2014年度公務労協情報 44 2014年6月19日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人事院に2014人勧期要求提出−6/19

 公務員連絡会委員長クラス交渉委員は、6月19日10時30分から、永長人事院事務総長との交渉を実施し、「2014年人事院勧告に関わる要求書」を提出した。これにより、2014人勧期の取組みは正式にスタートした。
 本年の人勧期をめぐっては、民間の賃上げ状況を踏まえ、月例給、一時金の何れについても引上げ勧告を求めるとともに、給与制度の総合的見直しについて、地域間格差の拡大、高齢層や技能・労務職員の給与水準引下げは反対であり、一方的な勧告は行わせないことが重要課題となっている。公務員連絡会は、7.8〜10ブロック別上京行動や7.29中央行動などを配置して人事院との交渉を強め、要求の実現を図るべく、取組みを進めることとしている。

 交渉の冒頭、松原副議長が、提出した要求書(別紙)について次の通り見解を述べた。
(1) 2014年人事院勧告の要求書提出に当たって、一言見解を述べさせていただく。
(2) 連合は、本年の春季生活闘争について、定昇・賃金カーブ維持分を確保した上で1%以上の賃上げを求めるとともに、一時金水準の向上・確保をめざして取組みを進めてきた。その結果、賃金水準の引上げが実現するとともに、一時金も昨年を上回る結果となった。中小の決着が残っており、いまだに予断は許されないが、少なくとも水準は引上げ方向であることに間違いはないと認識している。
(3) このような民間の状況を踏まえたとき、公務員自身の処遇改善はもとより、社会的な影響を含めて、月例給、一時金の何れについても引上げ勧告が求められる。
(4) 職場では、いま、成長戦略の下、昨年を上まわる予算の早期執行が求められ、要員不足の中で業務過重となり超過勤務が蔓延し、心身の不調を押して何とか業務を遂行している組合員も少なくない。総理の指示に基づいて新たな定員削減計画の検討も進められていると聞いているが、定員削減は最早限界だ。公務員に人間として相応しい働き方を取り戻さなければいけない。超勤縮減を含めた労働諸条件の改善が喫緊の課題だ。
(5) 最後になるが、昨年夏に人事院が報告した給与制度の総合的見直しについては、見直しの必要性について、納得できる説明を求めてきたが、いまだに合点がいかない。地域の給与を引き下げて、どうして職員の士気や組織活力が維持・向上することになるのか、全く理解できない。地域間格差を拡大し、高齢層や技能・労務職員の給与水準を引下げるような見直しは反対だということを重ねて申し上げておく。公務員連絡会との十分な交渉・協議と合意に基づいた作業を行い、一方的な勧告はしないでもらいたい。
(6) 本日提出した要求書では、公務員の賃金をはじめとする労働条件をめぐる様々な課題について、具体的な要求事項の実現を求めているので、人事院の使命としてその解決を図っていただきたい。
 本日の要求提出を機に、事務レベルで交渉を積み上げさせていただくが、然るべき時期に、要求に対する最終的な回答をいただきたいと考えているので、よろしくお願いする。

 続いて吉澤事務局長が要求事項を説明。これを受けて永長事務総長は、「ご要求は確かに受け取った。公務を巡る情勢は依然として厳しい状況である。人事院としては、国会と内閣に必要な報告・勧告を行うという国家公務員法に定められた責務を着実に果たしていく所存である。今後、本年の勧告に向けて、要求された課題について皆さんの意見も聞きながら、検討を進めていくこととしたい。給与制度の総合的見直しについては、地域間、世代間の給与配分の見直し等の諸課題に対応する必要があると考えており、引き続き、皆さんをはじめ関係者とも意見交換を行いながら、検討を進めて参りたい」と応えた。


(別紙)2014人勧期要求書

2014年6月19日

人事院総裁
 一 宮 な ほ み 様

公務員労働組合連絡会
議 長  棚 村 博 美

2014年人事院勧告に関わる要求書


 連合は、本年の春季生活闘争について、定昇・賃金カーブ維持分を確保した上で1%以上の賃上げを求めるとともに、一時金水準の向上・確保をめざして取組みを進めてきました。その結果、賃金水準の引上げが実現するとともに、一時金も昨年を上回る結果となり、デフレからの脱却に向けた一歩を記すこととなりました。
 このような民間の状況を踏まえ、公務員給与の引上げ勧告を求める期待が高まっています。職場では、いま、成長戦略の下、予算の早期執行が求められ、要員不足の中で業務過重となり超過勤務が蔓延し、その縮減を含めた労働諸条件の改善が喫緊の課題となっています。加えて、年金支給開始年齢の段階的引上げが実施に移され、雇用と年金の接続についても、一刻も早く再任用からより確実な定年延長に転換していかなければなりません。
 他方、昨年夏に人事院が報告した給与制度の総合的見直しは、公務員給与の地域間格差を一層拡大することに加え、高齢層や技能・労務職員の給与水準引下げが検討されるなど厳しい内容となっているだけに、公務員連絡会との十分な交渉・協議と合意に基づいた作業が不可欠です。
 公務員労働者は、全国の各地域で、東日本大震災からの一刻も早い復興・再生はもとより、国民の安心・安全のため、高い使命感と責任をもって日々の職務に精励しており、公務労働に相応しい処遇と労働条件が確保されなければなりません。
 公務員連絡会は、下記の通り2014年の人事院勧告に対する要求を提出いたします。貴職におかれましては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求いたします。



