2013年度公務労協情報 16 2013年3月7日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

2013年春季要求で幹事クラスが総務省と交渉−3/7
−中間的回答に不満の意を表明し、さらに誠意ある回答を求める−

 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は3月7日、総務省人事・恩給局次長と交渉し、2月19日に提出した2013春季要求に対する中間的な回答を引き出した。しかし、この日の回答は抽象的で不満な内容にとどまった。このため、公務員連絡会は、15日の局長との交渉ではさらに誠意ある回答を行うよう要求し、回答指定日に向けて交渉を積み上げて行くこととした。
 はじめに、大塚副事務局長が要求に対する総務省の回答を求めたのに対し、井波人事・恩給局次長は「主要な点について、現時点における状況等を回答する」として、次の通り回答を示した。

1.平成25年度賃金について
 我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性に鑑み、皆さんに御理解をいただき国会に提出した臨時特例法案の趣旨を踏まえる形で成立した給与改定・臨時特例法に基づき、来年3月まで給与減額支給措置が講じられているところである。その上で、平成25年度の給与改定に当たっては、本年の人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたい。今後とも、皆さんと十分に意見交換を行ってまいりたい。
2.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
 平成22年10月から期間業務職員制度を導入したところであり、また、育児休業等の取得も23年4月から可能となったところである。引き続き、これらの制度の適切な運用の確保に努めてまいりたい。
3.労働時間、休暇及び休業等について
 超勤の縮減は、職員の健康、士気の向上はもとより、自己研鑽や家族との時間の確保のために重要であると認識しており、毎年10月に全省庁一斉の超勤縮減キャンペーンを行っているほか、「国家公務員の労働時間短縮対策について」にもとづいた対策をすすめている。これらの取組の推進も含め、引き続き、超勤縮減に取り組んでまいりたい。
4.総人件費及び高齢雇用施策について
 雇用と年金の接続については、25年度以降の再任用に係る取扱いに関して今年度内に方針決定を行う方向で、国家公務員制度改革推進本部において準備が進められているところであり、総務省としても、雇用と年金の接続が円滑に図られるよう取り組んでまいりたい。
5.早期退職募集制度について
 早期退職募集制度の応募又は応募の取り下げは、いずれも職員の自発的な意思に委ねられるものであって、各省各庁の長等は職員に対しこれらを強制してはならない旨を法律上明記しているところである。いずれにせよ、本制度の具体化に当たっては、皆さんからも十分に御意見を伺ってまいりたい。

 これに対し大塚副事務局長が、以下の通り課題について質すとともに総務省のさらなる取組みを求めた。
(1) 2013年度賃金については、政権交代後、改めての閣議決定が行われ、臨時特例減額中であるにもかかわらず、13年度から高齢層の昇給抑制を行うこととしたことは遺憾であったことを改めて表明しておく。
 「本年の人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定する」との考えが示されたが、2014年3月までは国公給与改定・臨時特例法に基づき措置されていることから、これ以上の減額措置はあり得ないというのがわれわれの要求だ。総務省としても、そうした立場で対応していただきたい。
 大震災・原発事故からの一刻も早い復興・再生、大型補正予算の執行が求められ、職場では人員不足で健康を損なわずには対応できないという厳しい状況がある。加えて超勤をしても不払いというのでは踏んだり蹴ったりだ。すくなくとも超勤予算の確保、その全額支給について各府省に対し指導を徹底してもらいたい。
(2) 非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について、法律上明確に位置付けられておらず、そのことが雇用が不安定となり、勤務条件も中々改善されない原因になっており、法制上明確に位置付けるべきだ。
 非常勤職員給与ガイドラインが、遵守されていることの確認を求める。また、通勤手当、期末手当を適切に支給することや要件具備の場合の社会保険への加入についても各府省に徹底してもらいたい。
 期間業務職員制度は導入して3年が経過することになることから、その運営状況を点検し、問題点を整理して改善をめざして行く段階に来ているのではないか。
(3) 超勤については、様々な施策が講じられているが、成果が上がっていない。その根っこは人員不足だ。必要な人員をきちんと確保してもらいたい。また、この間、超過勤務縮減について、今後も協議していくことを約束してもらいたい。
 短時間勤務制度については、定年前についても制度化を検討してもらいたい。再任用希望者の採用枠の確保にも資するところだ。
 休暇・休業制度の内容の周知徹底と活用できるよう環境整備に努めてもらいたい。また、例えば6月を超えて勤務することが予定される非常勤職員に対しては、6か月経過をまたずに年次休暇が取得できるよう制度の改善を求める。
(4) 年金と雇用の接続については、人事院の意見の申出に基づく定年延長を実現しなければならないと考えているが、当面は、現行再任用制度の下で対応していくことになるとすれば、実際に接続が実現しないと意味がないので「確実」に接続できるよう総務省自身はもとより、関係方面へ働きかけてもらいたい。
 現行制度の下で、一番重要な課題は必要なポストの確保だ。年金が一切支給されない期間が生じることになるので、現状のように2級、3級の短時間勤務がほとんどというのでは生活ができない。より上位の級、短時間であっても23時間ではなく31時間、そしてフルタイムも増やしていくということでなければならない。定員事情が極めて厳しい府省もある。たまたま厳しい府省だったから、再任用されないというのでは理不尽だ。また、新規採用者の大幅な抑制は年齢構成のゆがみだけではなく、組織の将来不安を通じて職員の士気に悪影響を及ぼしている。こうした深刻な課題に対処するため、定員の確保に向けて、国家公務員の人事行政に責任をもつ立場で積極的な役割を果たしてもらいたい。
(5) 早期退職募集制度については、強制はしないこと、及び話し合って行くことについては確認をさせていただいたが、公布後1年以内の施行となっており、現時点での検討状況、スケジュール感を教えてもらいたい。

