2013年度公務労協情報 9 2012年11月28日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

地公部会が地方財政確立等に係る要請行動を実施−11/27

要請書を手交する藤川地公部会事務局長(右)
 公務員連絡会地公部会は、11月27日、地方財政確立に関する地方団体への要請を行った。要請には幹事クラスが参加し、@地域公共サービスの実態に見合った財源保障、A東日本大震災の復旧・復興事業が計画的かつ着実に行われるよう予算措置を行うこと、B国家公務員の給与減額措置を理由とした地方交付税や義務教育費国庫負担金の削減を行わないこと、C自治体の自主的・主体的な財政健全化の支援、D地方公務員の総人件費の十分な確保、E「社会保障制度改革国民会議」での今後の議論において現場の意見を十分反映していくことという6点について、政府・関係省庁へ働きかけるよう申し入れた(別紙申入書参照)。
 とくにBについて、藤川事務局長は、「国家公務員給与引下げを地方財政計画に反映した場合、マクロ経済に与える影響額について、地公部会が経済学者の協力を得て試算をした結果、2013年のGDP成長率を0.6%押し下げること、民間給与は2,339億円減少することなど経済に大きな打撃を与える可能性があることがわかった。経済に与える悪影響という点からも、国家公務員給与引下げを理由とした地方交付税の減額をしてはならない」と述べ、各地方団体に一層の取組みを要請した。
 各々の地方団体の回答概要は以下のとおり。

(1)全国町村会要請の概要
 全国町村会への要請は12時55分から行われ、小川財政部副部長が対応した。全国町村会からの回答の概要は以下の通り。
@ 11月22日に931の町村が集まり、全国町村長大会を開催し、「地方交付税の有する「財源調整機能」と「財源保障機能」を堅持し、社会保障関係費の自然増に対応する地方税源の確保を含め、安定的な財政運営に必要となる地方交付税等の一般財源の総額を確実に確保すること。また、交付税率を引き上げるとともに、三位一体改革で大幅に削減された地方交付税を復元・増額すること」とする政府への重点意見を確認した。
A 全国町村長大会で確認したこれらの重点意見は、関係省庁に提出しているが、来年1月上旬の予算編成前に、各政党のマニフェストと見比べて、ここに盛り込んだ要望でよいのか、追加すべきものがあるかどうかなど、精査していくつもりだ。

(2)全国町村議会議長会要請の概要
 全国町村議会議長会への要請は13時30分から行われ、櫻田企画調整部長らが対応した。全国町村議会議長会からの回答の概要は以下の通り。
@ これまでも地方は自主的に給与削減も行ってきているにもかかわらず、財務省は国の給与減額後と地方の給与を比較して、ラスパイレス指数が逆転すると指摘しているが、総務省は国が給与削減を行ったから地方も同様に引き下げるという考えは持ってないと私たちは認識している。
A 私たちも皆さんと立場は同じであり、要請された内容とほぼ同じ事項で政府に対して意見を述べてきたし、地方6団体で共同声明なども出している。引き続き取組みを続けていく。
B 地財対策については、国からの一方的・強制的な削減をされないよう、総務省からも情報を得て連携を取りながら行っていかなければならないし、現に行っている。私たちは地方の自立に向けて国にものを申していく立場にあり、みなさんと同じ方向で要請を続けていく。国の給与削減は2年間に限り実施するということだけであり、元に戻ったときのことを考えればラス指数が反転するということはないはずだ。

(3)全国市長会要請の概要
 全国市長会への要請は14時5分から行われ、中村行政部長、天野財政部長らが対応した。(本情報冒頭写真:全国市長会へ申入書を手交する藤川地公部会事務局長(右))
 全国市長会からの回答の概要は以下の通り。
@ 地方財政は厳しい状況にあるが、地方公共団体は既に自助努力で行革を行ったり、独自削減を行っている。衆議院選挙でどの政権になるかによって対応は異なるが、まず結果を見てみなければわからない。私たちの主張が取り入れられている政党がどこなのかを確認してみようと考えている。
A 市長会として今危惧しているのは来年度の税制改正であり、自動車取得税及び自動車重量税の見直しで、市町村の財源に与える影響は何千億円という単位になるので、その影響が心配である。

