2013年度公務労協情報 26 2013年6月20日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人事院に2013人勧期要求提出−6/20

 公務員連絡会の委員長クラス交渉委員は、6月20日10時から、尾西人事院事務総長との交渉を実施し、@官民較差に基づく給与改定勧告については十分交渉・協議し合意に基づいて行うA再任用職員の適切な給与制度の整備B実効性ある超過勤務縮減策の実施、などを重点課題とする「2013年人事院勧告に関わる要求書」を提出した。これにより、2013人勧期の取組みは正式にスタートした。
 本年の人勧期をめぐっては、働く者の暮らしを底上げし、デフレ脱却につながるような民間の賃金改善には至っておらず、厳しい状況にある。一方、公務職場では、給与改定・臨時特例法に基づく特例減額が実施されている中で、業務過重と要員不足による超過勤務の改善を求める声が一層高まっている。こうした状況の下で、公務員労働者の生きがいを持って働ける職場の確立と生活防衛を求める声は切実となっている。公務員連絡会は、こうした状況を踏まえ、7.30中央行動を配置して人事院との交渉を強め、要求の実現を図るべく、取組みを強めることとしている。

 交渉の冒頭、吉澤事務局長が「法律に基づく人事院勧告に対して、公務員連絡会がそれを否定するような要求を行ってきたことについては、東日本大震災という未曾有の災害への対応という異例の事態の中で、遺憾な対応をとったことについて、公務員連絡会としてお詫び申し上げる」と述べ、松原副議長が、提出した要求書(別紙)について次の通り見解を述べた。
(1) 2013年人事院勧告の要求書提出に当たって、一言見解を述べさせていただく。
(2) 本年の春季生活闘争について、連合は、賃金の復元・底上げを図り、1%を目安に配分を求めるとともに、一時金水準の向上・確保をめざして取組みを進めてきた。その結果、賃金カーブは概ね維持され、一時金は自動車を中心に昨年比増となったものの、働く者の暮らしを底上げし、デフレ脱却につながるような賃金改善には至っていない。官民較差がどうなるかについて、心配をしている。
 一方、国家公務員の給与については、給与改定・臨時特例法に基づき、特例減額が行われている。また、職場では、東日本大震災からの復興・再生と大型補正予算の早期執行に全力を挙げており、要員不足の中で超過勤務が蔓延し、その改善を求める声が一層高まっている。あわせて、年金支給開始年齢が引き上げられることから、雇用と年金の確実な接続と再任用者の適切な給与制度の整備も重要な課題となっている。
 こうした状況の下で、公務員労働者は、大震災からの一刻も早い復興・再生はもとより、国民の安心・安全のため、それぞれの職場で、高い使命感と責任をもって日々の職務に精励している。
 労働基本権が制約されている下にあって、人事院勧告制度は、公務員の賃金をはじめとする労働条件改善のため、重要な役割を果たすものである。
 本日提出した要求書では、公務員の賃金をはじめとする労働条件をめぐる様々な課題について、具体的な要求事項の実現を求めているので、人事院の使命としてその解決を図っていただきたい。
(3) 本日の要求提出を機に、事務レベルで交渉を積み上げさせていただくが、然るべき時期に、要求に対する最終的な回答をいただきたいと考えているので、よろしくお願いする。

 続いて吉澤事務局長が要求事項を説明。これを受けて尾西事務総長は、「要求書は、受け取った。人事院としては、国会と内閣に必要な報告・勧告を行うという国家公務員法に定められた職責を着実に果たしていく所存である。今後、本年の勧告に向けて、各方面の意見も聞きながら、検討を進めていくこととしたい」との見解を述べた。これに対し、松原副議長が「ぜひとも、公務員労働者が高いモチベーションのもと、職務に専念できるように、また、組合員の期待に応えられる勧告をお願いしたい」と改めて要請し、本日の提出交渉を締めくくった。


