2014年度公務労協情報 21 2014年3月13日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

2014年春季要求事項で幹事クラスが人事院・総務省と交渉−3/12
−中間的回答は具体性がなく、さらに誠意ある回答を求める−

 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は3月12日、人事院職員団体審議官、総務省人事・恩給局次長と交渉を行い、2月19日に提出した2014春季要求に対する中間的な回答を引き出した。しかし、この日の回答は人事院、総務省ともに抽象的で不満な内容にとどまった。このため、公務員連絡会は、19〜20日の各局長との交渉ではさらに誠意ある回答を行うよう要求し、回答指定日に向けて交渉を積み上げて行くこととした。
 人事院、総務省交渉の経過は次の通り。

<人事院職員団体審議官との交渉経過>
 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は、13時30分から、平野職員団体審議官、藤倉参事官と交渉を行った。
 冒頭、大塚副事務局長が人事院の中間的な回答を求めたところ、審議官は「2月19日にいただいた公務員連絡会からの要求書については、最終回答は、ご要望を踏まえ3月下旬を想定しているが、本日、私の方からは、現段階における状況について、回答させていただく」と述べた上で、次の通り答えた。

1.賃金要求について
 今年の春闘では、連合は「すべての構成組織は、月例賃金にこだわる闘いを進め、底上げ・底支えをはかるために定昇・賃金カーブ維持相当分(約2%)を確保し、過年度物価上昇率はもとより、生産性向上分などを、賃上げ(1%以上)として求める」としている。一方、日本経団連は、賃金の引き上げについて、賞与・一時金への反映のみならず、特定層の賃金水準の引き上げや諸手当の改定など、実に多様な対応が考えられるとしている。
 このように月例給についてはベアをめぐる交渉が焦点となっており、こうした状況の中、本日の大手企業の一斉回答以降の動向を注視しているところである。
○ 国家公務員の給与について
 国家公務員の給与について、人事院としては、本年も情勢適応の原則に基づき、民間給与の実態を精緻に調査した上で、民間給与との精確な比較を行い、必要な勧告を行うという基本的スタンスにかわりはない。
○ 給与制度の総合的見直しについて
 給与制度の総合的見直しについては、昨年の報告で言及したとおり地域間・世代間の給与配分の見直し等の諸課題に対応する必要があると考えており、今後、職員団体の皆さんを始め、関係者とも意見交換を行いながら内容を詰めていきたいと考えている。
○ 諸手当の見直し・検討について
 住居手当について要求をいただいているが、住居手当をはじめ各種手当については、民間の手当の状況、官民較差の状況等を踏まえながら、引き続き検討して参りたい。

2.非常勤職員等の雇用、労働条件等の改善について
 非常勤職員については、適切な処遇等を確保するため、その任用、給与、休暇等について、職員団体や各府省等関係方面の意見等も聴きながら、民間の状況等を踏まえ、法律、人事院規則等を必要に応じて改正し対応してきたところ。今後とも同様の考え方を基本に必要な見直しを行っていきたい。
 また、「非常勤職員給与決定指針」の達成状況については、随時フォローアップを行っているところであり、今後とも、指針に沿った給与の適正な支給が図られるよう取り組んで参りたい。
 平成22年10月に導入した期間業務職員制度については、各府省において、本制度を設けた趣旨に則った適切な運用がなされるよう、制度の周知徹底や助言指導を行うなどして取り組んでいるところであり、人事院として引き続き、より適切な運用が図られるよう努めて参りたい。

3.労働時間の短縮等について
○ 超過勤務の縮減について
 超過勤務の縮減については、厳正な勤務時間管理の徹底、業務の改善・効率化などの取組の推進が肝要であるとの観点から、人事院として、各府省と協力して取り組んできたところである。管理職員の意識啓発等、引き続き各府省と連携を図りながら、超過勤務、在庁時間の縮減に取り組んで参りたい。
○ 休暇・休業制度について
 職員の休暇、休業制度等については、民間における休暇制度等の普及状況等を踏まえて、これまで適宜見直しを行ってきたところであり、今後も引き続き民間の状況等を注視しつつ必要な検討を行って参りたい。
○ 短時間勤務制度について
 昨年秋に実施した民間企業の勤務条件制度等調査や「介護のための両立支援制度に関するアンケート調査」及び「介護に関する意識アンケート調査」について、現在、集計、分析を進めているところであり、それらの結果等を踏まえて検討を行っていきたいと考えている。

