2013年度公務労協情報 28 2013年7月18日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

人勧期要求をめぐり連絡会幹事クラスが人事院交渉−7/17
−明確な回答がなかったことから、局長交渉では中身のある回答を強く要請−

 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は7月17日13時30分から、2013年人勧期要求に関わり、人事院の平野職員団体審議官と交渉を行った。
 冒頭、大塚副事務局長が「6月20日に本年の人勧期における要求書を提出した。民調も6月18日に終了し、そろそろ集計もまとまりつつあり、われわれの要求の検討も進んでいることと思うので、現時点での回答をお願いしたい」と求めたのに対し、平野審議官は以下の通り回答した。

1.勧告等について
(1) 勧告作業について
 今年の民間給与実態調査(民調)は、5月1日〜6月18日までの期間で実施した。今年の民調では調査対象産業を拡大して実施したが、調査は特段の支障もなく終了し、現在集計中である。
 国家公務員の給与について、人事院は、国公法第28条に基づき、給与が社会一般の情勢に適応するよう必要な勧告をすることを怠ってはならないとされているとともに、少なくとも年1回、俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に対し報告を行うことが義務付けられている。
 本年も、労働基本権制約の代償機関として、人事院としての責務を着実に果たすよう、国家公務員の給与と民間企業の給与の精緻な調査に基づき、その精確な比較を行い、必要な勧告、報告を行って参りたいと考えている。
(2) 諸手当(特別給を含む)について
 諸手当については、民間の状況、公務の実態等を踏まえ、対応して参りたい。一時金についても、現在、民調結果を集計中であり、今の段階では何とも言えない状況である。
 本年においても民調の結果に基づき、適切に対処して参りたい。
(3) 50歳台後半層の給与の見直しについて
 50歳台職員の給与については、昨年の勧告時の報告において述べたとおり、官民の給与水準は全体として均衡させているものの、50歳台、特に後半層における官民の給与差が相当程度存在している状況にある。そのため、引き続き、民間賃金の動向を踏まえ、毎年の給与改定における措置等、必要な対応について検討を進めるという方針に変わりはない。
(4) 雇用と年金の接続について(再任用職員の給与)
 雇用と年金の接続に関し、再任用職員の給与については、本年3月に閣議決定された「国家公務員の雇用と年金の接続について」において、幅広い職域や勤務地で活用すること等再任用職員の今後の職務や働き方の実情等を踏まえ、給与制度上の措置について必要な検討を行うよう要請がなされており、人事院としては、民間の動向等を適切に把握しながら検討を進めているところ。

2.労働諸条件の改善について
(1) 労働時間の短縮等について
 超過勤務の縮減については、これまでも政府全体として取組が進められているところであり、人事院としても、重要な課題の一つであると考えている。この課題については、各府省における管理職員による勤務時間管理を徹底するとともに幹部職員が自ら率先して早期退庁に努めることなどにより在庁時間削減の取組を進めることが必要と考えており、関係機関と連携して取り組んで参りたい。
(2) 配偶者の転勤に伴う離職への対応について
 配偶者の転勤に伴う離職への対応については、人事院は、昨年の給与勧告時の報告で「今後、各府省における人事管理や公務運営への影響等について検証を行いながら、必要な対応について検討を進める」旨表明したところ。
 また、「我が国の若者・女性の活躍推進のための提言」(平成25年5月若者・女性活躍推進フォーラム)や「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)においても、この対応について、公務員から率先して取り組むこととされ、男女共同参画担当大臣から検討の要請がされているところ。
 人事院としては、制度化の必要性、制度化する場合の内容等について、各府省、職員団体の意見も踏まえながら、検討を進めているところである。
(3) 男女平等の公務職場の実現について
 人事院が平成23年1月に改定した「女性国家公務員の採用・登用の拡大等に関する指針」に基づき、各府省は平成27年度までの目標と目標達成に向けての取組等を定めた5カ年計画を策定し、具体的な取組を進めているところ。
 人事院では、毎年定期的に会議を開催するなど、各府省の取組が実効性のあるものとなるよう支援するとともに、各府省の取組をフォローアップしているところであり、引き続き、人事院としての役割を果たして参る所存。
 育児休業及び育児のための短時間勤務を含む各種両立支援策については、これらの制度がより活用されるよう、リーフレットの配布等により、制度の周知や勤務環境の整備を図っており、引き続き、各府省の着実な取組を促して参りたい。
 男性の育児休業の取得の推進について、人事院としては、配偶者の就労状況にかかわりなく夫婦が同時に育児休業が取得できる制度の導入(平成22年6月)など、制度面からの男性の育児休業の取得の推進にも努めてきたところであり、今後も引き続き、各府省において男性職員が育児休業を取得しやすい職場の環境整備が進められ、男性の育児休業取得率の向上が図られるよう支援して参りたい。
(4) 福利厚生施策の充実について
 人事院では、心の健康づくりをはじめとする健康安全対策について、各職場において推進すべき重要な事項であるとの認識に立ち、こころの健康相談室や心の健康管理医(精神科医等の専門医)による職場復帰相談室の設置等の措置を講じつつ、各府省と連携しながら鋭意取り組んできたところであり、引き続き心の健康づくりをはじめとする健康安全対策について努力して参りたいと考えている。
 また、パワー・ハラスメントの防止については、「パワー・ハラスメントを起こさないために注意すべき言動例」を作成し、職員に周知(平成22年1月)するとともにアンケート調査結果を各府省にフィードバック(情報提供)(平成24年1月)し、その防止に努めているところであり、人事院として今後とも各府省と連携して、パワハラの防止の推進に努めて参る所存。

