2011年度公務労協情報 47 2011年8月29日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

夏季・秋季要求をめぐり公務員連絡会幹事クラス交渉−8/29
−現給保障の廃止反対、定年延長の給与水準確保などを追求−
 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は本日13時30分から、2011年夏季・秋季における要求に関わり、人事院職員団体審議官と交渉を行った。
 冒頭、大塚副事務局長が「8月9日に総裁に『2011年夏季・秋季における要求書』を提出したので、現時点での中間的な回答を示していただきたい」と審議官に求めたのに対し、根本審議官は現段階における検討状況について次の通り回答した。

1 民間給与実態調査等について
 今年の民間給与実態調査は、東日本大震災の影響により例年より遅れて、6月24日から8月10日までの期間で、被害のとくに大きい岩手県、宮城県及び福島県に所在する事業所を除いて実施した。調査は特段の支障なく終了し、現在集計中である。
 公務員連絡会からは「給与改定勧告は行わないこと」との要求をいただいているところであるが、人事院としては、公務員の給与等の適正な水準を確保するため国会・内閣に必要な勧告を行うという、国家公務員法に定められた責務があり、引き続きその責務を着実に果たしていくこととしたい。

2 労働諸条件の改善について
(1) 労働時間の短縮について
 現在、政府全体として在庁時間縮減に取り組んでいるところであり、人事院としても、各府省において勤務時間管理を徹底するとともに、幹部職員が自ら率先して早期退庁に努めるなどにより、不必要な在庁時間を削減する取組みが必要と考えている。今後とも関係機関と連携して一層の超過勤務の縮減が図られるよう努めていきたい。
(2) 男女平等の公務職場の実現について
○ 本年1月に改定した「女性国家公務員の採用・登用の拡大等に関する指針」に基づき、各府省は平成27年度までの5カ年計画を策定し実施することとなっている。人事院としては、各府省において実効性のある取組みが進むよう、各府省全体の目標とともに部局等において具体化を図るよう指針で示したほか、本年2月に各府省人事担当課長からなる「女性国家公務員の採用・登用拡大推進会議」を開催し、指針の周知、徹底を図ったところである。今後とも、各府省の取組みをフォローアップしつつ、必要な指導・助言を行っていきたい。
○ 両立支援については、男性の育児参加休暇(平成17年1月)、育児介護のための早出遅出勤務(平成17年2月)、育児のための短時間勤務制度(平成19年8月)、夫婦が同時に育児休業を取得できる制度(平成22年6月)等を導入し、また本年4月から、一定の非常勤職員について、育児休業を取得できる制度等を導入した。人事院としては、これらの両立支援制度がより活用されるよう、各府省の着実な取組みを促していきたいと考えている。
○ 男性の育児休業の取得率の数値目標については、「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)等において、平成32年までの目標を13%としており、人事院としては、今述べたような取組みを通してこの目標の達成を支援していくこととしたい。また、短期の育児休業取得者に対する期末手当の取扱いについては、現在、検討を行っているところである。なお、これについては7月に厚生労働大臣等から要請があった。
(3) 福利厚生施策について
 心の健康づくりに関しては、「職員の心の健康づくりのための指針」(平成16年3月発出)を基本として総合的に対処しているところであり、本年は、女性医師による相談室を増設し、研修教材の改定などを行ったところである。
 また昨年改定した「円滑な職場復帰及び再発の防止のための受入指針」に基づく「試し出勤」については、各府省に周知し、活用を促すなど復職支援施策の着実な推進を図っている。
 人事院としては、これからもより一層の各府省の心の健康づくり対策の支援を行っていく所存である。
 精神障がいの公務災害認定については、民間の状況を踏まえ、必要な対応をしていきたい。

