2011年度公務労協情報 48 2011年9月13日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

夏季・秋季要求で人事院職員福祉、給与局長と交渉−9/13
−「現給保障廃止」の撤回、60歳超給与の8割水準確保等を追求−
 公務員連絡会書記長クラス交渉委員は本日、2011年夏季・秋季における要求に関わり、人事院職員福祉局長および給与局長と交渉を行った。
 交渉の中で、給与局長は、給与勧告を行うべく作業を進めていることや、現給保障については廃止を勧告する意向を改めて表明するとともに、定年延長の意見の申出を勧告と同時に行うことを明らかにした。
 職員福祉局長からは、超過勤務の縮減について、在庁時間削減の取組みに協力していくことや男性の育児休業取得目標の達成を支援していくとの回答が示された。
 公務員連絡会は、本日開催した企画調整・幹事合同会議で、給与改定勧告を行わせないことを基本としつつ、@現給保障の廃止提案については反対の立場でその撤回を求めていく、A定年延長の意見の申出に向けては、60歳時点の給与の8割水準確保や行政職(二)労務職員等特例定年までの現行俸給月額の適用などをさらに追求するなど、要求の実現をめざし交渉・協議を強めていくことを確認した。
 人事院職員福祉局長、給与局長との交渉経過は次の通り。

<人事院職員福祉局長交渉の経過>
 人事院桑田職員福祉局長との交渉は、午後13時30分から行われ、公務員連絡会側は書記長クラス交渉委員が臨んだ。
 冒頭、吉澤事務局長が「8月9日に総裁宛の要求を提出し、8月29日には職員団体審議官と交渉を積み上げてきたので、今日はわれわれの要求に即した回答をお願いしたい」と局長の見解を求めたのに対して、桑田局長は、以下の通り回答した。

1.労働時間の短縮について
 超過勤務の縮減については、これまで政府全体として在庁時間縮減に取り組んでいるところであり、本年度においても引き続きその取組がなされている。人事院としても、各府省において、勤務時間管理の徹底、幹部職員の率先した早期退庁などにより不必要な在庁時間削減の取組を進めることが必要と考えており、今後ともその取組に協力していくとともに、関係機関と連携して超過勤務の縮減がより図られるよう努めていきたい。
なお、在庁時間調査によると、平成21年度の在庁時間は週当たり12時間程度となっており、平成20年度に比べて1時間程度減少している。

2.男女平等の公務職場の実現について
 人事院は、本年1月に「女性国家公務員の採用・登用の拡大等に関する指針」を改定し、各府省が平成27年度までの5か年の計画を策定し実施するにあたり、実効性のある取組が進むよう、各府省全体の目標とともに、部局等の適切な区分において具体化を図るよう指針で示したところである。また、本年2月には各府省人事担当課長からなる「女性国家公務員の採用・登用拡大推進会議」を開催するなど、指針の周知、徹底を図ったところであり、今後とも、各府省の取組をフォローアップしつつ、必要な指導・助言を行って参りたい。
 仕事と育児の両立支援については、男性の育児参加休暇(平成17年1月)、育児介護のための早出遅出勤務(平成17年2月)、育児のための短時間勤務制度(平成19年8月)、夫婦が同時に育児休業を取得できる制度(平成22年6月)等を導入し、また、本年4月から、一定の非常勤職員について、育児休業を取得できる制度等を導入したところである。
 人事院としては、これらの制度がより活用されるよう、制度紹介パンフレットの作成・提供、また、「仕事と育児・介護の両立支援に関する連絡協議会」や制度説明会において、育児休業制度の内容をはじめとする両立支援制度の周知等を図ることにより、引き続き各府省における両立支援の取組を推進していきたいと考えている。
 男性の育児休業の取得率の数値目標については、「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)等において、平成32年までの目標を13%としており、人事院としては、今述べたような取組をとおして、この目標の達成を支援していくこととしたい。
 なお、短期の育児休業取得者に対する期末手当の取扱いについても、現在、検討を行っているところである。

3.福利厚生施策について
 心の健康づくりに関しては、「職員の心の健康づくりのための指針」(平成16年3月発出)を基本として総合的に対処しているところであり、本年は、女性医師による相談室の設置、研修教材の改定などを行ったところである。
 また、昨年改定した「円滑な職場復帰及び再発の防止のための受入方針」に基づく「試し出勤」について、各府省に周知し、活用を促すなど復職支援施策の着実な推進を図っている。  このほか、「心の健康づくり対策推進のための各府省連絡会議」を本年1月に設置し、本年6月に第2回会議を開催したところである。
人事院としては、引き続き心の健康づくり対策の充実に取り組んでいく所存である。
精神障がいの認定基準の見直しに関しては、民間の動きも注視し、必要な対応をして参りたい。
 また、パワー・ハラスメントに関し、本年7月にアンケート調査を行ったところであり、今後、その調査結果を踏まえ、パワハラ防止の検討を深めていきたい。

