2010年度公務労協情報 21 2010年3月23日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人事院総裁、総務大臣から春の段階の回答引き出す−3/23
−公務員連絡会は回答確認し人勧期闘争への決意固める「声明」発出−

 公務員連絡会の棚村議長他委員長クラス交渉委員は、23日11時から江利川人事院総裁と、19時30分からは原口総務大臣と2010春季段階の最終交渉を行った。この交渉で人事院総裁、総務大臣は、それぞれ資料1、2の通り、この間の交渉の到達段階にもとづいて、春の段階における最終的な回答を示した。総務大臣からの回答は政権交代後初めての春季要求に対する回答であり、労働基本権の回復などについて政権交代を実感させる一歩前進した回答が示されたことが特徴である。公務員給与に対する基本姿勢について、人事院総裁が「労働基本権制約の代償措置としての給与勧告制度の意義及び役割を踏まえ、適正な公務員給与水準を確保する」と、総務大臣が「人事院勧告制度を維持尊重する」ことをそれぞれ確認したことは、公務員給与を巡る厳しい情勢の下で夏の勧告に向け重い意味があるものである。
 公務員連絡会は、同日夜に開いた企画・幹事合同会議で、「政府、人事院の回答は要求を完全に満たしたものとは言えない。しかし、超勤縮減、非常勤職員制度見直しや労働基本権の確立についての総務大臣回答が前政権のもとでの回答から確実に前進したことを含め、われわれは、公務をめぐる情勢がさらに厳しさを増している中での春の段階の交渉の到達点として受け止め、諸課題の解決に向けて人勧期・確定期の闘いを全力で進めていく」との声明(資料3)を確認。24日の第3次全国統一行動では、人勧期の取組みの決意を固める時間外職場集会等の行動を実施し、春季生活闘争中・後半期の闘いを進めていくことを決定した。
 この日行われた総務大臣、人事院総裁との交渉経過と回答内容は次の通り。

<人事院総裁交渉の経過>
 人事院江利川総裁との交渉は、同日11時から人事院内で行われた。
 冒頭、棚村議長が「2月18日に要求書を提出し、事務当局と交渉・協議を積み上げてきた。この経緯をふまえ、本日は、総裁から誠意ある春の段階の回答をいただきたい」として、2010春季段階の最終回答を求めたのに対して、総裁は「本年の民間の春闘は、17日一斉回答日以降順次回答が行われている。ここまでの状況をみると、まず月例賃金については、ベースアップは見送るものの、定昇は実施する企業が多く、また、一時金については、厳しさもみられるが、昨年同期のような落ち込みはないようである。このような民間状況の中、本年も、夏の給与勧告に向け5月以降民間の給与等実態調査を開始することになるが、本日は、現段階における人事院の考え方について、皆さんからの要求項目に沿って順次回答する」と述べた上で、資料1の通り回答した。
 棚村議長は、この回答に対して次の通り見解を述べた。

(1) 公務を取り巻く極めて厳しい情勢の中でご努力いただいたことに感謝したい。
(2) 徐々に景気回復の兆しが見えているとはいえ、今なお先行き不透明で厳しい経済、雇用情勢のもとで闘われている2010春闘は、大手の集中回答は終えたものの、「すべての労働者の雇用確保と賃金・労働条件の改善」を求めて、いまなお懸命に取り組んでいる最中にある。われわれの春闘は、公務員制度改革が重要局面を迎え、公務を巡る厳しい情勢が継続するもとで、雇用の確保と賃金・労働条件の改善を最重要課題として位置づけ、取組みを進めてきた。
(3) ただいまの総裁回答で、人事院勧告の意義や役割、給与改定に当たっての基本姿勢が表明された。これは、要求に照らして満足いくものではないが、今日の情勢の下では重い意味を持つものと考える。公務員の勤務条件に対するバッシングや政治の介入に毅然として対処し、低下し続ける公務員給与の維持、改善に向けて、今後、労働基本権制約の代償機能という人事院の最も重要な役割を十全に果たしていただくことが必要だと考えている。
(4) われわれがこの春闘で重視してきた国の日々雇用非常勤職員の雇用・任用形態の見直し内容が明らかにされたことは評価するが、実施時期が明確にされなかったことは不満である。なお関係各府省と調整中とのことだが、一日でも早い実施に向けて全力で取り組んでもらいたい。
 段階的定年延長の課題については、年内の意見の申出の実現に向けて取組みを一段と加速してもらいたい。その際、給与カーブのあり方など個別課題については、われわれと十分交渉・協議し、あくまで「納得」を得た上で作業を進めていただくことを強調しておきたい。
(5) いま公務員労働者は、国民のための公共サービスの確保に向けて、厳しい労働環境の中で私生活まで犠牲にして一生懸命職務を遂行している現状にある。人事院総裁におかれては、給与・勤務条件を取り巻く情勢には極めて厳しいものがあるが、今後、@公務員賃金の維持、改善A新たな非常勤職員制度の早期実施B段階的定年延長の意見の申出、などをはじめとした課題の解決に全力で取り組んでもらいたい。

