2013年度公務労協情報 33 2013年8月9日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

地公部会が2013地公の給与勧告等について全人連に要請−8/9

 公務員連絡会地公部会は、9日10時から、2013年度地方公務員の給与勧告等について、全国人事委員会連合会に対する要請を行った。
 公務員連絡会側は、永井地公部会議長代行(全水道委員長)、氏家企画調整代表(自治労書記長)、藤川地公部会事務局長および地公部会幹事が出席し、全人連側は、関谷会長(東京都人事委員会委員長)はじめ、都道府県人事委員会のブロック代表および政令市の代表者が対応した。
 冒頭、永井地公部会議長代行は、要請書(別紙)を手交し、「昨日、人事院は報告を出したが、地方の職場で働く者にとっても極めて重要な内容があり、要請の実現に向けて努力をして頂きたい」と挨拶、次に、藤川事務局長が要請書の趣旨を説明し、そのなかで、「政府からの給与削減強制は、地方公務員の給与決定制度の根幹を揺るがす深刻な事態であり、各人事委員会においては、労働基本権制約の代償措置としての使命と責任のもと、このようなことが二度と起こらないよう、可能な対応をされたい。また、人事院報告にある、給与制度の総合的な見直し検討については、給与構造改革が完了してようやく2年を経たに過ぎず、拙速であり、かつ、地域間較差について、確かなデータも示さず、較差解消の見直し検討を行うというのは恣意的であり、看過できない問題である」と述べた。
 こうした地公部会の要請に対し、関谷全人連会長は以下の通り回答した。

<全人連会長回答>

平成25年8月9日

 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。
 早速、役員府県市を通じて、全国の人事委員会にお伝えいたします。
 さて、8月8日に、人事院において国家公務員の給与等について報告が行われましたので、改めてその概要について申し上げます。
 国家公務員について、特例による給与減額支給措置が講じられている中での官民比較となりましたが、本年の民間給与との較差は、減額前の給与額を基準とした場合で76円、率にして0.02%、民間給与が公務員給与を上回るとしております。
 特別給につきましては、公務の支給月数は民間の支給実績と均衡しているとしております。
 こうした較差等の状況を踏まえ、人事院は、月例給、特別給ともに改定は行わないとしております。
 一方、国家公務員給与については、給与構造改革に関する勧告を行ってから8年が経過し、この間、社会経済情勢が急激に変化してきていることなどを背景に、一層の取組を進めるべき課題が種々生じてきているとし、給与減額支給措置終了後に、俸給表構造や諸手当のあり方を含む給与制度の総合的見直しを実施できるよう準備に着手すると言及しております。また、現行の再任用の仕組みを活用した雇用と年金の確実な接続のための取組についても言及しております。
 このほか、公務員制度改革等に関する報告が行われ、能力・実績に基づく人事管理の推進や女性国家公務員の採用・登用の拡大、両立支援推進の観点からの取組として、一般職の職員の配偶者帯同休業に関する法律の制定について意見の申出を行っております。
 なお、詳細につきましては、これから人事院の説明をうけるところですが、人事院の勧告は、必ずしも、これに従うべきものではないとは言え、今後、各人事委員会が勧告作業を行う上で、参考となるものであることから、その内容については、十分に吟味する必要があると考えております。
 現在、各人事委員会では、勧告へ向け、鋭意作業を進めているところです。
 今後は、皆様からの要請の趣旨も考慮しながら、それぞれの人事委員会が、地域の実情を踏まえつつ、主体性をもって対処していくことになるものと考えております。
 公務員の給与を取り巻く環境は、厳しい状況にありますが、人事委員会といたしましては、本年も、中立かつ公正な人事行政の専門機関として、その使命を果たしてまいります。
 全人連といたしましても、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に十分努めていきたいと考えております。


(別紙)全人連への要請書

2013年8月9日

全国人事委員会連合会 
 会 長  関 谷 保 夫 様

公務員連絡会地方公務員部会
議長代行  永 井 雅 師

2013年地方公務員の給与勧告等に関する要請書


 各人事委員会の地方公務員の給与・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 政府から地方公務員給与の削減要請を受けた地方自治体の65.5%にあたる1,171自治体が、給与の削減措置を実施、または実施予定となっています。国が地方公務員給与の削減を実質上、強制するという地方公務員の給与決定制度の根幹を揺るがす深刻な状況にある中、各人事委員会においては、労働基本権制約の代償措置としての使命と責任のもと、このような事態が二度と起こらないよう、可能な対応を強く求めます。
 さて、人事院は、8月8日、月例給を改定せず、一時金についても民間と均衡していること等から改定しないとする一方、給与制度の総合的な見直しを行うとの職員の給与等に関する報告と配偶者の海外転勤等に伴う休業制度を措置するための意見の申出を内閣及び国会に提出しました。給与制度の総合的な見直し検討の報告は、地域や高齢層の職員に痛みを伴った給与構造改革が完了してようやく2年を経たにすぎず、拙速の誹りを禁じえないものであり、また、地域間較差について、新たな比較方法を持ち出して較差を編み出す手法は恣意的というほかありません。
 各人事委員会は、今後、公民比較調査を踏まえた勧告作業に入りますが、地方公務員が置かれている現状を十分踏まえ、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。



1.民間賃金実態に基づき公民較差を精確に把握し、人事委員会勧告制度の下で地方公務員労働者のあるべき賃金を勧告すること。公民較差については、当面、現行の比較企業規模を堅持すること。また、一時金の公民比較は、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。

2.各人事委員会の勧告に向けた調査や作業に当たっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

3.諸手当の改善については、地域の実情を踏まえつつ、組合との十分な交渉・協議に基づくこと。

4.臨時・非常勤職員の処遇改善に関わって、人事委員会として可能な対応を行うこと。

5.公立学校教職員の給与の見直しに当たって、各人事委員会が参考としうるモデル給料表等を作成する際には、関係労働組合との交渉・協議を行うこと。

6.新たな高齢者雇用施策については、65歳までの段階的定年延長を実現するため、直ちに意見の申出を行うこと。

7.公務におけるワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間を早期に1,800時間程度に短縮し、引き続き次の事項の実現に努めること。
 (1) 厳格な勤務時間管理と実効性ある超過勤務縮減のための積極的施策の推進
 (2) 年次有給休暇取得の促進
 (3) 労働時間短縮のための人員確保等の施策の構築
 (4)配偶者帯同休業制度の実現

8.各種休暇制度を新設・拡充し、総合的な休業制度を確立すること。とくに、家族看護休暇、及びリフレッシュ休暇・有給教育休暇(リカレント休暇)の新設、夏季休暇日数の拡大をはかること。

9.育児休業、及び育児のための短時間勤務等について、臨時・非常勤職員を含めて制度を十分に活用できるよう、引き続き周知と取得しやすい職場環境の整備を図るとともに、「第3次男女共同参画基本計画」及び「新成長戦略」(2010年6月18日閣議決定)に基づき、2020年までに男性の育児休業取得率13%を達成できるよう、実効ある具体的促進策を講じること。

10.セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントに対する実効ある防止策を引き続き推進するため、積極的な対応を行うこと。

11.公務職場に外国人の採用を促進するとともに、2013年4月から障がい者の法定雇用率が引き上げられたことを踏まえ、障がい者雇用を一層促進すること。そのために必要な職場環境の整備を行うこと。

以 上