2014年度公務労協情報 15 2014年2月6日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

地公部会が2014春闘期の要求について全人連に要請−2/6


関谷全人連会長(左)に要請書を手交する永井議長(右)
 公務労協地公部会は、2月6日14時から、2014年度地方公務員の給与勧告等について、全国人事委員会連合会に対する要請を行った。
 地公部会側は、永井地公部会議長(全水道委員長)、川本企画調整代表(自治労書記長)、藤川地公部会事務局長および地公部会幹事が出席し、全人連側は、関谷会長(東京都人事委員会委員長)はじめ、都道府県人事委員会のブロック代表および政令市の代表者が対応した。
 冒頭、永井地公部会議長(写真右側)は、要請書(別紙)を手交し、以下の通り挨拶した。
 政府が、地方自治体に地方公務員給与削減を「要請」したことに対して、多くの人事委員会が問題指摘をされたことに、構成組織を代表して敬意を表したい。しかしながら、地方自治体独自の給与削減は、長年に渡り言わば常態化しており、人事委員会勧告制度が形骸化していると言わざるを得ない。
 連合は、2014春季生活闘争において、デフレからの早期脱却をめざし、@定昇・賃金カーブ維持相当分、約2%の確保、1%以上の賃上げ、一時金水準の向上・確保、非正規労働者の均等・均衡処遇実現に向けて取り組むことなどを掲げている。われわれも、「公務員労働者の賃金を引き上げること」を基本にし、春季生活闘争を民間組合と連帯し取り組む。
 公務員給与については、人事院が公務員の生活と働く意欲に関わる「給与制度の総合的見直し」検討を進めている。地方公務員賃金引下げにつながる見直しを許さない取組みを全力で進める。各人事委員会においても、人事院の検討動向を十分注視しつつ、必要な要望・意見を出して頂くよう求めたい。
 次に、藤川事務局長が要請書の趣旨を説明した。
 こうした地公部会の要請に対し、関谷全人連会長は以下の通り回答した。

<全人連会長回答>

平成26年2月6日


 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。
 早速、役員道府県市を通じて、全国の人事委員会にお伝えします。
 折角の機会ですので、現在の状況認識等について、一言、申し上げます。
 まず、最近の経済状況を見ますと、去る1月17日に発表された政府の月例経済報告では、景気について「緩やかに回復している」との基調判断を示しております。先行きについては、「各種政策の効果が下支えする中で、家計所得や投資が増加し、景気の回復基調が続くことが期待される」とする一方で、「海外景気の下振れによるリスクや、消費税率引上げに伴う駆け込み需要及びその反動が見込まれる」としております。
 一方、既に始まっている本年の春季労使交渉では、賃上げについて様々な議論がなされているところであり、今後の状況も含め動向が注目されるところです。
 現在、人事院及び各人事委員会では、春闘の結果も反映された民間給与の実態を的確に把握できるよう、本年の民間給与実態調査の実施へ向け、その準備を進めているところです。
 今後、各人事委員会においては、社会経済の動向なども踏まえながら、本日の要請内容も含め、本年の勧告に向けた検討を進めていくことになろうかと思います。全人連といたしましては、本年も各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に努めてまいります。
 あらためて申すまでもありませんが、人事委員会の重要な使命は、公務員の給与等の勤務条件について、社会情勢に適応した適正な水準を確保することであると認識しております。
 地方公務員の給与を取り巻く環境は、不透明な状況ではありますが、私ども人事委員会は、本年も中立かつ公正な第三者機関として、その使命を十分に果たしてまいります。

(別紙)全人連への要請書

2014年2月6日



全国人事委員会連合会
 会 長  関 谷 保 夫 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 永井 雅師



要 請 書

 貴職の地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 政府による地方自治体に地方公務員給与削減「要請」に関わって、多くの人事委員会が問題指摘をされたことに対し、敬意を表します。しかしながら、地方自治体独自の給与削減は常態化しており、人事委員会勧告制度が形骸化していると言わざるを得ません。
 連合は、2014春季生活闘争において、 デフレからの早期脱却をめざし、@定昇・賃金カーブ維持相当分(約2%)を確保し、過年度物価上昇分を含む賃上げ(1%以上)を求めること、A一時金水準の向上・確保を図ること、B非正規労働者の均等・均衡処遇実現に向けて取り組むことなどを方針に掲げています。私どもも、「公務員労働者の賃金を引き上げること」を基本にし、あわせて公務員給与のあり方に対する社会的合意形成の再構築に向けて、使用者責任を追及しながら取組みを進めることとしています。
 また、人事院が「給与制度の総合的見直し」検討を進めており、地方公務員賃金引下げにつながる見直しを許さない取組みを全力で進めます。各人事委員会におかれましては、人事院の検討動向を十分注視しつつ、必要な要望・意見を出されることを強く求めます。
 貴職におかれましては、人事委員会の使命を十分認識され、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。


1.2014年度の給与改定に当たっては、民間賃金実態を正確に把握し、地方公務員の生活を改善するため、賃金水準を引き上げること。

2.公民給与比較方法について、現行の比較企業規模を堅持するとともに、社会的に公正な仕組みとなるよう、抜本的に改善すること。また、一時金の公民比較は、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。

3.諸手当の改善については、地域の実情を踏まえつつ、組合との十分な交渉・協議に基づくこと。

4.臨時・非常勤職員の処遇改善に関わって、人事委員会として可能な対応を行うこと。

5.雇用と年金の接続について、当面、希望する者の再任用と生活水準を確保するため、給与制度の見直しをはかること。また、年金支給開始年齢が62歳になるときまでには定年延長を実現すること。

6.公立学校教職員の賃金の見直し関わり、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成する際には、関係労働組合との交渉・協議を行うこと。

7.公務におけるワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間を早期に1,800時間程度に短縮し、引き続き次の事項の実現に努めること。
 (1) 超過勤務規制のための積極的施策の推進
 (2) 1か月当たり45時間を超え60時間以内の超過勤務に対する割増率については、民間企業の実態を踏まえた引上げを行うこと。

8.各種休暇制度を新設・拡充し、総合的な休業制度を確立すること。とくに、家族介護を理由とした離職を防止するための介護休業制度の整備をはかること。また、育児休業・介護休暇の男性取得促進のための必要な措置を行うこと。

9.公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題と位置づけ、必要な施策の確立を図ること。また、「第3次男女共同参画基本計画」及び「日本再興戦略」に基づき、2020年までに男性の育児休業所得率13%を達成できるよう具体的促進策を講じること。

10.実効あるセクシュアルハラスメント、パワーハラスメントの防止策を引き続き推進するため、実態把握の実施と、それに基づいた必要な対策を講じること。

11.公務職場における障がい者、外国人採用の促進をはかるため、職場環境の整備を含め必要な措置を行うこと。とくに、知的障がい者及び精神障がい者の雇用促進に関する具体的方策を明らかにすること。

12.各人事委員会の勧告に向けた調査や作業に当たっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

以上