2014年度公務労協情報 32 2014年4月11日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

地公部会が民間給与実態調査について全人連に申入れ−4/11

 公務労協地公部会は、11日14時30分から、民間給与実態調査について、全国人事委員会連合会に対する申入れを行った。
 地公部会側は、永井議長(全水道委員長)、加藤事務局長、田中事務局次長、幹事が出席し、全人連側は、関谷会長(東京都人事委員会委員長)はじめ、都道府県人事委員会のブロック代表および政令市の代表者が対応した。
 冒頭、永井議長は、要請書(別紙)を手交し、以下の通り要請の趣旨を述べた。
 連合の2014春季生活闘争は、先行組合が近年にない月例賃金引き上げの回答を引き出し、今その成果を中小、地場に広げていくため、懸命の取組みが展開されている。地公部会も、連合に結集し、正規・非正規問わず、公務・公共部門で働くすべての労働者の賃金引上げをはじめとする処遇改善、定員の確保、雇用と年金の確実な接続を最重要課題として取組みを進めてきた。
 地方公務員の生活設計に大きな影響を与える給与制度の総合的見直しでは、先月上旬、人事院に対し、全国各地域や職場の声を直接届けるブロック別行動を展開し、あわせて244万筆をこえる要請署名を提出するとともに、夏に予定されている人事院勧告においては、公務員連絡会との十分な交渉・協議と合意に基づくよう求めてきた。特に、賃金引き下げにしかつながらない地域間配分の見直しは、昨年度の国による地方公務員給与削減強制に続く、地方公務員への攻撃であり、断固たたかう決意である。地方公務員の実情を十分踏まえた検討を行うよう、人事院に対して毅然たる対応を求めたい。あわせて、労働基本権制約の代償機関として、各人事委員会の中立かつ公正な第三者機関としての使命が十分に果たされるよう強く求めたい。

 続いて、加藤事務局長が要請書の主な課題について説明し、全人連としての努力を求めた。
 こうした地公部会の要請に対し、関谷全人連会長は以下の通り回答した。



<全人連会長回答>

平成26年4月11日


 早速、役員道府県市を通じて、全国の人事委員会にお伝えします。
 さて、最近の経済情勢ですが、年明け以降、景気は緩やかに回復している動きが見受けられます。先月、政府が発表した3月の月例経済報告は、景気の基調判断について「各種政策効果が下支えするなかで、家計所得や投資が増加し、景気の回復基調が続くことが期待される。」としております。しかし、同時に、先行きについては「海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、消費税引上げに伴う駆け込み需要の反動が見込まれる。」と言及しております。
 本年の春季労使交渉では、3月中旬の大手企業の一斉回答において、高水準でのベースアップ実施や一時金要求への満額回答などが相次ぎましたが、業績見通しの違いなどから、業種や企業によって、その回答の水準は様々となっております。
 また、中小企業においては、まだ多くの企業で労使交渉が続いていることから、引き続き今後の動向を注視する必要があると考えております。
 こうした民間における賃金の状況を的確に把握するため、毎年、各人事委員会は、人事院と共同で民間給与実態調査を行っております。本年も、例年と同様の日程で実施する予定であり、5月初旬からの調査開始へ向けて、現在、準備を進めているところです。

 本日、要請のありました個々の内容は、各人事委員会において、調査の結果や各自治体の実情等を踏まえながら、本年の勧告に向けて検討していくことになるものと思います。
 申し上げるまでもなく、人事委員会の重要な使命は、公務員の給与等の勤務条件について、社会情勢に適応した、適正な水準を確保することであると認識しております。地方公務員の給与を取り巻く環境は、引き続き厳しい状況ではありますが、私ども人事委員会は、中立かつ公正な第三者機関として、本年もその使命を十分に果たしてまいります。
 全人連といたしましては、今後も、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、各人事委員会や人事院などと十分な意見交換に努めてまいります。


(別紙) 全人連への要請書

2014年4月11日


全国人事委員会連合会
 会 長 関 谷 保 夫 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長   永井 雅師


民間給与実態調査に関わる要請書


 この間の地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 連合の2014春季生活闘争は、先行組合が近年にない月例賃金引き上げの回答を引き出し、それをいま中小、地場に広げていくため、懸命のたたかいがすすめられています。
 地公部会も、連合に結集し、「底上げ・底支え」と「格差是正」を図るため、公務・公共部門で働くすべての労働者の処遇改善をめざし、公務員労働者の賃金引上げ、定員の確保と超過勤務の着実な縮減、雇用と年金の確実な接続と生活水準の確保などを最重要課題として位置づけ、具体的な取組みを進めてきました。
 給与制度の総合的見直しに対しては、先月、地域ブロック代表が上京行動を3日間にわたって展開し、地域や職場の声を直接人事院に届けました。また、2,440,479筆(4/4現在)の要請署名を人事院に提出するなど、公務員連絡会との十分な交渉・協議と合意に基づく対応を地域・職場からの力を結集して追求していきます。
 とくに、賃金引き下げにしかつながらない地域間配分の見直しは、昨年度の国による地方公務員給与削減強制に続く、地方公務員への攻撃であり、断固阻止するためにたたかう決意をしています。各人事委員会におかれましても、給与制度の総合的見直しに当たっては、地方公務員の実情を十分踏まえた検討を行うよう、人事院に対して毅然たる姿勢で対応されるよう要求します。
 労働基本権制約の代償として、各人事委員会の中立かつ公正な第三者機関としての使命が十分に果たされるよう強く求めるとともに、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。


1.民間賃金実態に基づき公民較差を精確に把握し、人事委員会勧告制度の下で地方公務員のあるべき賃金を勧告すること。また、一時金の公民比較は、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。

2.給与制度の総合的見直しに当たっては、地方公務員の実情を十分踏まえた検討となるよう、人事院に対して意見反映をすること。とくに、関係者の十分な意見を踏まえない勧告に対しては反対をすること。

3.人事委員会の勧告に向けた調査や作業に当たっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

4.諸手当の改善については、地域の実情を踏まえつつ、組合との十分な交渉・協議に基づくこと。

5.臨時・非常勤職員の処遇改善に関する指針を示すこと。

6.新たな高年齢者雇用施策については、65歳までの段階的定年延長を実現するため、意見の申出を直ちに行うこと。
  また、制度改正までの間、現行再任用制度での希望者全員の再任用を前提とした運用、給与制度上の措置について必要な検討と報告、勧告を行うこと。

7.公立学校教職員の給与について、引き続き、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成、提示すること。また、作成に当たっては、関係組合との交渉・協議、合意のもと進めること。

以上