2010年度公務労協情報 42 2010年9月9日
公務公共サービス労働組合協議会

公共サービス再構築や労働基本権確立を求め、中央行動−9/8
−要求実現にむけて果敢に挑戦していくことを集会で決議−

 公務労協は8日、「国民の安心と安全を確保するための公共サービスの再構築と公務員の労働基本権の確立を求める中央行動」を実施し、国会議員要請や中央集会を行った。当初予定していたデモ行進は、台風の影響で中止した。
 政権交代後の先の参院選で「ねじれ国会」が再現し、政治情勢の混迷が避けられない状況になっている一方、小泉政権以降の構造改革路線により、格差の一層の拡大や貧困の増加といった極めて深刻な状況が今なお続いている。同中央行動は、こうした情勢の下、国民の安心・安全を確保するための公共サービスの確立や公務員の労働基本権の確立をはじめとする民主的な公務員制度改革の実現をめざして実施したもの。また、公務員の総人件費削減問題、独立行政法人・政府関係公益法人及び特別会計改革、地域主権改革・国の出先機関の見直しなど、公務公共サービス労働者の雇用や労働条件に関わる当面の諸課題の解決も求めている。なお、この日の行動に先立ち、関係4大臣および各政党に対する要請を8月30日から9月3日にかけて行っている(公務労協情報No.41参照)。

 16時から各構成組織代表230人が議員要請行動を実施した後、18時30分からの中央集会は、台風の影響で当初予定していた日比谷大音楽堂から日比谷公会堂へ急遽会場を変更し、全国から集まった2,500人を超える仲間の熱気が立ちこめる中、議長を徳永副議長を選出し開催された。
 冒頭、主催者あいさつに立った中村議長は、まず「市民生活の質を確保するとともに経済活動の基盤でもある公共サービスは、国民生活の安心と安全を提供するものである一方、公共サービスの質の劣化や公平性の喪失など喫緊の課題を抱えている」と指摘、自治体における「公共サービス基本条例」の制定をはじめ具体的な条件整備を図ることが必要であると述べた。また公務員制度改革・労働基本権の確立について、歴史的経過を踏まえた上で、現政権の下、社会的合意を得てILO基準を満たした法整備を実現させることの重要性を強調した。その上で「公務公共サービス労働運動の積年の思いをかたちにするときが目前にある」とし、要求実現にむけた総決起を訴えた。
 主催者あいさつに続き、来賓として出席した河野連合副会長(JAM会長)は「民間労組は現場の課題を指摘し経営に活かしていく役割が大変に大きく、労使の信頼関係を構築する上でも労働基本権がきわめて重要である」と述べ、「公務員の労働基本権の確立にむけて連合も全力を尽くす決意だ。ともにがんばっていこう」と連帯のあいさつをした。
 また、民主党細野幹事長代理、社民党福島党首が来賓あいさつに駆けつけた。細野幹事長代理は、公務員の労働基本権については公務労協の考え方をしっかり受け止めながら来年の通常国会で法律制定を行う姿勢にあること、人件費2割削減については地域主権改革や「新しい公共」の創造といった全体の枠組みの中で公務労協の理解を得ながら進めていくことを明言した。また福島党首は、良質な公共サービスの拡充や労働基本権確立に向けて公務労協と連帯して取り組んでいくことを強調した。
 続いて、吉澤事務局長が集会決議(別紙)を提案し、「公務公共サービスに従事する労働組合としての社会的責任と役割を果たすとともに、公務員・公共サービスに対する国民の信頼回復をはかることを基本的な立場として、当面する諸課題に対し、160万組合員の総力を結集し、果敢に挑戦していく」ことを満場の拍手で確認した。最後に中村議長の音頭で「団結がんばろう」を行い、この日の集会を閉じた。
 公務労協は、この日の中央行動を踏まえ、公共サービス基本条例の制定や来年通常国会に向けた自律的労使関係制度の確立の取組みをさらに強めることとしている。



(別紙)
集 会 決 議


 民主主義の常道である選挙による本格的な政権交代のもと発足した鳩山内閣は、社会保障予算、教育予算、地方交付税の増額等、予算配分の大幅見直しを行うなど、政権交代の意義と成果を印象付けたが、在任266日で退陣した。
 政権交代後、初の国政選挙となる第22回参議院議員選挙において、衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」が再現し、政治情勢の混迷化は避けられない状況にある。
 一方、市民生活の質を確保し、企業が有効に活動するための基盤でもある公共サービスは、小泉政権以降継続されてきた構造改革路線により、二極化と格差社会の進行による質の劣化そして地域間の公平性の喪失などその基盤が動揺し、極限を超える格差拡大と貧困の増加に対応しきれない極めて深刻な状況がなお継続されている。
 公務労協は、政権交代から1年、連合の対応に引き続き結集するとともに、改めて、自民党を中心とするこれまでの政権との関係とは異なる有意義な労使関係を構築することを前提として、当面する諸課題への対応に全力をあげる。
 具体的には、第一に、公務員制度改革について、遅くとも2011年通常国会における法制度措置を求める。また、連合要求に基づくとともに、ILO勧告をみたした労働基本権の確立をはかる。
 第二に、OECDの統計上最低となっている現下の社会的政府支出を踏まえ、公・民・NPO等の役割分担等を明確にした公共サービスのあり方を明らかにさせ、国民が享受する公的なサービスの質及び量を拡充する観点での検討を求める。また、総人件費の際限ない削減政策を行わせることなく、人事院勧告制度を無視した一方的給与削減等は、断じて認めない。
 第三に、独立行政法人・政府関係公益法人及び特別会計の改革について、いわゆる天下りや補助金の中抜き等を廃し、政府の責任による当該職員の雇用確保を最低限として、国民生活の安心・安全を脅かす事業の効率化等は断じて来さない見直しを求める。
 第四に、住民に身近な公共サービスを基礎自治体が担い、補完性の原理に基づき、住民参加で必要な公共サービスの決定がなされる仕組みを構築する地域主権改革の実現を求める。また、国の出先機関については、総人件費削減の手段としての改革を排除し、政府の責任に基づく当該職員の雇用と労働条件の確保を前提とさせる。
 公務労協は、公務公共サービスに従事する労働組合としての社会的責任と役割を果たすとともに、公務員そして公共サービスに対する国民の信頼回復をはかることを基本的な立場として、諸課題に係る組織的かつ積極的な活動を展開してきた。
 今後想定される困難な情勢のもとでも、11構成組織、160万組合員の総力を結集し、要求実現に向けて果敢に挑戦していくことを決議する。

2010年9月8日

国民の安心と安全を確保するための公共サービスの再構築
と公務員の労働基本権の確立を求める中央集会

以上