2013年度公務労協情報 20 2013年3月26日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

総務大臣から春の段階の最終回答引き出す−3/26


総務大臣交渉に臨む各構成組織委員長ら
 公務員連絡会の棚村議長ほか委員長クラス交渉委員は3月26日、新藤総務大臣と2013春季段階の最終交渉を行った。この交渉で総務大臣は資料1の通り、春の段階における最終的な回答を示した。
 公務員連絡会は、同日開いた企画・幹事合同会議で、「政府の回答は、われわれの要求に直接具体的に答えたものとは言えない。しかし、春の段階の交渉の到達点として受け止め、雇用と年金の確実な接続、超過勤務の実効ある縮減などを中心とした諸課題の解決に向けて今後の取組みを一層強化」するとの声明(資料2)を確認した。また、27日に第2次全国統一行動を実施し、時間外職場集会等を通して、今後の取組みに対する決意を固め、春季生活闘争後半期の闘いを進めていくことを決定した。
 本日行われた総務大臣との交渉経過は次の通り。
(写真左:棚村議長ほか委員長クラス交渉委員、右:新藤総務大臣)

<総務大臣交渉の経過>
 新藤総務大臣との交渉は、本日19時から総務省で行われた。
 冒頭、棚村議長が公務員連絡会の春季要求と地公部会の要求書に対する最終回答を求めたのに対し、新藤総務大臣は、
(1) 東日本大震災からの復旧・復興、大型補正予算の執行等、「日本の再生」に向けて、職員の皆さんは大変厳しい状況の下、誇りを持って日夜業務に精励していることは承知しており、信頼もしている。その努力には改めて敬意を表したい。
(2) 給与減額支給措置については、皆さんが東日本大震災の復旧・復興のために被災者・被災地とともに歩んでいくとの思いを持って苦渋の決断をしたことは承知している。皆さんの給与を削減した分は、東日本大震災の復興財源として充てることとしており、引き続き、ご理解願いたい。
(3) 被災自治体の職員の皆さんにおかれては、自らも被災した中、最前線で住民のため、また地域の復興のため、大変なご苦労をいただいていることに対し、改めて敬意を表したい。
 また、被災自治体に派遣されている応援職員の方についても、慣れない土地でのご努力に対し、心から感謝申し上げたい。
と述べた後、資料1の通りの回答を示した。

 この回答に対し、棚村議長は以下の通り見解を述べた。
(1)われわれも、東日本大震災から一刻も早く復興・再生していくためにも補正予算についてはできるだけ早く執行しなければならないと考えているが、公務の職場は大変な事態になっている。
 職場には必要な人がおらず、慢性的超勤をさらに悪化させずには仕事ができない状態だ。小規模な事務所で業務過重により心身に故障を訴える職員が出てしまうと職員全員が共倒れになりかねない深刻な状況になっている。
 人事行政に責任をもつ総務大臣として、公務員が健康を害することなく、与えられた役割をきちんと果たしていけるよう、必要な人員の確保や職場環境の整備にしっかりと取り組み、超過勤務の目に見える縮減をはじめとして労働条件を確実に改善してもらいたい。
(2) 今の回答について、いくつか申し上げておく。
 国家公務員給与の臨時特例減額については、大臣が言われたように大震災からの復興・再生に充てられるものであり、2013年度の賃金については、是非ともこのことを念頭に置いて判断してもらいたい。
 雇用と年金の確実な接続を保障し、生活水準を確保するためには、公務においては、定年延長が相応しいと考えているが、当面は、本日の閣議決定に基づき、再任用を希望した公務員は必ず再任用されなければならない。総務大臣として責任を持って取り組んでいただきたい。
 本日の大臣回答では、われわれとの労使関係をご確認いただいた。公務員の賃金・労働条件については、今後とも誠意を持って話し合っていくことを要請しておきたい。

 また、地公部会の木議長は「地方公務員に対する国と同様の減額要請を行うことは、地方自治体に対する給与引下げの強制であり、論理的、法的に説明が付かず、地方自治の本旨に反するものであり、遺憾である」と見解を述べた。

 公務員連絡会側の要請に対し大臣が「要望は承った」としたことから、棚村議長は「今日の回答は全体として、大臣から公務員連絡会と誠実に話し合っていくとの決意が示されたと受け止める。われわれも大震災からの一刻も早い復興・再生に取組みながら、賃金・労働条件の維持・改善をはじめとする、公務を取り巻く諸課題の解決をめざしていきたい。給与引下げ要請を含む地方公務員の課題についても、われわれの要望を踏まえた対応をお願いしたい。本日の回答は、総務大臣の春の段階の最終回答として受け止め、組織に持ち帰って協議したい」と述べ、春闘要求をめぐる交渉を締めくくった。


資料1−総務大臣の2013春季要求に対する回答

総務大臣回答

2013年3月26日


(平成25年度給与について)
 平成25年度の給与改定に当たっては、本年の人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと考えている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行ってまいりたい。

(勤務時間等について)
 超過勤務の縮減に当たっては、引き続き、関係機関とも連携しつつ、政府全体の超過勤務縮減に取り組んでまいりたい。その際、皆様のご意見も伺いつつ、実効ある抑制策に努めてまいりたい。

(高齢雇用対策について)
 雇用と年金の接続については、定年に達する職員が希望した場合、再任用するものとする旨の閣議決定を、本日行ったところである。
 今後は、これに基づき、総務省としても雇用と年金の円滑な接続に向けて、皆さんのご意見も伺いながら取り組んでまいりたい。