4.非常勤職員制度等について
 非常勤職員制度については、「非常勤職員給与のガイドライン」を定め、昨年10月より日々雇用職員制度に代わり新たに期間業務職員制度を設けたところである。
 人事院としては、こうした制度が各府省において適切に運用されるよう引き続き役割を果たしていくとともに、皆さんをはじめ関係各方面からの要望、民間の状況等を踏まえ、必要な検討をして参りたいと考えている。

 これらの回答に対して、吉澤事務局長は次の通り局長の見解を質した。
(1) 超過勤務について、2009年度は前年度と比較したとき在庁時間が1時間ほど減少したとのことだが、超過勤務について様々な施策を講じたにもかかわらず超勤実態は増えている。昨年の実態はどうなっているのか。
(2) 超過勤務が特に多い職員についてどのように対応していくつもりか。そもそも、超過勤務を抑制していくという意識改革が必要だ。昨年4月からの60時間超の超勤割増し率の引き上げ後、変化はあったか。
(3) 超勤実態の調査結果を踏まえ、たとえば昨年実態から30時間マイナスとするなど明確な目標を設定して取り組むべきだ。震災対応で超過勤務が爆発的に増えているのではないか。恒常的業務を減らさないともたない。特に、若い職員に超過勤務を押しつけるようなことのないよう、しっかりと超過勤務対策に取り組んでいただきたい。
(4) 男女平等の公務職場の実現について、男性の育児休業取得の目標を2020年までに13%としているが、現在1.6%であり、あまり時間はないが具体的にどう実現していくつもりか。男性の育児休業取得目標の実現に向けては、腰を落ち着けた議論ができるよう検討してもらいたい。

 これらに対し、桑田局長は以下の通り答えた。
(1)昨年の超勤実態については、720時間超を含めて現在まとめている段階だ。平成20年度234時間、平成21年度239時間となっており、ご指摘のとおり明確に減っているという状況ではない。超過勤務時間が明確に減少していないのは、災害の発生や新内閣に変わっての引き継ぎ等、様々な出来事も影響しているのではないか。超過勤務は超過勤務命令に基づき行われており、手続きは踏んでいる。
(2)720時間超の超過勤務を行った職員については、平成20年度3918人、平成21年度3778人で比率はともに1.8%となっており、明確な変化は見られない。平成21年2月に「超過勤務の縮減に関する指針」を改定し、720時間の他律的業務にかかる上限目安時間を設定したことに加え、平成22年4月に月60時間超の超勤について割増し率を引き上げるとともに、超勤代休制度を導入した。本年2月には超勤指針のフォロ−アップを行い、超勤が多い主要な5省庁について状況、業務の種類、健康診断、面接指導の状況などについて調査したところ、健康への問題(心臓、脳疾患、精神疾患)につながりかねないとの問題意識をもっていることがわかった。超過勤務の多い要因としては、他律的業務があり、その中身は地球温暖化対策や経済対策、緊急業務、国会、予算関係などである。また、健康という観点から、臨時の健診を実施しているケースが多数見られた。面接指導については職員が希望するということになっており、職員が希望するケースは少ないため、管理職員から面接指導の受診を指導するよう人事院としても健康管理の徹底について指導助言を行っていきたい。  フォローアップを通して、超過勤務縮減の取組みについて、職員、当局の意識が確実に高まっていると肌で感じている。したがって、本年も昨年と同様に政府全体として在庁時間削減に取り組むこととする。
(3) 震災対応で超過勤務が増えているという事実は認識している。引き続き、超過勤務縮減について取組みを行っていきたい。
(4) 次世代育成支援対策推進法では、「特定事業主は、毎年少なくとも一回、特定事業主行動計画に基づく措置の実施の状況を公表しなければならない」とされている。各府省の特定事業主行動計画についてフォローアップし、男性の育児休業取得率向上に向けて取組みを続けていきたい。また、男性の取得が進まない理由として 育児休業中は収入が少なくなることや、同僚など周囲に迷惑がかかるということが挙げられていることから、総務大臣、厚生労働大臣、男女共同参画大臣から人事院に要請されている男性職員の育児休業取得促進に向けた期末手当にかかる改善について検討するとともに、制度周知や取得できる雰囲気づくりに努めていきたい。

