2009年度公務労協情報 72 2009年 8月12日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

2009人勧を受けて地公部会が全人連に申入れ−8/12

 公務員連絡会地方公務員部会は、8月12日午前10時から、2009年人事院勧告を受けて全国人事委員会連合会(全人連)に対する申入れを行った。公務員連絡会側は、地公部会の佐藤議長(全水道委員長)、金田企画調整委員(自治労書記長)、藤川地公部会事務局長と地公部会幹事が出席、全人連側は、内田会長(東京都人事委員会委員長)はじめ、都道府県人事委員会のブロック代表及び政令市人事委員会の代表者が対応した。
 冒頭、佐藤地公部会議長は、要請書(別紙)を手交し、「人事院は月例給、一時金の引き下げ勧告を行ったが、春闘結果や民間実勢を反映したとはいえ、組合員の生活実態から見て極めて不満な勧告だと言わざるを得ない。自宅に係る住居手当の廃止勧告は、国と地方では住宅政策が根本的に異なっていることから、今回の廃止勧告はあくまでも国家公務員における実情を踏まえた措置であると認識しており、各人事委員会に置かれましても同様の認識で対応されますよう要請する。全人連におかれましては、率直に協議する場を継続して頂きたいと考えており、各人事委員会におかれましても各組合と十分な交渉・協議が保障されるような取り扱いをお願いする。」と申入れの趣旨を述べた。
 引き続き、藤川地公部会事務局長が要請書の内容を説明し、全人連の努力を求めた。
 こうした地公部会の要請に対し、内田会長は以下の通り回答した。

<全人連会長回答>
 全人連会長の内田です。
 私から全国の人事委員会を代表してお答えいたします。
 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。早速、役員県を通じて、全国の人事委員会にお伝えいたします。
 さて、最近の経済情勢を見ますと、政府の月例経済報告によれば、景気はこのところ持ち直しの動きがみられるとしてはいますが、「厳しい状況」にあるという判断は春先から依然続いております。こうした中、昨日、人事院の勧告が行われたわけですが、本年の民間給与との較差は、863円、率にして0.22%、公務員給与の方が民間給与を上回るとしております。この較差を解消するため、俸給表の引下げ改定に加え、自宅に係る住居手当を廃止するという内容になっています。
 また、特別給については、既に6月期の支給月数を0.2月凍結したところですが、民間給与実態調査の結果を踏まえ、これをさらに上回る年間で0.35月の引下げ改定を勧告しております。
 一方、時間外労働の割増率等に関する労働基準法の改正を踏まえた見直しを行うとともに、仕事と生活の調和を図る勤務環境の整備のため、育児休業等に関する法律の改正について、意見の申出を行っております。
また、公的年金の支給開始年齢の段階的な引上げに伴う65歳定年制の実現に向けて、給与体系をはじめとする高齢期の様々な雇用問題について、今後、検討を進めていくとしております。
 詳細につきましては、これから人事院の説明を受けるところですが、人事院の勧告は、必ずしも、これに従うべきものではないとは言え、今後の各人事委員会の勧告作業にとっていろいろな意味で参考となるものであり、その内容については、これから充分吟味する必要があろうかと考えます。
 現在、各人事委員会では、秋の勧告に向けて、鋭意、作業を進めているところです。いずれにしましても、今後は、皆様からの要請の趣旨も十分考慮しながら、それぞれの人事委員会が、地域の実情を踏まえつつ、秋の勧告に向けて、主体性をもって対処していくことになるものと考えております。
 全人連としても、各人事委員会の主体的な取組を支援し、各人事委員会の横の連絡はもとより、人事院と人事委員会との間の意見交換等にも努めてまいります。
公務員の給与を取り巻く環境は、引き続き厳しい状況にありますが、人事委員会といたしましては、本年も、中立かつ公正な第三者機関として、その使命を十分に果たしていく決意であります。


(別紙)全人連への要請書

2009年8月12日

全国人事委員会連合会 
 会長 内田公三 様

公務員連絡会地方公務員部会
議長  佐藤 幸雄

2009年度地方公務員の給与勧告等に関する要請書


 各人事委員会の地方公務員の給与・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 人事院は8月11日、政府と国会に対して給与勧告を行いましたが、月例給、一時金とも引下げという厳しい結果となりました。
 地方公務員を巡っては、厳しい定員純減政策のもと、今日の複雑化、高度化した行政需要に対し、地方自治体における公共サービスの向上に懸命な努力が続けられています。にもかかわらず、独自に給与減額措置を執る自治体が6割を超え、さらに、精確性に欠ける調査に基づく臨時勧告を受けた夏季一時金の一部凍結など、職員の努力を踏まえているとはいえない給与政策が続いており、これに対する職場の不満と憤りはますます大きくなっています。
 各人事委員会におかれましては、勧告制度が労働基本権制約の代償措置であり、地方公務員の生活を守るという人事委員会の使命を十分認識され、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。



1.民間給与実態を精確に把握し、地方公務員の生活を守るための賃金水準を確保すること。
(1)公平・公正な公民比較を行い、月例給与の水準を維持すること。
(2)地方公務員の生活を守るため、必要な一時金支給月数を確保すること。
(3)独自の給与削減措置が行われている自治体は、減額措置後の給与に基づく公民較差を基本とすること。
(4)自宅に係る住居手当に関しては、地方公務員の住宅の実情を踏まえ、廃止または引下げを行わないこと。 
(5)すべての在職者が定年まで昇給が可能となるよう、号給を延長すること。特に、教育職員など級構成が簡素な職員については、早急に実施すること。
(6)配分も含め、本年の勧告・報告に当たっては、十分交渉・協議、合意のもとすすめること。

2.臨時・非常勤職員の処遇改善、安定雇用に関わって、人事委員会として必要な対応 を行うこと。

3.一般職員の勤務実績の給与への反映の基準については、十分な交渉・協議、合意を前提にすること。

4.教育職員の給料表・諸手当の勧告にあたっては、当該組合との十分な交渉・協議、合意を前提にすること。

5.恒常的な超過勤務を縮減することを目的に、労働基準法の改正に対応して時間外勤務手当の割増率の引上げ、代替休暇付与などの措置を行うよう適切な対応をすること。

6.育児・介護休業法の一部改正に伴って、各自治体が所要の措置を講ずるよう対応 すること。

以上