 最後に棚村議長は、「本日の回答は、総裁の春の段階の最終回答として受け止め、組織に持ち帰って協議したい」と述べ、人事院総裁交渉を締めくくった。

<総務大臣交渉の経過>
 原口総務大臣との交渉は、同日19時30分から総務省内で行われた。
 冒頭、棚村議長が公務員連絡会の2010春季要求に対する最終回答と地公部会の要求書に対する最終回答を求めたのに対し、総務大臣は「公務、公共サービスに働く皆様の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し特段の意を尽くしたいと考えている。本日はそのような観点から、皆さんの要求に回答したい」と述べた上で、資料2の通り回答を示した。

 この回答に対し、棚村議長は「例年の回答より一歩踏み込んだ、大臣の気持ちが表れた回答だ」と評価し、次の通り見解を述べた。
(1) この間の定員削減や公務員バッシングの中にあっても、公務員はまさに自己を犠牲にして職務遂行のため、がんばっているが、それにも限界がある。良い公共サービスを確立するためには、仕事と家庭生活が両立できる労働条件が必要だと考える。引き続きのご尽力をお願いする。
(2) 今日の公務を巡る厳しい情勢を踏まえつつも、総務大臣には、とくに国の出先機関見直しや独法見直しに関わる雇用確保の課題、超過勤務の縮減や非常勤職員制度の改善などについて、公務員が元気になるようなメッセージをいただきたい。

 これに対し原口大臣は、次の通り見解を述べた。
(1) まさに私生活を犠牲にして日夜奮闘されていることに政府を代表して心から敬意を表する。そのがんばりに報いるのが、政治の任務だと考える。
(2) 国の出先機関見直しや独法の見直しに関わって、職員の雇用の確保が前提であることは言うまでもない。わたしとしては、雇用を確保することが基本的人権を守ることだと考えており、それは政治の一番大きな責務であり、総務大臣としても、また一人の政治家としても、その立場で努力して参りたい。
(3) ワーク・ライフ・バランスやディーセントワークの実現は、鳩山内閣の政策目標でもある。実効ある超過勤務縮減策を確立し恒常的な超過勤務を一刻も早く解消するため、総務省内に検討チームをつくり、具体策づくりに着手したいと考えている。その際は、皆さんにも参加していただくのがいいのではないか。
(4) また、非常勤職員制度の抜本的な改善も重要な課題だ。「官製ワーキングプア」と揶揄されるようなことは絶対にあってはならない。公共サービス基本法の基本理念は、そこに働く人たちの権利の保障である。そこに働く人の権利の保障なくして、国民の公共サービスに対する権利の保障はないという認識を持っている。これについて、日々雇用非常勤職員制度の見直しを契機に、さらに踏み込んで検討することを約束する。

 これに対し、棚村議長は、次の通り述べ、さらに大臣の努力を要請した。
(1) ただいまの総務大臣の見解は、われわれとしてもしっかり受け止めさせていただく。是非、それぞれの課題の具体化に向けてご努力いただきたい。
(2) また、給与改定に関しては、人勧制度の維持・尊重の基本姿勢のもとで適切な公務員給与の水準を確保する、という政府の基本姿勢を表明された。これは、公務を巡る厳しい情勢の中で、担当大臣の回答として重みを持つものであり、大臣には、この基本姿勢の下、本年の公務員給与の改定にしっかり対処してもらいたい。
(3) 地方公務員の様々な課題についても、いただいた回答について積極的な対応をお願いしたい。

