2011年度公務労協情報 30 2011年4月22日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

公務員連絡会が2011春季要求への回答引き出す−4/22
−人事院総裁 "民調の実施等は意見を聞いて判断する"−
−総務大臣 "国公給与引下げは理解が得られるよう話し合う"−

 公務員連絡会の棚村議長他委員長クラス交渉委員は、22日11時から江利川人事院総裁と、16時40分からは片山総務大臣と2011春季段階の最終交渉を行った。この交渉で人事院総裁、総務大臣は、それぞれ資料1、2の通り、春の段階における最終的な回答を示した。本年の回答交渉は、3月11日に発生した東日本大震災の対策を優先し、当初予定の回答指定日を延期したうえで行われたものである。公務員給与に対する基本姿勢について、人事院総裁が「給与勧告制度の意義及び役割を踏まえ、適正な公務員給与水準を確保する」と、総務大臣が「国家公務員の給与引下げ削減について理解が得られるよう話し合うことや国の出先機関改革に当たって雇用の確保に努める」ことをそれぞれ確認したことは、諸課題が山積する厳しい局面のもとにおいて、重い意味を持つものである。
 公務員連絡会は、同日開いた企画・幹事合同会議で、「政府、人事院の回答は要求を完全に満たしたものとは言えない。しかし、大震災からの復旧・復興が求められる中で、国家公務員の総人件費削減措置の具体化への対応も迫られる厳しい状況のもと、春の段階の交渉の到達点として受け止め、諸課題の解決に向けて今後の取組みを全力で進めていく」との声明(資料3)を確認。第3次全国統一行動について、週明けの4月25日を中心に行うこととし、春闘回答内容を組合員に報告し、今後の取組みに対する決意を固めるとともに、大震災からの復旧・復興に全力を挙げる観点から、各構成組織は、その実情に応じた行動を実施することとした。
 この日行われた人事院総裁、総務大臣との交渉経過と回答内容は次の通り。

<人事院総裁交渉の経過>
 人事院江利川総裁との交渉は、同日11時から人事院内で行われた。冒頭、棚村議長は3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及び福島第一原子力発電所の事故に触れ、「被災者や被災地において、今、多くの国民が生活不安、雇用不安など困難な状況にある。現在、公務員連絡会・各構成組織の組合員は、連合をはじめ構成組織の取組みを通じて、被災者の支援や被災地の一刻も早い復旧・復興に向け、それぞれの役割を果たすべく一生懸命取り組んでいる。今後も、大震災を踏まえた措置を講じていただいたボランティア休暇についてしっかり受け止めながら、さらに取組みを進めていきたい」と、復旧・復興に向けて労働組合としても全力を挙げる決意を述べた。その上で、春の段階における誠意ある回答を総裁に求めた。
 これに対し総裁は、「東日本大震災の被災地の支援に、多くの国家公務員が日夜奮闘しており、その努力に敬意を表するとともに、引き続きの活躍を期待したい。この大地震による諸般の事情を考慮して、今年の職種別民間給与実態調査については、当初予定していた5月1日からの調査は行わないこととする。したがって、今年の給与改定を取り巻く状況は例年と異なる」としたうえで、資料1の通り回答した。

