2010年度公務労協情報 7 2009年12月14日
公務公共サービス労働組合協議会

2010年度予算編成で大串財務大臣政務官に要請−12/14
−公共サービスの充実と従事する労働者の雇用と処遇の安定を求める−

 公務労協の書記長クラス交渉委員は、14日10時から、財務省の大串政務官と会い、別紙「2010年度予算編成等に関する要請について」を提出し、要請事項の実現を求めた。
 冒頭、吉澤公務労協事務局長は、「本日、2010年度予算編成に関わり要請させていただく。予算編成に当たっては、先般の事業仕分けを踏まえた時、これ以上公務・公共サービスの質を下げてはならないし、公務・公共サービスに従事する者の雇用・労働条件が確保されなければならないという観点に基づき、要請事項をとりまとめた。実現に向けご尽力願いたい。」と述べ、要請事項の実現を求めた。
 要請に対して、大串政務官は「要請は確かに受けた。これまでも細かい議論はさせてもらっている。公務で働く仲間に敬意を表しながらも、今般の予算編成は、歳入も含め大変厳しい状況にある。先般の事業仕分けは、国民サービスを低下させるということではなく、国民の目から見て、天下りをはじめ無駄を省き、サービスの効率化・充実を図ることをめざした。あと2週間、限られた財源の中で、バランス感覚を持って、適切な予算編成を行う必要がある。公務・公共で働く皆さんが十分なサービス提供をできるよう、きちんとバランスをとりながら予算編成を行いたい。」と回答した。
 続いて、構成組織各書記長から、以下の通り、労働法制度及び労使関係に基づく賃金・労働条件の決定の尊重や公務・公共サービスの充実の観点からの予算編成を強く求めた。

(井上政労連書記長)
 独立行政法人や法律で設置された民間法人のほぼすべてが事業仕分けの対象とされた。特に厚生労働省関係のモノづくり関係予算では、51の対象事業のうち47事業で判定通りの対応ということが言われている。予算が削減されれば直に雇用に影響を及ぼすことになる。天下りを温存しながら雇用を脅かすことになりかねない。独立行政法人等は労働三権があり、労使関係に政治の力が入ってくるようなことはあってはならない。
(照屋全駐労書記長)
 事業仕分けで、給与水準について地域のバランスが必要といった指摘を受けた。給与水準等は本来労使関係で決定すべきものであり、所管である防衛省に対しても要請を行ったところである。財政当局においては、一方的に給与・雇用の引下げに結びつくような予算措置をしないようお願いする。
(宇田川全印刷書記長)
 資産や剰余金に止まらず、事業についても突如仕分けの対象とされた。状況は認識しているが、それぞれ相互補完で、一定の労使協議で整理しながら事業を行ってきている。今後の独立行政法人の見直しについては、慎重な検討を行って欲しい。
(高木都市交書記長)
 日頃から地方公共交通の活性化と再建に努めてきている。新たな公共交通システムを地方だけで確立するのには限界がある。例えばバスの運行対策費の補助において、地方では20年以上も使っているバスも少なくない。環境やバリアフリーに対応したバスの配備も必要である。引き続きの予算配分をお願いしたい。

 これらに対し大串政務官は、「一口に公務といっても、それぞれの特徴・特色があり、それぞれのニーズにあった公共サービスが提供される必要があると認識している。次年度の予算編成に関わっては、全体のバランスの中での判断になると思う。『公共サービス基本法』により新たに公共サービスの重要性が明示されている。あと2週間余りの中、全体のバランスを考えながらとりくんでいきたい」と、予算編成に向けた考え方を改めて示した。
 最後に吉澤事務局長が「政府との労使関係において、緊張感ある関係を前提としつつ、新政権の中ではお互い誠実で信頼のある関係を築いていきたいと考える。変化は誤解を生みかねない。その誤解を放っておくと大変なことになる。政府をあげて、良好な労使関係、良い公務・公共サービスがつくり上げられるよう、今後も努めていただきたい。」と締めくくり、この日の要請を終えた。


(別紙)

2009年12月14日

財務大臣
  藤 井 裕 久 様

公務公共サービス労働組合協議会
議 長  中 村  讓


2010年度予算編成等に関する要請について


 日頃の国政全般における貴職のご尽力に心から敬意を表します。
さて、先般実施された行政刷新会議「事業仕分け」は、官僚主導による政業の癒着構造から国民に開かれた予算編成を実現するものとして評価されています。一方、事業仕分けの対象選定や方法については、様々な問題点も指摘されています。
そして、事業仕分け結果を踏まえた今後の予算編成にあたっては、深刻化する景気・経済情勢のもと、予算の無駄を超えた雇用をはじめとする国民生活への影響等への配慮、諸外国及び地方自治体等との関係に影響する制度・政治的課題に係る関係者との協議を踏まえた慎重な対応が求められています。
 つきましては、2010年度予算編成等について、国民生活を支える公共サービスを充実するとともに、従事する労働者の雇用と処遇の安定をはかるため、以下のことを実現されるよう要請します。



1.国民に開かれた予算編成に留意するとともに、関係府省との協議について、当該府省の労使間協議及びその結果を尊重すること。
2.天下りを廃し、関係予算をなくすこと。
3.事業または予算の廃止・削減等が、公共サービスの質の低下をもたらさないこと。
4.労働関係法により保護される関係労働者の雇用や処遇に影響することのないようにすること。
5.予算編成の結果に基づき国家公務員及び地方公務員の定員を見直す必要が生じた場合、政府の責任において雇用を確保すること。
 また、雇用確保は、公務労協及び関係組合との交渉・協議、合意により措置すること。

以上