2013年度公務労協情報 11 2013年1月24日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

委員長クラスが人勧取扱いで総務大臣交渉−1/24
−高齢層職員の昇給抑制、地公給与の減額要請の閣議決定の予定に対し、連絡会は強く抗議−

 公務員連絡会棚村議長ほか委員長クラス交渉委員は1月24日、新藤総務大臣交渉を実施した。この交渉は、21日に実施した人事・恩給局長交渉の際に、昨年の人事院勧告に基づく高齢国家公務員の昇給抑制について、25年度から実施する方向で検討していることが明らかにされたことに対し、大臣より直接回答を求めて行ったもの。大臣は、本日予定されている給与関係閣僚会議及び閣議で、国家公務員の高齢層職員の昇給抑制に関して26年1月1日から実施するとともに、地方公務員給与について国に準じた措置を講じるよう要請するという内容の方針決定を求めることを明らかにした。これに対し、公務員連絡会は重大な問題があり反対であると強く抗議した。

<総務大臣交渉の経過>
 交渉は総務省で14時から行われ、交渉の冒頭、公務員連絡会側が人勧取扱いの検討状況を質したのに対し、新藤大臣は次の通り答えた。
(1) 人事院勧告で指摘された国家公務員の高齢層職員の昇給抑制については、人事院勧告制度を尊重すべきとの基本姿勢に立ち、新たな内閣において検討を行った。
 検討の結果、次の昇給日である平成26年1月1日から、人事院勧告どおり実施することが適当である旨、本日予定されている給与関係閣僚会議及び閣議において方針が決定される予定である。
(2) 地方公務員給与については、我々が取り組むべき現下の最大の使命は「日本の再生」であり、そのためには、あらゆる努力をしなければならないと考えている。
 東日本大震災の記憶も新しい今、まさに緊急に、防災・減災事業に取り組むとともに、長引く景気の低迷を受け、一層の地域経済の活性化を図ることが喫緊の課題となっている。
 また、今後、消費増税について国民の理解を得て進めていくためには、国と地方が一丸となって、さらなる行財政改革の取組を進めていく姿勢を示すことも重要と考えている。
 このようなことを踏まえ、地方においても、地方公務員の給与について速やかに国の臨時特例減額措置に準じて必要な措置を講じるよう、要請する旨、あわせて決定される予定だ。

 回答に対して棚村議長は、次の通り見解を述べた。
(1) 昨年の閣議決定からまだ2か月でその内容を変更するということだが、特例減額期間中であるという現状、官民較差に基づいていないという事実などにおいて、極めて遺憾なことと言わざるを得ない。政府が本日決定しようとしていることに対し、公務員連絡会を代表して強く抗議する。
(2) 最も厳しい特例減額措置が講じられている高齢層に対し、さらに昇給を抑制するという論外なものであり到底納得できない。今後、国家公務員宿舎の廃止や宿舎料の大幅な値上げも控えているだけに、生活維持や勤務意欲に対する影響は深刻だ。提案されている措置については、反対であることを重ねて申し上げておく。

 続いて、徳永副議長が地方公務員給与について、次の通り見解を述べた。
(1) 地方公務員給与は、当該労使交渉を踏まえた自治体主体の問題であり、地方公務員法24条3項との関係でも、最高裁判決で自治体の裁量権が優先されているにもかかわらず、地方公務員給与に対する国と同様の減額要請を行うことは、地方自治の本旨を蔑ろにするものだ。一方で地方交付税を減額し、他方で給与減額を「要請する」ことは、事実上の強制に他ならないものであり、少なくとも給与改定・臨時特例法附則12条の「自主的かつ適切に対応する」との規定と整合しない。
(2) 国の場合、給与減額原資を大震災からの復旧復興に充てることを前提にしているが、地方自治体全体では、制度的、財政的に復旧復興財源に充当するということにはならない。だからこそ、全国の自治体から多くの職員を被災地に派遣し、一刻も早い復旧復興を実現できるよう、最大限の尽力、支援をしてきている。その意味では、支援自治体への財政的配慮こそが、当然、国が措置すべき対応に他ならない。
(3) 加えて、多くの地方自治体では給与の厳しい独自削減を実施してきており、国の財政事情を理由として自治体の固有財源である地方交付税を削減し、それによって重ねての給与減額を強制することは筋違いであり、断じてあってはならないことだ。
(4) 国家公務員の場合は、復旧復興への対応と公務員連絡会の合意に基づき、労働基本権の制約下においても違憲性を免れているが、地方の労使が地公法、給与改定・臨時特例法の趣旨に基づき、ともに反対しているにもかかわらず、国が強制するとなれば話は違ってくる。地方自治体に対する給与引下げの強制は、論理的、法的に説明が付かず、地方自治の本旨に反するものであり、やめてもらいたい。

 これらを受けて、新藤大臣は次の通り回答した。
(1) 意見は承った。職員の皆さんが日夜公務に精励している実情は十分に承知しているが、現下の厳しい諸情勢の下での政府方針であることを、理解いただきたい。
(2)今回の地方公務員給与の削減は、日本の再生のため、国と地方が力を合わせて、防災・減災事業や地域経済の活性化を進めていく、その先頭に公務員が立ってもらいたいとの趣旨である。
 また、今後、消費増税について国民の理解を得て進めていくためには、国と地方の公務員が一体となって、「まず隗より始めよ」との考え方から行財政改革に取り組む姿勢を示す必要があると考えている。
 今後とも、全体の奉仕者として、国民の信頼に応え、公務能率及び行政サービスの一層の向上に努めていただきたい。

 これを確認したうえで、棚村議長は、
(1) 重大な問題があり反対である旨を申し上げたが、本日決定する方針は変えないとの回答であり、極めて残念だ。公務員連絡会は、これまでの経過と本日申し上げた考え方に基づき、今後の対応を進めていく。
(2) いま実施されている特例減額措置は、公務員連絡会として、「日本の再生のために被災者・被災地とともに歩んで行く」ため、決意と覚悟をもって、政府との間で合意したものであり、総務大臣にはその重みをしっかりと受け止めてもらいたい。
(3) 公務員が東日本大震災からの一刻も早い復旧復興のために自らの職場で全力を尽くし、安心安全な日本を作るために邁進できるよう、公務員の賃金や労働条件をしっかりと確保することを強く要請する。
と述べ、交渉を締めくくった。