協議会
議 長 中村 讓

公共サービスの再構築と拡充及び雇用・貧困対策に関する要請について


 日頃の国政全般における貴職のご尽力に心から敬意を表します。
 さて、市民生活の質を確保し、企業が有効に活動するための基盤でもある公共サービスは、二極化と格差社会の進行による質の劣化そして地域間の公平性の喪失などをはじめとして、国民生活に深刻な影響を及ぼしています。暮らしを支え、バックアップする、市民ニーズに基づく公共サービスを市民の参加により構築するとともに、良質な公共サービスの実現は喫緊の課題といえます。
 政府は、現下の深刻な経済・雇用情勢に対し、2008年度第一次補正予算(事業規模11.5兆円、財政支出1.8兆円)、同第二次補正予算(事業規模27兆円、財政支出6兆円)、2009年度当初予算(景気対策として事業規模37兆円、財政支出4兆円)、同第一次補正予算(経済危機対策15.4兆円含)をはじめとした景気対策を進められているものと思います。
 一方、雇用情勢は、有効求人倍率は0.52倍と2002年4月以来7年ぶりの低水準となり完全失業者数は335万人に達するなど、なお悪化している状況にあります。
 つきましては、国民生活の安心・安全を確保するセーフティネットとしての公共サービスの再構築と雇用・貧困対策について、下記のことを実現されるよう要請します。



1.国民が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする「公共サービス基本法」(2009年5月13日成立)の趣旨に基づき、国民が日常生活及び社会生活を円滑に営むために必要な基本的需要を満たす等、同法に基づく具体的な施策等を措置すること。

2.国及び自治体の直接雇用対策については、短期・低賃金の臨時的職員の雇用ではなく、国の定員削減計画及び自治体の集中改革プランを一時凍結し、常勤職員の採用を前倒しすること。

3.母子自立支援員、婦人相談員、家庭相談員について、非常勤職員を原則とする規定を見直すための法令改正や通知の見直しを行うこと。

4.非常勤職員等の雇用安定と均等待遇を実現するため、本格的な短時間公務員制度を創設すること。

5.急増する生活保護受給者に対応するため、生活保護制度の運用及び制度の改善を早急に実施すること。特に、生活保護国庫負担金の確保及び自治体への早期交付を実施するとともに、ケースワーカーの十分な配置と事務費を確保するため、地方交付税の改善をはじめ必要な財源措置を実施すること。

6.自治体の母子寡婦福祉貸付金制度等の拡充をはかること。また、生活福祉資金、特に離職者支援資金及び緊急小口資金の改善をはかること。

7.就学援助制度、奨学金などの教育支援対策の拡充を行うこと。また、先進諸国並みに、家計基盤の弱い家庭への子どもに係る給付の拡充をはかること。

8.失業者・低所得者層に対する住宅保障として、公営住宅等の積極活用と入居要件の緩和、家賃軽減対策措置を実施すること。また、現在、入居者がなく空き室となっている国家公務員宿舎についても積極活用すること。

以上