4.人事評価について
 人事評価制度は、職員の能力・実績等を的確に把握し、人事配置や人材育成等の人事管理の基礎とするとともに、職員の任免、給与などの処遇を決定する根拠となる重要な仕組みである。公務組織の活力を保つためには、各職員の勤務実績が人事評価に的確に反映され、その結果を活用した人事管理を推進する必要がある。
 人事院では、人事院規則等において、能力・実績に基づく人事管理を推進する観点から、評価結果を任免や給与の決定に活用する基準を定めているところであるが、このような評価結果の活用が各府省においてより適正、円滑に実施され機能していくよう、運用実態の把握等に努めつつ、人事院としての役割を果たして参りたい。

5.高齢期雇用等について
○ 定年延長について
 定年延長に関しては、「国家公務員の雇用と年金の接続について」(平成25年3月26日閣議決定)において、希望者を再任用するとしたことは、雇用と年金の接続を図るための当面の措置として、やむを得ないものと考えているが、人事院としては、年金支給開始年齢が62歳に引き上げられる平成28年度までには、平成26年度からの再任用の運用状況を検証の上、人事院の意見の申出に基づく段階的な定年の引上げを含め、再検討がなされる必要があるものと考える。
○ 再任用職員の給与制度等について
 昨年3月の閣議決定において、幅広い職域や勤務地で活用すること等再任用職員の今後の職務や働き方の実情等を踏まえ、給与制度上の措置について必要な検討を行うよう要請をされているところ。
 再任用職員の給与については、本年の「職種別民間給与実態調査」(民調)において、公的年金が全く支給されない再雇用者の給与の具体的な実態を把握した上で、本年4月における公務の再任用職員の職務や働き方等の人事運用の実態等を踏まえつつ、必要な検討を進めることとしたいと考えている。

6.男女平等の公務職場の実現について
 人事院は、公務における男女共同参画の実現を目指して、第3次男女共同参画計画(平成22年12月17日閣議決定)を踏まえ、「女性国家公務員の採用・登用の拡大等に関する指針」を平成27年度までの5年間に係るものとして改定し、平成23年1月に各府省に通知した。各府省においては、この指針に基づき、平成27年度までの目標や目標達成のための具体的取組等を定めた「女性職員の採用・登用拡大計画」を策定し、現在はこの計画に基づき取組を進めているところ。人事院としても、各府省の取組をフォローアップしつつ、「女性のための国家公務員セミナー」、「女性のためのトークライブ」といった女性を対象とした啓発・人材確保活動を実施しているほか、来年度から、新たな取組として、マネジメント能力開発や自らのキャリアアップについて考えさせる機会を付与する「女性職員キャリアアップ研修」や管理職員の意識啓発を図る「女性職員登用推進セミナー」を実施するなど、各府省の取組を促し支援する各種施策の推進に努めている。引き続き公務における男女共同の推進が図られるよう、人事院としての役割を果たして参りたい。

7.福利厚生施策の充実について
○ 心の健康づくり対策等について
 心の健康づくりをはじめとした健康管理対策やセクシャルハラスメント、パワーハラスメント対策の推進については、公務全体の共通の課題として、各職場においてきめ細かい対応が重要であるとの認識に基づき、これまでも各府省と協力して、人事院として積極的に取り組んできたところである。各府省においてもこうした取組の必要性の認識は高まっており、人事院としても引き続き、各府省と連携しつつ、適切に対応して参りたい。