 最後に棚村議長が「本日の回答は、総務大臣の春の段階の最終回答として受け止め、組織に持ち帰って協議したい」と述べ、春闘回答を巡る交渉を締めくくった。


資料1−人事院総裁の2010春季要求に対する回答

人事院総裁回答

2010年3月23日


1 2010年度賃金要求について
 労働基本権制約の代償措置としての給与勧告制度の意義及び役割を踏まえ、官民較差に基づき適正な公務員給与の水準を確保するという人事院の基本姿勢に変わりはない。
 また、給与改定に当たって、公務員連絡会が交渉、協議、納得を求めていることについては理解する。
 平成18年度から実施してきている給与構造改革は、平成22年度において当初予定していた施策がすべて実施されることになる。今後も様々な課題に取り組むこととなるが、特に公務員の高齢期の雇用問題に関連して給与制度上の様々な問題に対処する必要があり、公務員連絡会とも十分意見交換しながら検討を進めて参りたい。
 公務員の給与改定については、民間給与の実態を精確に把握した上で、公務員連絡会の要求及び公務員の生活を考慮しつつ、人事院の重要な使命として、適切に対処する。
 給与勧告作業に当たっては、較差の配分、手当の在り方などについて公務員連絡会と十分な意見交換を行うとともに、要求を反映するよう努める。
 一時金については、民間の支給水準等の精確な把握を行い、適切に対処する。

2 非常勤職員の雇用、労働条件の改善等について
 日々雇用の非常勤職員の任用・勤務形態の見直しについては、日々雇用が更新されるという現行の制度を廃止し、会計年度内で、臨時的な業務に応じて最長1年間の任期を設定して任用する仕組みを新たに設けることとしたいと考えている。
 また、任期満了後、新会計年度に設置された非常勤官職への再採用は妨げられないが、人事院としては、例えば、同一府省において雇用することができる期間について、3年という上限を設ける必要があると考えている。
 今後、職員団体及び制度官庁、各府省と詰めの協議を行うこととし、実施時期については、新しい仕組みの内容を関係者に十分周知するなど円滑な実施のため所要の準備を行う必要があることを念頭に置きつつ、早期に実施できるよう準備を進めて参りたい。

3 労働時間の短縮等について
 公務員の勤務時間・休暇制度の充実に向けて、関係者や公務員連絡会の意見を開きながら引き続き検討する。
 超過勤務の縮減については、現在、各府省において在庁時間の削減目標を設定するなどして、政府全体として取組がなされている。
 本院としても、昨年2月に定めた他律的業務に係る720時間の目安時間の遵守状況などを注視しつつ、関係機関と連携して超過勤務の縮減に努めて参りたい。
 病気休暇制度や運用のあり方については、今後、公務員連絡会の意見も聞きながら、本年夏の勧告時を目途として、検討して参りたい。

4 新たな人事評価制度の実施・運用等について
 新たな人事評価については、各府省における実施状況や活用状況の調査を行うことを検討したい。また、その結果を踏まえ、公務員連絡会をはじめ各方面の意見を聞きながら、引き続き、適切に対処していきたい。

5 新たな高齢期雇用施策について
 高齢期の雇用については、昨年の勧告時の報告で述べたように、平成25年度から段階的に65歳まで定年を延長することが適当であり、本年中を目途に、そのための意見の申出を行うことができるよう検討を進めている。

6 男女平等、福利厚生施策等について
 平成17年末に改定された「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」に基づく施策が着実に実行されるよう努めて参りたい。
 各府省における「次世代育成支援対策推進法」に基づく行動計画の実施については、人事院としても、国家公務員の勤務条件を所管する立場から、引き続き適切に対応して参りたい。
 心の健康づくり対策について、現在、「円滑な職場復帰及び再発防止のための受入方針」(平成17年7月)を改定するための検討会を設け、専門家による検討を進めているところであり、その検討結果を施策に反映していきたい。


資料2−総務大臣の2010春季要求に対する回答

総務大臣回答


2010年3月23日

(総人件費改革等について)
1 国の出先機関改革については、地域主権戦略会議を中心にしっかり議論していきたいと考えている。その際、公務能率の確保に留意しつつ、職員の皆様の雇用の確保に努めてまいりたい。

(給与改定等について)
2 人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置であり、労働基本権がなお制約されている現状においては、同制度を尊重することが政府としての基本姿勢である。
 平成22年度の給与改定に当たっても、この基本姿勢の下、国政全般との関連を考慮しつつ適切に対処してまいりたい。また、これまで同様に職員団体とも十分に話し合い、適切な給与水準が確保できるよう努力してまいりたい。

(労働時間等について)
3 国家公務員の勤務時間については、ワーク・ライフ・バランス実現の観点から、長時間の超過勤務の縮減を早急に進めることが重要な課題であると認識している。
 先の給与法改正においても、超勤についてのコスト意識を高め、超勤の抑制に資するため、超勤手当の支給割合引上げを定めているところである。
 総務省としては、一昨年9月に改正された「国家公務員の労働時間短縮対策」に基づき、超過勤務の縮減や年次休暇の計画的使用の促進に努めるとともに、関係機関とも連携しながら、政府一体となって徹底した勤務時間管理に基づいた実効性のある取組を進めてまいりたい。