3 新たな高齢期雇用施策について
(1) 定年年齢の引上げについて
 人事院は、平成25年4月から3年に1歳ずつ定年年齢を引き上げ、平成37年4月には65歳定年とするための意見の申出を、本年の人事院勧告と同時に行うことを目途に、現在検討を進めており、引き続き皆さんと協議しながら検討していきたい。
(2) 60歳を超える職員の給与について
 60歳超職員の給与については、60歳に達した日の属する年度の翌年度から、民間企業従業員の所得水準等を踏まえつつ、職員の職務と責任を考慮して、60歳前の年間給与の70%水準となるよう設定する。
 @俸給
  俸給月額については、個々の職員の60歳前の俸給月額に一定割合を乗じて得た額とする。60歳超職員は昇給しないものとする。
 A諸手当
  諸手当は、基本的に60歳前の職員と同様の手当を支給する。俸給月額が算定基礎となる手当等については、支給額が変更となる。特別給については、年間給与でみて60歳前の70%となる中で、年間支給月数3.00月を予定する。
 B特例定年が適用される職員について
  現行の特例定年が適用される職員については、職員全体の定年年齢が当該職種の特例定年と同一となる生年月日の職員から、60歳超職員に適用される給与を支給することとし、それより前の生年月日の職員については、一定の経過措置を講ずることとする。
(3) 定年前短時間勤務制度について
○ 健康上の理由や職員の希望する人生設計上の理由に基づく多様な働き方を可能とするため、60歳以降の職員が希望する場合、通常より短い勤務時間で勤務させることができるよう措置する。
○ 定年前短時間勤務職員の俸給月額等については、60歳超のフルタイム勤務職員の給与水準を勤務時間に応じて按分したものとする。
(4) 役職定年制について
○ 計画的な人事管理を通じて組織活力の維持及び公務の能率的運営の確保を図るため、当分の間の措置として、本府省の局長、部長、課長等について役職定年制を導入する。地方支分部局の長、部長等については、各府省における新陳代謝の必要性に応じて適用対象とする。
○ 役職定年は60歳とする。
○ ただし、役職定年による異動により職務の継続的遂行に重大な障害が生ずると認められる場合には、人事院の承認を得て、引き続き職務に従事させることができることとする。
○ なお、役職定年により異動することとなる職員については、下位のポストへの異動と、異動後のポストにおける60歳超の俸給月額が適用されることによる二重の給与水準の引下げとなるため、一定の特例措置を講ずることとする。
(5) 60歳以降の働き方に関する意向聴取について
 60歳以降の働き方について、職員の意向を任命権者が聴取するよう措置する。意向聴取の具体的時期、意向聴取に当たって留意すべき事項などについては、今後、皆さんと議論しながらさらに検討して参りたい。
(6) 再任用制度について
○ 再任用制度は、定年の段階的引上げ期間中における、定年退職後65歳までの間の雇用確保措置として、平成38年3月31日まで存置する。
○ 再任用職員の給与については、定年延長者との均衡を図ることとする。
(7) 退職手当、定員、共済について
 退職手当、定員、共済に関し、定年延長を実現していく上で対応が必要となる事項については、引き続き制度官庁との議論を進め、適切に措置が講じられるよう求めて参りたい。
(8) その他
 加齢に伴い就労が厳しくなる職務に従事する職員の取扱いについては、引き続き関係府省と議論を進める。

4 非常勤職員制度等について
 非常勤職員制度については、「非常勤職員給与のガイドライン」を定め、昨年10月には期間業務職員制度を導入したところであり、各府省において適切な運用が図られるよう人事院として役割を果たしていきたいと考えている。今後も引き続き皆さんをはじめ関係各方面からの要望、民間の状況等を踏まえ、必要な検討をして参りたい。

5 民間企業の退職金調査について
 民間企業の年金及び退職金の実態調査については、政府からの調査実施の要請を受けて、職員の給与等を担当する専門機関として調査を実施する方向で検討を行うこととしたいと考えている。調査を実施する場合には、皆さんからの意見も伺いながら適切に対処して参りたいと考えている。

6 50歳台職員の給与の見直しについて
○ 50歳台後半層における官民の給与差を是正するため、昨年の勧告において、俸給及び俸給の特別調整額の1.5%を減じたところであるが、高齢層、とくに50歳台後半層においては、昨年の勧告実施後も、官民の給与差がなおも相当程度残っており、早期に是正する必要があると考えている。
○ このため、高齢層職員の公務員給与を高止まりさせる要因となっている給与構造改革における経過措置について、給与構造改革の施策の導入・実施が平成22年度をもって終了していることを踏まえ、来年4月から廃止に向けた措置を開始することとし、本年勧告に盛り込みたいと考えている。なお、廃止措置の具体的内容については皆さんの意見も聞きながら引き続き検討を進めていくこととしたい。

