2012年度公務労協情報 29 2012年5月24日
公務公共サービス労働組合協議会

有識者会議が「中間的な議論の整理」を確認−5/23

 23日、「共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議」(以下「有識者会議」という)第3回会議が、総理官邸2階大ホールで開催された。第3回は、前回までの議論を踏まえ、座長が作成した「中間的な議論の整理」の原案についての説明、これに対する質疑応答、フリーディスカッションが行われた。その結果、「中間的な議論の整理」では、人事院の調査結果を前提とした上で、@官民較差402.6万円の調整は、当面の退職者についてはその全額を一時金である退職手当の支給水準引下げにより行うこと、A段階的引下げ措置を講ずることが適切との意見が多数、B現行の早期退職特例制度の内容を拡充して、早期退職に対するインセンティブを付与するための措置を併せて講ずることが適当、C公務においても早期退職者に対する再就職支援(民間再就職支援会社の利用等)を講ずることが重要、などの方向性が示された。
 議論内容は以下のとおり。

 冒頭、岡田副総理は「前回までに、官民較差の是正方法について、その調整に当たっての段階的引下げ措置の可否及び早期退職に対するインセンティブ付与の2点について議論いただいた。これらの議論を踏まえて取り残しの点を整理いただいたうえで、「中間的な議論の整理」とりまとめに向けた議論をお願いしたい」と挨拶した。
 次に、座長の森田朗学習院大学法学部教授が作成した「中間的な議論の整理」の原案についての説明を行った。前回議論となった官民較差402.6万円を前提とすることについては、影響要因を検討すべきとの話があったため、本日欠席の権丈委員が提出した資料をもとに検討されたが、有識者会議としては人事院調査結果である402.6万円で調整を図るということで合意した。
 その後、質疑応答、フリーディスカッションが行われた結果、「中間的な議論の整理」の内容のとおり、確認された。
 これを受けて、岡田副総理は各委員へ謝意を表すとともに、「今回まとめていただいた「中間的な議論の整理」を基本として、政府の中でも議論をよく行い、態度を決めていきたい。その際、職員とも意思疎通を図りながら進めていきたい」と述べた。
 有識者会議では、今後、新たな年金制度のあり方(給付と負担のあり方、水準等)について引き続き議論を進め、最終的なとりまとめをめざすこととなる。

(別紙)

中間的な議論の整理

平成24年 5月23日
共済年金職域部分と退職
給付に関する有識者会議


○ 第1回会議において人事院からヒアリングを実施するとともに、様々な角度から検討を行った結果、当有識者会議としては、今般の人事院の調査結果(官民較差402.6万円)を前提として議論を進めることにした。

○ 岡田副総理から、退職手当について、できるだけ時間を置かずに当有識者会議としての中間的な議論の整理を行ってほしいとの要請があったことから、当有識者会議におけるこれまでの検討結果を中間的に取りまとめたものである。

1 官民較差の調整等について

(1)官民較差402.6万円の調整
○ 被用者年金一元化法案(平成24年4月13日国会提出)において、共済年金職域部分の廃止時期は、平成27年10月とされており、それまでの間に共済年金の受給権が発生する者には、現行の制度及び水準に基づく職域部分の給付が行われることになる。

○ また、5年おきの調査実施を想定すれば、次回の官民比較調査は、27年度退職者について28年度に実施することになる。

○ これらを踏まえると、当面の退職者(勤続20年以上、定年・勧奨退職者)については、職域部分の支給水準(現価額243.3万円)に大きな変更は生じないと見込まれる。

○ このため、官民較差402.6万円の調整は、当面の退職者についてはその全額を一時金である退職手当の支給水準引下げにより行うことになる(この場合、退職手当の支給水準を2707.1万円から2304.5万円に、約14.9%引下げ)。

(2)上記調整に当たっての段階的引下げ措置の要否
○ 退職給付について官民較差があった場合には、その調整を図るための法的措置を速やかに講ずるべきとの認識で一致。今回の官民比較調査の結果が平成22年度の数値であることを考慮すれば、今回も官民較差を調整するための法的措置を速やかに講ずる必要。

