2013年度公務労協情報 24 2013年4月18日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

地公部会が民間給与実態調査について全人連に申入れ−4/18

 公務員連絡会地公部会は、18日14時30分から、民間給与実態調査について、全国人事委員会連合会に対する申入れを行った。
 公務員連絡会側は、木地公部会議長(都市交委員長)、氏家企画調整代表(自治労書記長)、藤川地公部会事務局長、地公部会幹事が出席し、全人連側は、関谷会長(東京都人事委員会委員長)はじめ、都道府県人事委員会のブロック代表および政令市の代表者が対応した。
 冒頭、木議長は、要請書(別紙)を手交し、以下の通り要請の趣旨を述べた。
 連合は4月16日、2013春季生活闘争の状況について第4回目回答集計結果を公表した。それによると、月例賃金の平均は、昨年と比較が可能な組合の回答では前年比67円増、その内訳は、組合員数300人未満が52円増、300人以上が69円増となっている。また、一時金については、3月29日公表分で、年間分の月数回答は4.62月(昨年比+0.19月)、金額回答は1,527,163円(昨年比7万2,088円増)と、いずれも昨年比プラスとなっている。規模にかかわらず前年を上回る回答が引き出せたことは、「人」への投資を訴えた民間労働組合の交渉結果であり、一定の評価ができる。
 一方、政府は、地方公務員給与費に係る地方交付税を削減し、地方自治体に給与削減を「要請」していた。地方交付税法等改正案の国会質疑では、政府の「要請」と人事委員会勧告との整合性も問われた。政府自らが人事委員会勧告制度の根幹を揺るがす措置を強行したことは許すことができない。私たちは、地方公務員賃金引下げ強制に対して、断固反対の取組みをすすめる決意である。
 地方公務員給与決定制度の根幹を揺るがす異例な状況の中にあっても、労働基本権制約の代償として、各人事委員会の中立かつ公正な第三者機関としての使命が十分に果たされるよう強く求めたい。
 続いて、氏家企画調整委員代表から、「地公給与波及に関わっては、地方6団体も声明を出している。地方分権推進、地方自治、労使自治の根幹を揺るがす事態である。全人連としても政府に遺憾の意を表明していただきたい」と求めた。

 続いて、藤川地公部会事務局長が要請書の主な課題について説明し、全人連としての努力を求めた。
 こうした地公部会の要請に対し、関谷全人連会長は以下の通り回答した。



<全人連会長回答>

平成25年4月18日


 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。
 早速、役員府県市を通じて、全国の人事委員会にお伝えします。
 さて、最近の経済情勢ですが、先週の12日に発表された4月の月例経済報告で、政府は、景気について「一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる」との基調判断を示しております。先行きについては次第に景気回復へ向かうことが期待される、とする一方で、海外景気の下振れが、景気を下押しするリスクや、雇用・所得環境の先行き等にも注意が必要である、としています。
 一方、民間賃金の状況ですが、厚生労働省が4月2日に発表した「毎月勤労統計調査」では、平成24年の冬の賞与は、従業員1人当たりの平均額で、前年比1.5%の減となり、4年連続で減少したとの結果が示されております。
 また、本年の春季労使交渉では、3月中旬の大手企業の一斉回答において、一部の企業において年間一時金の増額など明るい兆しも見受けられましたが、一方で、個々の企業業績には好不調の明暗が見られること、ベースアップについては多くの企業で見送られるなど、必ずしも楽観できる状況ではないことから、今後、中小企業における回答結果も含め、その動向を注視していく必要があると考えております。

 本日、要請のありました個々の内容は、各人事委員会において、調査の結果や各自治体の実情等を踏まえながら、本年の勧告に向けて検討していくことになるものと思います。
 申し上げるまでもなく、人事委員会の重要な使命は、公務員の給与等の勤務条件について、社会情勢に適応した、適正な水準を確保することであると認識しております。地方公務員の給与を取り巻く環境は、大変厳しい状況にありますが、私ども人事委員会は、中立かつ公正な第三者機関として、本年もその使命を十分に果たしてまいります。
 全人連といたしましては、今後も、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、各人事委員会や人事院などと十分な意見交換に努めてまいります。
 また、年金支給開始年齢の引上げに伴う「雇用と年金の接続」をはじめとし、公務員の人事給与制度に関する動向につきましても、引き続き適切に対応していく考えです。


(別紙) 全人連への要請書

2013年4月18日


全国人事委員会連合会
 会 長 関 谷 保 夫 様

公務員連絡会地方公務員部会
議 長    木 敏 雄


民間給与実態調査に関わる要請書


 貴職の地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 連合は3月29日、2013春季生活闘争の状況を公表しました。それによると、月例賃金の平均は、昨年と比較が可能な組合の回答では前年比51円増、その内訳は、組合員数300人未満が10円増、300人以上が54円増となっています。また、一時金については、年間分の月数回答は4.62月(昨年比+0.19月)、金額回答は1,527,163円(昨年比7万2,088円増)と、いずれも昨年比プラスとなっています。規模にかかわらず前年を上回る回答が引き出せたことは、「人」への投資を訴えた民間労働組合の交渉結果であり、一定の評価ができます。
 一方、政府は、地方公務員給与費に係る地方交付税を削減し、地方自治体に給与削減を「要請」しています。地方交付税法等改正案の国会質疑では、政府の「要請」と人事委員会勧告との整合性も問われました。政府自らが人事委員会勧告制度の根幹を揺るがす措置を強行したことは許すことができません。私たちは、地方公務員賃金引下げ強制に対して、断固反対の取組みをすすめる決意です。
 以上のことから、現下の地方公務員給与決定制度の根幹を揺るがす異例な状況の中にあっても、労働基本権制約の代償として、各人事委員会の中立かつ公正な第三者機関としての使命が十分に果たされるよう強く求めるとともに、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。


1.民間賃金実態に基づき公民較差を精確に把握し、人事委員会勧告制度の下で地方公務員労働者のあるべき賃金を勧告すること。また、一時金の公民比較は、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。

2.各人事委員会の勧告に向けた調査や作業に当たっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

3.諸手当の改善については、地域の実情を踏まえつつ、組合との十分な交渉・協議に基づくこと。

4.臨時・非常勤職員の処遇改善に関する指針を示すこと。

5.新たな高年齢者雇用施策については、65歳までの段階的定年延長を実現するため、意見の申出を直ちに行うこと。
  また、制度改正までの間、現行再任用制度での希望者全員の再任用を前提とした運用、給与制度上の措置について必要な検討と報告、勧告を行うこと。

6.公立学校教職員の給与について、引き続き、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成、提示すること。また、作成に当たっては、関係組合との交渉・協議、合意のもと進めること。

以上