(非常勤職員について)
 非常勤職員の処遇改善については、これまでの制度の取組状況も注視しつつ、今後とも皆さんのご意見も伺いながら、関係機関とも相談しつつ検討してまいりたい。

(その他)
 安定した労使関係を維持する観点から、職員団体とは誠意を持った話合いによる一層の意志疎通に努めてまいりたい。


地公関係総務大臣回答

2013年3月26日


(平成25年度賃金改善について)
 地方公務員の給与については、各団体において条例で定められるものであり、国が削減を強制しているものではないが、「日本の再生」に向けて、国と地方が一丸となってあらゆる努力を結集する必要がある中での当面の対応策という今回の要請の趣旨を是非ご理解いただきたいと考えている。

(臨時・非常勤職員等の雇用安定・労働条件改善について)
 臨時・非常勤職員については、臨時的・補助的業務に任用されるものであることに鑑み、労働の対価としての報酬と実費弁償としての費用弁償だけを支給することとしているところである。
 パート労働法については、公務員は適用が除外されているが、臨時・非常勤職員の任用に当たっては、民間労働法制の動向を十分に念頭に置くことも必要である。
 労働基準法の遵守などは各地方公共団体が責任を持って対応していくべきものであるが、総務省としても、必要な助言等を行ってまいりたい。

(新たな高齢雇用施策の充実について)
 地方公務員の雇用と年金の接続については、国家公務員についての方針を踏まえ、地方の実情に応じて必要な措置を講ずるよう地方公共団体に要請してまいりたい。

(福利厚生施策の充実について)
 労働安全衛生法の遵守などについては、これまでも地方公共団体に対して情報提供や助言を行ってきたところである。特に東日本大震災の被災地の地方公務員に対しては、地方公務員災害補償基金と共にメンタルヘルス事業を行っているところである。
 職員の健康管理や安全衛生対策が図られるよう総務省としても、引き続き支援を行ってまいりたい。


資料2−2013春季生活闘争に関わる公務員連絡会の声明

声  明

(1) 本日、公務員連絡会は、総務大臣と交渉を持ち、2013年春季要求に対する回答を引き出した。
(2) 東日本大震災からの一刻も早い復興・再生に道筋を付けるとともに、交代後の政権との間で労使関係を確立し、交渉・協議・合意のもとで労働条件を維持・改善していくことをめざして、公務員連絡会は、本年の春季生活闘争に取り組んできた。
 具体的には、事務・事業の円滑な遂行とディーセントワークの保障、賃金の維持・改善、非常勤職員の雇用安定と処遇改善、超過勤務の縮減、雇用と年金の確実な接続などを最重要課題として位置づけ、取組みを進めてきた。あわせて、国による地方公務員給与引下げ強制反対の取組みにも全力を挙げてきた。
 また、国民の安心と安全を確保するための公共サービスの再構築をめざし、公務労協に結集して、公共サービスキャンペーンを春季生活闘争と一体的・連続的に取り組んできた。
(3) 総務大臣は、交渉の冒頭、@公務員が、大変厳しい状況の下で日夜業務に精励していることは承知し、信頼していること、A国の給与減額措置については、公務員連絡会が被災者・被災地とともに歩んでいくとの思いを持って苦渋の決断をしたことは承知していること、B被災自治体の職員が、自らも被災した中、大変な苦労をしていることに敬意を表すること、C被災自治体に派遣されている応援職員の努力に感謝すること、を表明した。
(4) 要求に対する回答では、@2013年度賃金については、公務員連絡会の意見を聞くこと、A政府全体の超過勤務縮減に取り組むこと、B雇用と年金の確実な接続に向け取り組むこと、C非常勤職員の処遇改善を検討すること、D公務員連絡会とは誠意を持った話合いによる一層の意志疎通に努めていくこと、を確認した。
 この回答は、この間の経緯や職場実態を踏まえて、公務員連絡会と誠意を持って話し合っていくことなど労使関係に基づいて対応していく姿勢を示したことについては、一定の評価ができるものである。反面、その他の課題については総じて基本姿勢を示すに止まり、われわれの要求に具体的に応えるものとはなっていない。
 しかし、公務をめぐって極めて厳しい情勢が継続しているもとで、春の段階の交渉の到達点として受け止め、雇用と年金の確実な接続、超過勤務の実効ある縮減などを中心とした諸課題の解決に向けて今後の取組みを一層強化していくこととする。
(5) 地方公務員については、@給与については、国と地方が一丸となってあらゆる努力を結集する必要がある中での対応策という要請の趣旨を理解いただきたいこと、A臨時・非常勤職員の任用に当たっては、民間労働法制を十分に念頭に置く必要があること、B雇用と年金の接続に向けて、必要な措置を講ずるよう地方自治体に要請していくこと、C被災地の地方公務員に対してメンタルヘルス事業を行っており、引き続き支援していくこと、などを回答したが、給与については、1月24日の閣議決定で地方公務員給与の減額要請を行ったときと同様であり、極めて遺憾である。
(6) われわれは、東日本大震災からの一刻も早い復興・再生に向けてその役割を果たしていくとともに、中小及び地域民間構成組織、独立行政法人等関係組合と連帯し、生活の防衛に向けて、すべての労働者の処遇改善、雇用確保を実現するため、高齢職員の昇給停止に係る給与法改正案をはじめとする第183通常国会対策、地方公務員の給与削減の強制に反対する取組み等、引き続き春季生活闘争を継続・強化するものである。

 2013年3月26日

公務員労働組合連絡会