 棚村議長は、この回答を受けて次の通り見解を述べた。
(1) わが国及び公務を取り巻く極めて厳しい情勢の中でご努力いただいたことに感謝したい。
(2) いま、公務を巡っては、1948年のマッカーサー書簡以来60年有余にわたって制約されてきた労働基本権について、いよいよ歴史的に大きな一歩を踏み出すことが目前に迫る一方、国家公務員の総人件費削減が課題とされるなど、厳しい状況も待ち受けている。
(3) ただいまの総裁回答でも、5月からの民間給与実態調査を行わず、今後の状況を見て判断するとの考えが示されたが、まずは大震災からの復旧・復興に全力を挙げなければならないことを踏まえ、やむを得ない措置として受け止めたい。また、本年の給与勧告のあり方を含めた今後の対応について十分議論をさせてもらいたい。
(4) 5月1日からの民調は行わないという例年と異なる事情にはあるが、人事院勧告の意義や役割、給与改定に当たっての基本姿勢が表明された。労働基本権が制約されている下においては、その代償措置としての人事院勧告制度によって適正な公務員給与を維持しなければならないことは当然のことである。
(5) 段階的定年延長については、昨年中に意見の申出を行うという約束が反故にされたことについて改めて遺憾の意を表明せざるを得ない。きょうの回答では、「平成25年4月から段階的に65歳まで定年を延長することをめざすとの方針に変更はない」ことは明確にされたが、意見の申出の時期は明確にならなかった。本日に至る交渉の中で、われわれは地方公務員についても国と同時に実施される必要があることを強調してきたところであり、できるだけ早く意見の申出を行うことを強く求めておきたい。意見の申出に向けては、給与のあり方など個別課題について、われわれと十分交渉・協議し、「納得」を得た上で作業を進めていただきたい。
(6) いま公務員労働者は、大震災からの復旧・復興はもとより、国民のための公共サービスの確保に向けて、厳しい労働環境の中で身を粉にして一生懸命職務を遂行している。人事院総裁におかれては、給与・勤務条件を取り巻く情勢には極めて厳しいものがあるが、引き続き課題の解決に全力で取り組んでもらいたい。

 最後に棚村議長は、「本日の回答は、総裁の春の段階の最終回答として受け止め、組織に持ち帰って協議したい」と述べ、人事院総裁交渉を締めくくった。


<総務大臣交渉の経過>
 片山総務大臣との交渉は、同日16時40分から総務省内で行われた。
 冒頭、棚村議長が公務員連絡会の2011春季要求及び地公部会の要求書に対する最終回答を求めた。これに対し、片山総務大臣は「先日発生した東日本大震災に当たっては、自治体との関わりが深く公務員行政を担う総務省として、目下対策に当たっているところだ。多くの国家公務員が現地に入っており、また、全国の自治体の職員が、我が事の如く被災地へ支援に行っていただいていることに感謝を申し上げたい」と述べたうえで、資料2の通り回答を示した。

 この回答に対し、棚村議長は、次の通り要請した。
(1) 国家公務員の総人件費削減については、いろいろなところから様々なことが言われているが、責任をもっているのは片山大臣であり、われわれ労働組合だ。5月から議論を始めるとのことであるが、自律的労使関係制度の法的措置、削減の必要性を含めた納得できる説明が大臣から示され、合意することが不可欠と考えており、われわれと誠実かつ十分に交渉・協議をしてもらいたい。
(2) 国の出先機関見直しについては、雇用確保に努めるとの考えが表明されたが、独立行政法人の見直しの課題についても人事行政を所管する立場で雇用確保に努めてもらいたい。
(3) 超勤縮減については、この間様々な対策が取られてきたが、効果が上がっていない。むしろ増えている実態もある。震災対策が求められており、中央、出先ともに大変な状況で、24時間フル稼働とも言える。実効ある対策が必要である。
(4) 非常勤職員の課題は連合としても重点要求に掲げており、公務部門においても抜本的に改善しなければならない。この問題について、昨年、原口前大臣は「日々雇用非常勤職員制度の見直しを契機に、さらに踏み込んで検討することを約束する」と回答されている。片山大臣も、国会で「格差是正や官製ワーキングプアを解消したい」ということを発言されている。もう一歩前に進めてもらいたい。
(5) 地方公務員の給与について、確かに法制度上は条例で決定するというのはその通りだ。しかし、各自治体で独自の賃金カットを行うにあたり、労使で血の滲むような交渉・協議が行われている実態はご承知の通りであり、現実の賃金決定に当たっては、労使間でしっかり交渉・協議を行い、納得・合意を得て行うべきものである。このことについて、確認していただきたい。
(6) 国家公務員の総人件費削減の具体的議論を行うことになるが、いままさに多くの組合員が被災者の支援や復旧・復興作業に身を粉にして取り組んでいる。一人ひとりの公務員が、国民の期待に応え、使命感を持って自らの職務に邁進できるよう、超勤、非常勤職員の課題について、大臣から明確なメッセージをお願いしたい。

 また、阿部地方公務員部会議長からは、@労働基本権や定年延長など国家公務員と軌を一にする対応をお願いしたい、A地方公務員給与においては独自カットなど各自治体が労使の間で十分かつ誠実な交渉を経て納得・合意の上決定されており、総務省からの助言は慎重に行っていただきたい、B震災において、ライフラインの確保や公務遂行など自らが被災者でありながらも頑張っている地方公務員の理解が得られるよう総務大臣としての対応をお願いしたい、と要請した。