 これに対し公務員連絡会側は、「国家公務員給与については、政府との交渉で合意し、すでに法案が国会に提出されており、給与改定勧告は必要ないというのが公務員連絡会の本年の要求だ。民間や国公の給与実態については、勧告はしないという前提でいくつか伺いたい」などとし、次の通り、審議官の見解を質した。
1 民間給与実態調査等について
○ 特段の支障なく終了したとのことであるが、調査対象事業所について、どの程度の実施率になったのか。またここ数年の傾向と比べてどうか。
○ 国公実態については、昨年と異なり、社会保険庁の廃止といった大きな変更はないが、新採抑制や天下りの廃止で、平均年齢や給与水準が多少上昇していることが想定されるが、どのような状況か。
○ 民間実態と国公実態が把握されていれば、勧告はしないとしても官民較差の数値はでてくることになり、また地方公務員については人事院の調査結果も見ながら各人事委員会が勧告することになる。調査の状況を踏まえたときに、月例給、一時金について、プラス方向なのか、マイナス方向なのか、現時点の感触を教えていただきたい。
○ 本年は、諸手当について、交通用具使用者の通勤手当と、45時間から60時間の超勤割増率を調査しているが、地方での対応もあるので、是非前広に集計結果を示してもらいたい。

2 労働諸条件の改善について
(1) 労働時間の短縮について
○ 本府省の在庁時間削減の取組みについては、春の段階で、政府として検討中であることや、人事院としては必要と考えているとの見解が表明されていた。その後、東日本大震災があり、中断されたことはやむを得ないと考えるが、まさに震災対策で相当業務量が増えている実態にある。だからこそ、在庁時間をきちんと把握しその削減に努めることが重要だ。現在の取組み状況はどうなっているのか。
○ 昨年の調査では、他律的業務に関わる超勤上限目安時間720時間を超えていた職員は4,000人弱おり、各府省からヒアリングし指導したということを聞いているが、その後の取組状況はどうなっているのか。春の交渉でも申し上げたが、超勤縮減には事前命令の徹底が重要だ。
(2) 男女平等の公務職場の実現について
○ 女性の採用・登用拡大指針について、目標の設定を部局ごとにするなど実効性の確保を図れるように改めたことは評価しているが、問題は現実に拡大が実現するかだ。各府省の人事担当者の取組みが重要であり、きめ細かな指導、助言に取り組んでもらいたい。
○ 公務における両立支援策については、制度的にそれなりに整備されていると考えているが、問題は必要なときにそれを活用できるかどうかだ。職場の仲間に迷惑をかけるのではないかという心配から、活用されない実態があるのでないか。とくに男性の育児休業取得率は1%程度であり、一向に改善されていない。2020年男性取得率13%をめざして各府省の着実な取組みを促すというのであれば、具体的にどのように取り組んでいくのか、ロードマップを作るべきではないか。
(3) 福利厚生施策について
○ 福利厚生施策関係では、メンタルヘルス対策を強化していく必要があるが、職場、つまり各府省における取組みが一番重要だ。管理職を中心として、一体どのような対応が必要なのかについて十分な認識を深める必要がある。総務省でも管理職に対する研修を行っているが、人事院としても取組みを強めてもらいたい。また女性医師による相談は霞ヶ関の話だと思うが、地方でも同様の取組みを進めるべきだ。
○「心の健康づくり対策推進のための各府省連絡会議」が1月に開催されており、年2回という話だったが、もう開催したのか、またどのような議論がなされているのか。

3 非常勤職員制度等について
○ 非常勤職員の給与ガイドラインの遵守状況について、昨年は一部で満たしていないところがあったが、現時点ではどうなっているのか。そうしたところが残っているとすれば厳しく指導し、直ちに是正させるべきだ。
○ 期間業務職員制度についてはまもなく1年になる。運用してきた中で問題を生じていないかどうかチェックし、雇用の安定と処遇の改善が図れるように努めてもらいたい。
○ 非常勤職員についても、「均等待遇の原則」に基づくことが基本であり、法制上明確にすることを求めてきたが、実現していない。まだまだ問題は残っているので,今後も非常勤職員制度の改善に向けた検討を進めてもらいたい。

