2009年度公務労協情報 68 2009年 7月24日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

第2次中央行動で職員福祉局長、給与局長と交渉−7/24
−月例給・一時金の具体的回答が示されなかったため、給与局長と再交渉へ−

 公務員連絡会は2009人勧期の大きな山場に当たる24日、第2次中央行動を実施した。午後1時30分から、日比谷大音楽堂で行われた中央集会には、4千人の仲間が参加し、要求実現を求めて最後までたたかう決意を固めあった。また、この日の午前中は地方公務員部会が総務省交渉や独自集会を実施して、地方公務員独自の課題の解決に向けた取組みを強化した。
 この中央行動を背景として行われた、職員福祉、給与両局長との交渉で人事院は、@勧告は8月上旬を目途に調整中A官民較差は昨年と比べ厳しい結果は避けられない状況B一時金は極めて厳しいC自宅に係る住居手当の廃止について勧告する方向C民間の育児・介護休業法改正、労働基準法改正に合わせた勧告、意見の申出等を行うD非常勤の健康診断実施や休暇制度改善を措置する、など月例給や一時金については厳しい状況であるとの考えを表明するに止まり、具体的内容については明らかにしなかった。このため、公務員連絡会側は「本日の回答は、官民較差、一時金について具体性がなく不満だ。再度給与局長交渉を行い、具体的な見解を示してもらいたい」として、人事院に対して勧告に向けて最後まで努力するよう求めた。
 公務員連絡会は、しかるべき段階で再度給与局長との交渉を行った上で、勧告直前には委員長クラス交渉委員による人事院総裁との交渉を行い、ギリギリまで月例給水準の維持と公務員労働者の生活を守る一時金支給月数の確保などを求め交渉・協議を強めることとしている。

 午後1時30分から日比谷大音楽堂で開かれた公務員連絡会の中央集会は、佐藤副議長(全水道委員長)を議長に選出して始められ、冒頭挨拶に立った岡部議長代行は、「日本経済や連合の春闘結果から見ても09人勧は大変厳しく、本日の行動が最大の山場になる。最後まで生活防衛に向けたたかいへの結集を要請する。総選挙では、この間取り組んできた良い社会をつくる公共サービスキャンペーンの新たな展開のためにも政権交代を果たさなければならない。その決意を固めよう」として、2009人勧期の最終盤の取組みと総選挙の勝利に向けた取組みに決起することを訴えた。
 続いて激励挨拶に駆けつけた高木連合会長は、「本年の人勧はマイナス勧告もあり得ると聞いている。しかし、公務員の給与が下がれば民間に及ぼす影響も大きく、内需拡大が必要な現下の深刻な経済状況を回復させることは出来ない。総選挙では、現政権で停滞していた公務員制度改革を推進し、労働基本権を回復するために連合推薦候補者の全員当選をめざそう」と力強い連帯の挨拶を行った。
 基調提起では、吉澤事務局長が、「09年人勧も終盤を迎えているが厳しい状況に変わりない。連合は既に来春闘の最大課題として賃金水準の維持をあげており、民間の状況も引き続き厳しいことが伺える。民間から公務、公務から民間という悪循環を断ち切るためにも自らの問題としてだけはなく、全体的な問題として人勧期の取組みを推進しなければならない。公務員に対する政治的、財政的圧力や不安定な社会的評価など私たちを取り巻く状況は厳しいが、様々な諸課題解決のために公務員連絡会に結集して交渉を積み上げよう」との基調を提起した。
 構成組織決意表明には、自治労・岡本財政局長、国税労組・大場副委員長、都市交・浅野副委員長、政労連・渡邉中央執行委員が登壇し、要求実現に向け最後までたたかう決意をそれぞれ力強く表明した。
 集会を終えた参加者は、人事院前交渉支援行動と霞ヶ関一周のデモ行進に出発。「公務員の生活を守れ」「月例給の水準を維持しろ」「一時金の支給月数を確保しろ」「非常勤職員の雇用と処遇を改善しろ」と力強くシュプレヒコールを繰り返した。
 行動を終えた参加者は再び日比谷大音楽堂に結集し、書記長クラス交渉の報告を受け、最後まで2009人勧期のたたかいを進めるとの決意を込めた団結ガンバロウを三唱し、この日の行動を締めくくった。
 人事院職員福祉局長、給与局長との交渉経過は次の通り。

