2009年度公務労協情報 73 2009年 8月20日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人勧の取扱いで総務省人事・恩給局次長と交渉−8/20

 公務員連絡会は、20日、総務省交渉を実施し、本年の人事院勧告取扱いの検討状況を質した。この交渉は、公務員給与を引き下げる人事院勧告を速やかに実施に移したことをアピールしたいという政治的な動きがあり、政府内でも早期決定に向けた作業が進められようとしている情勢を受けて実施したもの。
 総務省との交渉は、16時から行われ、総務省側からは笹島人事・恩給局次長ほかが出席し、公務員連絡会側からは岩岬・藤川両副事務局長ほか幹事クラス交渉委員が交渉に臨んだ。
 交渉の冒頭、岩岬副事務局長は「8月11日に人事院勧告に関する要求書を総務大臣に提出し、本年の勧告等の取扱いを検討するに当たって、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意することを申し入れたが、大臣からは十分意見交換するとの回答があった。今の段階での検討状況を聞かせていただきたい」として、総務省の見解を求めた。これに対し、笹島次長は「8月11日に勧告を受けて、政府内で検討してきた。人事院勧告については、労使ともに尊重する立場であり、今回の勧告は厳しい中身であったが、精緻な比較の結果であり、代償措置であることを踏まえて検討してきた。きょうのこの場を含めて、職員団体とは意見交換を行い、人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立って、国政全般との関連について、誠意をもって検討を進め、国民の理解を得られる適正な結論を早急に得たいと考えている。検討をスピードアップし、給与勧告については、近々に結論を得ることもあり得る。なお、育児休業法改正の意見の申出は、給与関係閣僚会議の検討事項ではないので、給与とは別に政府内で検討していくことになる」と答えた。
 これに対し公務員連絡会側が、@閣議決定の内容はどのような方向で検討しているのかA大幅な給与の引下げと成り、生活に与える影響が大きいので十分な議論を求めてきたが、それを無視して拙速に閣議決定するのは問題。改善するときは時間をかけ、下げるときはすぐ決めるというのは納得できない。「政治」の要請に応える姿勢も問題だ。十分議論をさせていただきたい、などと総務省の見解を質したのに対し、笹島次長は@総務省としては、勧告通り実施する方向で検討しているA引上げの時は財源が必要なので厳しい財政事情の下では十分検討する必要があるが、下げるときにはその必要がないので早く決めてもおかしくはないと思っている。5月の一時金勧告以来、議論をしており、それが現在に至っている。議論は十分させていただく、との考えを示すにとどまった。
 また、公務員連絡会側は、高齢雇用、非常勤職員の課題について次の通り総務省の見解を質した。
(1) 高齢雇用について、人事院は「定年年齢を段階的に65歳まで延長することが適当」との方向性を打ち出し、来年中に意見の申出を行うことを報告している。総務省としては、意見の申出をどのように受け止めて対応する考えか。
(2) 非常勤職員については、日々雇用職員の任用・勤務形態の見直しについて年度内に結論を得るとの報告がされているが、政府の方でも人事・恩給局がリーダーシップを取って検討していることは承知しており、今後、どのように検討していく考えか。公務員連絡会としては、非常勤職員の雇用の安定と処遇の改善に繋がる仕組みにすべきであり、最低でも任期1年で更新できる仕組みにしていただきたい。

 追及に対し、笹島次長は次の通り答えた。
(1) 人事院は、2年間の研究会での検討を踏まえ、「定年年齢を段階的に65歳まで延長する」ことを報告している。定年延長については基本法や工程表にも定年延長の検討が入っているし、与野党でも検討がなされている。65歳までの定年延長は、これらと齟齬を来すものではない。しかし、いろいろと具体的に検討しなければならない事項があるし、他に再任用という方法があり、国民の理解と納得も得ていく必要がある。政府としては、工程表の考えと同様に、民間における実施状況を踏まえ、まずは再任用の原則化を図り、定年延長についても国家公務員制度改革推進本部と連携して検討して参りたい。人事院とも意見交換するし、職員団体とも意見交換をしていく。まずは、60歳まで勤められるようにすれば、それを延ばすことができると考えている。人事院に対しては、まずは給与カーブをどうするかについて具体策を考えてほしいと思っている。意見の申出に対しては、出された段階で対応する。
(2) 非常勤職員の課題については、昨年夏から検討をしており、給与については指針が発出され、それを踏まえた取り組みがなされ、成果も上がっている。健康診断については、これから予算要求の検討を進めるなど前向きに取り組んでいる。任用形態等の見直しについては、制度官庁で議論しており、何とか答えを見いだそうとしているが、戦後以来の長い経緯などがあり、そう簡単には整理が付くものではなく、まだまだ詰めるべき点があるが、日々雇用というのは明らかにイレギュラーな形なので結論を見いだしたい。いま、非常勤職員の実態調査も行っており、その結果も踏まえて、関係機関と連携し、検討を進め、職員団体とも適宜情報交換をしていく。われわれも、雇用の安定と処遇の改善に結びつかなければ意味がないと考えている。

 最後に、岩岬副事務局長が、@人事院勧告の取扱いについては、拙速な決定は納得できない。今後とも、十分交渉・協議すべきだA高齢雇用については、人事院の考えと工程表の考えに齟齬があることを心配しており、政府の考えを早めに提示し、われわれと十分議論させていただきたいB非常勤職員の問題についても、引き続き十分議論をさせていただきたい、と強く要請したのに対し、笹島次長が「高齢雇用などについて、組合の考えを聞くことは重要なことと考えており、随時議論していく」と答えたことから、これを確認し、交渉を終えた。

以上