 それに対し、片山総務大臣は次の通り回答した。
(1) 国家公務員の総人件費の措置については、よく話し合っていくというのはその通りだ。職員の理解が得られるよう十分な時間と場を持ちたいと考えている。納得ができる説明にできる限り心がけていきたい。
(2) 震災以降、超勤が増えているのは事実で、相当の職員が土日もない状態で超過勤務に従事し、各省とも職員に震災対応で負担をかけている。とくに被災地の出先機関にはフル稼働してもらっており、注意深く見ていきたい。
(3) 非常勤職員については、この間、総務省が自治体に対し非正規化を進めるような施策にドライブをかけてきたところがあり、「集中改革プラン」や指定管理者制度の本質を外れた運用は解除するようにした。自治体に対しては、非正規化を促進するようなことは止めるようメッセージを伝えている。そういうことを含め、非常勤職員の処遇改善に取り組んでいきたい。
(4) 地方公務員の給与決定原則について、法律上の最終的な決定のしくみとして給与条例主義のことを申し上げたもの。条例で最後に決めるプロセスとして、労使の間で十分に、誠実に話し合って、お互いに合意に達するというのが基本。その上で、住民の代表である議会でオーソライズし、最終的に条例で決めるものであり、できる限りオープンにして、住民の皆さんの理解と納得が得られるようにするのが望ましい。そういう観点から必要があれば助言していきたい。

 さらに、棚村議長は、「是非とも、公務員の勤務条件の改善に役割を果たしていただきたい。労働組合としても大震災対策に全力を尽くしていく。地方公務員の様々な課題についても、いただいた回答について積極的な対応をお願いしたい」と大臣の努力を要請した。
 最後に、棚村議長が「本日の回答は、総務大臣の春の段階の最終回答として受け止め、組織に持ち帰って協議したい」と述べ、春闘回答を巡る交渉を締めくくった。



資料1−人事院総裁の2011春季要求に対する回答

人事院総裁回答

2011年4月22日


(2011年度賃金要求について)
 労働基本権制約の代償措置としての給与勧告制度の意義及び役割を踏まえ、官民較差に基づき適正な公務員給与の水準を確保するという人事院の基本姿勢に変わりはない。
 また、給与改定に当たって、公務員連絡会が交渉、協議、納得を求めていることについては理解する。
 平成18年度から実施してきた給与構造改革については、当初予定していた施策の導入・実施が平成22年度をもってすべて終了したところであり、今後、給与構造改革の諸施策について、その成果を検証していくこととなる。
 昨年の勧告時の報告において、50歳台後半層を中心とする50歳台の給与の在り方について必要な見直しを行うよう検討する旨を表明したところである。その見直しに当たっては、定年延長に伴う給与制度の設計も視野に入れながら、給与構造改革期間が終了したことも踏まえ、経過措置の在り方も含め検討しており、今後とも、公務員連絡会の皆さんと意見交換を行いながら、具体的な検討を進めて参りたい。
 給与に関しては、今後、状況の推移を踏まえ、民調の実施等について皆さんの意見も聞きながら判断していきたい。

(非常勤職員の雇用、労働条件の改善等について)
 非常勤職員の雇用、勤務条件については、昨年10月に期間業務職員制度を導入するとともに、本年4月からは非常勤職員への育児休業等の適用を措置したところであり、それらの制度が適切に運用されるよう努めて参りたい。また、引き続き、適切な処遇等が図られるよう、関係方面からの要望、民間の状況等を踏まえ、必要な検討を行って参りたい。

(労働時間の短縮等について)
 公務員の勤務時間・休暇制度については、それら制度の充実に向けて、関係者や公務員連絡会の意見を聞きながら引き続き検討する。
 人事院としては、今後とも在庁時間の縮減の必要があると考えており、関係機関と連携して取り組んで参りたい。
 超過勤務の縮減については、本年は「超過勤務の縮減に関する指針」に定められた、他律的業務に係る720時間の目安時間の実態調査等を行ったところである。現在は、大震災対策のための特別の状況が多くの部署で生じているが、日常業務における日頃からの超過勤務縮減は重要なことであり、引き続き、そのための取組を行っていきたい。