(4)全国市議会議長会要請の概要
要請を行う地公部会幹事(左)  全国市議会議長会への要請は14時30分から行われ、三沢政務第一部部長らが対応した。全国市議会議長会からの回答の概要は以下の通り。
 地方交付税、一般財源確保は非常に大事な問題であるので、市議会議長会としてもしっかりと要請を行っていく。








(5)全国都道府県議会議長会要請の概要
 全国都道府県議会議長会への要請は15時20分から行われ、生島調査部長らが対応した。全国都道府県議会議長会からの回答の概要は以下の通り。
@ 地方6団体は従来から地方交付税を削減しないよう強く意見を言ってきているので、引き続き要請していくことになるだろう。
A 具体的には、国と地方の協議の場で地財確立について要請をしていくつもりだ。

 なお、全国知事会、総務省・財務省、各政党への要請については、衆議院解散・総選挙となったことから見送った。


(別紙)地方団体への申入書

2012年11月27日

         様

公務員連絡会地方公務員部会
議 長   木 敏 雄

地方財政確立等に関する申入れ


 貴職の地方自治確立、地方公務員の賃金・労働条件改善に向けたご努力に敬意を表します。
 東日本大震災の被災地においては、福島第一原発事故の早期収束や除染対策への対応をはじめ早期の復興・復旧に向けた課題が山積しています。さらに、エコカー補助金など内需向け施策の終了や超円高水準の継続、欧州債務問題等に伴う世界経済の減速はもとより、中国などで顕在化しているカントリーリスクなども相まって、製造業を中心に業績が悪化しています。このような状況が続くことは、地方の経済活力や雇用を失わせ、確実に地方の力を削いでいくことになります。
 三位一体改革における地方交付税の大幅減額により、地方は職員給与の独自削減や定員削減を行うなどの大変な努力を重ね、地方財政危機を乗り越えてきました。私どもは、給与の独自削減などについて、厳しい地方財政の現状を踏まえ真摯に対応するとともに、定員が削減される中にあっても公共サービスの質の低下を招かないために、懸命な努力を続けてきました。
 来年度予算編成においては、地方における一層の地域経済対策と雇用確保などを展開するとともに、社会保障関係費の経費増に対応するための地方の一般財源確保、地域間格差の是正に向け、地方交付税の総額確保など地方が必要とする財源の確保に向けて、下記事項の実現にご尽力を頂きますようお願いします。



1.地方財政計画の策定については、自治体との十分な協議のもとに、少子・高齢化対策、地域医療確保、環境保全など地域の行政需要を的確に反映させ、地域公共サービスの実態に見合った財源保障を実現するため、少なくとも地方の一般財源について、実質的に今年度の地方財政計画の水準を下回らないようにすること。また、恒常的な財源不足にもかかわらず長年据え置かれてきた地方交付税の法定率を引き上げること。

2.東日本大震災の復旧・復興事業が計画的かつ着実に行われるよう、医療・福祉など公共サービスの確保等被災者・避難者への支援、農林水産業の事業再開への支援、公共施設の復旧・復興等に万全の予算措置を行うこと。また全国の自治体からの職員派遣に係る財政支援を継続すること。

3.給与改定・臨時特例法による国家公務員の給与減額支給措置は、我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性に鑑み、2012年4月から2014年3月末までの間に期間を限って実施されるものである。地方自治体においては、すでに職員給与の独自削減、大幅な定員削減による人件費削減が進められていることから、国家公務員の給与減額支給措置を理由とした地方交付税や義務教育費国庫負担金の削減を行わないこと。

4.自治体財政健全化法の運用については、国の関与は最小限に止め、自治体の自主的・主体的な財政健全化に向けて一層の支援を行うこと。

5.医療・福祉・介護、教育、環境などの公共サービスの水準を維持・向上させるため、地方公務員の総人件費(定数・給与)の十分な確保を行うこと。

6.地方自治体には、社会保障制度運営の中核として住民と直接向き合う重い責任があることから、「社会保障制度改革国民会議」での今後の議論において地方の現場の意見を十分反映していくこと。

以 上