2014年度公務労協情報 26 2014年3月27日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人事院、総務省から春の段階の回答引き出す−3/27
−公務員連絡会は回答確認し人勧期闘争への決意固める「声明」発出−

 公務員連絡会は3月27日、委員長クラス交渉委員が尾西人事院事務総長、新藤総務大臣と2014春季段階の最終交渉を行った。この交渉で人事院事務総長、総務大臣は、それぞれ資料1、2の通り、この間の交渉の到達段階にもとづいて、春の段階における最終的な回答を示した。
 公務員連絡会は、同日開いた企画調整・幹事合同会議で、「政府、人事院の回答は、基本的には公務員連絡会の意見を聞きながら検討、対応を進めていく姿勢を確認したことにとどまるものである。とくに、総合的見直しをはじめとする具体的な課題に対しては、われわれの要求に明確に応えるものとはなっていない。しかし、公務をめぐる極めて厳しい情勢が継続しているもとで、春の段階における交渉の到達点と受け止め、今後の人事院勧告期、給与確定期まで闘争態勢を継続・強化していく」との声明(資料3)を確認。28日の第3次全国統一行動では、人勧期の取組みの決意を固める時間外職場集会等の行動を実施し、春季生活闘争中・後半期の闘いを進めていくことを決定した。
 この日行われた人事院事務総長、総務大臣との交渉経過と回答内容は次の通り。

<人事院事務総長交渉の経過>
 尾西事務総長との交渉は、10時から人事院で行われた。
 冒頭、松原副議長が「2月19日に要求書を提出し、事務当局と交渉・協議を積み重ねてきたが、本日は、こうした交渉経過を踏まえながら、事務総長から春の段階の最終回答をいただきたい」として、2014春季段階の最終回答を求めたのに対して、事務総長は本年の民間春闘の動向について見解を述べた上で、現段階の考え方等を資料1の通り回答した。

 松原副議長は「要求提出の際も申し上げたが、大震災からの一刻も早い復興・再生に、公務員労働者はそれぞれの職場で粉骨砕身して業務を遂行している。今年も補正予算や新年度予算の早期執行が求められ、職場の超勤実態には極めて厳しいものがある。勤務条件を改善するという、人事院としての役割をしっかりと果たしていただきたい」と述べた上で、回答に対して次の通り見解を述べた。
(1) 本年の最大の課題は給与制度の総合的見直しである。まずは、見直しの必要性について、われわれが納得できる、客観的で合理的な理由を明確に示してもらいたい。十分な交渉・協議を行って、あくまでわれわれとの合意に基づいた検討を強く要求する。
(2) 連合の春季生活闘争では先行組合をはじめとして近年にない賃上げを獲得し、引き続き、必死の思いで中小の取組みが進められており、組合員の賃上げに対する期待は高まっている。夏の勧告では、非常勤職員を含めて賃上げが実現するよう、積極的な対応を求める。
(3) 本年度末の定年退職者は61歳になるまで公的年金が支給されない。それが62歳まで延びれば雇用と年金のギャップはさらに大きくなる。再任用による接続を検証し、年金支給開始年齢が62歳になるときまでには、ぜひとも定年延長が実現するよう、政府及び国会に対する具体的な対応を図られたい。

 最後に松原副議長は、「きょうの回答で、諸課題について、公務員連絡会の意見を聞きながら検討していくとの姿勢が示されたと受け止める。本日の回答は、人事院の春の段階の最終回答として受け止め、組織に持ち帰って協議したい」と述べ、人事院事務総長交渉を締めくくった。


<総務大臣交渉の経過>
 新藤総務大臣との交渉は、17時50分から総務省で行われた。
 冒頭、棚村議長が公務員連絡会の2014春季要求に対する最終回答と地公部会の要求書に対する最終回答を求めたのに対し、資料2の通り回答を示した。

