2011年度公務労協情報 23 2011年3月3日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

2011年春季要求事項で幹事クラスが人事院・総務省と交渉−3/3
−中間的回答に不満の意を表明し、さらに誠意ある回答を求める−

 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は、3日午後、人事院職員団体審議官、総務省人事・恩給局次長と交渉を行い、2月17日に提出した2011春季要求に対する中間的な回答を引き出した。しかし、この日の回答は人事院、総務省ともに抽象的で不満な内容にとどまった。このため、公務員連絡会は、11日の各局長との交渉ではさらに誠意ある回答を行うよう要求し、回答指定日に向けて交渉を積み上げて行くこととした。
 人事院、総務省交渉の経過は次の通り。

<人事院職員団体審議官との交渉経過>
 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は、13時30分から、根本職員団体審議官、平野参事官と交渉を行った。
 冒頭、公務員連絡会の大塚副事務局長が「2月17日に総裁に要求書を提出したので、重点事項についてのこの間の中間的な検討状況を伺いたい」と人事院の回答を求めたところ、審議官は「皆さんからの要求書については、先月17日総裁宛に提出され、現在最終回答に向け検討を行っているところである。最終回答は、ご要望のとおり3月下旬を想定しているが、それに向けて今後もしっかりと意見交換をしていきたい。本日私の方からは、現段階における状況について、回答させていただく」と述べた上で、次の通り答えた。

1 2011年度賃金要求について
(1)今年の民間春闘の状況については、失業率が高水準で推移するなど、引き続き厳しい経済・雇用情勢の下で行われている。そのような状況の中で、連合は、賃金カーブの維持、1%を目安とした配分を要求しているのに対して、日本経団連は「経営労働政策委員会報告」において、「国内事業の維持を図ろうとすれば、賃上げより雇用を重視した交渉が重要」とした上で、「今次労使交渉では、定期昇給の維持を巡る賃金交渉を行う企業が大半を占めると見込まれる」との考えを示している。こうした状況からすれば、今年の民間賃金の状況は引き続き厳しい交渉になると考えられる。
(2)公務員給与について、人事院としては例年と同様、情勢適応の原則に基づき、国家公務員の給与と民間企業の給与の実態を精緻に調査した上で、その精確な比較をして較差を解消することを基本に勧告を行うこととしている。
(3)給与構造改革において予定していた施策の導入・実施は、平成22年度までにすべて終了したところであり、給与構造改革の諸施策については、引き続き検証していくこととする。新たな見直しを行う際には、公務員連絡会のご意見を伺って参りたい。
(4)また、50歳台の給与については、昨年の勧告時の報告において述べたとおり、民間水準を上回っている状況にあり、引き続き見直しを検討している。見直しに当たっては、給与構造改革期間が今年度で終了することも踏まえ、経過措置の在り方も含めて検討をしているところである。本年の勧告の具体的な内容については、今後、皆さんと意見交換を行っていきたい。
(5) 住居手当等、諸手当の見直しについては、民間の状況、官民較差の状況等を踏まえながら検討していきたい。

2 非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
(1)昨年10月から施行された期間業務職員制度及び本年4月から施行される非常勤職員の育児休業等については、各府省において適切な運用がなされるよう、人事院として制度の周知徹底や助言指導を行うなどして取り組んでいる。
(2)非常勤職員の給与については、平成20年8月に発出した指針に沿った適正な支給が図られるよう、引き続き取り組んで参りたい。

3 勤務時間(労働時間)等について
(1)超過勤務の縮減については、各府省において不必要な在庁時間を削減することが必要であり、政府全体としてそのための取組がなされている。人事院としても、今後とも在庁時間の削減に取り組んでいく必要があると考えている。
(2) 平成21年2月より、超過勤務の縮減の指針において、他律的業務の比重の高い部署については上限目安時間を1年につき720時間としたことを踏まえ、本年2月に、この指針のフォローアップとして、超過勤務が年間720時間を超えている職員の状況や当局の具体的な対応について、主要府省の担当者から聴取等を行ったところである。
(3)超勤代休時間については、特に長い超勤を行った職員に休息の機会を与えるために導入したものであり、まずは各府省において適切に活用されるように努めて参りたい。
(4)45時間を超え60時間以内の超勤割増率については、昨年は民間における状況から引き上げる状況にはないと判断したところであるが、今後とも民間における動向を検証して参りたい。
(5)介護のための短時間勤務等についても要望を受けているが、人事院としては、職員の休暇、休業等についてもこれまで適宜見直しを行ってきたところであり、今後とも民間の状況等を見定めつつ必要な検討を行うこととしたい。