<人事院職員福祉局長交渉の経過>
 人事院川村職員福祉局長との交渉は、午後2時15分から行われ、公務員連絡会側は書記長クラス交渉委員が臨んだ。
 冒頭、吉澤事務局長が「6月24日に総裁宛の要求を提出し、7月14日には職員団体審議官と交渉を積み上げてきたので、今日はわれわれの要求を踏まえた回答をお願いしたい」と局長の見解を求めたのに対して、川村局長は、以下の通り回答した。

1 超過勤務の縮減について
 超過勤務の問題については、政府全体として、在庁時間の削減に取り組んでおり、本年度も各府省において、この取組みを進めているところである。
 本院としては、現在、各府省における在庁時間の状況や具体的取組み状況等を精査している段階であり、今後、それらの結果の全体がとりまとめられた段階で、職員団体に対してもお示しすることを考えている。
 いずれにせよ、本院としても、引き続き各府省と連携しつつ在庁時間の削減の徹底について取り組んでいきたい。
2 労基法の改正に伴う措置について
 昨年12月の労働基準法の改正により、民間においては来年4月から残業手当の割増率の改正等が行われることになっているが、これに伴い、本院としても、長い超過勤務の抑制、長い超過勤務者に対する休息機会の付与等の観点から、同様の措置を行うこととして、先般、皆さんには措置案を示して意見を伺ったところである。
 今般、国家公務員においても、超過勤務手当の支給割増率を引き上げること(詳細は給与局長発言参照)、あわせて、当該支給割合の引上げ分の支給に代えて勤務することを要しない日又は時間(代替休)を指定することができることとするなど所要の措置について、給与勧告と同時に勧告を行うべく検討している。
3 育児休業等の改正について
 公務においても、男女が共に家庭生活における責任を担いつつ、仕事と生活の調和を図り得るような勤務環境を整備していく必要があると考えており、また、いわゆる民間育・介法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)の改正も踏まえ、今般、国家公務員について、配偶者が育児休業をしている職員も当該休業の取得を可能とすることなどを内容とする育児休業法の改正について、今勧告と同時に意見の申出を行うべく検討している。
 また、配偶者が専業主婦(夫)の場合にも育児休業をすることができるようにすること、さらには、介護のための短期休暇の新設、子の看護休暇の拡充等について、人事院規則の改正を行う方向で検討している。
 なお、男性の育児参加の促進については、現行の妻の産前産後期間中の育児参加休暇(5日)や育児のための早出・遅出勤務、更には育児短時間勤務制度の積極的な活用と併せ、今回の措置の実現によって、大いに促進が図られるものと期待している。
4 非常勤職員の休暇等の改善について
 非常勤職員の健康診断については、勤務時間、継続勤務期間に関して一定の要件を満たす者については、一般定期健康診断を実施する方向で検討を進めている。
 また、休暇については、現在、いわゆる4分の3職員に適用されていない休暇(忌引き休暇、病気休暇)について、一定の継続雇用期間を有する場合には、取得することができるよう措置することを検討している。

 これらの回答に対して、公務員連絡会側は、次の通り、局長の見解を質した。
(1) この間、超過勤務実態が増えていることは問題であり、割増率の引上げ以前の問題として、縮減することが重要だ。今年の勧告では超勤縮減の全体像を示していただきたい。
(2) 超勤手当の割増分にかかわって「代替休を指定することができる」としているが、職員本人の意思を尊重すべきではないか。
(3) 介護短時間勤務制度の検討状況はどうか。
(4) 非常勤の健康診断や休暇制度の改善は速やかに実施していただきたい。
(5) 非常勤職員にも育児休業や介護休暇を適用するよう強く求めてきたが、検討状況はどうか。
(6) 非常勤職員の任用制度の見直しについて、人事院全体の重要な課題として、検討し方向性を出していただきたい。

 これらの要求に対し、川村局長は次の通り答えた。
(1) 超勤縮減は一つひとつの具体的取組みが重要であり、まずはそれを進める。在庁時間縮減の取組みや上限目安指針の点検など時間がかかる部分があり、勧告までにということではなく、検討していきたい。
(2) 代替休については当事者の意思がきわめて重要であり、職員の希望を踏まえて指定することになる。
(3) 現在の介護休暇制度の中で時間単位の取得が可能だが、取得は少ない実態にある。皆さんの要望は承知しており、引き続き検討していく。
(4) 非常勤の健康診断や休暇制度については、回答したとおり、実施する方向で作業を進めている。
(5) 育児休業等は継続雇用が前提となっているため、現在の非常勤制度にはなじまず、これまで適用していない。今後、非常勤職員制度のあり方の議論を踏まえて検討していくこととしたい。

