2009年度公務労協情報 75 2009年 8月25日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

政府が2009人勧の取扱い方針を閣議決定−8/25
−公務員連絡会は"拙速に決定したことは遺憾"との声明を発表−

 政府は、25日8時10分から、第2回給与関係閣僚会議を開いて本年の給与勧告について、勧告通り実施することを閣議決定するという方針を確認し、その後8時30分から開いた閣議でその方針を正式に決定した(関連資料1、2、3)。
 公務員連絡会は、この閣議決定を受けて、@極めて不満な内容であるが民間賃金の実勢を正確に反映したものであれば、受け止めざるを得ないA拙速に決定したことは手続きに問題があり、遺憾Bさらに地方公務員等の闘いについて統一闘争態勢を堅持した取組みを進める、との声明を発した(資料4)。


資料1−閣議決定内容

公務員の給与改定に関する取扱いについて


平成21年8月25日
閣 議 決 定 

1 一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与については、去る8月11日の人事院勧告どおり改定を行うとともに、給与構造改革を引き続き推進するものとする。
2 特別職の国家公務員の給与については、おおむね1の趣旨に沿って取り扱うものとする。
3 1及び2については、今年度における新たな追加財政負担は要しないものであるが、我が国の財政事情がますます深刻化している下で総人件費改革が求められていることを考慮すれば、能力・実績に基づく人事管理、厳正な服務規律の確保と公務員倫理の確立を図るとともに、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を削減する必要がある。そのため、次に掲げる各般の措置を講ずるものとする。
 また、超過勤務手当の支給割合等の改定を行うに当たっては、業務の改善・効率化により超過勤務の縮減を図り、行政コストの増加を招かないよう努めるものとする。

(1) 予算の執行に当たっては、優先順位の厳しい選択を行い、経費の節減に努めるとともに、今後、なお引き続き、経費の見直し・節減合理化を図ること等により、歳出の削減に努力する。
(2) 地方支分部局等を始めとする行政事務・事業の整理、民間委託、情報通信技術の活用、人事管理の適正化等行政の合理化、能率化を積極的に推進する等の措置を講ずる。また、定員については、5年間で5.7%以上の純減目標を確実に達成する。その中で、メリハリのある定員配置を実現する。
(3) 地域における給与水準の見直しについては、給与構造改革の柱として、平成18年度に俸給表の水準を全体として4.8%引き下げるとともに、民間の賃金水準が高い地域には地域手当を支給する措置を5年間かけて段階的に実施しているところである。さらに、「経済財政改革の基本方針2007」(平成19年6月19日閣議決定。以下「基本方針2007 」という。)において公務員給与について地域の民間給与をより一層反映させるとされていること等を踏まえ、引き続き、人事院に対し、来年の勧告時に地域別官民給与の実態を公表し、その状況の検証も踏まえつつ、俸給表水準について必要な見直しを速やかに検討するよう要請する。
(4) 独立行政法人(総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第13号に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)の役職員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与水準を十分考慮して国民の理解が得られる適正な給与水準とするよう要請するとともに、中期目標に従った人件費削減や国家公務員の給与構造改革を踏まえた給与の見直しの取組状況を的確に把握する。独立行政法人及び主務大臣は、総務大臣が定める様式により、役職員の給与等の水準を毎年度公表する。
 あわせて、「独立行政法人整理合理化計画」(平成19年12月24日閣議決定)に基づく給与水準の適正化等に着実に取り組む。
 また、特殊法人等の役職員の給与改定に当たっても、国家公務員の給与水準を十分考慮して国民の理解が得られる適正な給与水準となるよう対処するとともに、主務大臣の要請を踏まえた人件費削減や国家公務員の給与構造改革を踏まえた給与の見直しの取組につき、必要な指導を行うなど適切に対応する。特殊法人等の役職員の給与等についても、法令等に基づき公表する。
(5) 地方公共団体の定員の純減及び人件費の抑制に支障を来すような施策を厳に抑制する。
(6) 地方公共団体の定員については、新地方行革指針(平成17年3月29日)に基づく集中改革プランにおける定員管理の数値目標の着実な達成に取り組むことを含め、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(平成18年7月7日閣議決定)に沿い、5年間で国の定員純減(▲5.7%)と同程度の職員数の純減を行うよう、引き続き要請する。
(7) 地方公共団体における地方公務員の給与改定に当たっては、現下の極めて厳しい財政状況及び各地方公共団体の給与事情等を十分検討の上、国と同様、行政の合理化、能率化を図るとともに、既に国家公務員又は民間の給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、その適正化を強力に推進するため必要な措置を講ずるよう要講する。
 また、給与構造改革の取組に加え、人事委員会機能を発揮することなどによる地方における民間給与水準への準拠を徹底するほか、技能労務職員の給与については「基本方針2007」 に沿った取組を着実に推進するよう要請する。
(8) 地方公務員の時間外勤務手当の支給割合等の改定に当たっては、国家公務員と同様、業務の改善・効率化により時間外勤務の縮減を図り、行政コストの増加を招かないよう努めるよう要請する。
(9) 地方公務員についても、能力・実績に基づく人事管理を推進するとともに、厳正な服務規律の確保と公務員倫理の確立を図るよう要請する。