4 人事評価制度について
 平成21年4月に導入された人事評価制度については、各府省において公正・適正に実施されるよう、評価能力向上研修の着実な実施などを通じて各府省を支援するとともに、評価結果の任免、給与、人材育成への活用が適切に行われるよう各府省に対し指導等を行っているところである。今後、各府省における実施状況等を把握した上で、職員団体及び各府省の意見を伺いつつ、人事行政の公正の確保や職員の利益保護を図る観点から、人事院としての役割を適切に果たして参りたい。

5 高齢期雇用問題について
(1)現在、昨年12月にお示しした「高齢期の雇用問題に関する検討状況の整理」に対する職員団体及び各府省からの意見の内容を精査しているところである。検討状況の概要は次のとおりである。
(2) 高齢期雇用については、平成25年4月から定年延長の段階的実施を目指すとの方針に変わりはない。また、年金支給開始年齢に合わせて3年に1歳ずつ定年を延長する方針であることに変わりはない。
(3) 定年延長に伴う、60歳台前半の職員の給与水準については、職員の職務と責任を基本としつつ、60歳台前半の民間企業従業員の雇用・所得水準の実情を踏まえ、設定することとしている。この検討に当たっては、皆さんを含め関係者と意見交換しながら進めて参りたい。
(4) 定年以降65歳までの再任用については、現行の再任用制度は、部分年金が支給されるとの前提の下で、再任用を希望する者についてできる限り採用するようにするものであり、段階的な定年延長期間中の65歳までの再任用制度については、引き続き存置することとしたいと考えている。
(5) 60歳以降の働き方等に関する意向を聴取する仕組みについては、60歳よりも早い時点での希望聴取を促すことや、意向聴取に当たり配慮すべき事項を明確にしていくこと等について、具体的に検討していきたい。
(6) 加齢に伴い就労が厳しくなる職務に従事する職員については、職務の実態を踏まえつつ、関係府省の検討を促していく中で、どのような整理が可能か人事院としても検討していきたい。
(7) 定年延長に伴う新たな短時間勤務については、定年延長を行うに当たり、高齢期における多様な働き方を可能にするための措置として行うものであり、まずは60歳超についてこれを適用することを基本として検討を進めていく必要があると考えているが、引き続き検討しているところである。
(8) 役職定年制については、人事院としては、人事の新陳代謝を図り、組織活力を維持する観点から必要があると考えているが、役職定年後の職員の活用方策等について検討を深める必要があり、関係者の意見を聞きながら更に検討しているところである。
(9) 退職手当、定員上の措置、共済組合の適用については、制度を所管しない立場にある人事院としては、皆さんをはじめ関係者と議論を行いながら、定年延長を実現していく上で対応が必要と考えられる事項を整理し、制度官庁に具体的な検討等をお願いしていくことになると考えている。
(10) 今年度内に意見の申出を行うべきであるという公務員連絡会の皆さんの要望は承知している。できるだけ早く案をまとめるよう鋭意検討中であるが、日程的には厳しい状況である。

6 男女平等、福利厚生施策等について
(1)人事院は、公務における男女共同参画の実現を目指して、平成22年12月に閣議決定された第3次男女共同参画基本計画を踏まえ、平成23年1月に「女性国家公務員の採用・登用の拡大等に関する指針」を策定したところである。今後、各府省は、同指針に基づき「女性職員の採用・登用拡大計画」を策定することとなるが、その取組が実効性のあるものとなるよう人事院として積極的に支援していくとともに、各府省の取組をフォローアップして参りたい。
(2) 心の健康づくり対策や福利厚生施策は、人事行政の重要な事項と認識しており、人事院では、これまでも、必要に応じて福利厚生に関する実態調査を実施するとともに、昨年「円滑な職場復帰及び再発防止のための受入方針」を全面改正するなど心の健康づくりの推進をはじめ、健康管理対策等の推進に努めてきたところであり、今後とも努力して参りたいと考えている。
(3) 国家公務員災害補償制度については、民間に遅れることのないよう対応することとしている。