 以上、主な要求事項に対する検討状況について回答させていただいた。本日以降の進捗状況等については、後日、しかるべく回答したい。

 回答に対し、幹事クラス交渉委員は、まず、給与制度の総合的見直しに関して、次の通り人事院の見解を質した。
○ 今日の交渉は、1月の各構成組織からの要請文書の送付、3月5〜7日のブロック上京行動、180万余筆の署名提出後、初めての交渉だ。その回答は、「地域間配分や世代間配分の見直しが必要だ」というもので、これだけ声をあげて訴えても、考え方に乖離があるのは問題だ。この間のわれわれの切実な訴えというものを、どのように受け止めているのか。
○ 全国組織の国家公務員の職場で、全国異動があるにもかかわらず、勤務地で地域の賃金に合わせるというのはおかしな話だ。同じ現場であれば全国で同じ仕事をしている。仕事に対する対価が賃金なのに、なぜ低い地域に合わせられるのか。12県を抽出した今回の比較手法も納得できない。
○ 同じ業務をしているのに、事務所の所在地で一層地域間格差をつけようとするのは納得がいかない。地域間配分の見直しには反対だ。
○ 政府が民間企業にベアを要請しているのに、公務ではベースダウンになる地域間配分の見直しは、地域で働いている職員には、受け入れられない。
○ 人事院は公平・公正で、信頼できる第三者機関として振る舞ってもらいたい。
○ 米軍基地で働いている労働者は、日本の労働法制が制約されている一方、給与は国家公務員に準拠しており、総合的見直しは間違いなく波及する。給与水準をさらに下げることになる地域間格差の拡大には反対だ。

 これに対し、平野審議官は次の通り答えた。
○ 熱く切実な訴えであるのは、承知している。署名等々のそういった声は、できる限り検討させていただく。われわれとしては、これから具体的なお示しできる案がまとまった段階で、逐次相談させていただきたいと思っている。
○ 地方を中心に現場の声をいただいているが、切実な声と受け止めている。そういったことを踏まえながら検討を進めていくので、今後の議論においては真摯に対応させていただきたい。
○ 人事院としては、国家公務員給与について「国民の信頼を得る」という観点からは、総合的見直しの中で議論していく必要があると考えている。

 これに対し、大塚副事務局長は「『国民の信頼を得る』というのが理由として一番にくるのはおかしいのではないか。働いている当事者が納得できる賃金体系でなければいい仕事はできないし、いい仕事をしなければ国民の信頼を失うのではないか」と批判した。
 それに対し、平野審議官は「人事院は代償機関であるから、公務職場のあり方、あるいは国民から見てどういった形で給与がみられているのか、そういったものをトータルとして考えていかなければならない。職場の勤務条件を預かっているという認識を踏まえつつ、この間の動向も踏まえて、議論していきたい」と答えた。
 回答に対し、大塚副事務局長は「地方の声も聞いて、切実な声だと受け止めているという話があったが、受け止めるだけではなく、応えてもらいたい。われわれも十分な交渉・協議、合意ということで、見直しを一方的に実施するなと申し上げてきた。受け止めるだけでなく、切実な声を踏まえた検討を求める」と要請した。

 続いて、給与制度の総合的見直し以外の春季要求の中間的な回答に対し、大塚副事務局長は、次の通り人事院の見解を質した。
1.賃金要求について
○ 本年の春季生活闘争では、定昇確保に止まった昨年までと比べ、目に見える賃上げとなっている。民間で賃上げとなれば、公務員賃金も当然に引上げになる。夏に向けて、人事院として、今年は賃上げを勧告するという決意をもって臨んでもらいたい。諸手当見直しを含め原資配分については公務員連絡会と十分に話し合って、合意のもとに進めてもらいたい。
○ 比較企業規模は現行通りであり、比較対象職種の拡大等の課題については話し合いに基づいて進めると受け止めてよいか。

2.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
○ 非常勤職員が、法律上明確に位置付けられていないことが雇用の不安定と、不十分な勤務条件の原因だ。国会議論で、総裁は採用方法、処遇の府省間の統一について検討させていただきたいと答弁している。法制化を含めた検討を求める。
○ 非常勤職員の時給30円の賃上げ要求は連合の格差是正要求を踏まえたものであり、改善を求める。
○ 期間業務職員制度については、年度単位で見て3年が経過するこの春の状況を点検した上で、問題点があれば改善が必要と考えるがどうか。

