2012年度公務労協情報 37 2012年7月24日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

50歳台の昇給、昇格制度見直しで人事院交渉−7/24
−拙速な見直しは到底認められず、十分な議論を行うよう強く要請−

 公務員連絡会は本日13時30分から、50歳台職員の給与の見直し(昇給、昇格制度の見直し)に関わり、人事院交渉を行った。17日の交渉では、人事院が「現在、昇格制度、昇給制度の具体的な措置内容の検討を進めているところであり、成案がまとまり次第お示ししたい」と回答していたが、本日、成案を得たとして具体的見直し提案が行われたもの。
 交渉には、公務員連絡会側からは大塚・花村・藤川各副事務局長をはじめ幹事クラス交渉委員が出席し、平野職員団体審議官が対応した。

 交渉の冒頭、大塚副事務局長が「17日の交渉では、50歳台職員の給与の見直しについて、『成案がまとまり次第お示ししたい』との話であったが、本日はその具体案をご説明願いたい」と求めたのに対し、平野職員団体審議官は以下の通り回答した。
(1) 昇給制度については、昇給区分ごとに昇給号俸数を設定しており、55歳を超える職員の昇給区分別の昇給号俸数について、現行では昇給区分A(極めて良好)が4号俸以上、昇給区分B(特に良好)は3号俸、昇給区分C(良好)は2号俸、昇給区分D(やや良好でない)は1号俸、昇給区分E(良好でない)は0号俸で昇給なしとなっているが、今回の見直し案では昇給区分Aは2号俸以上、昇給区分Bは1号俸とし、昇給区分C以下は0号俸で昇給なしとすることとしている。
 なお、行政職(二)、医療職(一)が適用される職員については、57歳を超える職員を措置の対象とする。
(2) 昇格制度については、各職務の級の最高号俸を含めた上位17号俸(5基幹号俸分の号俸)から、初任の級を除く級に昇格する場合に決定される号俸について、昇格に伴う俸給額の上昇を抑制するため、昇格後の号俸を現行より下位の号俸に決定するものとする。具体的には、上位17号俸のうち、最高号俸付近から昇格する場合の昇格メリットの上限を8号俸とし、下位の号俸にいくに従い、抑制を徐々に緩和するように措置したいと考えている。
(3) 昇給、昇格制度の改正の実施時期は、2013年1月1日にすることとしたい。

 平野審議官の説明を受け、公務員連絡会側は以下の通り追及した。
(1) 50歳台の給与差についてはここ数年間にわたって課題となってきたが、公務員連絡会としては配分の問題として議論してきたところであり、引き続きこのスタンスで対応していく。ただ、50歳台の給与差の原因については、給与カーブや昇給、昇格など給与上の課題だけでなはなく、人事管理上の課題でもあることを申し述べておく。
(2) 17日の交渉で、50歳台の給与見直しについては、十分な議論を行い、拙速な見直しは進めないよう申し入れたところであるが、本日、具体案が示され、来年1月実施というのでは、あまりに拙速で遺憾な提案である。給与法の改正を必要とする事項につては、夏に勧告しなければ間に合わないことになり、十分な議論はできないのではないか。
(3) この間、人事院が問題としている官民の給与差は、様々な賃金制度を取っている民間企業従業員賃金の年齢別の平均と国家公務員の給与体系という単一の仕組みの下における行(一)の年齢階層別の平均と比べており、そもそもぴったり重なるべきデータとは言えないのではないか。
(4) 公務の場合、50歳台前半と後半を比べると明らかに後半の方が高い役職に就いている職員の割合が多いのに対し、民間では後半になると部長、課長の割合が減っている。こうした実態を踏まえれば、多少の給与差があるのは当然のことではないか。
(5) 50歳台前半の官民の給与差については、公務において、昇格が一層遅れ気味にあること、昨年の勧告で俸給月額が引き下げられたこと、現給保障の額も減っていることなどから直近の給与差が相当縮小しているのに加え、2014年4月に現給保障が廃止されるとさらに縮小し、民が官を上回る蓋然性が高いのではないか。
(6) 50歳台後半の水準が高いのは、俸給月額が引き下げられたものの、管理職昇進に伴って、それを上回るレベルで諸手当が増えたことが原因で、民間との給与差を縮小するためにさらに俸給月額を引き下げるというのは筋が違うのではないか。昇進管理のあり方や諸手当のあり方を検討すべきではないか。
(7) 本年民調で「高齢層従業員(50歳以上)の賃金管理等の状況」を調査しているが、その結果はどのようになっているのか。
(8) 能力・実績主義の下で、50歳台後半に管理職になる職員が多いのは、長く勤務することにより、管理職になるに相応しい経験を積み、能力を備えることになった結果である。50歳台後半になった途端、頑張って成果を上げても大して昇給しないというのでは、勤務意欲を阻喪することになるのではないか。
(9) 雇用期間を延ばし高齢者にも本格的に働いてもらう、そのため能力・実績主義を強化していく中で、高齢期についてのみ特別に抑制することについて、給与差解消以外の合理的な説明が必要ではないか。
(10) すでに定年前勧奨退職の激減で高齢層における昇格が遅れている実態にあるが、さらに高齢層の昇格メリットを小さくすることについて、給与差解消以外の積極的、合理的説明が必要ではないか。
(11) 50歳台前半は埋めるほどの官民の給与差はない。まして成績優秀で高位号俸となっている40歳台職員まで抑制されるのは問題だ。40歳台後半は民間の方が給与が高いというデータもある。抑制する号俸の範囲を縮小してはどうか。2010年に高齢層の給与を一律1.5%減額する措置を導入したときは6級以上に限定したが、今回も同様の限定を検討すべきではないか。
(12) 昇格制度の見直しについて、行政職(一)以外の他の俸給表については、どうするのか。
(13) 国会の判断に基づく臨時特例給与減額期間中にさらに高齢層の給与を抑制しなければならない理由がまったく理解できない。今後、退職手当の大幅減額も予定されている。こうした条件の下で、来年1月から拙速に昇給抑制、昇格メリットの引下げを行うことは極めて過酷な措置であり、到底受け入れがたい。