 この回答に対し、棚村議長は「要求提出の際も申し上げたが、大震災からの一刻も早い復興・再生に向けて、公務員労働者はそれぞれの職場で粉骨砕身して業務を遂行している。今年も補正予算や新年度予算の早期執行が求められ、職場の超勤実態には極めて厳しいものがある。総務大臣におかれては、公務員労働者が健康を害することなく、生きがいを持って業務を遂行できるよう、必要な人員、予算の確保や職場環境の整備にしっかりと取り組み、労働条件を確実に改善してもらいたい」と述べた上で、回答に対して次の通り見解を述べた。
(1) 連合の春季生活闘争では先行組合をはじめとして近年にない賃上げを獲得し、引き続き、必死の思いで中小の取組みが進められており、組合員の賃上げに対する期待は高まっている。政府の民間企業への要請と整合性を持って、非常勤職員を含めた公務員の賃上げが実現するよう、大臣の奮闘をお願いしたい。
(2) 本年度末の定年退職者は61歳になるまで公的年金が支給されない。62歳まで延びれば雇用と年金のギャップはさらに大きくなる。再任用による接続を検証し、年金支給開始年齢が62歳になるときまでには、ぜひとも定年延長を実現してもらいたい。
(3) 今国会で審査中の法案は成立する見通しにあり、内閣人事局が設置されれば、われわれとの関係において、国家公務員全体の使用者責任を有する総務大臣との交渉はこれが最後となる。この間の総務大臣の誠実な対応に感謝申し上げたい。新たな組織の設置後においても、これまでどおり、われわれとの労使関係をご確認いただき、より一層誠意ある話し合いを行っていくことを改めて要請したい。

 また、地公部会の永井議長は「地方公務員は、今、大震災からの復興はもとより地域の再生のため、それぞれの地域・職場で全力を尽くしている。総務大臣におかれては、現場で頑張っている職員に応えていくために、必要な予算と適切な労働条件を確保するため、今一段の努力を要請する」と述べた。

 公務員連絡会側の要請に、大臣が「ご要望は承った。政府としても、引き続き、適切な労使関係の構築に努めてまいりたい」と応えたことを受けて、議長は「きょうの回答では、大臣から、引き続き、労使関係に基づいて公務員連絡会と誠意を持って話し合っていくとの決意が示されたことを確認する。本日の回答は、総務大臣の春の段階の最終回答として受け止め、組織に持ち帰って協議したい」と述べ、交渉を終えた。


資料1−人事院の2014春季要求に対する回答

人事院事務総長回答

2014年3月27日


1.賃金等の改善について
○ 国家公務員の給与について、人事院としては、労働基本権制約の代償措置としての勧告制度の意義及び役割を踏まえ、情勢適応の原則に基づき、国家公務員の給与と民間企業の給与の実態を精緻に調査した上で、その精確な比較を行い、必要な勧告を行うことを基本に臨むこととしている。
○ 職種別民間給与実態調査については、例年どおり、5月から実施する方向で検討している。
○ 一時金については、民間の支給水準等の精確な把握を行い、適切に対処して参りたい。
○ 諸手当については、民間の状況、官民較差の状況等を踏まえながら対応して参りたい。
○ 給与制度の総合的見直しについては、地域間・世代間の給与配分の見直し等の諸課題に対応する必要があると考えており、職員団体を始め、関係者とも意見交換を行いながら内容を詰めていきたいと考えている。

2.労働時間の短縮等について
○ 超過勤務の縮減については、管理職員による厳正な勤務時間管理を徹底するとともに、業務の改善・効率化などの取組を推進することが重要であると考えている。
 人事院としては、今後とも各府省と連携しながら、更なる超過勤務の縮減に取り組んで参りたい。
○ 職員の休暇、休業等については、これまで民間の普及状況等をみながら、改善を行ってきたところであり、皆さんの意見も聞きながら引き続き必要な検討を行って参りたい。
○ 育児や介護のための両立支援については、昨秋、民間企業における育児、介護を含めた労働時間の短縮制度についての調査や職員に対する「介護のための両立支援制度の利用実態アンケート調査」等を実施したところであり、今後は、これらの調査の結果や各府省、職員団体の意見も踏まえ、引き続き、必要な検討を進めて参りたい。

3.人事評価の活用について
 人事評価は、職員の能力・実績等を的確に把握し、人事管理の基礎とするものであり、その結果を任用や給与の決定などに活用することとされている。
 人事院としては、人事評価の評価結果の活用が各府省において適正に実施されるよう、今後とも必要な指導等を行って参りたい。

4.非常勤職員の処遇改善について
 非常勤職員の給与については、平成20年8月発出の指針に沿った運用が、各府省において適正かつ円滑に図られるよう、引き続き取り組んで参りたい。
 また、非常勤職員の休暇等については、従来より民間の状況等を考慮し、措置してきたところであり、今後ともこうした考え方を基本に必要な検討を行って参りたいと考えている。