3.非常勤職員制度等について
 非常勤職員の給与については、平成20年8月に発出した指針に沿った給与の適正な支給が図られるよう努めて参りたい。
 また、非常勤職員の休暇については、民間の状況等を考慮して措置してきているところであり、引き続き民間の動向等を注視して参りたい。
 期間業務職員制度は、職員団体を始め各方面の意見等を踏まえ、平成22年10月に導入したものであるが、人事院としては、各府省において、本制度を設けた趣旨に則った適正な運用がなされるよう引き続き、制度の周知等を行うなど取り組んで参りたい。

 これに対し公務員連絡会側は、次の通り、審議官の見解を質した。
1.勧告等について
(1) 本年の民調では調査対象産業を拡大したが、調査対象事業所について、どの程度の実施率になったのか。また国公実態はどのような状況か。
(2) 官民比較は、昨年同様、給与法本則に基づく国家公務員給与水準と臨時特例減額に基づいて実際に支給されている給与水準があるが、それぞれと民間給与との比較を行うのか。
(3) 来年3月までは特例減額措置が引き続き講じられているという事実認識が基本だ。人事院も昨年給与改定勧告を行わなかった理由の一つとして言及していたが、このことについては本年も変わりはないということでよいか。国家公務員の給与については減額されており、民間賃金水準を下回っていることは明らか。したがって、公務員連絡会としては制度上の較差を埋めるためにこれを更に引き下げる必要はないと考えており、このことを踏まえた対応を強く求めておく。
(4) 再任用職員の給与については、「民間の動向等を把握しながら検討する」とのことであるが、できるだけ早く4月以降の勤務条件を示す必要があり、夏の段階で具体的な措置を勧告すべきではないか。現時点でどのような検討を行っているのか。また、各府省からは、どのような要望がでているのか。
(5) 再任用はあくまで当面の措置であるが、まずはこの制度で雇用と年金を接続していかなければならない。まともな生活水準を確保できないといったことにならように、人事院としてもその守備範囲できちんと措置すべき。
 また、人事院は、一昨年に段階的定年延長の意見の申出を行っており、本年の報告においても改めて定年延長の重要性を指摘すべきだ。