3.労働時間の短縮及び本格的な短時間勤務制度等について
○ 1999年に超勤縮減指針が定められて以来の15年間にわたる超勤縮減の取組の結果は、超勤時間の増加だ。2012年で本府省374時間、本府省以外207時間、計で234時間という超勤時間を本気で減らすつもりがあるのか。
○ 本年は昨年以上に大型補正予算の公共事業等の早期執行が要請され、職場からは悲鳴が上がっている。職員の健康を守り、行った超勤に対してはその分の手当を必ず支払うという当たり前のことを徹底してもらいたい。
○ 両立支援制度については、介護休業制度の整備が重要な課題だ。多様化、弾力化のみならず、休業制度の導入も含めて検討すべきだ。現在、育児と再任用で措置されている短時間勤務制度を、介護及び定年前についても制度化すべきだ。

4.高齢者雇用施策について
○ 定年と年金支給開始までのギャップが広がる2016年度までには定年延長を実現することがわれわれの要求だ。人事院として、積極的なアクションをとるべきだ。
○ 再任用職員の給与制度については、定年延長に結びつけていくという観点、再任用の実態を踏まえて必要な手当については適用するという姿勢、給与水準については、年金不支給、短時間勤務という再任用者の実態に鑑み、少なくとも引き下げるというようなことはあってはならない。

5.男女平等の公務職場の実現について
○ 男性の育児休業取得目標に関わって、本年4月からは、育児休業給付が改善されることになることから、今後は管理職の対応や職場の雰囲気づくりが重要だ。

6.福利厚生施策の充実について
 メンタルヘルス、心の健康づくりが重要課題であり、そのためには超過勤務を縮減し、余裕を持って仕事ができる職場環境の実現が不可欠で、職場環境改善の取組みを広げてもらいたい。

7.国公法改正法案について
 国会で審議中であるが、108条の5の2の規定に基づいて人事院規則で制定する内容については、「手続きを定めるもので、職員団体からの意見の申し出に制約をかけるものではない」というイメージで受け止めてよいか。

 これに対し人事院側は、次の通り考えを示した。
(1) 比較企業規模は現行通りであり、比較対象職種の拡大等の課題については話し合いに基づいて進める。
(2) 非常勤職員等については、この3年という節目に限らず、関係者の要望や相談を随時行っている。日常的な対応の中で改善すべき点があれば改善し、人事院としても適正な運用が図れるよう努力している。
(3) 超勤は減らすべきということで取り組んでいるが、実効が上がらないという指摘は真摯に受け止める。超勤がこのままの状況でいいとは誰も思っていない。その思いと取り組みの実効というものが、マッチしていないということだと思うが、われわれもできるだけのことをやっていく。
(4) 再任用職員の給与については、民間の状況を踏まえながら考えていかなければならない。この4月の民間の状況がどのようになっていくかを注視していく。
(5) 職場環境改善は昨年から実施し、今年からまた何府省かが実施し始めた。独自の取り組みを行っている府省もある。まだ実施していない府省は参加していただけるように取り組んでいる。
(6)国公法改正法案の108条の5の2の規定に基づいて人事院規則で制定する内容については、基本的に手続きを前提としている。

 幹事クラス交渉委員からは「介護や育児の休暇・休業制度について、管理職だけでなく周りの職員の理解を深めるためのフォローアップ」「事前の超勤命令の徹底と手当の全額支給」「本年度の定年退職後、直ちには年金が支給されないので、今までもらっていた職員との均衡を踏まえた給与支給が必要、雇用形態にあった俸給設定」などを人事院に要請した。
 最後に大塚副事務局長が「今日の回答は、まだまだ具体性がなく、課題が残されている。今後、さらに議論を積み重ねて、各局長との交渉では、われわれの要求について具体的かつ前向きな回答をお願いしたい」と局長交渉では誠意ある回答を示すよう強く求め、本日の交渉を締めくくった。

<総務省人事・恩給局次長交渉の経過>
 井波人事・恩給局次長との交渉は、16時15分から行った。
 大塚副事務局長が要求に対する総務省の回答を求めたのに対し、次長は「主な事項について、現時点における回答を行う」として、次の通り回答を示した。

1.2014年度賃金について
 賃金の改善について、給与改定・臨時特例法に基づく特例給与減額支給措置は、デフレ脱却や経済再生などを含めた国政全般の観点から総合的に検討を行い、労働基本権制約の代償措置の根幹を成す人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、法律の規定どおり本年3月をもって終了することとなった。
 その上で本年の給与改定については、人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたい。その際は、皆さんとも十分に意見交換を行ってまいりたい。

