2010年度公務労協情報 44 2010年9月28日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

2010秋闘第1次中央行動を実施−9/28
−中央集会を開催し、人勧の取扱いで総務省人事・恩給局長と交渉−

 公務員連絡会は28日、2010秋季闘争第1次中央行動として、全国から800人の仲間が参加し、中央集会を開催するとともに、総務省交渉と支援行動を行った。この行動は政府が人勧を超える給与引下げも含めて検討していると伝えられる厳しい情勢の中、@十分な交渉・協議と合意に基づく人勧取扱い方針の決定A人勧を無視した一方的給与引下げ反対B段階的な定年延長の意見の申出実現C非常勤職員の育児休業法適用などの要求実現を求めて実施したもの。
 この中央行動を背景として行われた総務省との交渉で人事・恩給局長は、人勧尊重の立場にたち、職員団体の意見に配慮し、誠意をもって検討すること、などの見解を示した。

 午後1時30分から社会文化会館で開かれた中央集会は、中村副議長を議長に選出して始められた。冒頭挨拶に立った棚村議長は、本年の人事院勧告の取扱いについて、勧告を超える引下げもありうるという予断を許さない状況にあり、閣議決定、国会段階のいずれの取組みも非常に厳しいものになることを強調し、「今後の最大の山場に向けて、相当な意識と覚悟を持って、最後まで連帯して取り組もう」と訴えた。
 続いて、基調提起に立った吉澤事務局長は、「本日の行動を秋季の取組みのスタートとして、政府に対し人勧制度尊重の姿勢を堅持し、勧告を無視した一方的給与引下げは絶対許さない方針を明確にして要求実現まで全力をあげて取組もう」と、秋季の取組みへの結集を強く求めた。
 構成組織決意表明には、日教組・木下書記次長、全農林・石垣中央執行委員(国公総連)、全水道・禧久書記次長が登壇し、公務員の生存権を守るべく最後まで闘う決意をそれぞれ力強く表明した。
 集会を終えた参加者は、総務省前へ移動して交渉支援行動を実施し、「公務員の生活を守れ」「人勧を無視した一方的な給与引下げ反対」「非常勤職員に育児休業・介護休暇を適用しろ」などと力強くシュプレヒコールを繰り返した。
 交渉終了後、吉澤事務局長から報告を受け、最後に棚村議長の団結ガンバロウで決意を固め、本日の行動を締めくくった。また、公務員連絡会は、本日開催した企画調整・幹事合同会議で「2010秋闘方針」を決定し、取組みを強化していくことを確認した。
本日実施した人事・恩給局長との交渉経過は次の通り。

<人事・恩給局長との交渉結果>
 交渉は15時15分から行われ、総務省側からは村木人事・恩給局長ほかが出席し、公務員連絡会側からは吉澤事務局長ほか書記長クラス交渉委員が臨んだ。
 冒頭、吉澤事務局長が、8月10日に総務大臣に提出した人事院勧告等に関わる要求内容について、その後の検討状況を質したのに対し、村木局長は次のとおり答えた。

(1) 政府は、国家公務員の給与改定に当たっては、従来から、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立って検討を行ってきているところである。一方、現下の厳しい経済社会情勢や、国の財政状況を踏まえれば、国民の理解を得るためにも、公務員給与については、厳しい姿勢で臨むことが求められており、勧告の取扱についてこのような観点も踏まえ検討すべきとの意見もある。引き続き、関係閣僚で検討し、政府部内で意見調整をせねばならない状況だ。いずれにせよ、総務省としては、本年度の給与改定に当たっても、職員団体の意見を十分伺いつつ、誠意をもって検討を進めてまいりたい。事務方としては、人勧尊重の基本姿勢に基づいて検討すべきという姿勢で政務にも説明していきたい。
(2) 本年の「国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出」は、非常勤職員も育児休業等の取得を可能とすることを内容とするものであり、職員の職業生活と家庭生活の両立の支援に資するものであると考えている。政府としては、人事院の意見の申出を踏まえ、必要な法律案を検討してまいりたい。
(3) 平成20年6月に成立した国家公務員制度改革基本法においては、雇用と年金の接続の重要性に留意して、再任用制度の活用の拡大を図るための措置や定年の段階的引き上げの検討を行うこととされている。また、本年6月に閣議決定された退職管理基本方針においても、今後の検討課題として、雇用と年金の接続の観点から、定年の段階的延長について、民間の状況も踏まえて検討を進めることとしている。
 定年延長の検討に当たっては、国家公務員制度改革推進本部が基本法に基づき総合的に検討しているところであり、総務省としても関係機関と連携しながら、政府全体として取り組んでまいりたい。
(4) 公務員の労働基本権については、国家公務員制度改革基本法第12条を受け、国家公務員制度改革推進本部の下に置かれた労使関係制度検討委員会において、国民に開かれた自律的労使関係制度の措置へ向け、昨年末に報告書がとりまとめられたところである。労働基本権の回復の具体的内容の検討及び次期通常国会に向けた関係法律の改正については、担当大臣がその方針を申し上げたところであり、今後の作業は国家公務員制度改革推進本部事務局を中心に行うものと考えられるが、総務省としても協力してまいりたい。

 回答に対し、公務員連絡会側は、次の通り、さらに局長の見解を質した。
(1) 本年の人勧をめぐり、50歳代後半層の給与引下げ、定年延長、非常勤職員の育児休業、労働基本権の問題などについて労使で議論を深めたいと考えているが、いずれも政治側の判断によるところが大きい。事務方としては人勧尊重の立場で対応するということなので、政務三役に理解してもらうようお願いしたい。
(2) 今後のスケジュールの見通しについて教えていただきたい。
(3) 閣法または議員立法で人勧と異なる法案を出すことについて考えを伺いたい。

 これに対し、村木局長は、次の通り考え方を示した。
(1) 総務省としては、人勧は労働基本権の代償措置と認識しており、人勧尊重の立場で対応する。
(2) 今後のスケジュールについては、11月30日までに改正法を上げなければ人勧に基づく給与の引下げもできなくなり、政府の責任も問われる。政務レベルにおいてもこうした認識を持っており、検討を精力的にすすめている。最終的には給与関係閣僚会議で決定されるが、早急に政府としての考え方をまとめなくてはならない。過去の歴史からしても、国会における一定の審議等を考慮しても、10月の中下旬が取扱い方針決定のひとつの目安となるのではないかと考えている。
(3) 過去において、昭和57年の人勧凍結は臨時異例の措置としてやむを得ないとして合憲となった例がある。このときは人勧尊重の姿勢は貫いたうえで例外中の例外を認めたものと理解している。議員立法の可否については、政府のわれわれの立場で言えることではない。

 以上のように、村木局長からは、総務省として人勧尊重の姿勢で対応するとの見解の表明はあったものの、人勧取扱いの具体的な方向性が示されなかったことから、最後に吉澤事務局長が、「本年の人勧取扱いについてめざす方向は労使で同じと思っている。スケジュールも迫っているので、8月10日の要求内容についての明確な回答を10月13日には大臣からお願いしたい」と強く要請したのに対し、村木局長が「ご要望は承った」と答えたことから、これを確認し、交渉を締めくくった。

以上