2013年度公務労協情報 31 2013年8月6日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

委員長クラスが人事院と最終交渉し回答引出す−8/6
−月例給・一時金ともに改定見送り、給与制度の総合的見直しについての検討表明−

 公務員連絡会委員長クラス交渉委員は、8月6日13時から尾西人事院事務総長と交渉し、6月20日に提出した本年の人勧期要求書に対する最終回答を引き出した。
 公務員連絡会は、この回答を受けて、7日に代表者会議を開催し、公務員連絡会としての態度を確認し、声明などを決定する予定である。

 交渉の冒頭、松原副議長が「6月20日に本年人勧期の要求書を提出し、今日まで事務レベル交渉を積み上げてきた。直前でもあるので、本日は事務総長から最終的な回答を頂きたい」と求めたのに対し、尾西事務総長は次の通り回答を示した。

1 人事院勧告・報告について
 日程としては、8月8日(木)となる予定である。
(1)官民較差と月例給について
 月例給の官民較差については、給与減額支給措置による減額前の給与額に基づく較差と給与減額支給措置による減額後の給与額に基づく較差を算出した。その上で、本年の勧告の前提となる官民比較については、昨年と同様、給与減額支給措置による減額前の給与額に基づき行うこととした。
 官民較差は、極めて小さいもので、官民給与はほぼ均衡していると見込まれる。
 したがって、月例給の改定は見送る予定である。
(2)特別給について
 特別給についても同様に、官民の支給月数は均衡しているものと見られ、支給月数の改定はない見込みである。

2 雇用と年金の接続について(再任用職員の給与)
 年金の支給開始年齢の段階的な引上げに伴う雇用と年金の接続については、本年3月に閣議決定された「国家公務員の雇用と年金の接続について」によって、現行の再任用の仕組みにより希望者を再任用するものとされた。定年延長ではなく再任用することとしたことは、雇用と年金の接続を図るための当面の措置として、やむを得ないものと考えるが、年金支給開始年齢が62歳に引き上げられる平成28年度までには、平成26年度からの再任用の運用状況を随時検証しつつ、平成23年の人事院の意見の申出に基づく段階的な定年の引上げも含め再検討がなされる必要があると考える。
 また、人事院は、同閣議決定における要請を踏まえ、給与制度上の措置について検討を行っているところであるが、再任用職員の給与水準や手当の見直しについては、「平成26年職種別民間給与実態調査」において公的年金が全く支給されない再雇用者の給与の具体的な実態を把握した上で、平成26年4月における再任用職員の職務や働き方等の人事運用の実態等を踏まえつつ、必要な検討を進めることとしたいと考えている。

3 非常勤職員等の処遇改善について
 非常勤職員の給与については、各府省において、人事院の発出した指針(平成20年8月)に沿った運用がなされることが重要と考えており、引き続き適正かつ円滑な運用が図られるよう取り組んで参りたいと考えている。
 また、非常勤職員の休暇等については、従来より民間の状況等を考慮し、措置してきたところであり、今後ともこうした考え方を基本に民間の動向等に留意しつつ、適切に対応して参りたいと考えている。
 期間業務職員制度は、職員団体を始め各方面の意見等を踏まえ、平成22年10月に導入したものであるが、人事院としては、各府省において本制度を設けた趣旨に則った適正な運用がなされるよう引き続き取り組んで行きたいと考えている。

4 給与制度の総合的見直しについて
 給与構造改革に関する勧告を行ってから8年が経過し、我が国の社会経済情勢は急激な変化を続けている。こうした中、国家公務員給与については、一層の取組を進めるべき課題が種々生じてきている。
 このような状況を踏まえ、国家公務員の給与に対する国民の理解を得るとともに、公務に必要な人材を確保し、職員の士気や組織の活力の維持・向上を図っていくため、俸給表構造、諸手当の在り方を含め、給与制度の総合的な見直しについて検討を進め、早急に結論を得ることとしたいと考えている。
 今年の報告では、そのような認識に基づいて、給与制度の総合的な見直しについて検討を行うことを表明し、具体的な検討課題、検討内容等について述べることとしている。主な検討課題は、
○ 民間の組織形態の変化への対応
○ 地域間の給与配分の在り方
○ 世代間の給与配分の在り方
○ 職務や勤務実績に応じた給与。具体的には、
 ・人事評価の適切な実施と給与への反映
 ・技能・労務関係職種の給与の在り方
 ・諸手当の在り方
などである。
 なお、これらの課題の検討に当たっては、職員団体や各府省等の意見も聞きながら進めていく所存である。

