2010年度公務労協情報 46 2010年10月13日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

秋闘第2次中央行動で集会と総務省交渉実施−10/13
−人事・恩給局長は「総務省としては人勧尊重の基本姿勢を堅持」と回答−

 公務員連絡会は13日、2010秋季闘争第2次中央行動として、全国から1,000人の仲間が参加し、中央集会を開催するとともに、総務省交渉と支援行動を行った。この行動は人勧を実施するための給与法改正法案等の国会提出期限が迫りつつある中で、いまだに政府が人勧取扱い方針を決定していないことから、改めて@十分な交渉・協議と合意に基づく人勧取扱い方針の決定A人勧を無視した一方的給与引下げ反対などの要求実現を求めて実施したもの。
 この中央行動を背景として行った書記長クラス交渉で、村木人事・恩給局長は「現在、政府部内の高いレベルで検討作業が進められている。総務省としては人勧尊重という基本姿勢に立って検討しているが、閣内に厳しい意見もあり、引き続き関係閣僚間で検討しているところだ」と見解を示したが、人勧取扱い方針の具体的内容やスケジュールは明らかにしなかった。そのため、公務員連絡会側は十分な交渉・協議、合意に基づいて早急に人勧取扱い方針を決めることを求め、決定前には総務大臣交渉を行うことを強く要求した。

 午後1時30分から社会文化会館で開かれた中央集会は、森永副議長を議長に選出して始められた。冒頭主催者挨拶に立った棚村議長は、本年の人事院勧告取扱いに関する与党の公務員制度改革プロジェクトの議論や公務員人件費削減に関わる国会論戦、そして自治体の人事委員会勧告の状況を報告した上で、「なんとしても人勧制度尊重の姿勢に立った取扱い方針を決定させる必要がある。組合員の生活の維持・向上をめざして最後まで全力で取り組もう」と決起を訴えた。
 続いて、激励の挨拶に駆けつけた連合の南雲事務局長は、2011年春季生活闘争の構想を紹介するとともに、「公務員給与の取扱いは中小や地場の賃金に大きな影響を与えるものであり、2011年春季生活闘争の前哨戦だ。公務員連絡会の総力を結集した取組みを期待しており、応援していく。公務員の労働基本権確立の取組みは、民主党を中心とした政権の下、着実に前進しつつあり、連合としても全力を挙げて取り組む」と連合としての決意を述べた。
 基調提起に立った吉澤事務局長は、9月28日の第1次中央行動以降の人勧取扱いに関わる与党や担当大臣の動向を報告し、「労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度の尊重は当然のことであり、勧告を無視した引下げは断じて許されない。仮に勧告通り実施する方針が閣議決定されたとしても厳しい国会情勢のもとで給与法改正法案が成立するかどうかという課題もある。総人件費削減の問題が今後正念場を迎えることになる。引き続き闘争態勢を堅持し、全力で取り組もう」と取組みの強化を提起した。
 構成組織決意表明には、自治労・軍司副委員長、国税労組・島村中央執行委員、都市交・横山副委員長が登壇し、それぞれの組織の取組みを紹介し、最後まで闘う決意を表明した。
 集会を終えた参加者は、総務省前へ移動して交渉支援行動を実施し、「公務員の生活を守れ」「人勧を無視した一方的な給与引下げ反対」「非常勤職員に育児休業・介護休暇を適用しろ」などと力強くシュプレヒコールを繰り返した。
 交渉終了後、岩岬副事務局長から人事恩給局長との交渉経過の報告を受け、最後に岡崎全水道委員長の団結ガンバロウで決意を固め、本日の行動を締めくくった。
 本日実施した人事・恩給局長との交渉経過は次の通り。

