2012年度公務労協情報 41 2012年8月6日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

委員長クラスが人事院総裁と交渉し最終回答引出し−8/6
−月例給、一時金とも特例減額措置を勘案して対応する意向を示す。連絡会は50歳台の給与上昇抑制のための昇給、昇格制度見直しに遺憾の意を表明−

 公務員連絡会棚村議長ほか委員長クラス交渉委員は、本日13時30分から人事院と交渉し、6月19日に提出した本年の夏季要求書に対する最終回答を引き出した。
 公務員連絡会は、この回答を受けて、7日に代表者会議を開催し、公務員連絡会としての態度を確認し、声明や政府に対する要求書などを決定するとともに、8日以降、官房長官や総務大臣など主要な給与関係閣僚に対して、臨時特例法に基づく減額措置が実施されていること等を十分に踏まえ対応するよう要求する予定である。

<人事院総裁との交渉経過>
 人事院総裁交渉の冒頭、棚村議長が「6月19日に本年夏季の要求書を提出し、今日まで事務レベル交渉を積み上げてきた。直前でもあるので、本日は総裁から直接回答を頂きたい」と求めたのに対し、原総裁は次の通り回答を示した。

1 勧告日について
 勧告日は、8月8日(水)となる予定である。

2 官民較差等について
(1)月例給について
 月例給の官民較差について、本年は給与改定・臨時特例法に基づく減額前の較差を算出し、併せて減額後の較差も算出した。従来、較差が小さく、俸給表及び諸手当の適切な改定が困難な場合には月例給の改定を見送っていること、減額後の額では民間を相当程度下回っていること、今回の給与減額支給措置は、民間準拠による水準改定とは別に、東日本大震災という未曾有の国難に対処するため、来年度末までの間、臨時特例として行われていることを勘案して、対応することとする。
(2)特別給について
 特別給については、官民の支給月数の差は小さく、従来より特別給の改定においては0.05月単位で実施していること、給与減額支給措置が行われていることを勘案して、対応することとする。

3 50歳台職員の給与見直しについて
 官民の給与水準は全体として均衡させているものの、50歳台、特に後半層において、官民の給与差が相当程度存在しており、給与構造改革における経過措置の廃止後も、50歳台後半層における官民の給与差はなお相当程度残ることが想定される。そのため、世代間の給与配分を適正化する観点から、50歳台後半層における給与水準の上昇をより抑える方向で、昇給・昇格制度を改正することとしたいと考えている。
 改正の内容は既に示してきたとおりであり、これらの改正は、平成25年1月1日実施とする。
 なお、今後とも、民間賃金の動向を踏まえ、毎年の給与改定における措置等、必要な対応について検討して参りたい。

4 経過措置の解消に伴う対応について
 給与改定・臨時特例法に基づく平成25年4月1日の昇給回復は、同日において31歳以上38歳未満の職員を対象とし、昇給抑制を受けた回数等を考慮し、最大1号俸上位の号俸に調整することを考えている。

5 地域給与配分の検証について
 給与構造改革における地域間給与配分の見直しについて最終的な検証を行ったところ、地域別の較差は縮小し安定的に推移しており、地域の国家公務員給与に地域手当の異動保障等の額も反映されていることを考慮すれば、地域間給与配分の見直しは所期の目的を達したものと評価している。
 なお、今後とも、適正な給与配分を確保する観点から、各地域の官民給与の動向等について注視していくこととしたい。

6 産業構造、組織形態等への対応について
 民間の産業構造の変化を踏まえ、現在調査対象としていない産業における事務・技術関係職種の状況を把握した上で、調査の信頼性を保ちつつ、調査対象とすることが可能と認められる産業については、来年の調査から対象に加えることとしたい。
 また、民間企業における組織のフラット化等への対応について、来年度から措置することを念頭に、有識者等の意見も聴取しつつ、検討していくこととしたいと考えている。
 検討に当たっては、職員団体をはじめ関係者の意見も聞きつつ進めてていくこととしたい。

7 国家公務員制度改革等に関する報告について
 以上のほか、国家公務員制度改革等に関して報告することとしたいと考えている。
 報告では、国家公務員制度改革の理念と本院の認識を示すとともに、国家公務員制度改革関連4法案について特に重要な論点である協約締結権付与と人事行政の公正の確保について考え方を示すこととしている。
 また、高齢期における職員の雇用問題について、新たな再任用に関する課題と取組や高齢期雇用に関する環境整備について考え方を示すこととしている。
 そのほか、人事行政上の諸課題への取組として、能力・実績に基づく人事管理の推進のため、@人事評価の適正な実施及びその活用、A幹部人材育成・研修の在り方、B専門家の計画的育成、について述べるとともに、職員の勤務環境の整備として、@超過勤務の縮減、A男性の育児休業取得の促進、B配偶者の転勤に伴う離職への対応の検討、についても言及することとしている。

 以上の総裁回答に対し、棚村議長は以下の通り公務員連絡会としての見解を述べ、50歳台後半層における給与上昇を抑制するための昇給、昇格制度の見直しについて、十分な交渉・協議と合意もないまま、しかも特例減額期間中にも関わらず、来年1月から実施しようとしていることに遺憾の意を表明し、交渉を締めくくった。
(1) いまの回答では、月例給の官民較差が具体的にどの程度であり、どうするつもりなのかについて、明確な見解が示されなかったが、われわれとしては本年は官民較差に基づく給与改定は行わない方向にあるものと理解し、そのように受け止める。
 また、一時金についても月例給と同様の方向であると受け止める。
(2) 他方、50歳台後半層における給与上昇をより抑えるために、昇給・昇格制度を改正することについては、高齢層職員の給与が臨時特例法によりほぼ1割減額されている最中に、われわれが十分な交渉・協議と合意に基づく対応を求めたにもかかわらず、拙速にも来年1月からこれらの抑制措置を実施に移そうとするものであり、遺憾なことと言わざるを得ない。
(3) その他、実効性ある超過勤務縮減対策、男女平等の公務職場の実現、メンタルヘルス対策の一層の強化、非常勤職員の制度・処遇の改善などを要求してきたが、総裁からの具体的な回答が示されなかったことは、残念なことである。
(4) 今日の回答については、機関に持ち帰って報告し、われわれとしての最終的な態度を決定することとしたい。

以上