2014年度公務労協情報 17 2014年2月24日
公務公共サービス労働組合協議会

2014春季生活闘争・公共サービスキャンペーンを本格的に開始
−拡大地方代表者会議、中央集会を実施(2/20)−

 公務労協は20日、@連合の春季生活闘争への積極的参加と、各構成組織における取組みの強化に向けた基盤を形成する、A2014年の「良い社会をつくる公共サービスキャンペーン」の取組みに係る組織内の意思統一をはかる、B安倍政権発足から1年が経過した現状と、今後の日本政治と社会の行方について認識の共有を得ることなどを目的に、拡大地方代表者会議及び「2014春季生活闘争・公共サービスキャンペーン開始2.20中央集会」を実施した。

主催者を代表してあいさつする加藤議長 13時30分から東京・イイノホールで行った中央集会には、全国から約500人の仲間が結集した。
 集会の冒頭、加藤公務労協議長が主催者を代表して挨拶し、公共サービスキャンペーンについて「東日本大震災から間もなく3年が経過するが、未だに避難生活を続けている被災者は27万人を超えている。我々は、公共サービスに従事する立場から、インフラ維持と被災者支援に必死になって取り組んできた。この中央集会で、公共サービスの確立とは『一人ひとりの生活の基盤を作っていくことだ』ということを再確認したい」と述べた。
 また、今春季生活闘争について「月例賃金にこだわり、ベースアップと底上げに向け、連合の各民間産別は既にたたかいを繰り広げている。安倍首相は『賃上げに応じない企業名を公表する』としているが、公権力が介入するということは「景気が悪いときには賃金を引き下げる」という圧力にも繋がるもので認められない。労働条件は労使で決定するものだ。今春季生活闘争の大きな課題は、非正規労働者の労働条件を改善し、格差の無い社会を実現し、働くもの全ての処遇改善を図ることだ。連合の取組みに結集し、全力を尽くす」と、取組みへの決意を表明した。

 議長挨拶に続き、ジャーナリストの嶌信彦さん、福島県南相馬市の桜井勝延市長、松本弘樹自治労南相馬市職労委員長がそれぞれ講演を行った。
ジャーナリスト嶌信彦さん 嶌さんは「世界各国での相次ぐ政権交代、リーマンショック〜ユーロ危機以降続いている世界的な不況、また、富裕国と貧困国、富裕層と貧困層の二極化の進行など、社会は『大動乱時代』を迎えている。こうした時代の中で、日本がどのように生き残るかが問われている。盛んに『日本の再生』や『強い日本』という言葉が使われるが、『再生』、『強さ』の意味が何かを考える必要がある。少子高齢化、人口減少が進み、かつてのような世界第2位のGDP大国にもなり得ない。政治大国にも、軍事大国にもなり得ない。こうした中で日本の存在感を、世界にどうやってアピールしていくかが重要だ。環境・文化・農業・iPS技術をはじめとする分野など、工夫する力、器用さ、真面目さが日本の強みであり敬意を表される『国柄』を大事にすることだ。国も企業も、大動乱時代の流れを読んで、いち早く次の一手を打つことが大切だ。大震災という国難に対しても、大国ではなく、日本人の『人柄』と『国柄』を磨いてゆきたい」と述べた。


桜井勝延 南相馬市長 桜井市長は「南相馬市は震災と津波で破壊された。また、原発事故で多くの放射性物質がまき散らされた。自らも被災し、職員も様々なストレスを抱えながら、住民の強制避難などの、経験したことのない職務にあたってきた。自分を支えることができない状況で、人を支えることはできない。『強がりを言わずに、弱音を吐いてもいいんだ』と職員に声をかけながら、当時の状況に対応していた。このように、南相馬市の職員が疲弊する厳しい状況の中、全国の皆さんから大きな支援をいただいたことに対して、この場を借りてお礼を申し上げたい」と述べた。




松本弘樹 自治労相馬市職労委員長 松本委員長は、スライドを用いながら、震災当時の被害状況、現在の復旧・復興状況等について説明を行った。震災直後に情報不足で苦慮したことや、住民の強制避難誘導、避難用のガソリン配給、餓死してしまった家畜の処理・国の方針による捕獲・安楽死処分、調査チームの案内・誘導など、かつて経験したことのない職務にあたったことなどに触れ、「疲労が蓄積し、健康やメンタルに不安を抱える職員もいる中、『私たちの経験は今後、必ず全国のモデルになる。こうした経験を皆さんに伝えながら、何かがあったときの参考にしてもらいたい』という気持ちを原動力に、皆職務に取り組んでいる」と述べた。



 その後、公務労協DVD「みんなの力で〜東日本大震災と公共サービス〜」を上映し、震災時の状況を振り返り、公務公共サービスの必要性・重要性を再確認した。
 続いて、吉澤事務局長が古賀連合会長のメッセージ紹介(別紙参照)、基調提案を行い、「連合の春季生活闘争、特に民間の春の交渉は、政治的な影響が強いという従来に無い環境のもと、懸命の対応が行われている。私たちは、人事院勧告制度のもと、賃金・給与の相場形成に直接参加できないストレスは強いものがある。一方で、全国各地で活動を展開しているという私たちの立場を踏まえ、地場・中小の取組みに連帯・支援し、自らの問題として対応していくことが極めて重要だ。大手組合を中心とした回答交渉が3月に控えているが、地場・中小の交渉が本格化する4月〜5月、場合によっては6月にかけても、切れ目なく、全力を挙げてこの春季生活闘争に取り組む」と決意を述べた。
 最後に団結がんばろうを行い、中央集会を締めくくった。


