2010年度公務労協情報 39 2010年8月11日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

2010人勧を受けて地公部会が全人連に申入れ−8/11

 公務員連絡会地方公務員部会は、8月11日午前10時から、2010年人事院勧告を受けて全国人事委員会連合会(全人連)に対する申入れを行った。公務員連絡会側は、佐藤地公部会議長、岡本企画調整委員(自治労書記長)、藤川地公部会事務局長と地公部会幹事が出席、全人連側は、関谷会長(東京都人事委員会委員長)はじめ、都道府県人事委員会のブロック代表及び政令市人事委員会の代表者が対応した。
 冒頭、佐藤地公部会議長は、要請書(別紙)を手交し、「人事院は2年連続で月例給、一時金の引下げ勧告を行った。これは民間の実態を反映したとはいえ、組合員の労働・生活実態から見て不満な勧告だと言わざるを得ない。同時に人事院が突如提案した50歳台後半層の給与を一律に引き下げる勧告は、報告にもあるように、あくまでも国家公務員の天下りあっせん禁止に伴う退職管理の見直しなどによる影響もあり、地方公務員とは異なる事情によるものである。地方公務員の多くは引下げの政治圧力と、財政難による独自削減によって賃金決定システムが崩壊しようとしており、追い打ちをかけるようなことは避けていただきたい。各地方人事委員会の主体的かつ賢明な判断を要請する」と、申入れの趣旨を述べた。
 引き続き、藤川地公部会事務局長が要請書の内容を説明し、全人連の努力を求めた。
 こうした地公部会の要請に対し、関谷会長は以下の通り回答した。

<全人連会長回答>

2010年8月11日

 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。
 早速、役員県を通じて、全国の人事委員会にお伝えいたします。
 さて、昨日、人事院勧告が行われたわけですが、その概要について申し上げますと、本年の民間給与との較差は、757円、率にして0.19%、公務員給与が民間給与を上回るとしております。
 この較差を解消するため、一定の級以上の55歳を超える職員について、俸給及び俸給の特別調整額の支給額を一定率減額するとともに、中高齢層について、俸給表の引下げ改定を勧告しております。
 特別給については、民間給与実態調査を踏まえた結果として、0.2月の引下げ改定を勧告しております。
 給与構造改革に関する言及の中では、経過措置解消により生じる制度改正原資を用いて、来年4月に、若手・中堅層について、抑制してきた昇給を1号俸回復するとしているほか、定年延長の検討の中で、50歳台の給与のあり方についても検討するとしております。
 また、公務における高齢期雇用の基本的な方向として、公的年金の支給開始年齢の引上げに合わせ、平成25年度から定年を段階的に65歳まで延長することが適当であるとし、定年延長に向けた制度見直しの骨格を示した上で、本年中を目途に立法措置を行うための意見の申出を行うとしております。
 このほか、公務員の労働基本権問題等に関する報告や、育児休業等に関する意見の申出が行われております。
 なお、詳細につきましては、これから人事院の説明を受けるところですが、人事院の勧告は、必ずしも、これに従うべきものではないとは言え、今後、各人事委員会が勧告作業を行う上で、参考となるものであることから、その内容については、十分に吟味する必要があると考えております。
 現在、各人事委員会では、秋の勧告に向けて、鋭意、作業を進めているところです。
 今後は、皆様からの要請の趣旨も十分考慮しながら、それぞれの人事委員会が、地域の実情を踏まえつつ、主体性をもって対処していくことになるものと考えております。
 公務員の給与を取り巻く環境は、引き続き厳しい状況にありますが、人事委員会といたしましては、本年も、中立かつ公正な第三者機関として、その使命を十分に果たしてまいります。
 全人連といたしましても、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に十分努めていきたいと考えております。


(別紙)全人連への要請書

2010年8月11日

全国人事委員会連合会 
 会長 関谷 保夫 様

公務員連絡会地方公務員部会
議長  佐藤 幸雄

2010年度地方公務員の給与勧告等に関する要請書


 各人事委員会の地方公務員の給与・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 人事院は8月10日、政府と国会に対して給与勧告を行いましたが、月例給、一時金とも引下げという厳しい内容となりました。また、50歳台後半層の職員給与を一律に引き下げる措置は、職務給や能力・実績主義の原則という公務員給与制度の基本原則に反することから、極めて遺憾であり、到底認められるものではありません。
 地方公務員を巡っては、厳しい定員純減政策のもと、今日の複雑化、高度化した行政需要に対し、地方自治体における公共サービスの向上に懸命な努力が続けられています。にもかかわらず、独自に給与減額措置を執る自治体が6割を超え、労働基本権制約の代償機能としての人事委員会勧告制度の空洞化が常態化しています。
 各人事委員会におかれましては、労働基本権回復までの間は、その制約の代償措置であることを十分認識され、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。



1.民間給与実態を精確に把握し、地方公務員の生活を守るための賃金水準を確保すること。
(1) 公平・公正な公民比較を行い、月例給与の水準を維持すること。
(2) 地方公務員の生活を守るため、必要な一時金支給月数を確保すること。
(3) 独自の給与削減措置が行われている自治体は、減額措置を中止するよう勧告を行うこと。
(4) 50歳台後半層職員給与を一律に引き下げる措置は、職務給や能力・実績主義という公務員給与の基本原則に反するものであることから、このような勧告はしないこと。また、配分の見直しに当たっては、組合と十分な交渉・協議、合意のもと行うこと。
(5) 諸手当の見直しにあたっては、地域の実情を踏まえた対応を行うこと。
(6) すべての在職者が定年まで昇給が可能となるよう、号給を延長すること。特に、教育職員など級構成が簡素な職員については、早急に実施すること。

2.臨時・非常勤職員の処遇改善、安定雇用に関わって、人事委員会として必要な対応を行うこと。特に、臨時・非常勤職員の育児休業等の条例化を行うよう勧告を行うこと。

3.一般職員の勤務実績の給与への反映の基準については、十分な交渉・協議、合意を前提にすること。

4.教育職員の給料表・諸手当の勧告にあたっては、当該組合との十分な交渉・協議、合意を前提にすること。

5.恒常的な超過勤務が常態化しており、人事委員会は「是正勧告」など積極的な対応をはかること。また、労働基準法の改正に対応して時間外勤務手当の割増率の引上げ、代替休暇付与などの措置を行うよう適切な対応をすること。

6.公務における病気休暇の取得実態等を踏まえ、病気休暇の制度や運用の在り方等の改善を行うこと。

7.本年の勧告・報告に向けては、組合との十分な交渉・協議、合意のもとすすめること。

以上