○ その上で、人事院の見解にあるような段階的引下げ措置については、今回の引下げ幅(▲約14.9%)が大きいことを踏まえ、次の事項等に鑑みれば、段階的引下げ措置を講ずることが適切との意見が多数であった。

@ 民間企業で大きな引下げを行う場合には段階的に行うのが一般的であること
A 就業規則の不利益変更に係る判例法理(不利益変更の内容や方法などを総合考慮した合理性が必要)や労働契約法がそのまま適用されるものではないが、その考え方を踏まえる必要はあり、官民比較に基づく水準調整とはいえ、これを一時に行うことは、民間企業であれば労働条件の重大な不利益変更として訴訟リスクを抱える可能性が高いレベルであると考えられること
B 退職手当は、長期の勤続に対するものであり、退職後の生活保障の性格もあることから、基本的に制度の安定性が求められ、また、退職間近の職員は、既に現行水準による退職手当を見込んだ生活設計を行っていると考えられるとともに、引下げを一時に行った場合には、将来も急激な変化が突然起こりかねないとの不安から、中堅・若手層の職員の士気にも影響し得ること
C 国家公務員の労働基本権が制約されている下で一方的に不利益を課すには手続的にも慎重であるべきこと

○ また、段階的引下げ措置を講ずるとしても、現下の財政状況の下で国民の理解と納得を得るためには引下げに長期を要するのは適当でなく、その1回当たりの引下げ幅については、これまでの段階的引下げ措置よりも厳しいものとせざるを得ないとの意見があった。

○ さらに、段階的引下げ措置をした方がよいという意見も十分に理解できるものの、現在の税収の落ち込み等の状況下で国民的な理解を得ることを考えれば、今回は過去のような段階的引下げ措置を講じないこととしてもやむを得ず、よって、較差の調整を一時に行うべきであるとの意見もあった。

○ なお、公務員も労働者であるから、退職手当の引下げが与えるインパクトの大きさを考えれば、今回の法的措置を講ずるに当たって、職員に十分に説明をすることが重要との意見や職員団体と合意すべきとの意見もあった。

(3)早期退職に対するインセンティブを付与する措置
○ 再就職あっせんの禁止等に伴い在職期間が長期化している状況等を踏まえれば、公務組織の活力維持の観点から、今回の見直しに当たり、人事院の調査結果にみられる民間企業の早期退職優遇制度や希望退職制度の一時金割増の状況も参考に、退職手当に係る現行の早期退職特例制度(定年前1年につき2%割増・定年前10年内)の内容を拡充して、早期退職に対するインセンティブを付与するための措置を併せて講ずることが適当。

○ これに加えて、早期退職を促すには金銭的なインセンティブの付与だけでは必ずしも十分でないという側面があると考えられる。人事院の調査結果によれば、民間企業においては、早期退職者に対する再就職支援(民間再就職支援会社の利用等)を実施することが相当程度普及していることを踏まえれば、公務においても同様の措置を講ずることが重要。

○ 早期退職に係る再就職支援の実施に当たっては、各府省による再就職あっせんを禁止している現行の再就職規制を遵守するとともに、再就職支援の仕組みや実施状況についてその透明性を高めるなど、国民の疑念を招くことのないようにすべき。

○ なお、再就職支援については、@高齢期だけでなく、ある程度早期に、自力で第二の人生を選ぶことが可能になるように、公務員のキャリアパスの節目節目で、このまま公務に残るか、民間に転職するかを職員自らに考えさせる機会を与える工夫も併せて講ずることや、A早期退職者については、官民人材交流センターが民間事業者の活用や民間経済団体が提唱している人材バンク構想なども考慮して透明性を確保しつつ、再就職先のマッチングを含めた再就職支援を行っていくことについて検討すべき。

2 今後の検討について

○ 当有識者会議としては、今後、新たな年金制度のあり方(給付と負担のあり方、水準等)について引き続き精力的に議論を進め、最終的な取りまとめを目指す。なお、退職給付の中長期的な官民較差是正のための水準調整の基本的なあり方、官民比較調査の頻度や方法、官の退職給付における「年金」と「一時金」のあり方等の将来的課題についても、最終的な取りまとめに向けて必要に応じ議論を行う。