2014年度公務労協情報 55 2014年8月7日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

人事院が給与制度の総合的見直しを含む2014勧告−8/7
−公務員連絡会は声明を発出し、政府に見直し部分の実施見送りを要求−

 人事院は8月7日10時44分に、内閣と国会に対して@月例給を0.27%、1,090円、一時金を0.15月引き上げる給与改定に関する勧告、A給与制度の総合的見直しに関する勧告・報告などを行った。政府は人事院の報告を受けて、給与関係閣僚会議を開催する予定であるが、日程は未定である。
 公務員連絡会は、これを受けて、@俸給月額を7年ぶりに引上げ改定したこと等は一定の評価、A給与制度の総合的見直しについて、俸給水準引下げありきで本年勧告を行ったことは極めて遺憾、などを内容とする声明(資料1)を発した。なお、連合においても2014人事院勧告について、資料2の通り事務局長談話を発している。
 また、代表者会議で、7日の人事院の報告等を踏まえ、全職場での時間外職場集会を中心とした第3次全国統一行動を8日を中心に実施すること、などを確認した。


資料1−公務員連絡会の声明
声   明


1.人事院は、本日、月例給を0.27%、1,090円、一時金を0.15月引き上げる本年の給与改定に関する勧告と給与制度の総合的見直しに関する勧告・報告を行った。
2.2014人勧期の取組みについて、公務員連絡会は、人事院が昨年突如報告した給与制度の総合的見直しと2014年春の官民較差に基づく給与改定勧告等の二大課題を有機的に結びつけ、人事院に対して、労働条件に関わるあらゆる課題について、われわれと十分な交渉・協議を行い、合意の下に作業を進めさせることを基本に据えて、中央、地方、組合員が一体となって、総力を挙げた取組みを進めてきた。
 6月19日の要求提出では「地域間格差を拡大し、高齢層や技能・労務職員の給与水準を引き下げるような見直しは反対」であることを主張するとともに、@給与制度の総合的見直しについて、十分な交渉・協議を行い、一方的な勧告をさせないこと、A民間の賃上げ状況を踏まえての月例給・一時金の引上げ勧告の実現、B定年延長に向けた政府への具体的働きかけ、C超過勤務の縮減をはじめとした労働諸条件の改善、D非常勤職員等の給与引上げと処遇・労働条件の改善、などを重点課題に設定し、東西2ブロックでの人勧期方針説明・学習会、春闘期の取組みに続いて二度目となる7.8〜9、15のブロック別上京行動、7.23寒冷地手当見直し対策中央行動、そして7.29中央行動のほか、様々な行動を職場や全国各地で展開し、地域や現場の声を直接人事院にぶつけてきた。組織の総力を挙げた取組みにより、人事院総裁に対する要請署名は2,457,082筆を、職場決議は23,487をそれぞれ集約し、人事院に提出・送付した。そして、これらの取組みを背景に人事院との交渉・協議を最終盤までねばり強く進めてきた。
3.本年の給与改定に関する勧告・報告については、俸給月額を7年ぶりに引上げ改定したこと、較差外で交通用具使用者に対する通勤手当の改善を行ったことは一定の評価ができる。また、一時金について、月数増となったことは民間動向を反映するとともに組合員の期待に添う当然の結果であるが、育児休業者や非常勤職員に支給されない勤勉手当にすべてを配分したことは、社会的要請に関する配慮になお課題を残すこととなった。
 その他、@再任用者に対し、単身赴任手当、広域異動手当、新幹線通勤手当を支給できるようにしたこと、A非常勤職員の年次休暇について3月勤務後、その一部を夏季に使用できるよう改めることを報告したこと、については、不十分とはいえ、前向きに受け止める。反面、昨年報告した「多様で弾力的な勤務時間制度等の検討」について、本年、具体策を打ち出さず先送りしたこと、また、女性の活躍促進、ワークライフバランスの確保が求められるもとで、超過勤務縮減の具体策を打ち出さず、職員調査の実施に止めたことは残念なことである。
4.給与制度の総合的見直しについて、われわれが、人事院との間で、真摯に交渉・協議を継続しつつ、様々な形で組合員の声を届けてきたにもかかわらず、人事院が、これらに十分に応えることなく、俸給水準引下げありきで本年勧告を行ったことは極めて遺憾である。被災地をはじめ、地域において全力で奮闘している公務員労働者の納得を得ないままの俸給水準引下げ勧告は職員の士気の低下を招くものである。
 一方、人事院が本年の勧告を明言した7月29日の交渉を踏まえ、具体的な措置内容について行った交渉の結果、@「2ポイント台半ば」とされていた俸給水準の引下げを2ポイントに止めさせ、号俸も延長させたこと、A技能・労務職員について、直接民間との比較を行わせることなく、行政職(一)を下回る引下げに止めさせたこと、B地域手当について、現行支給割合を保障させるとともに、パーソントリップについて改善を図らせたこと、C地域手当が支給されない地域で異動する職員に対する広域異動手当について大幅な改善を実現させたこと、D98年以来16年ぶりに単身赴任手当を改善させたこと、E寒冷地手当について、水準を確保した上で、気象データ更新に伴う級地区分の見直しに止めさせるとともに経過措置を講じさせたこと、加えて、給与が引下げとなる場合について、期限付という限界はあるものの所要の現給保障を行わせることができたことは、すべての構成組織、組合員の精力的な取組みの結果である。
5.以上のことから公務員連絡会は、今後、政府に対して、本年の給与改定に関する勧告については勧告通り実施することを求めていくが、給与制度の総合的見直しに関する勧告・報告については、公務員の使用者としての責任においてわれわれと十分交渉・協議を行い、この実施を見送る方針決定を行うよう求めていく。
 さらに、これから本格化する地方自治体や独立行政法人、政府関係特殊法人等の取組みにおいても、給与制度の総合的見直しに対する基本方針を堅持し、統一闘争態勢のもとに全力で取組みを進めることとする。

