2009年度公務労協情報 62 2009年 6月24日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人事院総裁に2009人勧期要求提出−6/24

 公務員連絡会福田議長ほか委員長クラス交渉委員は、24日11時から、谷人事院総裁と交渉を持ち、@月例給与水準の維持と一時金支給月数の確保A非常勤職員等の課題解決B実効性ある超勤縮減策の実施、などを重点課題とする「2009人事院勧告に関わる要求書」を提出した。これにより、2009人勧期の取組みは正式にスタートした。
 公務員給与をめぐっては、経済危機の下で民間賃金の厳しい状況を背景として、すでに夏季一時金の一部凍結勧告強行と勧告に基づく給与法改正が行われ、勧告期に向けては、総選挙がらみの政治情勢の中、公務員バッシングも強まり、極めて厳しい情勢となっている。他方、公務員労働者は総人件費削減政策の下、慢性的な人員不足の中で超過勤務の縮減など、勤務条件の改善や生活水準の維持を求める声には切実なものがある。公務員連絡会は、こうした状況を踏まえ、7.14第1次、7.24第2次中央行動を配置して人事院との交渉を強め、何としても要求の実現を図るべく、取組みを強めることとしている。

 11時から行われた谷人事院総裁との交渉には、福田議長ほか委員長クラス交渉委員が出席して行われた。
 冒頭、議長は要求書(別紙)を提出し、次の通り見解を述べた。
(1) 本年の春季生活闘争は、歪んだ配分構造の是正と内需主導型経済への転換を目指して闘われたが、世界的な経済危機を前にして全体として極めて厳しい結果に終わっている。
 公務を巡っては、依然として総人件費削減政策が推進され、国の出先機関の見直しや新たな定員削減計画の策定、公務員給与のさらなる抑制策などが検討されようとしている。
 こうした状況の中で、われわれが強く反対したにもかかわらず、人事院が、与党の議論を受けて夏季一時金の一部支給凍結勧告を行ったことは、人事院勧告制度の信頼性を大きく傷つけたものとして、改めて強く抗議する。
 公務を巡る厳しい情勢の下で、働き方の改革と生活防衛を求める公務員労働者の声はかつてなく高まっており、人事院に対する不満の声も強まっていることを強調しておきたい。
(2) 以上のことから、本年の人事院報告・勧告にあたっては、なにより労働基本権制約の代償機能を十全に果たすことが求められている。そのためには、@生活を守る月例給与水準の維持と一時金支給月数の確保A非常勤職員等の課題解決B実効性ある超勤縮減策の実施など、当面する重要課題の解決に全力で当たってもらいたい。その他、いくつかの手当の見直しも課題となるが、いずれの課題についても、われわれと十分交渉・協議し、合意に基づく報告や勧告を行うことを強く求めておきたい。
(3) 本日の要求提出を機に、事務レベルで交渉を積み上げさせて頂くが、しかるべき時期には総裁から直接要求に対する回答を頂きたいと考えているので、よろしくお願いする。

 続いて吉澤事務局長が要求書の重点事項を説明。これを受けて総裁は、「要求は確かに承った。最近の公務を巡る情勢は一段と厳しさを増しており、われわれはそのことを十分認識して諸課題の解決に努めなければならないと考えている。今後、本年の給与勧告に向けて、ご要望のあった課題については引き続き皆さんの意見もお聞きしながら検討を進め、しかるべき時期に回答したい」と、今後十分交渉・協議を積み上げ、しかるべき時期に回答するとの見解を述べた。


