2013年度公務労協情報 10 2013年1月21日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

高齢層の昇給停止をめぐる報道で総務省交渉−1/21
−人事・恩給局長は"大臣の指示で25年度からの実施を検討している"と回答−

 公務員連絡会は1月21日、総務省の笹島人事・恩給局長との交渉を実施し、55歳を超える国家公務員の昇給停止に関わるマスコミ報道の内容等を質した。公務員連絡会側は、書記長クラス交渉委員が参加した。
 冒頭、吉澤事務局長が、昨年の人事院勧告の取扱いについて、整理・検討をしている旨報道されている真意と現状について質したのに対し、笹島局長は「報道等がなされている、国家公務員の高齢層職員の昇給抑制に関する平成24年人事院勧告の取扱いについては、大臣から人事院勧告制度尊重の基本姿勢に立って、25年度から実施する方向で検討するよう指示があり、現在、作業を進めている。現時点で具体的な日程は未定であるが、25年度予算編成過程において政府としての方針が決定されるものと考えている」と答えた。

 それに対し、吉澤事務局長は以下の通り問い質した。
(1) 2011年5月に自律的労使関係を先取りした形で、当時の片山総務大臣との交渉を行った。これは財政問題という観点で提案があり議論したという認識だ。臨時特例法では@東日本大震災の復旧・復興のための財源、A厳しい財政問題という主旨になっているが、あくまでも「財政問題」という認識でよいか。
(2) 特例減額措置については、年間2900億円の削減となるが、われわれも苦渋の判断をもって、被災地とともに歩むというメッセージを込めつつ、覚悟した。それと民間準拠との関係であるが、論理的に見ればベアが生じ、それを措置するとなると2900億円というところに影響が生じる。このことは、財政問題という観点からすれば民間準拠とは、別次元として考えるべきではないか。
(3) 現給保障の廃止について、2011年人事院勧告どおりではなく、国会の判断で、少なくとも特例減額期間が終わる2014年4月以降にまとめて解消することになった。政府とわれわれの間も、国会も、やはりここは財源として「2900億円を2年」が前提という判断が働いたと承知しているが如何か。

 これを受けて、笹島局長は以下の通り回答した。
(1) 2011年5月23日に、7.8%の給与引下げの最終交渉が行われ、当時の片山大臣から、「財政問題」、とくに東日本大震災からの復旧・復興財源として、いろんな形で国民全体にお願いしている中で、国家公務員にも2年の時限で復興財源を捻出するという観点から提案し、合意したという認識である。
(2) 昨年の人事院勧告における高齢層職員の昇給制度の見直しは、11月16日、民主党政権時に2年間の特例減額を行っていることや高齢層への影響を考えて閣議決定した。しかし、昇給制度の見直しについては、民間準拠、官民バランスというよりも、公務員の給与制度をどうするかの問題であり、平成25年度から実施するよう大臣から指示があったところだ。
(3) 今回の昇給抑制の話は、あくまでも公務員の給与カーブのあり方、人事制度・給与制度のあり方の中の議論であって、そこは特例減額措置にめり込ませるかどうかとは性格が違う。遡って昇給抑制するわけではなく、仮に来年1月からとなったとしても、そのときの昇給が抑制されるわけであって、評価の結果によっては昇給もあり、現在の給与・処遇が今以上に削られるわけではない。

 さらに公務員連絡会側は、次の通り、さらに局長の見解を質した。
(1) 労使合意・財源問題・人勧尊重等、いろいろな観点があり、政権交代も重なったが政府として筋をとおしていただきたい。地方公務員も影響を受けることも含め、説明責任を果たされたい。
(2) 財源問題が基本であるが、雇用と年金の接続なども担保してもらわないといけない。

 これに対し笹島局長は、「財政問題についてどう考えていくかは、政府としてきちんと説明していきたい。雇用と年金の接続について重要な課題であると承知している」と答えるにとどまった。

 最後に、吉澤事務局長が「給与配分、雇用と年金の接続や、特例減額期間が終わった後でどうするかということは政権が代わっても何ら変化するものではなく、結果的には11.16閣議決定が適切な判断である。そのことを強く求め、昇給制度の見直しは、総務大臣からの直接回答を求める」と強く申入れたのに対し、笹島局長は「しかるべきタイミングで大臣から話をさせていただきたい」と回答したことから、これを確認し交渉を終えた。