 最後に、吉澤事務局長が「今日はメンタルヘルス対策の強化については議論できなかったので、これを含めて、総裁から改めて明確な回答を伺いたい」と要請し、本日の交渉を締めくくった。

<人事院給与局長交渉の経過>
 人事院尾西給与局長との交渉は、14時から行われた。
 冒頭、吉澤事務局長が「8月9日に提出した要求書に対する現在の検討状況と、定年延長について内容に変更があった点を中心に議論させてもらいたい」と求めたのに対して、尾西局長は以下の通り回答した。

1.給与勧告について
(1) 給与勧告の実施について
 人事院としては、公務員の給与等の適正な水準を確保するため国会・内閣に必要な勧告を行うという国家公務員法に定められた責務を着実に果たすこととしている。本年の勧告については、今月中を目途に行えるよう、現在、鋭意作業を進めているところである。
(2) 官民較差について
 今年の民間給与実態調査は、東日本大震災の影響により、例年より遅れて6月24日〜8月10日までの期間で実施したが、完了率は例年並みの水準を確保するなど、滞りなく終了した。
 本年の国公実態においては、高齢層での退職者の減少、新規採用の抑制等の影響によって、行(一)職員の平均年齢は昨年と同程度の伸びを示しており、平均給与額も上昇している。
 官民較差については、現在集計中であり、現段階では何とも言えないが、本年の民間企業における春季賃金改定状況についてみると、各種調査では、昨年と同程度の状況にあり、他方で公務員給与が上昇していることから、マイナスとなる可能性は高いと思われる。
 また、一時金についても、現在集計中であるが、各種調査によると、民間の昨年冬のボーナスは対前年比で増加となっているものが多かったが、対前年比マイナスのものも見られる。今年の夏は、対前年比プラスとなっているものがある一方、連合の月数比較ではマイナスとなっている。さらに、大震災の影響もあり、今の段階では何とも言えない状況である。
(3) 50歳台職員の給与の見直しについて
 50歳台後半層における官民の給与差を是正するため、昨年の勧告において、俸給及び俸給の特別調整額の1.5%を減じたところであるが、高齢層、特に50歳台後半層においては、昨年の勧告実施後も、官民の給与差がなおも相当程度残っており、早期に是正する必要がある。
 このため、給与構造改革における経過措置について、平成24年4月から5割を削減することとし、平成25年4月に残りの額を削減することをもって廃止することとしたい。
 なお、これによってもなお50歳台職員の給与は民間より相当高いところであり、来年以降50歳台職員における昇格、昇給の在り方などについて検討していきたい。
(4) その他
 民間における産業構造の変化や組織形態の変化に対応して、「職種別民間給与実態調査」の対象となる産業や職種(役職)、官民比較における対応関係の見直し等について、来年の勧告に向けて、見直し・検討を行っていきたい。この見直しについて勧告時の報告で述べる予定である。