(別紙)2013人勧期要求書

2013年6月20日

人事院総裁
 原  恒 雄 殿

公務員労働組合連絡会
議 長  棚 村 博 美

2013年人事院勧告に関わる要求書


 本年の春季生活闘争について、連合は、賃金の復元・底上げを図り、1%を目安に配分を求めるとともに、一時金水準の向上・確保をめざして取組みを進めてきました。その結果、賃金カーブは概ね維持され、一時金は自動車を中心に昨年比増となったものの、働く者の暮らしを底上げし、デフレ脱却につながるような賃金改善には至っていません。
 一方、国家公務員の給与については、給与改定・臨時特例法に基づき、特例減額が行われています。また、職場では、業務過重と要員不足の中で超過勤務が蔓延し、その改善を求める声が一層高まっています。雇用と年金の確実な接続と再任用者の適切な給与制度の整備も課題となっています。
 そうした状況の下で、公務員労働者は、東日本大震災からの一刻も早い復興・再生はもとより、国民の安心・安全のため、高い使命感と責任をもって日々の職務に精励しています。
 労働基本権制約の下で、人事院勧告制度は、公務員の賃金をはじめとする労働条件改善のため、重要な役割を果たすものです。
 本年の人事院報告・勧告に関わる要求事項は下記の通りです。



1.公務員労働者の賃金について

(1) 2013年の官民較差に基づく給与改定勧告に当たっては、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて行うこと。
(2) 2013年の民間給与実態調査及び官民較差の算出に当たっては、一方的に行わないこととし、公務員連絡会と前広に十分交渉・協議を行い、合意に基づいて対応すること。
(3) 「国家公務員の雇用と年金の接続について」(2013年3月26日閣議決定)に基づく再任用職員の給与制度上の措置についての検討に当たっては、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて行うこと。

2.労働諸条件の改善について

(1) 労働時間の短縮及び休業制度について
@ 本府省における在庁時間削減の取組みの実施状況を踏まえ、その取組みの強化・徹底を図ることとし、人事院として積極的役割を果たすことにより、在庁時間の一層の削減に努めること。
A 他律的業務を含む超勤上限目安時間については、完全に遵守できるよう各府省に対する指導を強化すること。
B これらの取組みに基づき、厳格な勤務時間管理と実効性ある超過勤務縮減策を取りまとめ、直ちに実行すること。
C 配偶者帯同休業制度の検討に当たっては、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて進めること。

(2) 男女平等の公務職場の実現について
@ 「女性国家公務員の採用・登用拡大に関する指針」の着実な実施に向けた指導、メンター制度の実効性確保に向けて引き続き取組みを強化すること。
A 育児休業及び育児のための短時間勤務等について、非常勤職員を含めて制度を十分に活用できるよう、引き続き周知と取得しやすい職場環境の整備を図るとともに、「第3次男女共同参画基本計画」及び「日本再生戦略」(2012年7月31日閣議決定)に基づき、2020年までに男性の育児休業取得率13%を達成できるよう、実効ある具体的促進策を講じること。

(3) 福利厚生施策の充実について
@ メンタルヘルスに問題を抱える職員が増加していることから、「職員の心の健康づくりのための指針」等に基づいた心の健康診断、カウンセリングや「試し出勤」など復職支援施策の着実な推進を図ること。
A パワーハラスメントについて、民間動向や2011年人事院調査の結果を踏まえ、適切な対策を講じること。

3.非常勤職員等の制度及び処遇改善について

(1) 「非常勤職員給与ガイドライン」の実施状況を点検し、その遵守を徹底すること。
(2) 期間業務職員制度について、施行から3年が経過することから、制度の課題について検証し、当該職員の雇用の安定と処遇の改善となるよう、適切な運用に努めること。
(3) 非常勤職員の休暇制度の改善について検討すること。
(4) 非常勤職員制度の抜本的な改善に向けた検討を継続することとし、これまでの制度の取組み状況を把握しながら、公務員連絡会と十分交渉・協議し、作業を進めること。

4.その他の事項について

 公務職場に外国人の採用を促進するとともに、2013年4月から障がい者の法定雇用率が引き上げられたことを踏まえ、障がい者雇用を一層促進すること。そのために必要な職場環境の整備を行うこと。

以上