 これに対し井波次長は以下の通り回答した。
(1) 平成25年度の賃金については、給与特例法による減額措置が前提の1つとなり、それを踏まえながら総合的に検討することになる。
 超勤縮減についての意見は重く受け止める。総務省でも独自の取組を行っており、それを参考に人事管理官会議で紹介している。今後とも超勤縮減に取り組む。
 超勤予算は、まさに各府省とも当局に要望しているところである。
(2) 非常勤職員について、人事院から給与の指針が出ているが、これらを踏まえて、適切に給与が支給がなされるように努めていきたい。
 期間業務職員制度は、導入から3年が経過するので、適切に運用されるよう人事管理官会議の場などを通じて、各府省に周知していきたい。
(3) 労働時間、休暇及び休業等については、大変重要な課題であると認識しており、今後とも皆さんと話し合いをお願いしたい。
 6月を超えて勤務することが予定される非常勤職員に対しては、6か月経過をまたずに年次休暇が取得できるよう制度は、人事院で検討されることであるが、総務省としても関心を持っている。
(4) 雇用と年金の接続については、円滑に確実に、無収入にならないようにしていきたい。定員と再任用は、密接に関わるということを認識している。担当の定員管理当局に皆さんの意見を伝える。
(5) 早期退職募集制度については、現在検討中で、いつから始めると言える段階ではない。公布後1年以内に施行することになっているので、遅くともそれに間に合うようにしたい。皆さんの意見も伺って、よい制度になるよう組み立てていきたい。

 井波次長の回答を受け、公務員連絡会側は以下のとおり強く訴えた。
(1) 国家公務員は退職金は減り、宿舎も追い出されたり、宿舎料も値上げ、55歳超の昇給停止などが実施され、生活をしていくのに大変な状況にある。給与減額措置については、来年3月までと認識している。
(2) 職場では人員削減や震災復興への人員派遣により、限られた人員でカバーしながら仕事をしている。管理職が超勤は60時間で止めろというので、仕事はしても実態として60時間分までしか超勤手当は支払われていない。
(3) 超勤を巡っては、勤務時間管理をしっかり行わないと、実際に働いているのに超勤手当が払われないということになる。民間であれば労基署が入ってくるが、公務にはない。総務省として毎年キャンペーンをやっているとのことだが、しっかりと取り組んでいただきたい。
(4) 震災復興の関連業務が増えているが、勤務時間・健康管理をしっかりとお願いしたい。通常業務自体に、そもそも人が足りない。実のある取組みをお願いしたい。
(5) 数年間新採がなかったため、係員の時に部下を指導する経験ないまま係長になっているので、人事管理の面からも影響が出ている。しっかりと職員の年齢構成・バランスを考慮すべきだ。
(6) 欠員がゼロに近い府省もあり、どの府省も定員は厳しい。雇用と年金の接続と同様、定員の問題も年金支給開始年齢が62歳になるこの3年のうちに解決するよう政府として努力してほしい。

 最後に、大塚副事務局長が「公務員労働者を巡っては、勤務条件が引下げられ、業務運営に必要は要員も不足しており、行政事業レビュー、独法・特別会計、地方出先機関の見直しなど事務事業、組織の絶えざる見直しが行われており、相変わらず職場では落ち着いて仕事ができる状況ではない。公務員の人事管理に責任を持つ立場で公務員が安心して働き続けられるよう、最大限の努力をお願いしたい。今日の回答は、まだまだ具体性がなく、不満だ。今後、さらに議論を積み重ねて、15日の局長クラスとの交渉では、われわれの要求について具体的かつ前向きな回答をお願いしたい」と要請し、本日の交渉を締めくくった。

以上