2012年度公務労協情報 3 2011年10月27日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

委員長クラスが人勧取扱いで総務大臣交渉−10/27
−人事院勧告を実施するための給与法改正法案は提出しない方針決定へ−

 公務員連絡会の棚村議長ほか委員長クラス交渉委員は、本日18時10分から川端総務大臣と交渉し、2011人勧の取扱いの検討状況について大臣の見解を質した。この交渉は、国家公務員の給与について、労使合意に基づいて2013年度末までの給与を引き下げる臨時特例法案が国会に提出されているなか、強行された給与改定勧告について政府に実施しないよう求めてきたことに対し、政府としての人勧取扱い方針を質すべく行ったもの。
 川端大臣は、明日の第3回給与関係閣僚会議で、@人事院勧告を実施するための給与法改正法案は提出しないこと、Aすでに提出している臨時特例法案の早期成立を期すこと、などを確認し、その後の閣議で正式に決定したい旨明らかにした。

<総務大臣交渉の経過>
 交渉は18時10分から国会内で行われた。
 冒頭、棚村議長が本年の給与取扱い方針の検討状況を質したのに対し、川端大臣は以下のように回答した。
(1) 本年の人事院勧告の取扱いについては、去る9月30日の提出を受けて以来、政府部内で検討を続けてきました。
(2) その結果、人事院勧告と給与臨時特例法案との関係について法制的な整理を行った上で、人事院勧告を実施するための給与法改正法案は提出せず、既に提出している給与臨時特例法案の早期成立を期すものとする方向性で、明日予定されている第3回目の給与関係閣僚会議及び閣議において、政府としての方針が決定されるものと考えております。
(3) これまでも、職員団体の皆さんとは、給与の取扱いについて真摯に話し合いを行ってきましたが、今後とも、従来からの信頼関係の上に立って、一層の意思疎通に努めてまいりたいと思います。

 これに対し、棚村議長は「いま、大臣から、本年の人事院勧告を実施するための給与法改正法案は提出せず、臨時特例法案の早期成立を期すという回答があったが、政府自らが「自律的労使関係制度を先取る形」で行った労使交渉の合意に基づく当然の判断だ」と述べた上で、改めて以下のとおり政府の姿勢を質した。
(1) われわれは、国家公務員の給与引下げに合意するに当たって、臨時特例法案と自律的労使関係制度を確立するための国家公務員制度改革関連四法案について同時決着することを求め、政府としても両法案が同時に成立できるよう全力を尽くすことを確認してきた。この政府の姿勢には、いささかの揺るぎもないことを改めて確認しておきたい。
(2) 地方公務員については、6月2日に総務省から「地方公務員の労使関係制度に係る基本的な考え方」が示されたが、いまだに法案が提出されていない。消防職員への団結権付与を含めた法案を早急に取りまとめ、開会中の臨時国会に提出し、国に遅れることなく改革を実現してもらいたい。
(3) 地方公務員の給与については、国の措置を踏まえた措置を行うよう求めないこと、国が一方的な財政的措置も行わないことが政府との約束である。改めて指摘するまでもないが、このことも一切変わりがないことを確認しておきたい。

 これに対し川端大臣は以下の通り回答した。
(1) 政府としては、両法案を同時期に提出したところであり、いずれも大変重要な法案であることから、できるだけ早く成立させていただきたいと考えております。
(2) 地方公務員制度の改革については、「基本的な考え方」において、「国家公務員に係る自律的労使関係制度の措置を踏まえ、地方公務員についても新たな労使関係制度を設けること」としており、今後、労使双方からの意見も十分伺いながら制度の具体化に向けて、検討を進めてまいりたい。
 また、消防職員の団結権については、付与することを基本的な方向としつつ、必要な検討を進めてまいりたい。
 なお、民主党の公務員制度改革・総人件費改革PTにおいても、地方公務員制度改革についての議論を早急に始めるとされたところであり、党とも連携しながら、取り組んでまいりたい。 (3) 地方公務員の給与は、地方公務員法の趣旨を踏まえ、それぞれの地方公共団体が条例で定めるものであります。
 したがって、総務省としては、今回の国家公務員の給与引下げと同様の引下げを地方公共団体に対して要請することや地方交付税の減額により、強制することは考えておりません。
 地方公務員の給与については、引き続き各地方公共団体において、国民・住民の理解と納得が得られるよう、情報公開を徹底するなど、自主的な取組みを進めながら、適切に決定することが肝要であります。

 川端大臣の回答を受け、棚村議長は「是非ともいま言われたような方向で対応していただきたい」と念押しした上で、「ただいまの大臣の回答は、組織に持ち帰って報告し、公務員連絡会としての態度を決定する」と述べ、交渉を締めくくった。

 公務員連絡会は、この日に開いた企画調整・幹事合同会議で交渉の経過を確認し、明日、閣議決定が行われた場合には声明を公表するとともに、今後、地方公務員への影響の遮断、地方交付税や義務教育費国庫負担金等の確保、独立行政法人等給与について労使交渉に基づく自主的決定の取組みを強化していくことを決めた。

以上