 これに対し平野審議官は以下のように回答した。
(1) 高齢層職員の昇給、昇格制度の見直しについては、昨年の勧告時の報告で触れて以来、検討を進めてきたが、具体案の提示が本日になった。人事院として変える必要があると判断した場合には変えることもあり得るが、いずれにしても皆さんからの意見もお聞きして、最終的に判断することとしたい。
(2) 50歳台給与の見直しについての基本的な考え方については、昨年の報告で「公務と民間の昇進管理等により相違もあることから、年齢別の給与差が一定程度生ずるのはやむを得ない面もあるが、若年層への給与の配分という面からみても、年齢別給与が全体として民間とほぼ均衡することが望ましい」と述べており、とくに50歳台後半層の官民の給与差については、昨年に比べれば一定程度減少しているが、未だ給与差があり、是正が必要であると考えている。
(3) 今回の昇給、昇格制度の見直しについては、制度面から今後の昇給、昇格において一定の抑制措置を導入することで、50歳台、とりわけ50歳台後半層の官民の給与差の是正をはかっていきたいというのが主眼である。
(4) 人事院としては、全体的均衡の中で、昇格メリット等を通じて50歳台後半層についてやや官民のバランスを欠いてきている現状にあり、また国民の公務員の給与に対する見方が大変厳しい状況の中、世代間の官民の均衡をはかっていくことが必要となっていると認識しており、とくに給与差の大きい50歳台後半を中心に一定の是正措置をはかりたいと考えている。
(5) 50歳台前半層の官民の給与差は小さく、給与構造改革における経過措置の廃止等の関係もあり、いずれ官民で逆転するのではないかとの指摘については、給与水準の推移を慎重に見守っていく必要があると考えている。
(6) 本年の民調で行った「高齢層従業員(50歳以上)の賃金管理等の状況」については、現在集計、分析中である。
(7) 40歳台職員まで抑制されるのは問題で、抑制する号俸の範囲を縮小してはどうかという意見は、意見として承っておく。昇給については年齢によって仕分けができるが、昇格については同じ号俸からの昇格において年齢により昇格メリットに差を設けるような年齢要素による措置を入れることは、制度全体が歪んでしまうこともあり、難しい。昇格メリットの抑制については、数としてはそれほど多くないが40歳台へ影響が及ぶことは事実ではあるが、とくに50歳台後半により抑制効果がかかるような制度設計をしている。
(8) 昇格メリットの抑制については、初任の級を除く級に昇格する場合に抑制することとしており、行政職(一)以外の俸給表についても同様の措置を講じることを考えている。具体的には、例えば行政職(二)の場合は2級に昇格する場合から対象になる。

 これに対し公務員連絡会側は「昇給や昇格メリットを抑制するということは、職員にとって給与を下げることと同じだ。職員の士気にも大きな影響を及ぼすのではないか」「臨時特例減額中でもあり、夏に勧告し、来年1月から実施するというのは余りに拙速で到底認められない」「官民では役職構成が違うので官民の給与差が生じるのは当然だ。そこをどうして合わせる必要があるのか納得できない」「安易な見直しを行うのではなく、人事院として公務の実態を丁寧に国民に説明すべきではないか」「行政職(二)のようにもともと給与水準が低く、昇格メリットも小さいところを抑制の対象にすることは断じて認められない。再検討すべきだ」などさらに追及した。
 平野審議官は「職員の士気への影響等は小さいとは思っていない。対外的な面ではさまざまな機会を通じて公務員制度の現状等を説明し、意見交換しているが、公務員の給与を見る世の中の目は厳しいという現状にあり、とくに各年齢層の官民の給与差については厳しい見方がなされている。今回の昇給、昇格制度の見直しは、こうしたことを踏まえ措置するものであり、痛みを伴うことではあるが、是非とも御理解いただきたい」と述べた。

 最後に大塚副事務局長が、「第1に50歳台の官民給与差が埋めるべき格差なのか納得できる説明がないこと、第2に提案内容では50歳台後半のみならず50歳台前半、40歳台後半も抑制されていること、第3に十分な議論の時間もなく拙速な見直しとなりかねないこと、第4に臨時特例減額期間中にさらに抑制する必要がないことから、本日の提案内容通りに実施することは到底認められないので、十分に議論させてもらいたい」と強く要請し、本日の交渉を終えた。

以上