(新たな人事評価制度の実施・運用等について)
 新たな人事評価については、各府省における実施状況等を把握するとともに、公務員連絡会をはじめ各方面の意見を聞きながら、引き続き、適切に対処していきたい。

(新たな高齢期雇用施策について)
 高齢期の雇用については、平成25年4月から段階的に65歳まで定年を延長することを目指すとの方針に変更はない。
 意見の申出については、できるだけ早く行うよう検討を進めていく所存である。
 そのため、昨年12月にお示しした「高齢期雇用問題に関する検討状況の整理」に対する関係者の意見を踏まえつつ、人事院としての素案をできるだけ早期に皆さんにお示しし、意見の申出に向けての議論を深めていくこととする。

(男女平等、福利厚生施策等について)
 公務における男女共同参画の推進に関しては、今年1月に「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」を改定したところであり、指針に基づく施策が着実に実行されるよう努めて参りたい。
 各府省における「次世代育成支援対策推進法」に基づく行動計画の実施については、人事院としても、国家公務員の勤務条件を所管する立場から、引き続き適切に対応して参りたい。
 心の健康づくり対策については、相談体制の整備や研修の充実等を図りながら、各府省の心の健康づくり対策の支援を積極的に行っていきたいと考えている。



資料2−総務大臣の2011春季要求に対する回答

総務大臣回答

2011年4月22日


(総人件費の削減措置について)
 国家公務員の給与の引下げについては、具体案がまとまった段階で、よくご説明し、理解が得られるよう、話し合いたい。今のところ、5月には説明できると考えている。
 国の出先機関改革については、職員の皆様の雇用の確保に十分配慮しながらすすめていきたい。

(労働時間等について)
 超過勤務の縮減については、できるだけ減らせるよう、管理職の人事評価の項目に部下の時間管理を取り入れるなど取り組んでいるが、皆様方からも超勤縮減にあたってどういう職場でどういう対策が可能なのかなど具体的で率直なご意見も聞かせていただければ、効果的な抑制につながると考えている。今後とも、関係機関とも連携しながら、引き続き、政府全体の超過勤務縮減のため、取組みを進めてまいりたい。

(新たな高齢者雇用対策について)
 定年の段階的延長について、人事院から「意見の申出」が行われた場合には、民間の状況も踏まえ、誠意を持って対応していきたい。

(非常勤職員の処遇について)
 非常勤職員の処遇については、官製ワーキングプアが生み出されること自体が問題と考えており、重要な課題であると認識している。昨年導入された期間業務職員制度や育児休業制度の導入などが適切に運用されるよう配慮が必要である。課題を抱えているので、今後とも、処遇改善に取り組んでいきたい。




地公関係総務大臣回答

2011年4月22日


(2011年度の賃金改善について)
 地方公務員の給与は、それぞれの地方自治体の条例で定められることを原則としている。その原則のもとに、それぞれの地方自治体において適切な対応が図られるべきと思っている。
 以上のような原則のもとに、地方公共団体が自主的な取組を適切に行うことについて必要があれば助言を行ってまいりたい。

(臨時・非常勤職員等の雇用安定・労働条件改善について)
 地方自治体において自主的に取り組まれるべきことと思う。地方自治体の理事者、職員団体でよく意思疎通を図り、臨時・非常勤職員の雇用の安定に適切に取り組んでいただきたい。
 また、任期付短時間勤務職員制度の弾力化などについては、制度的な検討を行ってまいりたい。

(新たな高齢雇用施策の充実について)
 地方公務員の定年延長については、国家公務員の検討の動向や地方自治体関係者の意見を十分踏まえた上で、国に遅れることのないようその対応を検討してまいりたい。

(労働基本権確立を含む地方公務員制度改革について)
 4月5日の国家公務員制度改革推進本部において、「改革の全体像」が決定され、その中で、「地方公務員の労働基本権の在り方については、地方公務員制度としての特性等を踏まえた上で、関係者の意見も聴取しつつ、国家公務員の労使関係制度に係る措置との整合性をもって、速やかに検討を進める」とされた。
 今後、総務省が中心となって進めていくこととなったので、関係者の皆様方から、適切な時期に十分に意見を伺いながら進めていきたいと思っている。