資料2−官房長官談話

内 閣 官 房 長 官 談 話


(平成21年8月25日)

1 政府は、本日の給与関係閣僚会議及びその後の閣議において、一般職国家公務員の給与改定について人事院勧告どおり実施することなどを内容とする本年度の公務員の給与改定の方針を決定しました。
2 本年度の勧告は、現下の民間の給与実態を反映し、俸給及びボーナスの引下げ等を行うこととするものであり、この結果、職員の平均年間給与が過去2番目の大幅な引下げになるという厳しい内容であります。
 政府は、憲法上の労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、国の財政状況、経済社会情勢など国政全般との関連を考慮しつつ、国民の理解を得られる適正な結論を出すべく検討を行った結果、本日、勧告どおり実施することを決定したところであります。
3 これらについては、今年度における新たな追加財政負担は要しないものですが、政府としては、ますます探刻化している財政事情にかんがみ、行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を削減する必要があると考えております。そのため、行政の合理化、効率化を一層強力に推進するとともに、定員については、5年間で5.7%以上の純減目標を確実に達成します。その中で、メリハリのある定員配置の実現に取り組んでまいります。さらに、「基本方針2007」において公務員給与について地域の民間給与をより一層反映させるとされていること等を踏まえ、引き続き、人事院に対し、来年の勧告時に地域別官民給与の実態を公表し、その状況の検証も踏まえつつ、俸給表水準について必要な見直しを速やかに検討するよう要請することとしております。
 また、超過勤務手当の支給割合等の改定を行うに当たっては、業務の改善・効率化により超過勤務の縮減に努め、行政コストの増加を招かないことを基本とします。
4 なお、地方公共団体においても、「基本方針2009」等に沿い、定員の一層の純減や地方における民間給与水準への準拠を徹底するなどの取組を引き続き着実に推進するよう要請することとしております。
5 公務員諸君は、今回の決定が現下の厳しい諸情勢の下でなされたものであることを十分理解し、公務員一人一人が国民全体の奉仕者であることを強く自覚するとともに、改めて厳正な服務規律の確保と公務の適正かつ能率的な運営を図るよう強く期待するものであります。