2.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
 非常勤職員の処遇改善等については、平成22年10月から期間業務職員制度を導入したところ。また、育児休業等の取得も平成23年4月から可能となったところである。総務省としては、引き続き、これらの制度の適切な運用の確保に努めてまいりたい。
 なお、今年度末で3年を経過する期間業務職員が多いことが予想されるが、公募や能力の実証が制度の趣旨に沿って適切に行われている限り、結果として同じ者が複数年継続して勤務することはありうるところであり、総務省としては、人事管理官会議等の場を通じて、制度の趣旨を踏まえた適切な運用を行うよう各府省に周知を図っている。

3.労働時間、休暇及び休業について
 超過勤務の縮減について、職員の健康確保、士気の向上はもとより、ワーク・ライフ・バランスの推進のために重要であると認識しており、総務省としては、全省庁一斉の超過勤務縮減キャンペーンに取り組むほか、人事評価に当たり、超過勤務縮減等、コスト意識をもった効率的な業務運営が評価の対象とされるよう、徹底を図るとともに、各府省との連絡会議において優良な取組事例を共有するなど、政府全体の超過勤務縮減に向けた取組みを推進してまいりたい。

4.高齢者雇用施策について
 雇用と年金の接続については、昨年3月の閣議決定において、「希望する職員を再任用することで、雇用と年金を確実に接続する」とされているところであり、この方針に沿って、定年退職者の再任用を政府全体で着実に推進してまいりたい。
 また、昨年3月の閣議決定に基づいて、年金支給開始年齢の引上げの時期ごとの見直しに向け、民間の高齢者雇用の動向や再任用制度の活用状況を勘案し、段階的な定年の引上げも含め、雇用と年金の接続の在り方について検討してまいりたい。
 なお、再任用職員の給与水準や諸手当等の制度上の措置については、人事院における所要の検討を踏まえ、適切に対応してまいりたい。雇用と年金の接続のために必要な定員の問題に関しては、御指摘のような意見があったことについて、折に触れ、定員管理部局にお伝えしたい。

5.公務員制度改革について
 自律的労使関係制度については、引き続き、内閣官房において職員団体を含む関係者と意見交換を行っていくものと考えており、総務省としても必要な協力を行ってまいりたい。

 これに対して、大塚副事務局長は次の通り次長の見解を質した。
1.2014年度賃金について
○ 本年の春季生活闘争では、目に見える賃上げとなっており、公務員賃金も当然に引上げになる。夏の人事院勧告に向けて、公務員の使用者たる総務省としても、公務員の賃金も当然引き上げるという積極的な姿勢で臨んでもらいたい。
○ 昨年11月の公務員給与の取扱いにかかる閣議決定では、国家公務員の給与体系の抜本的見直しについて、人事院に早急な具体的措置の取りまとめを要請しているが、総務省には、地域の再生、本春闘の状況を踏まえた公務員の賃上げ、デフレ経済からの脱却という政策目的と整合する対応を強く求める。
○ 昨年度に引き続き2013年度も大型補正予算の早期執行が求められ、人がますます減っていく中で、仕事は増えていく、しかも短い期間でやれという要請で、悲鳴が上がっている。
 そこで、第1に被災地の復旧・復興事業を最優先する、第2にその中で公務員の労働条件もきちんと確保する、第3に事業予算と合わせ超勤予算も確保し、全額支給する、ということを徹底すべきだ。

2.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
○ 非常勤職員については、法制上明確に位置付けることによって、権利を保障することが基本だ。抜本的改善に向けて、検討の場を設けるべきだ。
○ 給与ガイドラインの遵守、社会保険への加入を各府省に徹底してもらいたい。非常勤職員の時給30円の賃上げ要求は連合の格差是正要求をふまえたものであり、改善を求める。
○ 期間業務職員制度は3年が経過することから運用状況を点検した上で、問題点があれば改善が必要を考えるがどうか。

