2010年度公務労協情報 43 2010年9月17日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

人勧の取扱いで総務省人事・恩給局次長と交渉−9/17

 公務員連絡会は、本日、総務省交渉を実施し、本年の人事院勧告の取扱いに関する検討状況を質した。この交渉は、勧告以上の公務員給与引下げを求める政治的圧力が強まる中、8月10日の勧告後、1か月が経過したことから、政府の検討状況を質すために行ったもの。
 交渉は、13時30分から行われ、総務省側からは平山人事・恩給局次長ほかが出席し、公務員連絡会側からは岩岬副事務局長ほか幹事クラス交渉委員が臨んだ。
 冒頭、岩岬副事務局長が「8月10日に人事院勧告等に関わる要求書を総務大臣に提出したところであり、1か月以上が経過しているので、本日はその検討状況を伺いたい。原口総務大臣は人勧尊重の姿勢を表明していたが、大臣が替わってもその姿勢を維持し、その枠の中で検討していただきたい。人勧を無視した引下げは絶対に反対であり、総務省としても頑張っていただきたい」として、総務省の回答を求めたのに対し、平山次長は次の通り答えた。

(1) 政府は、国家公務員の給与改定に当たっては、従来から、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立って検討を行ってきているところである。
 総務省としては、本年度の給与改定に当たっても、職員団体の意見を十分伺いつつ、人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立って、誠意をもって検討を進めてまいりたい。
(2) 本年度の給与改定については、8月10日に人事院勧告を受け、同日に第1回の給与関係閣僚会議を開催したところであり、現在、関係部局においてその取扱いについて検討を進めている。いずれにしても、人事院勧告制度を尊重するという従来からの基本姿勢の下、誠意をもって検討を進めてまいりたい。
(3) 本年の「国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出」は、非常勤職員も育児休業等の取得を可能とすることを内容とするものであり、職員の職業生活と家庭生活の両立の支援にとって重要であると考えている。
 政府としては、人事院の意見の申出を踏まえ、必要な法律案を検討してまいりたい。

 回答に対し、公務員連絡会側は、次のとおり、さらに総務省の見解を質した。
(1) 政治の状況からして、人勧の取扱いを心配している。人勧に基づかない取扱い方針の一方的決定ということになれば、憲法問題を含めて重大な問題が発生する。新しい大臣に人勧尊重の基本姿勢で臨んでもらうよう努力してもらいたい。
(2) 50歳台後半層の1.5%給与引下げ措置は、人事院の提案自体が拙速で納得できる説明もないこと、職務給の原則や能力・実績主義に基づく人事管理にもそぐわないこと、などから反対してきた。同じ仕事をしていながら、一定の年齢で給与が下がれば労働意欲も損なわれる。使用者としても人事管理上の問題があると思うが、どう考えているのか。
(3) 非常勤職員に育児休業等を付与するための法改正は、給与法と一体で国会に提出するよう作業を進めていると受け止めてよいか。本来、昨年実施すべき課題であり、スムーズに実施できるよう努力していただきたい。
(4) 人事院は12月に段階的定年延長の意見の申出を行うことにしており、所管は公務員制度改革事務局であるが、総務省も一体となって検討してきた経緯がある。政府としても、雇用と年金を接続する方策について定年延長で対応するという態度決定を行い、政府の方針として前に進めていただきたい。
(5) この間、超過勤務縮減対策と福利厚生施策の見直しについて協議を行っているところであるが、成果が上がるよう今後とも継続して誠意を持って対応していただきたい。

 これに対し、平山次長は、次のとおり考え方を示した。
(1) 新しい大臣の考えもあると思うが、事務方としては、今申し上げた基本姿勢で大臣に説明していく。
(2) 50歳台後半層の給与引下げについては、報告の中で示されている人事院の考え方、すなわち50歳台後半の官民格差が拡大していること、この層の生計費は下がっていること、本年の較差を解消する方策の一つであることなどを検討しつつ、皆さんの意見を聞き、代償措置であることを勘案して対応してまいりたい。
(3) 非常勤職員の育児休業等については、給与法と一体のものとして作業している。
(4) 定年延長については、6月に決定した退職管理基本方針で「定年の段階的延長について、民間の状況も踏まえて検討を進める」ことを明記しており、人事院が年末に意見の申出を行うことにしているので、公務員事務局の所管となるが、総務省としても積極的に協力していきたい。
(5) 超勤縮減、福利厚生については、今後ともご意見を伺いながら検討を進めてまいりたい。

 最後に岩岬副事務局長が、@50歳台後半の給与引下げについて引き続き議論していくことA定年延長の意見の申出に対しては春の「誠意を持って対応する」という大臣回答を踏まえて対応することを確認した上で、「今日の政治状況もあり、やむを得ない面があるとしても、きょうの回答は極めて不満だ。人勧制度が壊れると大変なことになるので、総務省として頑張ってもらいたい。28日に予定する人事・恩給局長との交渉では、今後のスケジュールを含め、具体的な回答を示してもらいたい」と強く要請し、交渉を締めくくった。

以上