資料3−総務大臣談話

総 務 大 臣 談 話

平成21年8月25日


1 政府は、本日の関議において、一般職国家公務員の給与改定について人事院勧告どおり実施することなどを内容とする本年度の公務員の給与改定の方針を決定しました。
 この決定を踏まえ、総務省としては、今後、関係府省との連携を密にしつつ、給与法等の改正法案について所要の準備を進めてまいります。
2 本年度の給与改定に当たっては、国民の理解を得るためにも、能力・実績に基づく人事管理、厳正な服務規律の確保と公務員倫理の確立を図るとともに、行政改革に積極的に取り組むことを基本とし、従来にも増して、行政事務・事業の整理、人事管理の適正化等、行政の合理化、能率化を積極的に推進してまいります。また、定員について、5年間で5.7%以上の純減目標を確実に達成し、その中で、メリハリのある定員配置の実現に取り組んでまいります。超過勤務手当の支給割合等の改定を行うに当たっては、業務の改善・効率化により超過勤務の縮減に努め、行政コストの増加を招かないよう努めてまいります。
3 本年度の地方公務員の給与改定については、国家公務員の取扱いを基本として決定すべきものと考えます。また、引き続き、地方における民間給与水準への準拠を徹底するとともに、技能労務職員の給与についても、特に民間の同一又は類似の職種に従事する者との均衡に一層留意し、住民の理解と納得が得られる適正なものとなるよう、地方公共団体に対し要請してまいります。
4 各地方公共団体においては、地方財政が引き続き極めて厳しい状況にあり、その健全化が重要な課題となっていること及び地方公務員の給与の在り方について国民の強い関心が寄せられていることを十分認識し、不適正な給与制度・運用等については、速やかに是正措置を講ずる必要があります。
5 また、地方公務員の人件費の抑制については、徹底した行革の推進により進めていく必要があります。各地方公共団体においては、定員の一層の純減に取り組むとともに、給与情報の徹底した開示を進めながら、給与制度・運用等の適正化を強力に推進するなど、自主的・計画的な行政改革の推進と簡素かつ公正を旨とした行政運営に一層努力を払われるようお願いいたします。
  地方公務員の時間外勤務手当の支給割合等の改定に当たっては、国家公務員と同様、業務の改善・効率化により時間外勤務の縮減に努め、行政コストの増加を招かないことを基本とするよう地方公共団体に対し要請してまいります。
6 さらに、能力・実績に基づく人事管理を推進するとともに、厳正な服務規律の確保と公務員倫理の確立を図っていただくよう、地方公共団体に対し要請してまいります。


資料4−公務員連絡会の声明

声   明


(1) 政府は、本日、2回目の給与関係閣僚会議を開いて本年の人事院勧告を勧告通り実施する方針を確認し、その後の閣議で正式決定した。
(2) 本日の人事院勧告に関わる閣議決定は、8月11日の勧告の際にもわれわれの態度を表明した通り、月例給の引下げに加えて一時金をも大幅に引き下げることについては、公務員の生活に大きな影響を与えることに加えて、地方や地場企業に波及し、景気回復への悪影響が懸念されるなど、極めて不満な内容である。しかしながら、民間準拠の原則のもと、経済危機下の民間賃金の実勢を正確に反映したものであれば、受け止めざるを得ない。これはまた、人事院勧告制度という労働基本権制約の「代償措置」とされる現行の勤務条件決定システムの限界を露呈したものであり、その改革が急がれなければならない。
(3) 勧告取扱いについて、われわれは政府に対し、十分交渉・協議し、合意することを求めてきたが、われわれと十分な議論を行わないまま、選挙期間中の本日、拙速に決定したことは手続きに問題があり、遺憾なことと言わざるをを得ない。
 今後、給与法改正法案、育児休業法改正法案等の検討と国会提出が行われることになるが、改めてわれわれとの十分な議論を求めておきたい。
 また、政府・人事院に対して、65歳定年制の実現と非常勤職員の雇用の安定に向けて、公務員連絡会と十分な交渉・協議を行い、合意に基づいてその確実な実現を図るよう一層の努力を要請する。
(4) 公務員連絡会としては、これから本格化する地方公務員や独立行政法人、政府関係法人等の闘いにおいても統一闘争態勢を堅持した取組みを進めるとともに、山積している公務員の雇用や労働条件を左右する重要な課題に対して、積極的な取組みを推進する。
  そのためにも、労使交渉と協約で勤務条件を決定することを中心とした自律的労使関係の構築が必要であり、連合・公務労協に結集し、労働基本権の確立による労使関係制度の抜本的改革など公務員制度改革の実現をめざして全力で闘いを進めていくものである。

 2009年8月25日
公務員労働組合連絡会

以上