5.高齢期雇用等について
 昨年3月に閣議決定された「国家公務員の雇用と年金の接続について」において、定年延長ではなく希望者を再任用することとしたことは、雇用と年金の接続を図るための当面の措置として、やむを得ないものと考えているが、年金の支給開始年齢が62歳に引き上げられる平成28年度までには、平成26年度からの再任用の運用状況を随時検証しつつ、平成23年に人事院が行った意見の申出による段階的な定年の引上げを踏まえ、再検討がなされる必要があるものと考えている。
 また、再任用職員の俸給水準や手当の見直しについては、平成26年の「職種別民間給与実態調査」において、公的年金が全く支給されない再雇用者の給与の具体的な実態を把握した上で、本年4月以降の公務の再任用職員の職務や働き方等の人事運用の実態等を踏まえつつ、必要な検討を進めることとしたい。

6.男女平等、共同参画について
 公務における男女共同参画の推進については、政府全体として積極的に取り組むべき重要な課題とされ、各府省においては、人事院が策定した「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」に基づき、平成27年度までの目標を設定し、取組を進めてきているところ。各府省における取組が実効性のあるものとなるよう、人事院としては、各府省の取組をフォローアップしつつ、今後、一層の女性職員の登用の促進を図るため、女性職員を対象とした管理能力向上のための研修の拡充等の新たな取組を進め、引き続き、人事院としての役割を果たして参りたい。
 なお、男性職員の育児参加の促進については、昨秋、育児休業を取得しなかった男性職員を対象に「育児休業取得に関するアンケート調査」を実施したところであり、その結果も踏まえ、男性職員の育児休業取得促進のために今後行うべき環境整備の内容等について各府省に助言・指導を行うなど、男性職員の育児休業取得率の向上等を推進して参りたい。

7.健康・安全確保等について
 心の健康づくりをはじめとする健康安全対策については、各職場において推進すべき重要な事項であるとの立場から、これまでも積極的に取り組んできたところである。特に、心の健康づくり対策については、平成25年度から、いきいきとした職場を実現し、職員のメンタルヘルスの向上を図る「心の健康づくりのための職場環境改善」の取組を開始し、各府省に取組への参加を働きかけているところ。今後も、引き続き、改善効果のPRや研修等を通して参加府省の拡大に努めて行きたいと考えている。
 また、セクハラ、パワハラ等についても、引き続き、その防止のための施策等について検討を行って参りたい。
 人事院としては、引き続き、各府省と連携しつつ、これらの健康安全対策の推進に努めて参りたい。


資料2−総務省の2014春季要求に対する回答

総務大臣回答

2014年3月27日


(平成26年度給与について)
 平成26年度の給与については、本年の人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと考えている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行ってまいりたい。

(非常勤職員について)
 非常勤職員の処遇改善については、制度の適切な運用の周知を図りつつ、今後とも皆さんのご意見も伺いながら、関係機関とも相談しつつ検討してまいりたい。

(勤務時間等について)
 超過勤務の縮減は、政府全体としての重要課題であり、総務省としては、引き続き、関係機関とも連携しつつ、政府全体の超過勤務縮減に取り組んでまいりたい。その際、皆様のご意見も伺いつつ、実効ある抑制策を推進してまいりたい。

(高齢者雇用施策について)
 雇用と年金の接続については、昨年、閣議決定した方針に沿って、定年退職者の再任用を政府全体で着実に推進してまいりたい。
 あわせて、同決定に基づき、段階的な定年の引上げを含め、雇用と年金の接続の在り方について検討してまいりたい。

(その他)
 安定した労使関係を維持する観点から、職員団体とは誠意を持った話合いによる一層の意思疎通に努めてまいりたい。
 自律的労使関係制度については、引き続き、内閣官房と職員団体を始めとする関係者との間で意見交換が行われるものと認識している。


地公関係総務大臣回答

2014年3月27日


(平成26年度の賃金改善について)
 平成26年度の地方財政計画における給与関係経費については、その所要額を適切に計上しているところ。
 地方公務員の給与等については、地方公務員法の趣旨を踏まえ、各団体の議会において条例で定められるべきものである。総務省としては、国民・住民の理解と納得が得られる適正な内容とすべきものとの考え方に立ち、必要な助言を行っていく所存。また、平成26年度については、地方公務員給与の減額要請は行わないこととしている。

(臨時・非常勤職員等の雇用安定・労働条件改善について)
 臨時・非常勤職員については、制度の趣旨、勤務の内容に応じた任用・勤務条件が確保されることが必要であり、正規職員と同様に本格的な業務に従事させる場合には、手当の支給も可能な任期付職員制度の活用についても助言を行っている。
 パートタイム労働法・労働契約法については、公務員は適用が除外されているが、臨時・非常勤職員の任用に当たっては、民間労働法制の動向を十分に念頭に置くことも必要である。
 労働基準法の遵守などは各団体が責任を持って対応していくべきものであるが、総務省としても、必要な助言等を行ってまいりたい。