4 民間企業の退職金調査について
 民間企業の年金、退職金の調査については、まずは調査票の設計を含めた調査の在り方から、十分交渉・協議を行い、合意に基づいて調査を進めてもらいたい。また、結果の公表、見解表明についても十分交渉・協議させてもらいたい。

5 50歳台職員の給与の見直しについて
 現給保障は給与カーブの大幅な見直しに伴う措置であり、最後まで堅持すべきだ。廃止は絶対に反対である。

 これに対し、根本審議官は、次の通り答えた。
(1) 民調実施状況については、昨年は89.7%と、近年は90%程度で推移している。今年も同程度は確保できる見込みである。
 国公実態については、現在、最終的な取りまとめを行っている。
 官民較差については、現段階では何とも言えない。本年の民間企業における春季賃金改定状況についてみると、現時点の各種調査では、昨年とほぼ同程度の状況にある。
 一時金については、各種調査によると、民間の昨年冬のボーナスは対前年比で増加となっているものが多かったが、対前年比マイナスのものも見られる。今年の夏は、対前年比プラスとなっているものがある一方、連合の月数比較ではマイナスとなっている。さらに、大震災の影響もあり、今の段階では何とも言えない。
 諸手当については、民間の状況、公務の実態等を踏まえ、対応して参りたい。
(2) 本府省の在庁時間削減の取組みについては、震災の影響で中断があったのは事実だが、現状では各府省において目標を定め削減に努めるとともに、人事院としても調査をしながら削減に向け取り組んでいるところである。
(3) 超勤上限目安時間の遵守に関わる取組みについては、春の段階の回答と変わってはいない。事前の超勤命令を行うよう各府省を指導してもらいたいという要望は承っておく。
(4) 公務における両立支援策については、制度を設けるということだけでなく、適切な運用を図っていくことが大切であると考えている。また、男性の平成32年育児休業取得率13%という目標に向かって皆さんの知恵を伺いながら取り組んでいきたい。
(5) 心の健康づくりに関しては、ご指摘の通り、本年、女性医師による相談室を設けたのは霞ヶ関においてであり、現在1人配置している。地方においても同様の取組みをという要請であるが、地方では、相談に来る人が多いところとそうでないところがあり、まだまださらにやらなければならないことも多々ある。まずは、相談をしてくれるよう、研修等を通じ、PRしていかなければならないと考えている。
  「心の健康づくり対策推進のための各府省連絡会議」については、研修教材の改定の説明を行うため、6月に2回目を実施したところである。
(6) 非常勤職員の給与ガイドラインの遵守状況については、まだ若干満たしていないところがある。人事院としては指導しているが、予算との関係もあり、来年度に向け対応していきたい。期間業務職員については、とくに制度上の大きな問題の指摘は受けていない。
(7) 民間の年金・退職金調査については、政府からの調査実施が要請されたばかりで、調査を実施する方向で検討しているが、調査方法や結果の公表等についてはこれからの話である。


 審議官の回答に対し公務員連絡会側は、「給与に関して、今年は政府と組合で基本権付与を先取りして交渉・合意しているので労働基本権制約の代償措置である人事院勧告を行う必要はない」ことを重ねて要求するとともに、「現給保障の廃止は断固反対」「定員削減が続いている中、とくに国会対応や総務関係などで超勤実態が相当厳しい状況にあり、在庁時間の管理、個々の指導を強力に行ってもらいたい」「本年民調で岩手県・宮城県・福島県を対象から外していることから地域別民間給与較差における東北ブロックの数字は慎重に対応してもらいたい」などと、再度強く要請した。