1.賃金要求について

(1) 給与制度の総合的見直しについて
 給与制度の総合的見直しの検討にあたっては、公務員連絡会と十分交渉・協議、合意し、一方的な勧告は行わないこと。
(2) 月例給与について
 2014年の給与改定勧告に当たっては、公務員労働者の月例給与水準の引上げ勧告を行うこと。また、較差の配分等については、早い段階から公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて行うこと。
(3) 一時金について
 一時金については、精確な民間実態の把握と官民比較を行い、支給月数を引き上げること。
(4) 諸手当について
 諸手当については、官民較差の見通しを踏まえ、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて勧告作業を進めること。また、住居手当及び通勤手当は、次のとおり改めること。
@ 住居手当については、国家公務員宿舎の削減及び宿舎使用料等の段階的引上げを踏まえ、総合的に改善すること。
A 通勤手当については、運賃引上げ、燃料費の高騰及び民間の支給実態を踏まえ、引き上げること。
(5) 再任用職員の給与について
 「国家公務員の雇用と年金の接続について」(2013年3月26日閣議決定)に基づく再任用職員の給与制度上の措置についての検討に当たっては、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて行うこと。

2.労働諸条件の改善について

(1) 労働時間の短縮及び休業制度等について
@ 本府省における在庁時間削減の取組みの実施状況を踏まえ、その取組みの強化・徹底を図ることとし、人事院として積極的役割を果たすことにより、在庁時間の一層の削減に努めること。
A 他律的業務を含む超勤上限目安時間については、完全に遵守できるよう各府省に対する指導を強化すること。
B これらの取組みに基づき、新たな上限規制を含めた厳格な勤務時間管理と実質的に効果がある超過勤務縮減策を取りまとめ、着実に実施すること。
C 家族介護を理由とした離職を防止するため、介護休業制度を整備すること。
D 両立支援を推進するための多様で弾力的な勤務時間制度等の検討に当たっては、公務員連絡会と十分交渉・協議すること。

(2) 高齢者雇用施策について
 雇用と年金の接続について、2011年の意見の申出及び国家公務員法等の一部を改正する法律(2014年4月18日公布)附則第42条を踏まえ、年金支給開始年齢が62歳になる2016年度までに段階的定年延長を実現するため、政府に対する具体的な対応を図ること。

(3) 男女平等の公務職場の実現について
@ 「女性国家公務員の採用・登用拡大に関する指針」に基づく目標の着実な実現に向けた指導、メンター制度の実効性確保に向けて引き続き取組みを強化すること。
A 育児休業及び育児のための短時間勤務等について、非常勤職員を含めて制度を十分に活用できるよう、引き続き周知と取得しやすい職場環境の整備を図ること。とりわけ、「第3次男女共同参画基本計画」及び「日本再興戦略」(2013年6月14日閣議決定)に基づき、2020年までに男性の育児休業取得率13%を達成できるよう、実効ある具体的促進策を講じること。

(4) 福利厚生施策の充実について
@ 「職員の心の健康づくりのための指針」等に基づいた心の健康診断、カウンセリングや「試し出勤」など復職支援施策の着実な推進を図ること。あわせて、「心の健康づくりのための職場環境改善」の取組みを一層促進すること。
A 労働安全衛生法の改正を踏まえ、公務においても所要の措置を速やかに実施すること。
B パワー・ハラスメントについて、民間動向や2011年人事院調査の結果を踏まえ、適切な対策を講じること。また、セクシュアル・ハラスメントについては、実態把握に基づき、必要な対策を強化すること。

3.非常勤職員等の制度及び処遇改善について

(1) 非常勤職員等の給与を引き上げること。
(2) 「非常勤職員給与決定指針」の実施状況を丁寧に点検し、その遵守を徹底すること。
(3) 期間業務職員制度について、施行から3年が経過したことから、制度の課題について検証し、当該職員の雇用の安定と処遇の改善を図ること。
(4) 非常勤職員の休暇制度を改善すること。
(5) 非常勤職員制度の抜本的な改善に向けた検討を継続することとし、これまでの制度の取組み状況を把握しながら、公務員連絡会と十分交渉・協議し、作業を進めること。

以上