 以上の議論を受けて、最後に吉澤事務局長が「総裁の回答までにはまだ時間があるので、本日要望した内容を含めて前向きな検討をお願いしたい」と強く求め、交渉を終えた。

<人事院給与局長交渉の経過>
 人事院吉田給与局長との交渉は、午後2時45分から行われ、公務員連絡会側は書記長クラス交渉委員が臨んだ。
 冒頭、公務員連絡会吉澤事務局長が今日時点での局長の回答を求めたのに対し、吉田局長は、以下の通り回答した。

1 勧告日について
 例年どおり、8月上旬を目途に調整を始めたところである。
2 官民較差等について
 国公実態においては、平均年齢が昨年と同程度の伸びを示しており、また、新規採用者及び若年層の減少もあって、平均給与額は上昇している。
 本年の民間企業の賃金改定の状況については、ベースアップ事業所が昨年に比べかなり減少しており、定昇についても減額となった事業所が増加しているようであり、官民較差がほぼ均衡していた昨年と比べ、厳しい結果になることは避けられない状況にあると認識している。
 また、特別給については、現在調査結果が順次集まってきているところであるが、今年夏の民間のボーナスは、各種調査によれば、昨年よりマイナス10〜20%程度と、大きく減少しており、加えて昨年冬のボーナスも減少傾向がみられたことから、これらの状況が反映される民調結果は、極めて厳しいと認識せざるを得ない状況にある。
 地域間の官民給与較差の状況については、今勧告の報告で、平成17年の勧告時の報告の際に公表した地域区分により、今年4月現在の状況を公表することを考えている。
3 住居手当について
 自宅に係る住居手当については、主に自宅の維持管理費用を補填する趣旨で昭和49年に設けられたが、その後、公務部内における同手当の意義、財形持家融資制度の要件等を考慮し、平成15年自宅の新築・購入後5年に限り支給するもの(\2,500のもの)を除き廃止(\1,000のもの)したところである。
 しかし、当該存置した手当についても、財形持家個人融資の利用者が大幅に減少し、措置しておく必要性が認められないことなどから、昨年の勧告時の報告でも述べたとおり、今年の勧告で廃止について勧告する方向で作業を進めている。
4 新たな人事評価制度について
 新たな人事評価制度は、多くの府省では、本年10月以降実施されることになっているが、本院としても、新制度が円滑かつ公正な活用がされるよう、施行後においても、各府省における実施状況等を見極めるなど、適切に対応していきたい。
5 非常勤職員等の処遇改善について
 非常勤職員の給与については、昨年8月に発出した指針を踏まえ、今般各府省における給与の決定方法等についてのフォローアップを行ったところであり、今年の報告でその結果について言及したい。
 指針については、引き続き指針の内容が徹底されるよう指導に努めていきたい。
6 超過勤務手当の割増率の改善について
 昨年12月の労働基準法の改正により、民間においては来年4月から残業手当の割増率の改正(及び代替休暇の新設)が行われることになっているが、これに伴い、本院としても、長い超過勤務の抑制等の観点から同様の措置を行うこととして、先般、皆さんには措置案を示して意見を伺ったところである。
 今般、国家公務員においても、労基法の法定休日に相当する日の勤務を除き、1月60時間を超える超過勤務に係る超過勤務手当の支給割合を「125/100」から「150/100」に引き上げることとするなどの所要の措置について、給与勧告と同時に勧告を行うべく検討している。
7 高齢対策について
 公務員の高齢職員の雇用問題については、研究会の最終報告書が本日提出されたところである。
 今後は、この報告書を踏まえつつ、人事院として、現在60歳と定められている定年年齢を平成25年から段階的に65歳まで延長する仕組みの実現に向けて検討していくこととなる。
 本年の報告では、それに向けた課題やスケジュールについて言及することになる。

