| 2012年度公務労協情報 17 |
2012年3月2日 公務公共サービス労働組合協議会 |
阪神淡路大震災を機に災害復興についての研究に携わっている山中さんは、災害復興における問題点として、@創造的復興と称した開発指向があり、市民の生活を復旧するためのものにはならない、A中山間地における医療、福祉などの公共サービスの脆弱性が加速すること、などについて指摘した。そのうえで、「復興・復旧の際には近隣自治体や民間との協力など水平の関係の支援が重要であるとともに、3ヵ月、3年といった期間で常に見直していける復興計画をたてていくことが実効性を高める」と語った。
伊藤さんは、公務員の大幅な人員削減やアウトソーシングが進められてきたことが、今回の大震災で大きな課題として見えてきたとしたうえで、復興・復旧について「平常時にやっていることしか、緊急非常時にはできない」、「自治体の人事政策を改めるべき」と主張した。現在、多くの自治体では2〜3年に1度の短いローテーションで人事異動を行っているが、こうした人事政策のもとでは専門家が育たず、緊急時の初動体制もとれない場合が多いことを指摘し、危機管理に必要な職群については、10年くらい長期間配置するといった人事政策が必要と述べた。また、支援を行う力を高めるだけでなく、救援や応援を受け止める力である「受援力」も強化し、高めて行く必要があると訴えた。
これらの意見を踏まえ、コーディネーターを務めた菅沼さんは、「東日本大震災を経て、役所は私たちの命を守るものということを知った。いい首長を選んでおかないと大変なことになる。また、自治体職員がいかに専門性を高めていくことが大切かということも重要であり、こうした専門性をもった職員が役所の同僚だけでなく、NPOや市民をもひっぱる存在でなければならない」とまとめた。以上