 回答に対し公務員連絡会側は、次の通り人事院の見解を質した。
(1) 公務員給与は、この間10年以上も落ち込み続けてきており、組合員の生活は厳しい状況にある。今年こそは一時金の引上げを含め、賃金の維持、改善に向け努力してもらいたい。
(2) 給与構造改革が終了したが、新たな制度見直しを行う場合には公務員連絡会との十分な話し合いをお願いしたい。また、比較企業規模については現行の50人以上を維持するという考えに変わりはないか。
(3) 50歳台の給与について、現給保障は給与構造改革の際の約束であり、最後まで守ってもらいたい。また、昨年の勧告に基づいて、年齢を理由とした一律削減が行われたが、その撤回を要求しておきたい。
(4) 非常勤職員の課題について、賃金水準の引上げや雇用の安定確保など、多くの課題が残されている。非常勤職員を法律上明確に位置付けることによって、勤務条件等について「均等待遇の原則」を徹底してもらいたい。
(5) 在庁時間削減について、本府省のみならずすべての機関の全員を対象とした調査を行い、在庁実態を正確に把握し、それに基づいた対策が必要。また、月45時間を超え60時間以内の超勤割増率の調査を行い、その結果に基づく引上げをお願いしたい。合わせて、今年は超勤代替休暇についても調査してもらいたい。
(6) 人事評価については、総務省が今アンケート調査を行っているが、人事院としてはどのような方法、内容を考えているのか。検討していることがあれば、教えていただき調査の設計から議論させてもらいたい。
(7) 高齢期雇用問題については、2013年度から段階的に定年延長が実施できるよう、年度内の意見の申出に向け、一層努力してもらいたい。60歳台前半の給与水準をどうするかを含めて具体的課題については、十分な交渉・協議を行って意見の申出に向けて作業してもらいたい。なお、退職手当や定員上の措置、共済組合については所管外とのことだが、公務員連絡会の意見を制度官庁との議論に反映してもらいたい。
(8) 男女平等の問題について、女性職員の採用・登用拡大指針が改定がされ、各府省が実効性のある実施計画に基づいて、職場レベルできちんと取り組むことが重要だ。人事院は各府省に対する指導力を発揮してもらいたい。
(9) 福利厚生については、引き続きメンタルヘルス対策が重要な課題であり、働きやすい職場づくりや超勤縮減対策を徹底すべき。また、管理職員に対し、メンタルヘルスの問題をしっかり認識してもらうことも重要であり、人事院としても管理者研修を充実してもらいたい。災害補償については、民間に遅れることなく対応をお願いしたい。


 これに対し人事院側は、次の通り考えを示した。
(1) 地域給与の見直しはそれなりの成果が上がっていると考えている。今後、新たに制度の仕組みを見直していく場合には、公務員連絡会と話し合いをして進めていきたい。比較対象企業規模については、現行の比較規模が適正であると考えいる。
(2) 50歳台の給与については、本俸、各種手当、経過措置等で構成されているが、どの部分を調整していくかについて改めて検討していきたい。
(3) 非常勤職員の賃金水準については、ガイドラインに基づいて適切となるように努めていきたい。また、非常勤職員の処遇改善については、状況を見ながら必要なものは対応していきたい。
(4) 在庁時間の削減については政府全体の取り組みであり、人事院の立場で協力していきたい。また、現在、国公の超勤代替休暇の調査を行っているところだ。介護のための短時間勤務については、公務は民間より進んだ内容になっており、さらなる見直しは現在の状況では難しい。まずは取得状況等を見ていきたい。
(5) 人事評価の実施状況や評価結果の活用状況等の調査について、要望は受け止めた。その際、是非とも組合からも、人事評価制度について現状をどのように認識し、どのように改善すべきか提起していただきたい。
(6)高齢期雇用問題に関わる退職手当、定員、共済組合については制度官庁と十分議論し検討していきたい。定年年齢の段階的引上げについては、2013年4月から実施するということははっきりしている。地方公務員の事情を踏まえ、「意見の申出」をできる限り早く行いたいと考えている。
(7) 男女平等の問題は、次世代育成支援対策と女性職員の採用・登用をセットで考え、各府省に対し指導を行っているところだ。
(8)福利厚生については、各府省の担当者を集めて心の健康づくりの会議を1月に開催したところだ。仕事は増えているにもかかわらず、人間関係が希薄な状況でメンタル疾患を抱える職員が増えている。管理職に対する研修も含め、人事院としても対応をしていきたい。

 最後に大塚副事務局長が「公務員労働者を巡っては、勤務条件が引下げられる中で、事務事業、組織の絶えざる見直しが行われており、落ち着いて仕事ができる状況でなくなっている。人事院として、公務員の利益を守る立場で公務員が安心して働き続けられるよう、最大限の努力をお願いしたい。今日の回答は、まだまだ具体性がなく、不満だ。今後、さらに議論を積み重ねて、11日の局長クラスとの交渉では、われわれの要求について具体的な回答をお願いしたい」と局長交渉では誠意ある回答を示すよう強く求め、本日の交渉を締めくくった。

