2012年度公務労協情報 11 2012年2月9日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

地公部会が2012春闘期の要求について全人連に申入れ−2/8

 公務員連絡会地公部会は、8日13時30分から、2012春闘期の要求について、全国人事委員会連合会に対する申入れを行った。
 公務員連絡会側は、岡ア地公部会議長(全水道委員長)、氏家企画調整代表(自治労書記長)、藤川地公部会事務局長、地公部会幹事が出席し、全人連側は、関谷会長(東京都人事委員会委員長)はじめ、都道府県人事委員会のブロック代表および政令市の代表者が対応した。
 冒頭、岡ア地公部会議長は、要請書(別紙)を手交し、以下の通り要請の趣旨を述べた。
 現在、公務員連絡会・地方公務員部会は、連合に結集し全ての働く者の処遇改善に向け、春季生活闘争として努力している最中にある。国会では、国家公務員給与の臨時特例法案と国家公務員制度改革4法案が焦点となってきており、それとの関係で、地方公務員給与の扱いも議論となっている。しかし、地方公務員の給与については、逼迫する地方財政との関係で既に永年にわたり独自カットなどの努力がなされており、これ以上の引下げなどを認めるわけにはいかない。この様な諸状況からして、まさに、中立・第三者機関としての各人事委員会の位置と任務がますます大きくなってきていると認識している。従って、国会における国公と関連した地方公務員関係諸法案等の推移、並びにその結果をも含め、今後の各人事委員会と私達地公部会の真摯な交渉・協議が極めて重要となると考えている。引き続き貴職の努力をお願いしたい。
 続いて、藤川地公部会事務局長が要請書の主な課題について説明し、全人連としての努力を求めた。
 こうした地公部会の要請に対し、関谷全人連会長は以下の通り回答した。

<全人連会長回答>

平成24年2月8日


 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。早速、役員府県市を通じて、全国の人事委員会にお伝えします。
 さて、最近の社会経済情勢についてですが、去る1月17日に発表された月例経済報告において、政府は、景気の基調判断を、「東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している」とする一方で、先行きについては、欧州の政府債務危機の影響により景気が下押しされるリスクや、電力供給の制約、原子力災害の影響など、景気の悪化懸念が残っていることに注意が必要である、としています。
 また、先月、財務省が発表した貿易統計速報では、2011年の貿易収支は、31年ぶりに赤字となり、赤字額は過去2番目の大きさとなったとしています。東日本大震災による輸出の落ち込みと燃料輸入の急増という要因に加え、歴史的な円高や、海外における景気減速などの影響が指摘されています。
 こうした中、本年の春季労使交渉では、定期昇給の扱いが大きな争点になるものと見られ、今後の行方を注視する必要があると考えています。
 各人事委員会においては、こうした社会経済情勢も踏まえながら、本日の要請内容も含め、本年の勧告に向けた検討を進めていくことになろうかと思います。現在、人事院及び各人事委員会では、民間における給与実態を的確に把握できるよう、本年は、例年のスケジュールによる民間給与実態調査の実施へ向け、その準備を進めているところです。また、年金支給開始年齢の引上げが迫る中、新たな高齢期雇用施策が重要な課題であることから、国の動向も踏まえつつ、人事委員会として必要な検討を行ってまいります。
 公務員の給与を取り巻く環境は、大変厳しい状況にありますが、私ども人事委員会は、本年も中立かつ公正な第三者機関として、その使命を果たしてまいります。全人連といたしましても、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に十分努めていきたいと考えております。
 なお、現在、地方公務員の新たな労使関係制度に関する検討が進められているところですが、地方の公務員制度のあり方に大きな影響を及ぼす改革であることから、全人連といたしましても、引き続きその動向を注視し、必要な対応に努めてまいります。

(別紙)全人連への要請書

2012年2月8日



全国人事委員会連合会
 会 長 関 谷 保 夫 様

公務員連絡会地方公務員部会
議 長  岡 ア 徹



要 請 書

 貴職の地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 地方公務員の給与を巡っては、国家公務員給与の臨時特例法案と同様に地方公務員給与についても減額を行うべきだとする主張が、国会議論や一部マスコミによって報道されています。しかし、地方公務員の給与については、長年にわたり逼迫する地方財政の再建を理由に、職員の給与を独自にカットする自治体が後を絶たない状況が続いており、さらなる引下げをすべきとの主張を断じて認めることはできません。
 連合は、2012春季生活闘争において、すべての労働者の処遇改善に向けて1%を目安に配分を求めていくこと、生活防衛の観点も含め一時金水準の向上・確保を図ることなどの具体的な闘争方針を決定し、運動をすすめています。公務員連絡会地方公務員部会は、こうした闘争方針を全面的に支持し、連合に結集して全力で取組みをすすめています。
 本年の人事委員会勧告に向けては、国家公務員給与が減額された場合には地方公務員給与も同様に減額すべき、といった政治的・社会的な圧力のもとでの作業となり、まさに中立・第三者機関としての各人事委員会の責任がこれまで以上に問われます。人事委員会勧告制度を廃止し、労使交渉によって給与等の労働条件を決定する自律的労使関係制度に関わる法案が、第180回通常国会に提出される予定となっていますが、法案成立、また施行までの間においては、労働基本権制約の代償機能としての人事委員会勧告制度を十全に機能させることが重要です。そのために、各人事委員会において、組合との真摯な交渉・協議を行うよう強く要請します。
 貴職におかれましては、人事委員会の使命を十分認識され、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。


1.2012年度の給与決定に当たっては、民間賃金実態を正確に把握し、地方公務員の生活を維持・改善するための賃金水準を確保すること。また、現給保障を堅持するとともに、50歳台後半層の給与見直しについて、一律減額措置は直ちに撤回し、公民較差を踏まえた配分の問題として十分な交渉・協議を行うこと。

2.公民給与比較方法について、現行の比較企業規模を堅持するとともに、社会的に公正な仕組みとなるよう、抜本的に改善すること。また、一時金の公民比較は、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。

3.諸手当の改善については、地域の実情を踏まえつつ、組合との十分な交渉・協議に基づくこと。

4.臨時・非常勤職員の処遇改善に関わって人事委員会として可能な対応を行うこと。

5.公立学校教職員の給与の見直しに当たって、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成する際には、関係労働組合との交渉・協議を行うこと。

6.新たな高齢者雇用施策については、65歳までの段階的定年延長を実現するため、直ちに意見の申出を行うこと。

7.公務におけるワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間を早期に1,800時間程度に短縮し、引き続き次の事項の実現に努めること。
 (1) 実効ある男女共通の超過勤務規制のための積極的施策の推進
 (2) 年次有給休暇取得の促進
 (3) 労働時間短縮のための人員確保等の施策の構築

8.各種休暇制度を新設・拡充し、総合的な休業制度を確立すること。とくに、家族看護休暇およびリフレッシュ休暇・有給教育休暇(リカレント休暇)の新設、夏季休暇日数の拡大をはかること。

9.育児休業・介護休暇の男性取得の促進のための必要な措置を行うこと。

10.実効あるセクシュアルハラスメント、パワーハラスメントの防止策を引き続き推進するため積極的な対応を行うこと。

11.公務職場における障がい者、外国人採用の促進をはかるため、職場環境の整備を含め必要な措置を行うこと。

12.各人事委員会の勧告に向けた調査や作業に当たっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

以上