(新たな高齢者雇用対策について)
4 定年延長については、公務員制度改革の一環として国家公務員制度改革推進本部において検討を進めているが、総務省としても雇用と年金の接続は重要な課題であると認識しており、関係機関と連携を図りながら、職員団体の御意見を踏まえつつ、政府全体として取り組んでまいりたい。
 なお、人事院から「意見の申出」が行われた場合には、誠意を持って対応していきたい。

(非常勤職員について)
5 非常勤職員の処遇については、人事院の指針に基づいて改善が図られ、これに沿った処遇改善を進めてきているところであるが、今後とも、総務省としても人事院と連携しつつ、各府省において適切な運用が図られるよう努めてまいりたい。
 日々雇用の非常勤職員の任用・勤務形態については、任期が1日単位という不安定な制度は廃止し、適切な任期を定めることができる新たな制度を導入したいと考えている。
 新制度については、関係府省間での具体的内容の検討・調整を急ぎ、早期に結論を得た上で所要の準備を進め、実施に移してまいりたい。
 また、今後とも非常勤職員の処遇改善等について、職員団体の御意見も伺いながら検討してまいりたい。

(労働基本権の回復について)
6 国家公務員制度改革は、国民主権、政治主導を徹底する上で極めて重要な課題であると認識している。
 現在、国会に提出している国公法等改正法案を第一弾として、今後、労働基本権の回復に向け、使用者機関の確立を含む自律的労使関係制度の措置など、さらなる抜本的改革に取り組むこととなるが、私としても、政府としての取組みに最大限努力してまいりたい。
 なお、安定した労使関係を維持する観点から、職員団体とは誠意を持った話合いによる一層の意志疎通に努めたい。


地公関係総務大臣回答


2010年3月23日

(1.地方公務員の給与決定について)
 地方公務員の給与等については、労使間の交渉もあるが、最終的には、地域の実情を踏まえ、議会を含めた各地方公共団体の判断により決定されるものである。
 地域主権を本格的に推進するためには、地方公共団体の行政運営に対する一層の国民・住民の理解と信頼を得ることが重要である。
 総務省としても、地方公務員法の趣旨を踏まえ、真に必要と考えられるものについて、必要な助言を行ってまいりたい。

(2.自治体の臨時・非常勤職員について)
 臨時・非常勤職員がその職務に見合った処遇を受けることは働く者として当然必要であり、これが良質の公共サービスにつながるものである。
 地方公共団体の臨時・非常勤職員の処遇は、その職務の内容と責任に応じて各地方公共団体が適切に定めるべきものである。
 また、健康診断や社会保険、雇用保険の適用等については、法律に基づき適切な対応が図られるべきものと考える。
 臨時・非常勤職員の適正な処遇は極めて重要な問題であり、引き続き、各地方公共団体に対し、その任用や処遇の適正な在り方について、情報の提供等を行ってまいりたい。

(3.公共サービス基本法の実効化のための支援について)
 安全かつ良質な公共サービスを国民に保障するという基本法の趣旨にのっとって、地方公共団体においても適切な運用がなされる必要があると考えている。総務省としては、各地方公共団体の取組みに期待しつつ、必要に応じて助言を行ってまいりたい。
 なお、指定管理者制度における指定期間は、指定管理者による管理が適切に行われているかどうかを地方公共団体が定期的に見直す機会を設けるため、定めることとされているところである。
 どの程度の期間を定めるかについては、法令上特段の規定はなく、施設の目的や実情等を勘案し、地方公共団体において定めることとされている。
 いずれにしても、公の施設の目的が最も効率的・効果的に達成できると地方公共団体が認める方法により管理を行うべきものと承知している。

(4.地方公務員の定員確保について)
 地方公共団体においては、集中改革プランにより、平成17年〜22年までの5年間で、▲6.4%の目標を自主的に定めて取り組んでいる。平成21年までの4年間の純減率は▲6.2%となっており、大変な御努力をいただいているところである。
 一方、各地方公共団体では、部門ごとの課題とともに、個別団体ごとの課題も多様になっており、地域の実情に応じた定員管理の取組みが求められている。
 厳しい財政状況の中にあって、各地方公共団体が安全かつ良質な公共サービスを、確実、効率的かつ適正に実施していくためにも、引き続き自主的に行政改革に取り組むことが肝要であると考えている。