2.新たな高齢期雇用施策について
 人事院としては、来るべき本格的な高齢社会において公務能率を確保しながら職員の能力を十分活用していくためには、年金支給開始年齢の引上げに合わせ、定年年齢を段階的に65歳まで延長することが適当と考えている。また、その場合の制度設計においては、民間企業における雇用継続の実情を勘案し、公務における60歳台前半の給与水準について、60歳台前半の民間企業従業員の所得水準を踏まえつつ、職務と責任も考慮して設定する必要があると考えている。このような基本的な考え方に基づいて、本年の給与勧告と同時に意見の申出を行うこととしたい。  意見の申出の具体的な内容は次のとおりである。
(1) 定年年齢の引上げについて
 平成25年4月から3年に1歳ずつ定年年齢を引き上げ、平成37年4月には65歳定年とする。
(2) 60歳を超える職員の給与について
 60歳超職員の給与については、60歳に達した日の属する年度の翌年度から、60歳前の年間給与の70%水準となるよう設定する。
 @ 俸給
 俸給月額については、個々の職員の60歳前の俸給月額に一定割合を乗じて得た額とする。また、60歳超職員は昇給しないものとする。
 A 諸手当
 諸手当は、基本的に60歳前の職員と同様の手当を支給する。ただし、俸給月額に応じて手当額を設定している手当については、60歳前の手当額に一定割合を乗じて得た額を基本に、60歳超の手当額を設定する。
 特別給については、現時点では年間支給月数を3.00月とすることを考えている。
 B 特例定年が適用される職員について
 現行の特例定年が適用される職員については、職員全体の定年年齢が当該職種の特例定年と同一となる年度生まれの職員から、60歳超職員に適用される給与を支給することとし、それより前の年度生まれの職員については、一定の経過措置を講ずることとする。
(3) 定年前短時間勤務制について
○ 多様な働き方を可能とするため、60歳以降の職員が健康上の理由や職員の人生設計上の理由に基づいて希望する場合、通常より短い勤務時間で勤務させることができるよう措置する。 ○ 定年前短時間勤務職員の俸給月額等については、60歳超のフルタイム勤務職員の給与水準を勤務時間に応じて按分したものとする。
(4) 役職定年制について
○ 計画的な人事管理を通じて組織活力の維持及び公務の能率的運営の確保を図るため、当分の間の措置として、本府省の局長、部長、課長等について役職定年制を導入する。地方支分部局の長、部長等については、各府省における新陳代謝の必要性の応じて適用対象とする。
○ 役職定年は60歳とする。
○ 役職定年による異動により職務の継続的遂行に重大な障害が生ずると認められる場合には、人事院の承認を得て、引き続き職務に従事させることができることとする。
○ 役職定年により異動することとなる職員の給与については、役職定年後に受けることとなる俸給月額が、役職定年前に受けていた俸給月額に一定割合(60歳超職員の俸給月額に乗じる割合と同一)を乗じた額に達しないときは、その差額を俸給として支給する。
ただし、役職定年前に受けていた俸給月額に一定割合を乗じて得た額が、役職定年後の職務の級の最高号俸の額を上回る場合には、最高号俸の額と役職定年後に受けることとなる俸給月額との差額を俸給として支給する。
(5) 60歳以降の働き方に関する意向聴取について
 60歳以降の働き方について、職員の意向を任命権者が聴取するよう措置する。意向聴取の具体的時期、意向聴取に当たって留意すべき事項などについては、今後、更に検討していくこととする。
(6) 再任用制度について
○ 再任用制度は、定年の段階的引き上げ期間中における、定年退職後65歳までの間の雇用確保措置として、平成38年3月31日まで存置する。
○ 再任用職員の給与については、定年延長者との均衡を図るため、現行の再任用職員の俸給月額が定年延長者に適用される最高額(最高号俸に一定割合を乗じた額)を上回る場合には、その最高額を再任用職員の俸給月額とする。
(7) 退職手当、定員、共済について
 退職手当、定員、共済に関し、定年延長を実現していく上で対応が必要となる事項については、引き続き制度官庁との議論を進め、適切に措置が講じられるよう求めていく。
(8) その他
 その他、加齢に伴い就労が厳しくなる職務に従事する職員の取扱いについては、引き続き関係府省と議論を進める。

3.民間企業の退職金調査について
 民間企業の年金及び退職金の実態調査については、政府からの調査実施の要請を受けて、職員の給与等を担当する専門機関として調査を実施することとしたい。皆さんからの意見も伺いながら適切に対処して参りたいと考えている。

4.その他
 内閣から本年6月に国会に提出された「国家公務員の給与の臨時特例に関する法律案」については、提出日に総裁談話を発表して人事院の考えを表明したところであるが、勧告時の報告でも改めて人事院の考え方を表明するよう検討している。
 国家公務員の給与改定において国の財政事情を考慮すべきではないかという議論があるが、それについての人事院の考え方を勧告時に表明するよう検討している。

