2009年度公務労協情報 77 2009年10月15日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

地公部会が2010年度地方交付税の増額等を求めて総務・財務大臣政務官に申入れ−10/14

 公務員連絡会地公部会は10月14日、委員長クラスによる地方財政確立に関する総務省・財務省各大臣政務官申入れを行った。なお、申入れには、民主党の武内則男参議院議員も同席した。

<総務大臣政務官申入れの経過>
 小川淳也総務大臣政務官への申入れは、11時30分から大臣政務官室で行われた。
 冒頭、佐藤地公部会議長から、小川政務官に対して申入書(別紙)を手交し、その趣旨について「自公政権による三位一体改革で地方財政は火の車となり、そのしわ寄せは住民、自治体職員に来ている。地方財政の格差も深刻化しており、医療や福祉が十分に提供できない実態が生じている。また、6割の自治体で職員の賃金カットが実施され、職員の士気の低下やサービスの低下が生じている。原口大臣が来年度の地方交付税を1兆円以上上積みする方針を示しており、地方財政の確保に向けて、民主党のマニフェストにそって実行をお願いしたい」と説明した。
 これに対して、小川政務官は「要請の趣旨を受け止めて、原口大臣にも伝える。国との折衝は厳しいが、がんばりたい」と決意を示し、当面の課題として、@地方交付税総額の確保、A暫定税率の廃止、B住民税における配偶者控除等の取扱いがあることを述べた。
 地公部会側から、「地方財政の確保に向けた鳩山政権の取組みに組合員の期待は高い。自治体の財源確保をはかると同時に、国と自治体の協議の場を早急に設けてほしい」「自治体現場では人員削減の影響で仕事が過密化し、精神疾患などの長期病休が増えている。財政上の対応を求めたい」「自治体財政健全化法による地方公営企業の会計に関する通達には問題が多く、見直しをしてほしい」などの要望が出され、今後も引き続き、協議の場を設けていくことを要請した。小川政務官からは「今後も引き続き協議をしていきたい。通達などについては具体的に指摘をしていただければ検討する」との回答を受け、申入れを終了した。

<財務大臣政務官申入れの経過>
 大串博志財務大臣政務官への申入れは、17時から大臣政務官室で行われた。
 冒頭、佐藤議長が申入書を手渡し、「生活第一ということで、予算作成にご尽力頂いているところだと推察する。地方が元気になるための地方財政を確立していただくよう申し入れる」とその趣旨を説明した。
 これに対し、大串政務官は、「私も地方の出身。地方経済や地方の生活が厳しい中、地元で働く仲間の皆さんからご意見を聞かせて頂いている。予算分配のポイントは、自公政権の中での『無駄遣い』を変え、生活第一の予算ということ。また、払った税金を払った人のところに戻していくという方向で考えている。いろいろな点でご指導頂きたい」と回答した。
 武内議員より、「7日に行われた財務省政策会議の場で、藤井財務大臣は、環境と福祉と地域経済をしっかりやりたいと話された。我々も期待を持っており、具体化を含めて、今回の要望を十分ご検討頂きたい」と重ねて要望した。これに対し、大串政務官は、「藤井大臣より、『環境と地域福祉という点に向けて予算を組み替えていく、それが内需主導の道である』と繰り返し発言があり、頑張っていきたい」と回答した。
 続いて、佐藤議長が、「今後も地方財政に関して意見交換の場の設置をお願いしたい」と要請したところ、大串政務官は、「民主党は現場の声を踏まえて、予算なり政策を作るのが民主党の良さだと考えており、そういう場を是非、お願いしたい。大臣には要請内容をきちんと伝える。景気も厳しい中、越年編成は自治体にも悪影響があることから予算編成は年内には終わらせたい。マニフェストは4年間の計画であり、1年目はできることについて精一杯やりたい」と回答した。


(別紙)

2009年10月14日

総務大臣
 原 口 一 博 様


公務員連絡会地方公務員部会
議 長 佐 藤 幸 雄


地方財政確立等に関する申入れ


 貴職の地方財政確立に向けたご努力に敬意を表します。
 地方財政は、旧政権が2004年度から3年間で行った「三位一体の改革」において、5.1兆円の地方交付税および臨時財政対策債を削減したことなどにより、自治体間の格差が拡大し、厳しい財政運営を迫られています。また、昨年来の景気後退により、今後、地方の税収が大幅に落ち込むことは避けられず、地方財政は一層逼迫することが懸念されています。
 一方、小さな政府と自己責任を重視したこの間の新自由主義的政策は、医療・福祉・介護、教育、環境など安心・安全の国民生活と直結する公共サービスの質の低下と地域間格差を招いています。
 「国民の生活が第一」とするスローガンを掲げ政権を獲得した新政府には、安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする「公共サービス基本法」(2009年5月13日成立)の趣旨に基づき、国民が日常生活及び社会生活を円滑に営むために必要な基本的需要を満たす等、同法に基づく具体的な施策等を実現するため地方自治体の一般財源の確保、国と地方の税財源の見直しと政府予算編成が求められています。
 貴職におかれましては、今後の地方財政計画の策定等にあたって、地方自治と地方分権を推進する立場から、下記事項の実現に向けてご尽力頂きますようお願いします。




1.三位一体改革により縮小した地方交付税の財源保障・財源調整機能を復元するため、地方財政計画・地方交付税の増額をはかること。

2.地方財政計画の策定にあたっては、自治体との十分な協議のもとに、地域の行政需要を的確に反映させ、公共サービス格差の解消、質の向上の実現に資するものとすること。

3.地方分権、少子・高齢化、地域医療確保、環境保全などの公共サービス水準を維持・向上させるため、地方公務員の総人件費(定数・給与)の十分な確保を行うこと。

4.自治体財政健全化法の運用については、国の関与は最小限に止め、自治体の自主的・主体的な財政健全化を基本とすること。

5. 地方財政計画や地方交付税の算定等の地方行財政制度のあり方について、政府課題として地方自治体と協議する場を早急に法制化すること。

以上