5 国家公務員制度改革等に関する報告について
 以上のほか、国家公務員制度改革等に関して報告することとしている。
 報告では、国家公務員制度改革について、これまでの改革の経緯を踏まえた留意点を示すとともに、幹部職員人事の一元管理、内閣人事局の設置と人事院の機能移管、自律的労使関係制度などについて、主な論点、留意点等を整理して示すこととしている。
 そのほか、人事行政上の諸課題への取組として、能力・実績に基づく人事管理の推進のため、@幹部職員等の育成・選抜に係る人事運用の見直し等、A人事評価の適切な実施・活用、について述べるとともに、採用試験等の見直しとして、@国家公務員採用試験への英語試験の活用、A就職活動時期の見直しへの対応、についても言及することとしている。また、女性国家公務員の採用・登用の拡大と両立支援についても述べることとし、両立支援の推進に関しては、@配偶者帯同休業の導入の意見の申出と多様で弾力的な勤務時間制度の検討、A男性職員の育児休業取得の促進、B超過勤務の縮減について言及することとしている。

6 配偶者の転勤に伴う離職への対応について(配偶者帯同休業制度に関する意見の申出)
 人事院は、同じ日に、国会及び内閣に対し、配偶者帯同休業制度に関する意見の申出を行う予定である。
 配偶者帯同休業制度は、外国で勤務等をする配偶者と生活を共にするための休業の制度を設けることにより、有為な職員の継続的な勤務を促進し、もって公務の円滑な運営に資することを目的とするものであり、意見の申出の主な内容は次のとおりである。
 (1) 休業の対象となる職員について
  外国で勤務等をする配偶者と生活を共にすることを希望する職員とする。(常時勤務することを要しない職員等を除く。)
  なお、配偶者は国家公務員に限らない。
 (2) 休業の承認について
  職員の請求に基づき、任命権者が、職員の勤務成績等を考慮した上で、公務の運営に支障がないと認めた場合に承認することができることとする。
 (3) 休業の期間について
  1回の休業期間は3年を超えない範囲内の期間とする。(3年を超えない範囲内であれば、1回に限り期間の延長が可能)
 (4) 休業の効果について
  休業の期間中は、職員としての身分は保有するが、職務に従事せず、給与は支給しない。
 (5) 休業に伴う任期付採用及び臨時的任用について
  任命権者は、職員の配置換え等の方法により配偶者帯同休業を請求した職員の業務を処理することが困難であると認めるときは、請求の期間を限度として、任期付採用又は臨時的任用を行うことができるものとする。

 以上の回答に対し、松原副議長は以下の通り公務員連絡会としての見解を述べ、交渉を締めくくった。
(1) いま、月例給については官民較差が極めて小さいことから、一時金については民間と均衡していることから、いずれも改定を見送るとの回答があった。改定しないことについては、回答の通り、受け止める。
(2) 給与制度の総合的見直し検討については、地域や高齢層の組合員に痛みを伴った給与構造改革が完了して2年を経たにすぎない今日において、拙速だと言わざるを得ない。とりわけ、地域間の配分については昨年検証を終えたばかりであるにもかかわらず、新たな比較方法を持ち出して較差を編み出したことは恣意的であり、重ねて見直そうとすることは納得できない。行政職(二)職員の課題を含めて、見直しの必要性という原点から、われわれと十分な交渉・協議を行い、合意に基づいて検討するよう強く要請する。
(3) また、再任用者の給与制度について、具体的な措置の提案が見送られたことや、超過勤務や非常勤職員の課題をはじめとする、その他の労働諸条件の改善についても具体的な措置が提案されなかったことについては残念なことであったと申し上げておきたい。
(4) 今日の回答については、機関に持ち帰って報告し、われわれとしての最終的な態度を決定することとしたい。

以上