 給与局長の回答を受けて、吉澤事務局長はまず「8月9日に総裁に要求書を提出した際、@2000年代後半以降、公務員の給与・勤務条件が厳しい視線に晒され、社会的・政治的に不安定であることに対して、お互いの立場、責任としてどのように対処していくべきなのか、A厳しい財政事情や東日本大震災を踏まえ、公務員連絡会としては労使で真摯に向かい合い、臨時特例的な措置としての国家公務員の給与引下げという苦渋の判断をしたが、人事院としてはどのように認識し、また対応するのか議論させてもらいたいと申し上げた。それに対し、総裁からも大変重要な問題であり、人事院としてもどうするべきか考え、人事院の答えられるスタンスを明示していきたいとの回答をいただいた。しかしそうした議論は何も行われていない中で、現給保障の廃止、50歳台職員の昇格、昇給の検討、民調の見直しなどが提起されることは理解できない」と述べ、給与局長の回答に対し遺憾の意を表明した。
 さらに、国家公務員給与については、政府との交渉で合意し、すでに法案が国会に提出されており、給与改定勧告は必要ないというのが公務員連絡会の本年の要求であることを改めて表明した上で、「給与については勧告はしないという前提で建設的な議論をさせていただく」とし、次の通り給与局長の見解を質した。
(1) 報告、意見の申出の時期であるが、9月の最終週と想定してよいか。
(2) 官民較差に関わって、今年の春闘結果等を勘案すると、月例給ではマイナスになる可能性が高いとのことだが、一時金についてはどのような状況か。
(3) 50歳台後半層の官民の給与差はどれくらいか。また現給保障を廃止すると、どれくらいの格差が解消するのか、客観的数値を示してもらいたい。
(4) 民間企業の退職金調査について、総人件費削減問題との関係が懸念されるところであるが、調査内容については、前回調査と同様と考えてよいか。また、調査結果に基づく取扱いについてもしっかり議論させてもらいたい。
(5) 定年延長について、公務員連絡会はアンケート結果等を踏まえて60歳超の給与水準について生活を維持するため8割を要求している。手当は60歳前と同様の支給を行うとのことだが、俸給と手当を合わせるとどれくらいの水準になるのか。また現在民間において定年延長になっているところは極めて少ないが、増えてきたとき、60歳超の給与水準について、見直しを行うのか。
(6) 行(二)労務職員など、なぜ特例定年なのかについての整合性のある説明がされていない。加えて定年延長により特例定年を受けている人だけが現行の給与が下がるというリスクを負わなければならないことは理解できない。行(二)労務職員など特例定年の場合の60歳超の俸給は経過措置ではなく現行水準を維持すべきだ。
(7) 役職定年制については、事務次官・外局長官級は適用せず新陳代謝の例外とし、一方では幹部職員の弾力化ということで部長から事務次官まで同一の職制段階とみなす法案が提出されていることとの整合性がない。役職定年を適用しない例外に人事院が承認するとのことだが、本府省は例外ばかりになってしまうのではないか。

これらに対して尾西局長は、次の通り答えた。
(1) 勧告日については、まだ決まっていない。
(2) 官民較差については、現在集計を行っており、現段階でお答えできる状況にはない。集計がまとまった段階でお示ししたい。
(3) 50歳台後半層の給与の官民の格差については、昨年、55歳超職員(行(一)5級以下等を除く)の俸給及び俸給の特別調整額の支給額を1.5%引き下げたことにより、公務員の50歳台後半層給与は下がったが、民間もさらに下がっている状況にあり、まだ相当差がある。
(4) 民間の退職金調査について、調査内容は前回同様で行うことを考えている。また調査結果についても議論させてもらう。
(5) 定年延長による60歳超の給与水準は、基本的に手当も含めて年収でみて70%水準であるが、具体的には次回お示ししたい。また60歳超の給与水準設定については、定年延長後も民間給与を把握し、必要な調整をしっかり行っていく。
(6) 現行の特例定年については、職員全体の定年の引上げにより吸収していくことが適当であると考える一方、皆さんからも意見をいただいており、次回に向けさらに検討したい。
(7) 役職定年制について、事務次官は組織のトップであり、役職定年を適用せず65歳まで務められることにしておくことがむしろ自然だと考えている。例外的取扱いについては、役職定年を60歳としつつ、極めて限定的なものとして考えており、現行法制度のもとでは定年を所管している人事院の承認を得ることとしている。また役職定年制は当分の間の措置であり、組織の新陳代謝を図りつつ、能力・実績に基づく人事管理への見直しの徹底、公務組織内外でその能力や経験を活用し得る条件が十分整った段階でなくしていく方向にあるものだ。

 これらの回答に対し、公務員連絡会側は「現給保障は給与構造改革の際の約束事であり、廃止は、地方公務員への影響も非常に大きく、絶対反対だ。廃止を勧告するとの提案は撤回すべきだ」と再度訴えた。また定年延長に関わっては、@60歳超の給与水準の8割確保A行(二)労務職員の60歳超から特例定年までの給与水準の維持を求めた上で、意見の申出後の国民の理解や国会の議論を念頭に丁寧な議論を行うよう強く要請した。
 最後に吉澤事務局長が「再度給与局長交渉を行い、先程述べた総裁との約束の議論をしっかりさせてもらいたい。また現給保障廃止提案の撤回、定年延長に関わる60歳超の給与水準や特例定年の問題をはじめ、その他の課題についても、われわれの要求を実現すべくさらに検討をすすめてもらいたい」と、次回の交渉時に残された課題について明確な回答を求めたのに対し、給与局長もこれに同意したことから、本日の交渉を締めくくった。

以上