2014年度公務労協情報 64 2014年9月29日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

地方公務員部会が、人勧取扱い、地方公務員の給与制度の総合的見直しに関する総務省交渉−9/25
−地公の給与決定は、地方の自主的・主体的決定を尊重するよう強く求める−

 公務労協地方公務員部会は、9月25日10時30分から、人事院勧告等に関わり、新藤総務大臣(当時)に提出した要求書に関する現時点での検討状況を質すため、総務省交渉を実施した。地方公務員部会からは幹事クラス交渉委員が出席し、総務省からは三橋給能室長らが対応した。冒頭、三橋給能室長は地方公務員部会側の要求に対する現時点での検討状況について、以下の通り述べた。
(1) 8月15日に大臣が述べたように、地方公務員の給与については、地方公務員法の趣旨を踏まえ、各団体の議会で条例によって定められるのもの。総務省としては、国民・住民の理解と納得が得られる適正な内容とすべきもの、との考え方に立ち、必要な助言を行っていく。
(2) 地方公務員の給与制度の総合的見直しについて、8月20日に有識者による検討会で取りまとめられた基本的方向性では、国家公務員給与の捉えている地域民間給与の的確な反映や高齢層職員の給与水準という課題は、多くの地方公共団体においても共通の課題であると指摘されている。また、各地方公共団体は、国の見直しを十分に踏まえて、主体的に給与制度の見直しに取り組むことが必要であることなどが提言されている。この提言を受け、総務省は8月下旬に各人事委員会事務局や全国の都道府県人事課・市町村担当課の会議等で検討会の考え方を説明している。検討会のこの提言や、国家公務員の給与制度の総合的見直しの対応を踏まえ、今後地方公共団体に対し、通知等により必要な助言を行っていく。

 これに対し、地方公務員部会側は以下のように質した。
(1) 基本的方向性では、地方公務員の給与制度について、制度は国家公務員を基本とし、給与水準は民間賃金をより反映という考え方に基づいて検討されるべきとされている。その上で、地域手当について、人事院の客観的データに基づいた支給地域や支給割合に則って定めることを原則としている。しかし、国家公務員の支給基準に則って支給した場合、「給料と地域手当の水準が現行水準を上回る団体において、地域住民の理解と納得が得られるものとするために、必要な抑制を行うなどの対応についてはやむを得ない」としている点について、矛盾しているのではないか。
(2) 安倍政権の進めようとしている地方創生では、地方公務員給与を引き下げれば、地方経済の悪化につながり、東京一極集中が加速するのではないかと分析している。検討会でのヒアリングでも、地方三団体からも同様の意見があった。ぜひこうした視点で地方公務員給与に関する問題を考えてもらいたい。
(3) 最終とりまとめに向けたスケジュール感を問う。また、最終とりまとめにあたっては、関係者を対象とした十分な意見反映の機会を設けるべきではないか。
(4) 地域手当は、人事院が行った調査によるデータであり、これ以外に客観的に支給地域・支給割合を示すことは技術的に困難な面があるとすれば、情報開示が必要ではないのか。
(5) 国家公務員の給与総額には、地域手当の異動保障や広域異動手当などが内包されている。国にあって地方にない給与原資について、どのように考えるのか。
(6) 高齢層給与については、官民で役職構成が異なることなどが原因となる給与差について、そもそも埋める必要があるのか。

 これに対し、三橋給能室長は以下のように答えた。
(1) 今回の国家公務員の給与制度の総合的見直しでは、俸給表水準の引下げとあわせ、地域手当の支給地域・支給割合の見直しが勧告されている。検討会でも、民間給与の適切な反映を目的とする地域手当の趣旨を踏まえ、人事院が作成した基準に合わせ、地域手当の支給地域・支給割合を見直すことが原則とされている。その上で広域団体である都道府県や国の官署が無い市町村について考慮すべき点が示されているが、この他に、仮に国の基準にのっとって支給した場合に給料と地域手当の水準が現行を上回る団体については、「地域住民の理解と納得を得るものとするために必要な抑制を行うことはやむを得ない」ということが指摘されているもの。これは、こうしなければならないという指摘ではないが、各自治体の地域手当の水準について、現に議会と住民の理解を得るために抑制しているという現状もあることなどを踏まえ、検討会として整理を行ったものと理解している。
(2) 給与制度の総合的見直しは、安倍政権下の昨年11月の閣議決定で方針が出されているもの。地域経済への懸念の意見は承知しているが、地方三団体も給与制度の総合的見直しに反対する趣旨ではなく、地方創生はあくまでも給与制度とは別に、地域活性化策としてなされていくべきものと理解している。
(3) 最終とりまとめに向けては、給与情報の公表や人事委員会機能の発揮のあり方などの課題について議論し、できれば年内にとりまとめたい。これまでの意見聴取で寄せられたご意見・疑問等については、基本的方向性で言及してきており、現時点で検討会で重ねて意見聴取を行うことは想定していない。
(4) 地域手当の指定基準において、個々の市町村の支給地域・支給割合の根拠については、人事院勧告では明らかになっていなかったが、賃金指数、パーソントリップの率など、必要な情報・数値は総務省より各地方公共団体に情報提供している。
(5) 地方公務員給与の場合は、国家公務員給与と問題構造が異なる。地方公務員の給与決定原則において、国家公務員給与が考慮事項の一つとされていることから、各地方公共団体において、国の俸給表、地域手当の見直しを踏まえた対応が求められるもの。
(6) 50歳台後半層の給与抑制については、従前から、行政職俸給表(一)に限らず、職種をまたいで取り組まれてきている。国家公務員の給与制度の総合的見直しでも、行政職俸給表(一)との均衡を踏まえ、他の俸給表も見直しが勧告されている。基本的方向性でも、地方の一般行政職以外の給料表についても、職種間の均衡の観点から、一般行政職と同様の対応を基本とするという整理がされている。

 最後に加藤事務局長が「地方公務員の給与制度の総合的見直しについて、引き続きの折衝、協議をお願いしたい。見直しに関わって、現場で働く組合員から多くの不安や不満の声が寄せられている。このような声を踏まえ、引き続き検討いただき、しかるべき時期に公務員部長から回答をいただきたい」と求め、交渉を締めくくった。

以上