<人事・恩給局長との交渉経過>
 交渉は14時45分から行われ、総務省側からは村木人事・恩給局長ほかが出席し、公務員連絡会側からは吉澤事務局長ほか書記長クラス交渉委員が臨んだ。
 冒頭、吉澤事務局長が、「9月28日にも局長と話をしたがそれから2週間が経過しているので、その後の検討状況を伺いたい」と質したのに対し、村木局長は「政府部内では高いレベルで検討作業が進められているが、人事・恩給局の基本姿勢は前回申し上げたとおりで変わりはない」と述べ、次のとおり答えた。

(1) 国家公務員の給与改定に当たって、政府は、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立って検討を行ってきている。
 一方、第1回の給閣においては、現下の厳しい経済社会情勢や、国の財政状況を踏まえれば、厳しい姿勢で臨むべきとの意見もあり、現在、政務を中心に検討している。
(2) 非常勤職員に対する育児休業制度等の導入については、人事院の意見の申出に沿った法案の作成作業を進めており、順次、政務に上げ、法案の閣議決定を行い、国会に提出したいと考えている。
(3) 65歳までの段階的定年延長に関しては、本年6月に閣議決定された「退職管理基本方針」においても今後の検討課題とされており、近いうちに予定されている人事院の意見の申出を踏まえ、国家公務員制度改革推進本部が中心となって検討するこおtになるが、総務省としても関係機関と連携をしながら、政府全体として前に進むよう努力していきたい。
(4) 国家公務員の労働基本権について、労働基本権の回復の具体的内容の検討及び次期通常国会に向けた関係法律の改正については、国家公務員制度改革推進本部事務局を中心に行うものと考えられるが、総務省としても法案の作成作業が円滑に進むよう協力してまいりたい。

 回答に対し、公務員連絡会側は、次の通り、さらに局長の見解を質した。
(1) 人事・恩給局としては人勧尊重の立場で対応するということなので、政務三役にも同様の立場で対応するよう努力願いたい。
(2) 非常勤職員の育児休業法改正は給与法改正法案と一体で処理するということでよいか。
(3) 定年延長問題について、総務省はどのように対応するつもりか。原口前大臣は、本年春闘の際、「意見の申出が出たら誠意をもって対応する」と回答しているが、定年延長を所管しているのは、公務員事務局なのか人事・恩給局なのか。
(4)50歳台後半層の一律給与引下げについて人事院から納得できる説明はなかった。また、人事管理上も士気が下がり問題ではないか。これらについて人事・恩給局の考えを伺いたい。

 これに対し、村木局長は、次の通り、考え方を示した。
(1) 総務省としては、人勧は労働基本権制約の代償措置と認識しており、人勧尊重の立場で対応する。政務には、昭和57年の人勧凍結措置等を挙げ、人勧を無視した給与引下げは大きなハードルがあることを伝えてきた。
(2) 非常勤職員の育児休業法案については、事務的な作業は進んでいる。主管大臣が決断をして、法案の閣議決定までの手続きを進めていくことになる。国会審議を含めて、給与法改正法案と一体のものとして扱っていきたい。
(3) 定年延長そのものをどうするかという政府方針の最終的なとりまとめについては、国家公務員制度改革推進本部が所管と言えるが、退職手当法の改正など波及的な課題が出てきた場合においては、人事・恩給局が主体的に考えるべきと思っている。また、実施することになれば人事・恩給局の担当なので、誠意を持って出来ることは最大限努力したい。
(4) 法制度において違法ということではない限り、勧告は尊重すべきであると考えている。勧告を部分的に否定することはできない。職員の不満も多いだろうが、説明をするしかない。

 以上のように、村木局長の回答はこれまでの見解を繰り返すに止まった。そのため、吉澤事務局長が最後に、「われわれとの交渉・協議、合意に基づいた人勧取扱い方針を早急に決定し、育児休業法改正法案と合わせ、給与法改正法案を国会に提出していただきたい。取扱い方針の決定に先立って総務大臣から回答をお願いしたい」と強く要求したのに対し、村木局長が「人勧取扱いについては努力する。大臣交渉というご要望は承った」と応えたことから、これを確認し、交渉を終えた。

以上