(別紙)2009人勧期要求書

2009年6月24日


人事院総裁
  谷  公 士 殿

公務員労働組合連絡会
議 長  福 田 精 一


2009年人事院勧告に関わる要求書


 本年の春季生活闘争は、マクロ経済の転換をめざした取組みが進められましたが、日本経済の危機的状況のもと、全体として厳しい結果に終わりました。
 こうした状況の中で、人事院が、一部与党の公務員給与引下げ論を背景としつつ、公務員の夏季一時金の一部支給凍結勧告を行ったことは、人事院勧告制度の信頼性を大きく傷つけたものとして、改めて強く抗議するものです。
 さて、公務を巡っては、総人件費削減政策のもとで、国の出先機関の見直しや新たな定員削減計画の策定が検討されています。また、昨年の人事院勧告取扱いの閣議決定の際に、政府が俸給表水準の見直しを改めて人事院に要請するなど、公務員給与のさらなる抑制が推進されようとしています。
 他方、公務員労働者の働き方の改革と生活防衛を求める声はかつてなく高まっており、本年の報告・勧告にあたっては、@生活を守る月例給与水準の維持と一時金支給月数の確保A非常勤職員等の課題解決B実効性ある超勤縮減策の実施など、当面する重要課題について、労働基本権制約の代償機関としての機能を十全に果たすことがなにより強く求められています。
 貴職におかれては、こうした点を十分認識し、2009年人事院報告・勧告に関わる下記事項を実現することを強く要求します。



1.賃金要求について

(1) 月例給与の改善勧告について
 2009年度の給与改定に当たっては、公平・公正な官民比較に基づき、公務員労働者の月例給与の水準を維持すること。

(2) 一時金について
 一時金については、精確な民間実態の把握と官民比較を行い、公務員労働者の生活を守る支給月数を確保すること。

(3) 住居手当の見直しについて
 住居手当については、全額支給限度額、最高支給限度額を引き上げるなど総合的に改善すること。また、自宅に係る手当の「廃止」については、国・地方における支給実態等を踏まえ、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて慎重に検討すること。

(4) 特地勤務手当の見直しについて
 特地勤務手当の見直しについては、離島、山間へき地等の生活環境・生活実態と人材確保の必要性を踏まえ、支給基準や箇所付け等について十分な交渉・協議を行い、合意すること。

(5) 給与構造の見直し事項等について
@ 本年の勧告において、政府の要請による地域別官民給与比較結果に基づく俸給表水準等の見直し勧告を行わないこと。また、地域別官民給与比較の方法、公表のあり方については、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づき、慎重に対応すること。
A 最終年度の地域手当の支給割合の引上げに当たっては、十分交渉・協議、合意の上で実施すること。

(6) 非常勤職員等の処遇改善について
@ 非常勤職員の休暇制度について、常勤職員に準じた適正な制度を整備すること。
A 非常勤職員等の雇用・身分等の差別的取扱いを解消し、本人の希望に沿った継続的・安定的な雇用を確保すること。また、非常勤職員等の雇止めなどの雇用問題や任用の在り方について抜本的に改善するため、直ちに職種、在職実態、勤務形態、処遇(非常勤給与ガイドラインの遵守状況を含む)等の実態調査を実施するとともに、公務員連絡会が参加する検討の場を設け、政府全体として解決に向けた取組みに着手するよう、人事院としても積極的な役割を果たすこと。

2.労働諸条件の改善について

(1) 労働時間の短縮等について
@ 本府省における在庁時間削減の取組み状況及び他律的業務を含む目安時間の設定、遵守状況を調査し、公務員連絡会にその結果を報告すること。それに基づき、厳格な勤務時間管理と実効性ある超過勤務縮減策を取りまとめ、直ちに実施すること。
A 改正労働基準法の施行に対応して民間に遅れることなく、超過勤務手当の割増率を引き上げる勧告を行うこと。

(2) 男女平等の公務職場の実現について
@ 「女性国家公務員の採用・登用拡大に関する指針」の着実な実施に向けた指導、メンター制度の実効性確保に向けて必要な取組みを行うこと。
A 民間の育児・介護休業法等の改正、施行に遅れることなく、公務における関係制度の改善を行うための意見の申出を行うこととし、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて作業を進めること。
B 育児休業及び育児のための短時間勤務について、数値目標を設定した男性取得の促進策をとりまとめること。

(3) 新たな高齢者雇用施策について
@ 「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会」の報告書の取りまとめに当たっては、公務員連絡会から十分意見聴取し、その意見を反映すること。
A 新たな高齢者雇用施策については、雇用と年金の接続の形態として「65歳までの段階的定年延長」を基本とする意見の申出をできるだけ早期に行うこと。具体的な施策の内容、実施時期等については、公務員連絡会との十分な交渉・協議と合意に基づいて検討作業を進めること。とくに、新たな施策の実施に関わる給与体系・水準のあり方については慎重に進めること。

3.その他の事項について

 公務職場に外国人の採用、障がい者雇用を促進すること。そのために必要な職場環境の整備を行うこと。

以上