2009年度公務労協情報 67 2009年 7月15日
公務公共サービス労働組合協議会

「国の出先機関改革等」で民主党に申入れ−7/15
−公共サービスの質と国家公務員の雇用と労働条件の確保を求める−

 公務労協は、15日、民主党の分権調査会(会長:玄葉光一郎衆議院議員)に対し、別紙「国の出先機関等に関する要請」を行った。この要請は、民主党が「次の内閣」において、「霞が関の解体・再編と地域主権の確立」の政策内容を了承する一方、政府が年内に「出先機関改革に関する地方分権改革推進計画(改革大綱)」の策定作業を進めていることから、@国民生活の安心・安全を支える公共サービスの確保を大前提とした地方分権改革を進めることA出先機関改革に当たっては公務労協及び関係組合と十分協議することB国家公務員が不安感を持つことがないよう、雇用と労働条件を確保すること、などを申し入れたもの。
 申入れは、14時から、衆議院第1議員会館内で行われ、公務労協からは河田副議長(林野労組委員長)を代表として、岡部自治労委員長、片平国税労組委員長、宇野税関労組委員長、大谷国公総連副委員長、加藤国交職組書記長、吉澤公務労協事務局長らが参加し、民主党の分権調査会側は玄葉光一郎会長、逢坂誠二事務局長(衆議院議員)が対応した。
 冒頭、河田副議長は玄葉会長に別紙の要請書を手交した上で、「公務労協は、地方分権改革は必要と考えており、国・地方自治体の役割分担の明確化と公共サービスの質を損なわないことが前提と考えている。いま府省間配置転換が進められており、さらに国の出先機関の統廃合が進められることになると、雇用問題が発生しかねないことを危惧している。公務労協及び関係組合と十分に話し合いながら、民主党としての対応をしていただきたい」と要請の趣旨を述べた。
 続いて各構成組織代表からは、@税関は国民生活の安心・安全のための事務・事業を担っている。水際で取締まりを行うためには、組織とマンパワーが必要であり、維持できるようにしていただきたいA民主党のマニフェストには「歳入庁」構想があるが、歳入確保に向けた機関のあり方について、しっかり議論した上で整備をしていただきたいBこの間、2000名を超える職員が府省間配置転換を行った。さらに出先機関改革となれば、将来、雇用不安が懸念される。地域に密着した行政が必要という観点から検討してほしいC地方整備局は地方分権改革委勧告の目玉になっており、現場で働く職員は戦々恐々としている。いま、事務・事業について個別協議を行っており、それを見極めた上で組織のあり方を考えていただきたい、などの要望を行った。
 要望に対し玄葉会長は、次の通り考えを述べた。
(1) 民主党は政権交代をめざしており、新しい国の形を上手に作り直す必要があると考えている。その重要な柱のひとつが地域主権と思っている。
(2) 政権を取ることができたとき、「補助金」「負担金」「義務付け」と合わせて国の出先機関のあり方をきちんと議論しないといけない。国と地方自治体の役割を含めて総点検する。1年ぐらいかけて検討し、3年かけて実現をめざすことになるが、それまでの間は、これまでの地方分権改革推進委員会の蓄積を活かしたいと思っている。まずは風穴を開けることが大事だ。例えば、廃校になった小中学校でも新しい校舎があるが、それを養護施設に利用する際の規模の問題や、フリーターは同居家族がないと公営住宅に入れないという問題などについて、自治体の裁量権で可能にすることなどだ。
(3) その際、公務労協、関係組合との十分な協議は民主党も臨むところだ。それを踏まえて、最終的な姿を描いていきたい。色々な形で意見交換をしていきたい。
 続いて吉澤事務局長が「政府における検討は、出口であるべき国の出先機関の見直し先行で行政改革優先になっているが、まずは事務・事業を精査した上で、今ある機関をどうするかという議論でないといけない。事務・事業の見直しが先であることに十分配慮していただきたい。そして、組合員の雇用と労働条件はぜひとも確保していただきたい」と重ねて要請した。要請に対し、玄葉会長は「お互いに十分意思疎通をしながら進めていきたい。補助金、負担金、義務付けがなくなれば、その分は一定の整理が必要になるが、生首を切るということは当然できないし、どう雇用を確保していくかが大事だと思う」との考えを述べた。


<別紙資料>

2009年7月15日

民主党分権調査会
  会 長  玄 葉 光一郎 様

公務公共サービス労働組合協議会
議 長  中 村  讓


国の出先機関改革等に関する要請について


 日頃から、国民生活の安心と安全をはかるためご尽力されていることに対し心から敬意を表します。
 さて、貴党におかれては、4月22日に開催された次の内閣において、「霞が関の解体・再編と地域主権の確立」の政策内容を了承されたと聞いています。
 一方、政府は、地方分権改革推進委員会第2次勧告を踏まえ、出先機関改革の今後おおむね3年間の主な工程を定める「出先機関改革に係る工程表」を決定しています。
 地方分権改革は、本来、社会経済情勢の変化に対応した形で国と地方自治体の行政の役割分担を見直した上で、より地域に密着した地方自治体が国民生活に不可欠な公共サービスを住民のニーズにそって遂行できるよう見直すものでなければなりません。しかし、地方分権改革推進委員会第2次勧告では、行政改革、総人件費改革のための出先機関統廃合が優先され、国と地方自治体の事務・事業の検証が十分でなく、受け皿となる地方自治体の事務・権限や財源のあり方も先送りされ、公共サービスの切り捨てとなることが危惧されます。
 また、現在進められている国家公務員の府省間配置転換に加えて、出先機関の統廃合が行われることになれば、深刻な雇用問題の発生が想定され、出先機関に勤務する職員は将来に対する雇用と生活の不安を一層募らせています。
 つきましては、今後の国の出先機関改革等の検討に当たって、下記のことを実現されるよう要請します。



1.地方分権改革に当たっては、国民生活の安心・安全を支える公共サービスの確保を大前提に、国と地方の役割分担の明確化、基礎自治体が担うべき事務や役割範囲の特定等を前提として進めること。

2.国の出先機関の改革に当たっては、公務労協及び関係組合と十分な協議を行うこと。

3.国家公務員が雇用や生活に不安感を持つことがないよう、雇用と労働条件を確保すること。

以上