2014年8月7日

公務員労働組合連絡会



資料2−連合事務局長談話

2014年8月7日

平成26年人事院勧告についての談話

日本労働組合総連合会
事務局長 神津里季生

1. 人事院は本日、政府と国会に対して、2014年度の国家公務員の月例給を1,090円(0.27%)引き上げ、一時金を年間0.15ヶ月増とする勧告を行った。この勧告は2014春季生活闘争における民間組合の解決状況を踏まえたものであり、7年ぶりの給与の改善は評価できる。政府と国会は、勧告どおり早期完全実施をはかるべきである。

2. 今回は「給与制度の総合的見直し」についても勧告が行われた。その内容は、@俸給表の水準を平均2%引き下げ、地域手当等に再配分することで、地域間の給与に格差をつける、A単身赴任手当、広域異動手当、本府省業務調整手当を引き上げる、などである。これらの見直しは、同一の俸給表が適用される国家公務員の統一性や同じ仕事・職務を遂行している地方公務員に影響を及ぼすものである。これらは公務員給与制度の根幹に関わる問題であるにもかかわらず、組合側との十分な協議は尽くされていないのは問題であり、東日本大震災の復興・再生に懸命に従事している地域の公務員の士気の確保をはかる等の論点を含め、連合傘下の関係組合で構成する公務員連絡会との議論を継続すべきである。

3. 今後、地方公務員の給与にかかる人事委員会勧告が予定される。地方自治の原則や質の高い行政サービスの実現の観点からも、地方自治体に対し、労使交渉を尊重するよう強く求めていく。

4. 連合は、民主的な公務員制度の確立に向け、引き続き、関係する組織と連携しながら取り組みを進め、労働基本権の回復と自律的労使関係制度の確立をはじめとする公務員制度改革の実現をめざしていく。

以 上