<総務省人事・恩給局次長交渉の経過>
 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は、15時から、総務省人事・恩給局平山次長と交渉を実施し、2011春季要求書に対する検討状況を質し、中間的な回答を求めた。
 はじめに、大塚副事務局長が要求に対する総務省の回答を求めたのに対し、次長は「主要な点について、現時点における状況等を回答する」として、次の通り回答を示した。

1.総人件費削減措置等について
 国家公務員の人件費削減については、既に大臣からもお話があったように、今通常国会に給与法改正案を提出する方向であり、現在、検討を行っているところである。具体案がまとまった段階で、よくご説明し、理解が得られるよう、話し合いの場を設けたいと考えているので、よろしくお願いしたい。
 なお、自律的労使関係制度の法的措置については、現在、改革推進本部事務局において、関係法律の策定作業に向け、改革の全体像を取りまとめているところと承知している。

2.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
 非常勤職員の処遇改善について、勤務形態については、関係府省間で議論を進め、平成22年10月1日から適切な任期を定めることが可能となる新たな期間業務職員制度を導入したところである。
 また、先の臨時国会においては、人事院の意見の申出に基づき、非常勤職員に対しても育児休業等の取得を可能とすることを内容とする法改正が行われ、平成23年4月1日から施行されるところである。
 総務省としては、まずはこれらの制度の適切な運用の確保に努めてまいりたい。

3.労働時間、休暇及び休業について
 近年、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組を官民が一体となって効果的に展開することが求められており、国家公務員の勤務時間についても、仕事と生活の調和という観点からその在り方について考えることが重要であり、また、超過勤務の縮減は、職員の健康、士気の向上はもとより、自己研鑽や家族との時間の確保のために重要であると認識している。
 このため、従来から全省庁一斉の超過勤務縮減キャンペーン等を行っているほか、近時の取組では、@昨年4月から60時間を超える超過勤務手当の割増や、超勤代休時間制度の新設によりコスト意識を持った超過勤務抑制に努めるとともに、A超過勤務縮減を管理職員の人事評価の対象として明確化したところである。
 今後とも、皆様の御意見も伺いながら、引き続き、超過勤務縮減のための取組を進めてまいりたい。

4.新たな高齢者雇用施策について
 昨年6月に閣議決定された退職管理基本方針においては、基本法第10条の規定も踏まえ、今後の検討課題として、雇用と年金の接続の観点から、定年の段階的延長について、民間の状況も踏まえて検討を進めることとしている。
 現在、人事院において、「意見の申出」に向けた検討がなされているものと承知しており、意見の申出がなされれば、関係機関とも連携をしながら、雇用と年金の接続に向け、空白期間が生じないよう政府全体として取り組んでまいりたい。

5.健康・安全確保、母性保護等について
 国家公務員の福利厚生は、能率の増進のために重要であると理解している。このため、「国家公務員福利厚生基本計画」(平成3年3月20日内閣総理大臣決定)を策定しており、現在、皆様のご意見等も踏まえながら、その見直し作業を行っているところである。
 基本計画の改正案においては、心の健康づくり対策について、これまでの対策に、「職場復帰の際の受入方針のモデルの作成」や、「管理職員に対する教育を徹底すること」などを加え、その充実を図ることとし、予算要求もしているところである。
 いずれにせよ、心の健康づくり対策に当たっては、当局としても十分に配慮してまいりたい。