2.労働諸条件の改善について
(1) 労働時間の短縮等について
@ 職場からは、病人を出さずにこれ以上業務遂行を続けることはできないというような深刻な訴えもある。昨年度の超勤実態は大地震からの復旧・復興対策のために相当増えたのではないかと見込まれるがどんな状況か。
A 超勤縮減対策を講じてもむしろ本府省では増える傾向にあり、地方でも高止まっている。本府省における在庁時間の縮減について、着実に取り組まれているか。人事院として、今後どう対策を取っていくつもりか。
B 勤務時間法第13条2項では、「公務のため臨時又は緊急の必要がある場合」に超過勤務を命じることができる旨を規定しているが、年間720時間を超えるような超過勤務が「臨時又は緊急の必要がある場合」と言えるのか。最低限720時間を超えた場合には超勤を行わせないといった厳しい制限を課すべきではないか。
(2) 配偶者の転勤に伴う離職への対応について
  今日の回答では、まだ「検討を進めている」段階とのことなので、別途、きちんと議論をさせてもらいたい。
(3) 男女平等の公務職場の実現について
@ 女性国家公務員の登用を拡大するため、地方局を含めてメンター研修が十分に実施されているようだが、平成23年度及び平成24年度の「女性国家公務員の活躍事例集」には、これが役に立ったという事例は見当たらないが役に立っているのか。
A 男性の育児休業取得促進(2020年13%が目標)について、民間に比べれば公務は少しは取得率は良いが、各府省に対する支援に止まらず、人事院として具体的促進策を講じるなどより積極的に対応すべきではないか。
(4) 福利厚生施策の充実について
@ 「心の健康づくり対策推進のための各府省連絡会議」の開催状況と具体的成果はどうか。長期病休者の調査結果では「精神及び行動の障害」を理由とするものが前回1.28%が1.26%となり増加傾向に歯止めがかかったとしているが、まだそこまでの評価はできない。安心せず職場環境の問題を含めた原因を丁寧に分析し抜本的な対策が必要ではないか。
A 苦情相談の件数を見ると、セクハラよりもパワハラが多い実態にある。何をもってパワハラと定義するのか難しい問題もあるが、昨年行った調査結果を踏まえ、積極的な対策を講じるべきではないか。

3.非常勤職員制度等について
(1) 期間業務職員制度の導入により、従来6ヵ月以内がほとんどであった雇用期間が1年以内に伸びて来ていることを踏まえるならば、6ヵ月を超える雇用期間の場合には、6ヵ月、8割出勤を待たずに当初から年休を付与すべきだ。
(2) 期間業務職員制度は導入して3年を経過することになるので、その運用実態を把握、検証し、問題があれば必要に応じ改善策を講じていくべきだ。
(3) 期間業務職員の採用方法について、まずは公募するが、その後2回までは必ずしも公募しなくていい。4年目については改めて公募する。3年間勤めた人も4年目の公募に応募できる仕組みだということでよいか。

 これに対し、平野審議官は以下の通り回答した。
(1) 民調実施状況について、ここ数年は90%前後の数字で推移してきているが、本年についてもほぼ例年並みの水準を確保できる見込みである。国公実態については、現在、最終的な取りまとめを行っているところである。
(2) 数字の示し方については昨年と同様になるのではないか。
(3) 人事院としては、第三者機関として与えられた責務を果たすため、民調結果を踏まえて適切に対処することが原則と考えている。
(4) 雇用と年金の接続については、民間の動向及び各府省の再任用動向も見ながら検討を進めているところであり、具体的なものをお示しできる段階にはない。また、各省と情報交換をしているが、温度差があるのが実情だ。
 定年延長についてのご要望の趣旨は承ったので、引き続き検討していく。
(5) 大震災から2年が経過して、超勤については一時よりは落ち着きを取り戻していると認識しているが、さまざまな職場の実態があるため、引き続き関係機関と連携して超勤縮減に取り組んでいく。
(6) メンター研修は毎年600〜700人が受講している。「女性国家公務員の活躍事例集」に掲載されている幹部職員クラスは、まだメンターを活用する状況ではなかった。若手や係長クラスから活用を始めている。
(7) 男性の育児休業取得促進について、趣旨は理解できる。各省で混乱を招かぬよう地道に実施していくことが重要だ。
(8) 「心の健康づくり対策推進のための各府省連絡会議」については、年2回程度開催し、先行事例等を紹介しているほか、会議での意見交換を踏まえ職場環境改善実施要綱を定めるなど、活用している。
(9) 期間業務職員制度は、適切な運用を図っていただくことが大切である。4年目の公募に応募できるかどうかについては、その認識でよい。

 最後に、大塚副事務局長は「今日の回答は、「集計中」、「検討している」というような話だけで、本年の報告・勧告の姿形が一体どうなるのか一向に明らかにならなかった。国公給与が減額支給されているという事実を踏まえたとき、さらに給与を引き下げることには反対だ。月末には各局長との交渉を行うので、その際には公務員連絡会の要求・主張に沿った中身のある回答をお願いしたい」と強く要請し、本日の交渉を締めくくった。

以上