2013年度公務労協情報 14 2013年2月8日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

地公部会が2013春闘期の要求について全人連に申入れ−2/8

 公務員連絡会地公部会は、2月8日14時40分から、2013春闘期の要求について、全国人事委員会連合会に対する申入れを行った。
 公務員連絡会側は、永井地公部会副議長(全水道委員長)、氏家企画調整代表(自治労書記長)、藤川地公部会事務局長、地公部会幹事が出席し、全人連側は、関谷会長(東京都人事委員会委員長)はじめ、都道府県人事委員会のブロック代表および政令市の代表者が対応した。
 冒頭、永井地公部会副議長は、要請書(別紙)を手交し、以下の通り要請の趣旨を述べた。
 今回、政府は、地方公務員給与に対する国の臨時特例減額措置に準じて必要な措置を採ることを要請した。地方交付税を減額し、給与減額を「要請する」ことは、地方自治の本旨を蔑ろにするもので、事実上の強制であり、少なくとも給与改定・臨時特例法附則12条の「自主的かつ適切に対応する」との規定と整合しないことであり、われわれは、言語道断であると抗議した。
 地方公務員に給与決定は、人事委員会勧告を踏まえ、労使間の交渉と合意のもと、決定されるというのが現行制度である。その決定プロセスに対して、国が財政措置をもって介入することは、地方公務員の給与決定制度に反することだ。各人事委員会には、労働基本権制約の代償機能として、毅然たる姿勢で責任ある対応を求めたい。
 続いて、藤川地公部会事務局長が要請書の主な課題について説明し、全人連としての努力を求めた。
 こうした地公部会の要請に対し、関谷全人連会長は以下の通り回答した。

<全人連会長回答>

平成25年2月8日


 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。早速、役員府県市を通じて、全国の人事委員会にお伝えします。
 さて、最近の経済情勢ですが、去る1月23日に発表された月例経済報告において、政府は、景気について「弱い動きとなっているが、一部に下げ止まりの兆しもみられる」との基調判断を示しております。先行きについては、当面は弱さが残るものの、景気回復へ向かうことが期待される、とする一方で、海外景気の下振れによるリスクや、雇用・所得環境の先行き、デフレの影響等に注意が必要である、としております。
 一方、民間賃金については、依然厳しい状況にあることがうかがわれ、先月、厚生労働省が発表した平成24年の毎月勤労統計調査の速報によりますと、昨年1年間における現金給与総額の月間平均額は、賞与の減などが影響して2年連続の減少となり、現在の調査方法となった平成2年以降で過去最低となったとしております。また、同じく厚生労働省が発表した主要企業における昨年冬の賞与の調査においては、妥結額が前年比で3年ぶりのマイナスになったとの結果が示されております。
 既に始まっている本年の春季労使交渉では、労使の意見の隔たりが大きい中、賃金の引上げ等をめぐって激しい攻防が予想されるほか、65歳までの雇用義務化に伴う対応も重要なテーマになるものと見られ、その行方を注視する必要があると考えております。
 各人事委員会においては、こうした諸般の状況も踏まえながら、本日の要請内容も含め、本年の勧告に向けた検討を進めていくことになろうかと思います。現在、人事院及び各人事委員会では、本年も例年同様、民間における給与実態を的確に把握できるよう、民間給与実態調査の実施へ向け、その準備を進めているところです。
 また、年金支給開始年齢の引上げに対応した高齢期雇用施策につきましては、地方公務員の人事制度全般に関わる重要かつ喫緊の課題であると認識しております。各人事委員会において、国等の動向も踏まえながら引き続き検討を進め、適切に対応をしていく必要があると考えております。
 全人連といたしましては、本年も各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に努めてまいります。
 地方公務員の給与を取り巻く環境は、大変厳しい状況にありますが、私ども人事委員会は、本年も中立かつ公正な第三者機関として、その使命を十分に果たしてまいります。

(別紙)全人連への要請書

2013年2月8日



全国人事委員会連合会
 会 長 関 谷 保 夫 様

公務員連絡会地方公務員部会
議 長  木 敏 雄



要 請 書

 各人事委員会の地方公務員の給与・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 政府は1月24日、給与関係閣僚会議及び閣議で、昨年11月16日の2012年人事院勧告取扱いの閣議決定を変更し、地方公務員の給与について、国の臨時特例減額措置に準じて必要な措置を講ずることを要請する内容の閣議決定を行いました。
 地方公務員給与に対するこの要請は、地方自治の本旨を蔑ろにするものです。地方交付税を減額し、給与減額を「要請する」ことは、事実上の強制であり、少なくとも給与改定・臨時特例法附則12条の「自主的かつ適切に対応する」との規定と整合しません。さらに、閣議決定は、防災・減災事業や地域経済の活性化を図ることを喫緊の課題とし、これに迅速かつ的確に対応するため、地方公務員給与削減を要請するとしていますが、これは政府が一方的に地方自治体に給与削減を押し付けるために補足したものにほかならず、地方自治の本旨に反するものです。
 本年の人事委員会勧告に向けては、このような情勢のもと、中立・第三者機関としての各人事委員会の責任がこれまで以上に問われます。
 貴職におかれましては、人事委員会の使命を十分認識され、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。


1.2013年度の給与決定に当たっては、地方公務員法に則り、民間賃金実態を精確に 把握し、地方公務員の生活を維持・改善するための賃金水準を確保すること。

2.公民給与比較方法について、現行の比較企業規模を堅持するとともに、社会的に公正な仕組みとなるよう、抜本的に改善すること。また、一時金の公民比較は、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。

3.諸手当の改善については、地域の実情を踏まえつつ、組合との十分な交渉・協議に基づくこと。

4.臨時・非常勤職員の処遇改善に関わって人事委員会として可能な対応を行うこと。

5.公立学校教職員の給与の見直しに当たって、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成する際には、関係労働組合との交渉・協議を行うこと。

6.新たな高齢者雇用施策については、65歳までの段階的定年延長を実現するため、直ちに意見の申出を行うこと。

7.公務におけるワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間を早期に1,800時間に短縮し、引き続き次の事項の実現に努めること。
 (1) 実効ある男女共通の超過勤務規制のための積極的施策の推進
 (2) 年次有給休暇取得の促進
 (3) 労働時間短縮のための人員確保等の施策の構築

8.各種休暇制度を新設・拡充し、総合的な休業制度を確立すること。とくに、家族看護休暇およびリフレッシュ休暇・有給教育休暇(リカレント休暇)の新設、夏季休暇日数の拡大をはかること。

9.育児休業・介護休暇の男性取得の促進のための必要な措置を行うこと。

10.実効あるセクシュアルハラスメント、パワーハラスメントの防止策を引き続き推進するため積極的な対応を行うこと。

11.公務職場における障がい者、外国人採用の促進をはかるため、職場環境の整備を含め必要な措置を行うこと。

12.各人事委員会の勧告に向けた調査や作業に当たっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

以上