 これに対して、公務員連絡会側からは、次のことを質した。
(1) 国家公務員の総人件費削減の問題については、労働基本権制約の下では、人事院勧告尊重が基本である。議論を始めるのであれば、自律的労使関係制度の法的措置、削減の必要性を含めた労使合意が前提であることを重ねて申し上げておきたい。
(2) 2011年度の給与改定について、公務員給与がこの間10年以上にわたって下げられてきたことから、組合員の生活は極めて厳しい状況にあることを使用者としてしっかり受け止めてもらいたい。
(3) 本年度で終了した府省間配置転換について、新たな職場で定着できるよう引き続きフォローアップをお願いしたい。今後は、昨年12月の閣議決定に基づく独立行政法人等の事務・事業の見直しを踏まえた法人組織や独立行政法人制度の見直しや、「アクション・プラン」に基づいた出先機関の原則廃止に向けた検討が進められるが、職員の雇用には影響させないことが基本。雇用問題が生じる場合には、国が雇用の承継に責任を持ってもらうことを要求しているので、総務省の決意を伺いたい。
(4) 非常勤職員の処遇改善や雇用の安定に向けては、昨年10月、期間業務職員制度の導入、本年4月からの育児休業等適用など、一定の改善が図られた。しかし、依然として低い賃金水準の問題や雇用不安という課題は解決されておらず、「均等待遇の原則」を打ち立て、非常勤職員を法律に明確に位置付けていただきたい。
(5) 超過勤務については、これまでのいろいろな取り組みの成果が上がっていない実態がある。取組みの効果を検証し、ワーク・ライフ・バランスを確保する観点から、一歩踏み込んでもらいたい。総務省として事前の超勤命令を徹底するよう各府省を強力に指導すべきだ。
(6) 人事評価制度について、いま総務省が行っている調査の結果を公務員連絡会に報告してもらって、問題の把握と改善に向けて議論させていただきたい。引き続き、管理者研修の強化に取り組んでもらいたい。
(7) 高齢雇用施策については、2013年度から地方公務員を含めて年金と雇用を接続する新たな施策を実施することが不可欠だ。いま、人事院が段階的定年延長の意見を申し出るべく作業を進めているが、政府としても定年延長という方針を確立し、積極的に対応してもらいたい。
(8) 福利厚生について、超勤縮減対策、メンタルヘルス対策の強化が重要であり、新年度から国家公務員の福利厚生計画を着実に実施できるよう、しっかり取り組んでもらいたい。とくに、メンタルヘルス対策については職場の理解が重要であり、管理者についてはe-ラーニングの一層の活用など全員に研修を義務づけてもらいたい。また、レクリエーション予算の復活と整備に努力していただきたい。
(9) 自律的労使関係制度については、公務員の労働条件を労使交渉で自律的に決定できるよう、総務省としても主体的かつ積極的に対応してもらいたい。
(10) 退職手当の見直しについて、総人件費削減との関わりも含めて、総務省が引下げ方針を決めたなど報道されている。新年度が5年毎の民間退職金調査年に当たると聞いており、その実施及び結果に基づく措置については、十分議論させてもらいたい。
(11) その他、定員の純減について、勤務条件に重大な影響を及ぼす課題であるので、公務員連絡会としては関係機関と交渉・協議を行うことにするが、人事・恩給局として何か承知していることがあれば教えてもらいたい。


 これに対し、総務省側は次の通り答えた。
(1)総人件費削減の一つとして、「アクション・プラン」に基づいた出先機関の見直しも行われるが、職員の「雇用」については政府は最大限の努力をしていく。所轄関係省庁にも伝える。
(2) 非常勤職員の処遇改善や雇用安定については、昨年、期間従業員制度が導入され、制度の適切な運用がなされ、定着するよう見守りたい。法律上の明確化については、中長期的課題と考えている。
(3) 超過勤務の問題は、重要な課題であり、皆さんと意見交換しながら取り組んでまいりたい。なお、現在、地方自治体や民間企業等の取組みを調査のうえ、人事院と論点整理してしているところであるが、まだまとめの段階にはない。
(4) 高齢雇用施策については、人事院の「意見の申出」が行われた場合には、速やかに対応したい。
(5)国家公務員の福利厚生基本計画については現在作業中である。メンタル疾病に罹患する職員は増加の一途をたどっていることから、本省、出先機関を含めて管理職を対象にe-ラーニング研修や講習会なども実施している。
(6) 退職手当の見直しについては、総人件費削減のひとつに挙げられているが、5年毎に調査することになっており、平成18年に官民退職金調査を行っていることから、来年度の調査の準備をしているところだ。この結果を受けて、次期通常国会に法案を出したいと考えている。調査や結果に基づく対応については、皆さんの意見を踏まえて対応していきたい。
(7) 定員の純減については、当方の所管ではないが、行政管理局が事務事業の見直しを各府省へ依頼し、返事を待っており、それを踏まえて検討していくと聞いている。

 最後に、大塚副事務局長が「公務員労働者を巡っては、勤務条件が引下げられる中で、事務事業、組織の絶えざる見直しが行われており、職場では落ち着いて仕事ができる状況でなくなっている。公務員の人事管理や能率的な業務運営に責任を持つ立場で公務員が安心して働き続けられるよう、最大限の努力をお願いしたい。今日の回答は、まだまだ具体性がなく、不満だ。今後、さらに議論を積み重ねて、11日の局長クラスとの交渉では、われわれの要求について具体的な回答をお願いしたい」と強く要請し、本日の交渉を締めくくった。


以上