資料3−2011春季生活闘争に関わる公務員連絡会の声明

声  明

(1) 本日、公務員連絡会は、総務大臣、人事院総裁と交渉を持ち、2011年春季要求に対する回答を引き出した。本年の回答交渉は、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及び福島第一原子力発電所の事故による未曾有の危機的状況の下で大震災対策を優先し、当初予定の3月23日の回答指定日を延期した上で行われたものである。
(2) 公務員連絡会は本年の春季生活闘争について、公務を巡る厳しい情勢のもとで、非常勤職員を含めた雇用の安定と処遇の維持・改善、超過勤務の縮減、段階的定年延長の意見の申出や労働基本権確立を含む自律的労使関係制度の実現などを最重要課題として位置づけ、取組みを進めてきた。また、国民の安心と安全を確保するための公共サービスの再構築をめざし、公務労協に結集して、公共サービスキャンペーンに取り組んできた。
(3) 本日の回答で総務大臣からは、@国家公務員の給与引下げについて理解が得られるよう話し合うことA国の出先機関改革に当たって雇用の確保に努めることB政府全体の超過勤務縮減に努めていくことC非常勤職員の処遇改善等について検討していくこと、などを確認した。
 人事院総裁からは、@大震災を踏まえ、今年は5月からの民間給与実態調査は行わないこととし、公務員連絡会の意見を聞いて判断すること、したがって今年は例年と異なる状況にあることを前提として、A給与勧告制度の意義及び役割を踏まえ、適正な公務員給与水準を確保するという基本姿勢に変わりはないことB非常勤職員については今後も必要な見直しを行っていくことC段階的に65歳まで定年年齢を延長する意見の申出をできるだけ早く行うこととし、申出に向けて交渉していくこと、などを確認した。
 本日の回答は、基本姿勢は示されたものの具体的で明確なものではないが、大震災により多くの国民が極めて困難な状況にあり、公務をめぐっても厳しい情勢が継続しているもとで、重い意味を持つものとして受け止め、今後の取組みを推進していかなければならない。
 非常勤職員の雇用や処遇の改善については、連合の最重点課題でもあり、公務員連絡会としても、これまでの取組みの成果を踏まえつつ、均等待遇の原則に基づく抜本的な改善を求めてきたが、総務大臣、人事院総裁のいずれも検討していく姿勢を示すにとどまったことから、さらに取組みを強化していく必要がある。
 段階的定年延長については、今後、定年延長に関わる給与を始めとする諸課題について人事院と十分交渉・協議し、われわれの要求に沿った意見の申出を行わせ、政府には速やかな法案提出を求めていかなければならない。課題が山積する中での厳しい対応となるが、定年延長が国・地方において同時に実施できるよう、全力で取り組むこととする。
(4) 以上のとおり、2011年春季要求をめぐる政府、人事院の回答は要求に直接応えたものとは言えない。しかし、大震災からの復旧・復興が求められる中で、春の段階の交渉の到達点として受け止め、諸課題の解決に向けて今後の取組みを一層強化していくこととする。
(5) 本日の回答内容について、各構成組織ごとに今後の取組みへの決意を固めるとともに、大震災被災者の支援、被災地の一刻も早い復旧・復興に向けて、全力を挙げてその役割を果たしていくこととする。
 また、国家公務員の総人件費削減措置の具体的検討に対しては、政府の誠実かつ責任ある対応を求め、自律的労使関係制度の法的措置、削減の必要性を含めた納得できる説明と合意を前提に、公務員連絡会・国公連合が一体となって取り組むものである。
 さらに、労働基本権確立については、5日、「国家公務員制度改革基本法に基づく改革の「全体像」について」(以下「全体像」という。)が決定され、非現業国家公務員に協約締結権を付与することにより団体交渉制度が整備される方向が示された。しかし、全体像では争議権や消防職員・刑事施設職員への基本権付与、地方公務員の取扱いなどが明確にされていないことから、引き続きその実現を迫りながら、関係法案の国会提出・成立に向けて、連合、公務労協に結集し、取組みを一層強化していかなければならない。

  2011年4月22日

公務員労働組合連絡会


以上