資料3−2010春季生活闘争に関わる公務員連絡会の声明

声  明

(1) 本日、公務員連絡会は、総務大臣、人事院総裁と交渉を持ち、2010年春季要求に対する回答を引き出した。
(2) 連合が、生活防衛のために「賃金カーブの維持」と「全労働者の処遇改善」を求めて進めてきた2010春季生活闘争は、先行きが不透明な経済情勢の下、ほとんどの先行組合が定昇実施と一時金の回答を引き出し、現在、中小やパート労働者が懸命に闘いを進めている最中にある。
 われわれの春季生活闘争は、公務を巡る厳しい情勢のもとで、非常勤職員を含む雇用の確保と賃金の維持・改善などを最重要課題として位置づけ、取組みを進めてきた。また、国民の安心と安全を確保するための公共サービスの再構築をめざし、公務労協に結集して、公共サービスキャンペーンに取り組んできた。
(3) 本日の回答で総務大臣からは、人事院勧告制度の維持尊重という基本姿勢のほか、@国の出先機関改革や独立行政法人等見直しに当たっては雇用の確保を前提とすることA恒常的な超過勤務を解消するための具体的検討に着手することB定年延長を雇用と年金の接続の重要課題と認識し、人事院の意見の申出に誠意を持って対応することC国の日々雇用非常勤職員の任用・勤務形態について、早期に結論を得て新制度を実施に移していくことD労働基本権の回復と自律的労使関係制度の整備に最大限努力していくこと、などを確認した。
 人事院総裁からは、@給与勧告制度の意義及び役割を踏まえ、適正な公務員給与水準を確保するという基本姿勢に変わりはないことA国の日々雇用非常勤職員について、1年以内の任期を設定して再任可能とする新たな制度を早期に実施できるよう準備を進めることB段階的に65歳まで定年年齢を延長する意見の申出を年内に行うべく、給与制度などについて公務員連絡会と十分交渉・協議すること、などを確認した。
 公務をめぐる厳しい情勢が継続しているもとで、総務大臣、人事院総裁に給与改定に当たっての基本姿勢を確認させたことは、われわれの要求に直接応えたものではないが、夏の勧告期に向けて重い意味を持つものとして受け止め、今後の取組みをいっそう強化していかなければならない。
 本年の最重要課題の一つであった非常勤職員の任用・雇用形態については、日々雇用を更新する現行制度を廃止し、新たな任期付非常勤制度への見直しの方向を確認したが、実施時期の確定が今後の課題として残されている。早急に実施できるよう改めて強く求めておきたい。
 段階的定年延長については、政治の場を含めて総人件費削減と意図的に短絡させた議論がなされているが、年金と接続できるよう雇用を確保することは一義的に使用者としての政府の責務である。公務員連絡会としては、今後、定年延長に関わる給与を始めとする諸検討課題について人事院と十分交渉・協議し、われわれの要求に沿った意見の申出が年内に行われ、それに基づいた制度改正が確実に実現するよう、全力で取り組むこととする。
 労働基本権の確立や自律的労使関係制度の整備について、新政権のもとで、総務大臣からこれまでにない明確な姿勢が示されたことの意義は大きい。公務員制度改革の第一段階と位置づけられた国家公務員法等改正法案が国会に提出され審議されようとしているが、われわれはその動向を注視するとともに、労働基本権の確立を含む公務員制度の抜本改革に向けた第二段階に全力で取り組む必要がある。
(4) 以上のとおり、2010春季要求をめぐる政府、人事院の回答は要求を完全に満たしたものとは言えない。しかし、超勤縮減、非常勤職員制度見直しや労働基本権の確立についての総務大臣回答が前政権のもとでの回答から確実に前進したことを含め、われわれは、公務をめぐる情勢がさらに厳しさを増している中での春の段階の交渉の到達点として受け止め、諸課題の解決に向けて人勧期・確定期の闘いを全力で進めていくこととする。
 さらに、公共サービス基本条例の制定や公務員制度の抜本改革に向けて、公務労協、連合に結集して、組織をあげて取組みを進めることとする。
(5) われわれは、24日の第3次全国統一行動日には、各構成組織ごとに人勧期の取組みへの決意を固める職場集会を実施することとする。また、中小及び地域の仲間、国営関係部会の仲間と連帯し、生活の防衛に向けて、すべての労働者の処遇改善、雇用確保を実現するため、春季生活闘争中・後半期の闘いを推し進めることとする。

2010年3月23日
公務員労働組合連絡会

以上