 続いて公務員連絡会は、新たな高齢期雇用施策(定年延長)について、以下の通り質した。
(1) 60歳を超える職員の給与について
○ 60歳超の職員の給与について、これまで示されてきた職務の級ごとに単一の額を設定するという考えに代えて、きょうの提案では「個々の職員の60歳前の俸給月額について一定割合を乗じる」とのことだが、再任用ではなく定年延長の場合、仕事、役職は変わらないので、この方が適当と考えるが、検討させてもらいたい。
○ いずれにしても、60歳超の給与水準について、60歳時点の8割を確保すべきことを改めて要求する。人事院は、民間の60歳台の役職段階が50歳台後半と同じという仮定の上に立って、それが7割だと言っているが、民間において60歳台の役職段階が50歳台後半と同じだという証拠は何も示されていない。また、高齢者の雇用を継続する場合、民間労働者に対しては75%を下回った場合に給付金が支払われる。こういう国の政策との整合性を考えれば、8割の給与水準を確保するというのは当然の要求ではないか。
○ 特例定年の場合の給与についても、特例定年までは何のメリットもないのに引き下げるというのは納得できない。給与水準の高い医師や本府省の指定職は下げない、他方、給与水準の低い労務職員は下げるというのでは不公平だ。経過措置ではなく特例定年までは給与水準を維持してもらいたい。この点は改めて強く要求する。
(2) 定年前短時間勤務制度について
 再任用者と異なって年金が一切支給されないので、生活するのに必要な収入が確保できるよう、60歳時点と同じ職務の級のポストを用意することを基本として対応してもらいたい。
(3) 役職定年について
 地方においては、本府省課長相当以上の役職以外は役職定年を適用すべきでないと考えているので、これに基づいて検討してもらいたい。
(4) 60歳以降の働き方に関する意向聴取について
 退職、降任・降格、短時間勤務を強制する場とならないように手続きや苦情処理も合わせて整備してもらいたい。
(5) 再任用制度について
○ 現行の再任用制度については、この際、義務化すること、及び2〜3級の短時間勤務中心ということではなく、上位級、フルタイムが拡大できるよう努力願いたい。
○ また、「給与について、定年延長者との均衡を図る」とのことだが、現在の再任用者の給与水準にも合理性があっていまの水準となっている。60歳超の給与水準をわれわれの要求を踏まえて設定すれば下げる必要はないので、そういった観点から検討してもらいたい。
(6) 退職手当、共済、定員の課題について
 公務員連絡会としては人事院にも具体的な考え方を要求しているので、それに基づいた対応を制度官庁に求めてもらいたい。
(7) その他
 加齢に伴い就労が厳しくなる職務に従事する職員の取扱いとして、刑務官や航空管制官、海上保安官等について議論をしているということであったが、どのような方向になりそうなのか。

 これに対し審議官は、以下の通り、回答した。
(1) 60歳超の給与水準について、8割確保との要望は承っておく。
(2) 特例定年が適用される行(二)労務職員の給与について、人事院としては、他の特例定年が適用される職員も含めて60歳を過ぎたら、60歳前の年間給与の70%水準とすることを原則としたい。一定の経過措置については、意見交換をしながら設けていきたい。
(3) 定年前短時間勤務については、本人の同意があった上でのものであり、当局と職員が実りある意見交換ができるように考えていきたい。意向聴取の仕組みについては、意見の申出後の議論になると思うが、皆さんと話し合いながら検討していきたい。
(4) 役職定年により異動した職員等の給与については、大幅引下げとなるので、人事院として検討した結果、特例措置を講じることとしたい。
(5) 退職手当や共済、定員の課題については、具体的な中身は意見の申出がなされた後で皆さんと意見交換しながら、制度官庁にも求めていきたい。
(6) 加齢に伴い就労が厳しくなる職員に従事する職員の取扱いについて、基本的には65歳まで原則すべての人が働けるよう仕組んでいく方向で、それが可能かどうか関係府省と検討しているところである。

 審議官の回答を受け、公務員連絡会側は、実効ある新たな定年前短時間勤務制度の確立などを重ねて求めるとともに、「指定職等を特例扱いする一方で行(二)労務職員の特例定年までの給与引下げを行うことは絶対に認められない」ことを重ねて追及した。
 以上のように審議官が具体的で明確な見解を示さなかったことから、最後に、大塚副事務局長が「今日の回答は、われわれの要求を十分受けとめた内容になっておらず、極めて遺憾である。改めて本年は現給保障の廃止を含め給与改定勧告を行う必要はないこと、定年延長の意見の申出に向けては本日要請した内容を盛り込むことを重ねて要求する。局長との交渉では、われわれの要求を踏まえた具体的な回答を示してもらいたい」と強く要請し、本日の交渉を終えた。

以上