 回答に対し公務員連絡会側は、次の通り局長の見解を質し、要求実現を迫った。
(1) 官民較差については昨年より厳しいとの認識が示されたが、月例給与水準の維持は本年人勧の最大の課題であり、最後まで努力願いたい。配分の課題もあるので、数字が見えてくる段階で改めて局長との交渉を求めたい。
(2) われわれは一時金の比較方法についてきちんとするよう求めてきたところであり、外からの批判に応えられるよう見直すべきだ。また、極めて厳しいとのことであるが、ぎりぎりまで調査し、生活を維持できる支給月数を是非とも確保していただきたい。
(3) 本年は、一時帰休やワークシェアリングなど勤務時間が短いために賃金が低くなっているところが多いとすれば、それらは除外すべきではないか。
(4) 自宅に係る住居手当の廃止は国の事情に基づくとの話があったが、地方の状況にも配慮してほしい。本日段階で廃止について分かったということにはならない。また、高額家賃負担者の問題など住居手当全体の見直しはどうなっているのか。
(5) 地域別官民較差の公表については、一人歩きしないよう、十分配慮してほしい。また、その結果に基づいての水準見直しはしないことを約束していただきたい。
(6) 高齢雇用対策については、給与、役職定年、退職給付を含めいろいろな課題があるので十分議論させていただきたいし、できるだけ早く作業を進めていただきたい。今後のスケジュールはどうなっているのか。

 これに対し吉田局長は、次の通り答えた。
(1) 官民較差については、今日の段階で具体的なことはいえない。再度交渉を、ということは承った。
(2) 一時金の比較方法について今の時点では検討していないが、外からの批判に対しては、どこと比べるかなど制度の根幹については毅然として守っていく。本年もぎりぎりまで調査をし、民間の支給実態を把握することにしている。
(3) 一時帰休やワークシェアリングで勤務時間が短いとしても、官民比較から除外することにはしていない。事業所調査の結果では、そんなに多くの事業所で行っている状況ではなく、大きな影響はないと考えている。
(4) 人事院としては、国家公務員の実態を踏まえ、利子補給、持家融資を支えるものとしての手当はなくすということだ。国の事情は示すが、自治体の状況について云々する立場にはない。住居手当全体の見直しについては較差次第と考えている。
(5) 地域較差については、その趣旨、今後の展望を含め公表することとしたい。給与構造改革の途中であるので、平成23年度にもう一度検証する必要があることも明記する。
(6) 今年の勧告時の報告で、課題やスケジュールを示したいと考えている。

 最後に吉澤事務局長が「本日の局長の回答は、官民較差、一時金について具体性がなく不満だ。再度給与局長交渉を行い、較差の問題を中心に具体的な見解を示してもらいたい」と再度の交渉を求め、本日の交渉を締めくくった。

−地公部会は人勧期要求実現を求め7・24中央集会実施−

 公務員連絡会地方公務員部会は、公務員連絡会第2次中央行動にあわせ、午前11時から、日比谷大音楽堂で中央集会を開催、約3千人の仲間が参加した。集会は、地方公務員の重点課題である、@月例給与の水準維持A一時金支給月数の確保B地方公務員の定数削減と給与引下げを強制しないことC自宅に係る住居手当の廃止を行わないことD臨時・非常勤職員の処遇改善、などを行動目標に設定し、前段に総務省への申入れを実施するとともに、闘う決意を固めた。
 主催者挨拶に立った、佐藤地公部会議長は「自宅に係る住居手当問題について、地公部会としての役割を果たすとともに、結集された皆さんも闘いの一翼を担うため中央・地方一体の積極的な取組みを進めていこう」と訴えた。
 激励挨拶では片平公務員連絡会副議長(国税労組委員長)が「公務員連絡会は本日を人勧期闘争最大の山場に設定し、具体的回答を引き出す。公務員を取り巻く情況は厳しさを増しており、組合員の期待に応えるため要求実現に向けて、共にしっかり闘い抜こう」と力強く語った。
 このあと、情勢報告では藤川地公部会事務局長が集会前段に行われた総務省給与能率推進室長との交渉経過を報告。決意表明では、角田福島県教組書記長、高橋全水道北海道地本書記長が各組合の取組みを報告し、人勧期から確定期に向けて全力で闘い抜く決意を表明、最後に佐藤地公部会議長の音頭で団結ガンバローを三唱し、集会を終えた。

以上