3.労働時間、休暇及び休業等について
○ 超過勤務は「公務のため臨時又は緊急の必要がある場合」とされ、日常業務については正規の勤務時間内でこなす、こなせる要員が確保されていなければならない。人が足りない中で、超勤縮減に取り組んでも成果が上がらないのは当然のことだ。超勤は2012年で234時間となっている。この超勤時間は減らすべきだがどうか。
○ 公務員連絡会と総務省の間でこの4年間にわたって議論してきたが、今後も実効ある縮減措置の構築に向けて引き続き協議していくことを約束してもらいたい。

4.高齢者雇用施策について
○ 再任用制度の下における雇用と年金接続の一番重要な課題は、必要なポストの確保だ。生活面と公務で培ってきた経験を活かしてもらうという面で、より上位の級、短時間であってもより長い時間、フルタイムも増やしていくべきだ。そして、62歳にならないと年金が支給されなくなる2016年度までには、定年延長を実現すべきだ。
 定員事情によって、各府省間で再任用者の処遇に大きな差が出るのは理不尽であり、総務省として公平性の確保に留意してもらいたい。
○ 本年度から実施に移された早期退職募集制度の運用状況はどうか。早期退職の強制はないと認識しているが、問題は生じていないか。

5.公務員制度改革について
 公務員制度改革について、この通常国会で関係法が成立すれば、内閣人事局が設置される。自律的労使関係制度の措置を求めている国家公務員制度改革基本法の効力には変わりはなく、その検討は政府の責務であることをこの間の政府との交渉で確認している。この問題については、内閣官房の人事局との間で改めて議論をしていくことになるので、総務省にも改めての協力を求める。

6.福利厚生施策について
 メンタルヘルス対策の予防の観点からの自己診断シートの電子化、提供の検討状況如何。

7.人事評価制度について
 過日、人事評価に関する検討会の報告がまとまり、いくつか宿題が課された。その対応については、公務員連絡会と十分に話し合いながら進めてもらいたい。

 これに対し、総務省側は次の通り答えた。
(1) 民間賃金の調査結果が上がればプラス較差が出ると思っているが、政府としては人事院勧告を尊重することが基本姿勢である。給与体系の見直しについては、総務省も人事院報告にあったような問題意識を持っており、勧告の内容も踏まえ、対応を検討したい。超過勤務手当については、超過勤務時間に応じて手当されるが、各府省に勤務時間管理を徹底してまいりたい。
(2) 期間業務職員制度の趣旨については、周知を徹底している。
(3) 心身の健康を維持するために、超過勤務を縮減することがきわめて重要な課題だと考えている。管理職員に対して、職員が休暇を取りやすいように、夏季休暇取得の計画表の作成を促すなどの取組みをしている。引き続き、問題意識を持って取り組んでいきたい。
(4) 今年度の再任用の状況は、7月をめどに人事院と共同で取りまとめる。再任用の義務化については、各府省が来年度に向けた再任用を進める中、非常に困っているということは起きていない、と聞いている。
(5) 早期退職募集制度については、多くの省で行われ、実際に応募退職者がいると聞いている。6月くらいに状況を取りまとめ、全体を公表したいと考えている。また、退職を強制するものでないということは、人事管理官会議で徹底している。
(6) 自己診断を行うための「メンタルヘルスシート」を今年度内に各府省に提供する。職員が各自で活用できるよう、イントラネットに掲載する方法で周知する。
(7) 人事評価制度については、評価される側の納得感がないと、制度として定着しないと考える。皆さんとも意見交換し、良い制度となるようにしていきたい。

 幹事クラス交渉委員からは「超勤縮減、メンタル対策のより一層の強化」「昨年、今年の補正予算による公共事業の増加、入札不落札によるやり直し等で仕事が増大し、現場がパニックになっている。現場の職員は何をしたら超勤が減るのかと思って、相談できずにメンタルになるという悪循環だ。それを解決するのは、定員増だ」「再任用は原則フルタイムだが、職場によっては定員の関係で全員短時間となっている」など問題の解決を総務省に訴えた。
 最後に、大塚副事務局長が「今日の回答は、まだまだ具体性がなく、課題は残されている。今後、さらに議論を積み重ねて、局長との交渉では、われわれの要求について具体的かつ前向きな回答をお願いしたい」と強く要請し、本日の交渉を締めくくった。

以上