拡大地方代表者会議で、本年度公共サービスキャンペーンの取組みを意思統一


 10時から開催した拡大地方代表者会議(東京・全日通会館)では、2014年度公共サービスキャンペーンの取組みについて、すべての地方自治体における公共サービス基本条例の制定をめざして継続した取組みを進めることを意思統一した。
 具体的には、@集会・学習会・シンポジウム等を開催し、中央集会で意思統一する情勢認識について共有をはかる、A民間労組やNPO、地方議会議員、大学教授等の有識者など幅広い関係者で構成する「公共サービス基本条例の制定をめざす会」を立ち上げるとともに、めざす会を中心に条例制定に向けた取組みを進める。なお、めざす会と同様の推進組織を既に結成している地域においては、引き続き条例制定に向けた取組みを進める。また、公共サービス基本条例制定を公約などに掲げた首長等と連携し、基本条例制定に向け取組みを進める、B各都道府県段階で整備が急がれる公共サービス(例えば、保育サービスや子育てなど)に焦点をあてて、基本条例理念の具体化をはかることを確認した。
 また、学習会として、大沢真理東大教授、秋田公務労協進藤一佳事務局長による講演が行われた。大沢教授は、公務部門の充実の必要性について講演を行い、公務部門の立て直しが急務だと強調した。また、進藤事務局長は、公共サービス基本条例制定に向けた取組みを報告した。
 さらに、西山幸宏徳島公務労協副議長より、ラッピングバス運行開始に関する報告がなされた。


(別紙)古賀連合会長からのメッセージ

公務公共サービス労働組合協議会
 議 長  加 藤 良 輔 様

 公務労協2014春季生活闘争・2014年公共サービスキャンペーン開始中央集会のご盛会を心よりお祝い申し上げるとともに、日頃からの連合運動に対するご支援・ご協力に、あらためて感謝申し上げます。

 2014春季生活闘争は、労働運動の存在意義が問われる極めて重要な位置づけにあります。マスコミは、政府の大企業への賃上げ要請を大々的に報じていますが、本当に問われているのは、この国で働くもの全体の暮らしの底上げであり、そのために労働組合が一致結束して春季生活闘争を闘い抜き、結果を出すことです。
 現在、緩やかな景気回復・物価上昇局面にありますが、その要因である為替、消費税率引き上げの駆け込み需要、そして大胆な財政出動は、いずれもリスクや反動への懸念を伴うものであり、地域における回復の度合いにもバラツキがあります。物価や負担が増える中で国民の所得が増えなければ、社会は混乱してしまいます。すべての組合が「月例賃金の引き上げ」「底上げ・底支え」「格差是正」に徹底的に拘らなければ、長きにわたり社会を痛めつけてきたデフレからの脱却は困難です。
 いよいよ要求提出から本格交渉の段階に入ります。厳しい交渉は必至です。公務労協の仲間の皆様には、全国各地域で奮闘する中小・地場組合を激励し、粘り強い交渉ができるようバックアップして頂くことをお願いします。一つひとつの組合のがんばりが、地場賃金の底上げにつながり、それが公務部門の賃金引き上げにつながります。労働運動が力を結集して、社会的賃金決定メカニズムの歯車を回していかなければならず、公務労協の仲間の皆さまには主体的立場からのご尽力を要望いたします。

 同時に、政策・制度実現の取り組みも重要です。連合が展開している「STOP THE 格差社会!暮らしの底上げ実現」キャンペーンとも連動し、労働者保護ルールの改悪には断固対峙するとともに、ILO勧告を踏まえた公務員制度改革関連法案の修正・補強に向けた取り組みなど、引き続き公務労協の皆さんと連携して取り組んでいきます。

 これらの運動を推進する上で、職場・地域で連帯の輪を広げ、社会の共感を得る取り組みが大切です。現在、連合は、「職場から始めよう運動」と総対話活動を展開しています。公務の職場にも、非正規で働く仲間がたくさんいます。こうした皆さんとの対話を通じて、不合理な格差を是正し、「働くことを軸とする安心社会」を実現するための運動にともに取り組もうと積極的に呼びかけてほしいと思います。仲間を増やし、社会のうねりを作り出すために、これまで以上の取り組みを期待するものです。

 締めくくりに、今次春季生活闘争が、後に、社会・経済の好循環、さらには「働くことを軸とする安心社会」の実現にとって大きな転換点であったと位置付けられるよう、連合として全力を挙げる決意を申し上げると共に、より質の高い公共サービスの実現に取り組む公務労協の皆様の一段のご奮闘を祈念いたします。
 ともに、がんばりましょう!


2014年2月20日
日本労働組合総連合会
会 長 古 賀 伸 明


以上