(人事評価について)
 人事評価制度それ自体は、労使交渉の対象となる勤務条件に該当するものではないが、制度の円滑な導入と運用のためには、職員への十分な周知と相互の理解を踏まえながら進めていくことは重要。総務省としても、必要な助言等を行ってまいりたい。

(福利厚生施策の充実について)
 労働安全衛生法の遵守などについては、これまでも地方公共団体に対して情報提供や助言を行ってきたところである。特に東日本大震災の被災地の地方公務員に対しては、地方公務員災害補償基金と共にメンタルヘルス事業を行っているところである。
 職員の健康管理や安全衛生対策が図られるよう総務省としても、引き続き支援を行ってまいりたい。



資料3−2014春季生活闘争に関わる公務員連絡会の声明

声 明


(1) 本日、公務員連絡会は、総務大臣、人事院事務総長と交渉を持ち、2014年春季要求に対する回答を引き出した。
(2) 連合の2014春季生活闘争は、先行組合が近年にない月例賃金引上げを獲得し、それをいま中小、地場に広げていくため、懸命の闘いが進められている。
 公務員連絡会も、連合に結集し、「底上げ・底支え」と「格差是正」を図るため、公務・公共部門で働くすべての労働者の処遇改善をめざし、公務員労働者の賃金引上げ、定員の確保と超過勤務の着実な縮減、雇用と年金の確実な接続と生活水準の確保などを最重要課題として位置づけ、具体的な取組みを進めてきた。
 とくに、給与制度の総合的見直しに対しては、180万筆余(3/3現在)の要請署名を集約し人事院に持ち込み、地域ブロック代表が上京行動を3日間にわたって展開するなど、公務員連絡会との十分な交渉・協議と合意に基づく対応を地域・職場からの力を結集して追求した。
(3) 委員長クラス交渉委員による最終交渉で、総務大臣は@2014年度賃金については、公務員連絡会の意見を聞く、A非常勤職員の処遇改善については公務員連絡会の意見を聞きながら検討していく、B政府全体の超過勤務縮減に取り組む、C定年退職者の再任用を着実に推進し、定年の引上げを含め検討していく、D公務員連絡会とは誠意を持った話合いによる一層の意思疎通に努めていくと回答した。また、人事院事務総長は@給与については、民間の実態を精緻に調査し、必要な勧告を行う、A給与制度の総合的見直しは公務員連絡会の意見を聞く、B非常勤職員の給与改善に取り組む、C更なる超過勤務縮減に取り組む、D雇用と年金の接続は人事院の意見の申出による定年の引上げを踏まえ、再検討がなされる必要があると回答した。
 これらの回答は、基本的には公務員連絡会の意見を聞きながら検討、対応を進めていく姿勢を確認したことにとどまるものである。とくに、総合的見直しをはじめとする具体的な課題に対しては、われわれの要求に明確に応えるものとはなっていない。
 しかし、公務をめぐる極めて厳しい情勢が継続しているもとで、春の段階における交渉の到達点と受け止め、今後の人事院勧告期、給与確定期まで闘争態勢を継続・強化していく。
 とりわけ、給与制度の総合的見直しに対しては、人事院の検討動向を注視しつつ、適時・的確に交渉・協議を配置するとともに、人事院勧告期に向け、中央・地方における諸行動を一層強化し、要求実現をめざすものである。
(4) 地方公務員について、総務大臣は@地方財政計画における給与関係経費については、その所要額を適切に計上し、人件費を確保する、A臨時・非常勤職員については、制度の趣旨、勤務の内容に応じた任用・勤務条件が確保されることが必要、B人事評価制度の円滑な導入と運用のためには、職員への十分な周知と相互の理解を踏まえながら進めていくことは重要、C特に、東日本大震災の被災地の地方公務員をはじめ職員の健康管理や安全衛生対策が図られるよう引き続き支援を行っていくと回答した。臨時・非常勤職員の処遇改善について一歩踏み込んだ回答をしたものの、抜本的な改善については依然として先送りをしており、引き続き、取組みを強めていく必要がある。
(5) われわれは、東日本大震災からの一刻も早い復興・再生に向けて、その役割を果たすとともに、引き続き春季生活闘争の取組みを継続・強化するものである。
 連合・公務労協に結集し、中小及び地域民間構成組織、独立行政法人等関係組合と連帯し、すべての労働者の賃金引上げ、雇用の安定確保を実現するため、全力を挙げる。あわせて、民主的な公務員制度改革の実現、労働基本権の確立に向けて、粘り強い取組みを進める。

2014年3月27日

公務員労働組合連絡会